花屋喰種   作:みぞれアイス

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花屋喰種:re2【THE CLOWN】
Re:第31話 Dramaturgy


 月山家殲滅作戦が終わり、マツリは約束を守ったらしく、臨時の論功行賞(ろんこうこうしょう)が行われた。

 

 結果、隻眼の梟を単独撃退したことで、佐々木琲世(ハイセ)が准特等捜査官に昇進。だが、ハイセを准特等捜査官にしてしまうと、今まで秘匿していた『眼帯の喰種/金木研』やそれに付帯する全ての情報が閲覧できるようになってしまうが、どうするのかといった問題が出た。だが、上からの回答は意外なものだった。

 

 回答は『眼帯の喰種及びそれに付帯する全情報を、通常の捜査資料と同様の閲覧権限に戻す』である。

 つまり、捜査官であれば誰でも閲覧できるようにするということだ。

 

 そうすると問題になるのは、佐々木ハイセが記憶を取り戻し、危険な喰種に戻った場合どうするのか。上からの回答は、佐々木ハイセをS3斑・有馬貴将(きしょう)の配下に転属させるというものであった。

 

 CRc狙撃銃をペニーワイズに破壊された今、狙撃銃は2丁しかない。2つのうち1つは射撃のトップである安浦清子(アウラきよこ)に、もう1つはキジマ斑に持たせた方が都合が良いため、ハイセ鎮圧用の狙撃銃が無い。

 よって、上層部はいざとなればハイセを即殺すべく、有馬の斑に付けるという決定を下した。

 

 なお、レザーフェイスを撃退した功績として、旧多二福(ふるたニムラ)が准特等捜査官へ昇進し、大坪薫(おおつぼカオル)椎名利沙(シーナりさ)の2人が一等捜査官へ昇進した。

 

 有馬と鈴屋に対しては、2つ目となる『龍吉賞(りゅうきつしょう)』が贈られ、金一封が支給された。

 宇井にも初めての龍吉賞が贈られ、大層喜んだという。

 

 なお、キジマには何もなかった。有言実行のマツリである。

 

 ノロを討伐した真戸斑と黒磐は、ノロの討伐だけで臨時昇進はさせられないと判断され、昇進は来年4月の定期査定まで持ち越されることとなった。

 

 ハイセが要注意対象となったことで、ハイセはクインクスのメンターを解任。ハイセの保護者をつとめていたアキラも、佐々木ハイセ監督の任を解かれた。

 引き続きアキラがクインクスを指揮するかと思いきや、アキラは『自分はハイセと違い、喰種の生態には詳しくないため、自分では指導することは難しい』と難色を示す。

 ならばクインクスはどうするかとなったとき、手を挙げた者がいた。

 

 ニムラである。ニムラは『佐々木ハイセを除けば自分が一番喰種に詳しいと思うので、クインクスをキジマ斑の配下とし、自分がメンターになる』と名乗り出た。

 だが、15区担当(キジマ斑)はCCGきっての不人気部署。念の為クインクス2名にキジマの配下でも良いか尋ねたところ、意外なことに2人共快諾。だが条件として『ペニーワイズは自分達に討伐させて欲しい』と申し出た。CCGとしてもペニーワイズの討伐は望むところであるため、これを承諾。クインクスはキジマ斑の配下になった。

 これに伴い、クインクスの職員寮(シャトー)は15区で新たに作られることとなる。

 

──────────

 

 2016年10月。半年の新人研修を終え、新たに3人の新人がキジマ斑配下のクインクスに配属された。

 

「最も危険な喰種が潜む15区へようこそ。私は特等捜査官の『キジマ(しき)』インターネットで『汚いベイマックス』を始め、様々な渾名で呼ばれているよ。この顔は一度見たら忘れないだろうけど、顔と名前はゆっくり覚えてくれれば良いとも」

 

 続けて、ニムラ、カオル、シーナと自己紹介をしていく。

 

「この3人が私キジマの直属の配下となる。君達クインクスは旧多(ふるた)くんの配下となるため、カオルさんとシーナはあまり会わないかもしれないが、同じキジマ斑のメンバーとしてよろしくお願いするよ。では、次にクインクス班長から挨拶して貰おうかな」

 

 才子が立ち上がり、皆に頭を下げる。

 

「うちはクインクス班長、一等捜査官の米林才子(よねばやしさいこ)です。去年クインクスは4人で始まったけど、今は半分になった……今年は誰も失わずに一年を超えられたらと思いますので、どうかウチらについてきて下さい!」

 

「同じく一等捜査官の六月透(ムツキとおる)です。俺達クインクスは15区のSSレート喰種であるペニーワイズの討伐を目標としてるので、共に高めあっていけたらと思います」

 

 そして新人達が紹介を始める。始めはアジアンビューティーなレディから。

 

「ニーハオ。『小静麗(シャオジンリー)』です。台湾生まれの白日庭(はくびてい)育ちで、このたび二等捜査官を拝命しました。徒手空拳に自身があります。発勁(はっけい)も少林拳も太極拳もできます。体に纏わせるタイプの甲赫の赫子を頂きましたので、主にタンクの役割を希望します。よろしくお願いします」

 

 続いては長い前髪で前が見えなそうな青年。

 

「『安浦晋三平(アウラしんさんぺい)』です。特等捜査官の安浦清子さんとは親戚になります。アカデミーでの成績はあまり良くありませんでしたが、何故か三等じゃなくて二等捜査官からのスタートになりました……それと、清子さん程じゃないですけど射撃は少しできます……赫子は羽赫なんですけど、射撃タイプじゃなくて、最弱の喰種と名高いシザーマンみたいなブレードタイプの赫子なので、どうしようか困ってます……赫子ガチャは微妙でしたが、クインケで射撃できればと思ってます……」

 

 最後は、ピンク髪のショートヘアな青年。

 

「初めまして『髯丸(ひげまる)トウマ』です! アカデミーでは特待生でしたので、二等捜査官からスタートさせて貰いました! 足腰には自身があります! 赫子はヘビみたいな尾赫を貰いました! 才子班長みたいに近~中距離で戦えるようになりたいです! よろしくお願いしまっす!」

 

 クール、もの静か、元気いっぱいと、三者三様の新人達はクインクスに明るく迎え入れられた。

 

「さて、捜査官にはクインケが支給されるのだが、だいたいは『ツナギ』という刀型のクインケになる。だが君達は危険極まる15区の捜査官であり、そんなモノを支給していたらあっという間にヤツらの腹の中だろう。よって、君達には特等捜査官レベルのクインケを用意した。まずは米林一等から渡していく。順番に並びたまえ」

 

 クインクス達はキジマの前に並んだ。

 

「これは甲赫のハンマー『ローゼングルトン』だ。米林一等はハンマーが慣れているだろうから、ハンマー型のクインケにさせて貰ったよ。レートはSS-。ギミックとしてトゲから薬液を注入する機構が付いている。Rc抑制剤などを入れると効果的だろう。薬液は後入れ式なので、補充を忘れないように」

 

 薔薇のトゲをモチーフとしたハンマーを手に、才子は目を輝かせる。

 

六月(ムツキ)一等は両手で2本のナイフを使っていたね。だが、ナイフでは15区の喰種を相手にするには火力が足りていないので、これからはこの双剣を使ってくれ。これは『ローゼンヴィテス』。重さもリーチも変わる上、これまで使っていた尾赫ではなく甲赫のクインケなので、今までとはちょっと使い勝手が変わってしまうが慣れてほしい。ギミックとして、これも薬液を注入する機構が付いている。薬液を柄の中に溜めておけば、切り付けたときに毒が喰種を蝕むだろう。レートは同じくSS-。まぁ、米林一等のクインケと同じ喰種の素材を使っているから、仕方が無いといえば仕方ないのだがね」

 

 才子とムツキのクインケは、松前の赫胞から作られたクインケだ。松前の赫子はSS-レートという評価になった。

 

(シャオ)二等にはクインケを2つ与える。1つ目は甲赫の『アラタ<soft>』。これは黒磐特等捜査官が使っている『アラタ』を旧多くんの知識を元に新規作成した特別な外装だ。小二等がタンク志望ということは聞いていたので、とにかく死ににくさを追究した。通常のアラタと違い、装備者の生き血を吸う能力は消した代わりに、喰種の返り血を浴びることで強化と補修を行う。ボディスーツの様に薄くしたので、動きがカクカクすることもないだろう。2つ目のクインケは鱗赫の『クアイ改二乙1/4』だ。4つで1つのクインケで、両手足に装着する。殴ったり蹴ったりしたときに、短い刃が飛び出すギミックが付いており、喰種を血だらけにできるだろう。クアイ改二乙で敵喰種をボコボコにし、自前の赫子を纏い、その上からアラタ<soft>を着て、返り血を浴びながら戦闘を行うことで、どんどん強くなる。と思ってこのクインケを渡そう。理論上ではフレディの攻撃を防げる様になっているので、メイン盾として頑張ってくれたまえ。アラタ<soft>のレートはSS-。クアイ改二乙のレートはS+となっている」

 

 これなら殉職したハイル姉様どころか、有馬さんやニムラ兄様を超えられそう! とV(ヴィー)からの刺客であるシャオは感じた。

 

「さぁどんどんいこう。次は安浦(アウラ)二等の武器だ。旧多くんが一等捜査官の頃に使っていた羽赫の『ミソラ』を改造した『ミソラ改二天』だ。射撃が得意な安浦二等が使いやすいように、暗示望遠スコープ、自動装填、超速射、反動軽減のギミックを追加した。トリガーを引き続けている間は弾丸が出続けるので、喰種を蜂の巣にできるだろう。レートはSS-。単発の威力はシーナのアポロンより劣るが、その分連射できると考えてくれたまえ」

 

 アウラはおずおずとクインケを受け取る。清子さんのゼビスに匹敵しそうな程のクインケを前に、アウラは自分が凄まじい部署に配属されたと悟った。

 

「最後は髯丸(ひげまる)二等だ。髯丸二等は尾赫の赫子だから、本当は甲赫のクインケが良かったのだが、米林一等と六月一等の武器が甲赫なので、甲赫の増えすぎはバランスが悪い。よって、属性被りで申し訳ないが、この尾赫の刀型クインケを使って貰う。名前は……」

 

「はい! その刀の名前は『髯鬼丸(ひげおにまる)』にします!」

 

 トウマ、掟破りの名称変更……!

 

「キヒヒ! では後で名称変更の届出を出しておこう。髯鬼丸のレートは尾赫のSS-。これも先輩達のクインケ同様に薬液を仕込むギミックが搭載されている。アカデミーで特待生だった髯丸二等なら、刀が一番使いやすいかと思ってね。柄の部分にRc抑制剤を入れてから切り付ければ、理論上Sレートの鱗赫程度なら一撃で戦闘不能にすることができる。自身の赫子とも合わせれば、髯丸二等は半年前までメンターだった佐々木准特等を圧倒できるだろうね。まさに鱗赫キラーだ」

 

 トウマは元気よくクインケを受け取る。

 

「うぉー! 鱗赫の喰種をバッタバッタ薙ぎ倒して、尾赫がハズレじゃないって事を証明してやるぜー!」

 

 皆新しいクインケに喜んでいる。そんな中、キジマの洗礼が行われようとしていた。

 

「さて、親睦の証として、旧多くんが佐々木准特等と違う教育方針であることを伝えよう。旧多くん、()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ニムラが、食事を持ってきた。皿に盛られているのは、良く焼かれた……レバー? のようなものだった。

 

「えー皆さん。僕がメンターになったので、これからは佐々木准特等のやり方ではなく、僕のやり方で皆さんには強くなって貰います。というわけで、これ食べて下さい。昨日僕らキジマ斑が狩ったばかりの喰種の赫胞を焼き肉のタレで焼いたモノです。美味しそうでしょう?」

 

 喰種の赫胞……そう言われると途端に不味そうに見える。

 

「皆さんが知ってるかどうか分かりませんが、喰種は喰種の赫胞を食べて強くなります。現に15区の喰種達は人間よりも喰種の方をよく食べているようです。詳しい原理は今度座学で教えますので、今はまぁ、食べると強くなるとだけ覚えてくれれば良いです」

 

 喰種の捕食による強化。喰種を必要以上に痛めつけなかったハイセのやり方とは違う。これがニムラのやり方だ。

 

 クインクス達は恐る恐る赫胞の炒め物を食べる……案外味は悪くなかった。

 

「ふむ。CCG製(こっち)のクインクスも共喰いによる痛みは無し……と。では今後も食卓に並べますので、残さず食べてくださいね?」

 

 こうして、強力な武器と強力な上司を持ったクインクス達は、あちこちに駆り出され、アオギリのメンバーを捕まえ、時に殺していく。

 駆除したうちの何割かはその日の食卓に並び、そしてクインクス達はメキメキと力を付けていった。




 喰 種 を 食 え 
勿論ニムラは座学でRc細胞のコントロールをレクチャーしています。そうしないと本当の喰種になっちゃうからね。

味が案外悪くなかったのは、ニムラが小林直伝の調理術を学んでいるからです。
流石汚いジャムおじさんこと小林だぜ!
なお、焼き肉のタレをかけてしまっているので、ニムラ達にとってはクソ不味い。

原作との相違点
・ニムラが准特等捜査官になる。
・瓜江が居ないため、才子が班長。班長の責務ゆえ、才子が原作よりもしっかりするようになった。
・クインクスに打倒ペニーワイズという明確な目標ができる。
・シャオが一等捜査官ではなく二等捜査官からスタート。
・トウマが三等捜査官ではなく二等捜査官からスタート。
・瓜江がいないため、ニムラがメンター。
・ニムラがハイセの部下にならないため、ハイセはソロ。野放しで大丈夫か?
・クインクスがマツリ配下ではなくキジマ配下。
・クインクスの武器変更。そのうえ共食いによりどんどん強くなる。
・ラボとべったりのニムラが上司なので、お薬使い放題。武器にもガンガン使おう!


●作成裏話
原作ではクインクス所属時点でシャオが一等、安浦が二等、トウマが三等となっていましたが、どこを読んでもその理由が書いてませんでした。
アカデミーで劣等生だった安浦が二等で、特待生だったトウマが三等なのは、今までの『優秀者は二等スタート』という設定とズレますし、同じ白日庭出身者の有馬でさえ三等から始まってるのに、シャオだけ特別待遇過ぎて不自然では?ということで、みんな二等スタートにしました。

……まぁ、コネ。と片付ける事もできますが、そうすると同期の中でシャオと安浦にヘイトが集まりそうですよね(ノ)'瓜`(ヾ)
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