ダーラム
この世界でダゴンとして伝わる巨人。
ムンクの『叫び』。その絵画から流れ出るおびただしい量の闇のエネルギーと呪いを三人は感じていた。
「これがガタノゾーアですか、カーターさん!?」
「いや、これはもっとおぞましいものだ、しかしなぜだ!?」
カーターが疑問に思ったのは、怪獣の出現である。今までの経験から、別宇宙で出会った時のガタノゾーアはこのような呪いとは違う姿をしていた。しかし、この世界の『象牙の書』には今までに出現した怪獣以外は、ガタノゾーアしか残っていなかったはずなのだ。
では、これはいったい何なのか。
そう思索しているうちにも、その呪いは溢れ、開かなかったドアをもこじ開ける。
意図せず外へ出ることができた彼らの前に、その呪いは実体を持って具現化した。
まさにムンクの『叫び』のような、歪んだ顔が複数体に浮き出ている。腕のような触手、無数の脚。そして形容しがたい色彩を放ち、50mを超える巨体を持って災禍を振りまく悪魔がそこにはいた。
周りを見渡した三人は、ここが異質な世界であると再確認する。
「なんだ、この世界…どこもかしこもあの怪獣のように薄暗い紫色だ」
「とにかく、今は怪獣を倒しましょ」
構える二人。
光とともに、二人の巨人が出現する。
ティガブラスト。
ウルトラマンネクサス ジュネッスビオレ。
奇怪な怪獣を前に怯まず立ち向かっていく。怪獣の触手をかわし、ネクサスは紫のエネルギーを腕から放つ。光の軌跡、ソードレイ・シュトローム。それは剣となって敵の触手を引きちぎる。
続けて、ティガブラストのランバルト光弾。素早い攻撃をかわすことができずに、怪獣は直撃を受ける。
「いいぞ!」
カーターも声を上げる。二人の攻撃を受け、怪獣は動きを止めた。
それを見て、安心した二人。
しかしそこに、激しい攻撃が加えられた。光の鞭のようなものが怪獣から現れている。気を引き締めなおし、改めて戦闘態勢をとる二人。
すると、みるみるうちに怪獣はぐにゃぐにゃとその体を変形させていく。
「まさか…!!」
カーターが驚きの表情で見守る中、怪獣の体は巨人へと姿を変えた。
灰色の巨人。まるで、以前戦ったダーラムやヒュドラのような、闇の巨人。体つきは女性のようだ。
妖艶なその外見に、カーターは確信する。
この怪獣、もとい巨人がこの世界の『象牙の書』に載っていなかった理由。それは、今まで一度も姿を現したことが無かったからである。
『叫び』の時のような呪いの状態では、それが神話生物かどうかの判断はできない。
では、怪獣や巨人の状態では?
別の世界では、ダゴンとハイドラ、すなわちダーラムとヒュドラはあるものを守る役割を与えられていた。
そのあるものとは、彼らの仕える上位種クトゥルフの愛娘にして秘蔵っ子、クティーラだ。
いまこの世界では、ダゴンとハイドラにあたるダーラムとヒュドラを倒したことで、クティーラは怪獣・巨人の姿を初めて見せた。だから、かの書には記述が無かったのだ。
クティーラの呪いがおぞましい怪獣となった、クトゥーラ。
それが美しい闇の巨人へと姿を変えた、カミーラ。
その謎をカーターは膨大な知識によって突き止めた。しかし、彼にはマドカとユリカの二人が勝つよう祈ることしかできないのだった…
怪獣紹介
ヒュドラ
この世界でハイドラとして伝わる巨人。ダーラムと共にクトゥルフの娘クティーラを守っていた。