花屋喰種   作:みぞれアイス

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今回はリョナ回です。
それと、原作に出てくるアイテムの捏造設定があります。



第18話 Barbecue&Chili

 雑居ビルの中は物音一つせず、人の気配はどこにもない。血のニオイもしないため、最初からここには誰もいなかったかのように思える。

 しかし、カオリの背中から生える木のような赫子が、それを否定する。幾つもの実が成るソレは、つい先程まで何十人もの人間がいた事を示していた。

 

「ほほ、ほほほほ! 肉が……肉がこんなに沢山ッ! なんと美しい光景だ!! このペニーワイズ、レザーフェイス様の忠実な運転手として、この身を捧げましょう!!」

 小林は素早くカオリの元へ跪いた。そんな小林の姿に、リオは溜め息を吐いた。

 

「様は要らないかなー。レザーフェイスさんでいいよー? でも、仲間になってくれるなら嬉しいな! 私はバイクの免許しかないからねー。よろしくね、()()()()()()

「こちらこそ宜しくお願いいたしますよ、レザーフェイスさん」

「じゃあ、肉の仕分けは終わってるから、フレディはクーラーボックスを持ってきて。ペニーワイズはこの奥から血や肉が保存できそうなモノが色々あったから、それを持ってきて」

 

 

 リオ達が持ってきた入れ物に、カオリが肉や血、そしてゴミを入れていく。

 

「よし、これで食料の確保は終わったね! おっとペニーワイズ、ご飯はまだ後だよー? 先にお金を稼がなきゃね。二人はカバンをもって着いてきて」

 

 カオリの指示に従い、現金、宝石、銃器、薬、書類。ありとあらゆる金目のモノを詰め込んでいく。いくつものカバンがパンパンになり、リオ達の腕に重くぶら下がる。

 

「二人ともお疲れ様ー。それじゃあ、これをぜーんぶタクシーまで運ぼう。ご飯は私の家で食べるから、フレディもペニーワイズも楽しみにしててね!」

 

 

 人間では到底持ち運べない量だが、喰種の身体能力ならば容易に運ぶことができる。瞬く間にタクシーの中は荷物で一杯になった。

 

「後部座席はもう乗れないから、助手席に私とフレディの二人で乗ろうね。それじゃ、ペニーワイズはひとまず西荻窪までお願いねー」

 

 

 小林は西荻窪までタクシーを走らせ、そこからはカオリの道案内に従い、カオリの家までやってきた。

 

「よし、さっさと家の中に運ぼう。ここらへんはあんまり警察来ないけど、万が一があるからねー」

 

 カオリ達は素早く荷物を玄関へ入れていく。夜も遅いためか、警察や近隣住民に見つかることなく、荷物を全て入れ終えた。

 

「よーっし! フレディは荷物を地下に運んでおいて! ペニーワイズは私と一緒に14区へ来て。私のバイクを回収しないと」

 

 

──────────

 

 カオリのスクーターを回収し終え、3人は新鮮な肉に舌鼓を打っていた。

 

「花村さんの赫子で一切の不純物を取り除き、血抜きも完璧な新鮮肉! これはまさに至高の逸品!! 生で食べてもこの美味さ!! ここに私の作ったコロッケパンをかじると……おおおおッ!! 湧くぞ!! 新たなレシピが頭を駆け巡るッ! 元気100倍だァッ!!」

 

「小林さん、大げさだなー。『しゅーちゃん』みたいだよー?」

「ふむ、しゅーちゃんなる方は存じませんが、私と気が合うかもしれませんねぇ……ところでフレディ……いえ、リオちゃんだったね? あまり元気が無いようだけど、どうしたんだい?」

 リオの顔は元気がない。新鮮な肉や、小林の作る料理は確かに美味しいが、この後の事を考え、リオは気が滅入ってしまっていた。

 

「いえ……この後は共食いだと考えると……気分が……」

「ふむ? 折角の強くなる機会。私は今か今かと待ち望んでいるところですとも!」

「はぁ……一度体験した後も同じ事を言えると良いですね……」

 共食いを期待する小林に、リオはうんざりとしていた。

 

「小林は意欲に溢れる喰種だねー! それじゃ、さっさと始めよっか。このクーラーボックスを持って外に行くよー!」

「おや? ここで食べないんですか?」

「うん」

 赫包(かくほう)の入ったクーラーボックス、人肉の入ったクーラーボックス、喰種肉の入ったクーラーボックス、ゴミの入ったクーラーボックスの4つを持ち、カオリ達は近所の水路へ向かう。

 

 水路の奥、さらにその地下へ進み、カオリが『ゴミ捨て場』と呼ぶ場所へたどり着いた。

 

「それじゃ、24区に入るから、このお面をつけておいてねー」

 

 カオリは二人にマスクを渡す。アオギリの樹の構成員達がつけていた髑髏のマスクだった。

 

「それで、私はこれに着替えます」

 カオリは服の上から黒いツナギを着て、ハロウィンマスクをつけた。

 

「今からはまた喰種の時間だよ。フレディはもう知ってると思うけど、この格好の時は『ブギーマン』か『マイケル・マイヤーズ』って呼んでね? 本名で呼ぶのはもちろん、レザーフェイスやソーヤーって呼んでもダメだよー? それじゃ、24区の入り口を開けるから、ちょっと下がってね」

 

 二人を後ろに下がらせると、カオリは甲赫を1本展開し、壁を切り刻み始めた。石材でできているかと思われた壁だが、その断面はまるで肉のようであり、うぞうぞと蠢いている。

 

「早くしないと再生するから、急いで進もうねー」

 

 壁を切り裂きながら、カオリは壁の奥へと進んでいく。しばらく進むと壁はなくなり、殺風景な廃墟群が姿を現した。

 

「はい、ここが24区! 喰種達だけが住む、喰種達のための街だよー! そして、ゴミはこうしますっ!」

 

 クーラーボックスから『赤い玉』を取り出すと、先程通ってきたトンネルに向け、次々と投げ込んでいく。

 

「この24区を覆っている『あーるしー細胞壁』は、ゴミを消化してくれるんだよー。この壁は普通の喰種じゃ壊せない程堅いから証拠隠滅に最適なんだよ!」

「あれ……壊せない壁を……今通って来ましたよね……?」

「なるほど、死体の消える15区……そのカラクリはこういう事だったのですねぇ! それにしても……これが噂に聞く24区ですか……喰種がひしめき合っていると聞いていましたが、誰もいませんねぇ……」

 

 小林は噂と違う24区の姿に、疑問を抱いていた。

 

「以前はここにも喰種達は居たよー? 私が全部食べちゃったけどねー。ま、それはどうでもいいよね? 近くに他の喰種や捜査官のニオイは無し。それじゃフレディ、ペニーワイズ、()()()()()()()()。あ、その髑髏仮面はつけてて。それ、付けたままでも食べれるようになってるみたいだし」

 

 突然の脱衣命令に、小林は困惑するが、リオは素直に服を脱ぎ始めた。

「はい? ……脱ぐのですか?」

「うん。服、多分破けちゃうからねー。ペニーワイズは全裸で帰りたいの?」

「いえ……ですがその……恥じらいと言うモノがありまして……」

 

 恥ずかしいのか、小林は服を脱ごうとしない。

 

「ペニーワイズ、さっさと服を脱いでくれるかなー? それとも……」

 カオリは甲赫を槍の様に尖らせ、小林に突きつける。

 

「今ここで捕食してあげようか?」

 トーンの下がったカオリの声に、小林の体温は一気に下がる。汗が吹き出し、足が震えだす。

 

「いえッ!! 滅相もありません!! すぐに脱ぎます!!」

 

 恐怖に駆られた小林は、次々に服を脱ぎ捨てていく。

 

「脱ぎましたァ!」

「やればできるペニーワイズは素晴らしいですよー。フレディはもっと良い子だよー!」

 

 カオリはリオの頭を撫でる。小林はリオの裸を見ないようにしていたが、身の内に芽生えた助平心に負け、つい隣を見てしまった。

 

「んん!? フレディちゃんはフレディくんだったのですか!?」

「こらペニーワイズ、そういうこと言って良いのは私だけだよー! まぁいいや。とりあえずフレディはそこらへんに座ってて。まずはペニーワイズから共食いを始めて行こっか。それじゃ、ペニーワイズはこれ飲んで」

 

 カオリは黒い粉末を小林に手渡した。

 

「これは……?」

「私の尾赫をすり潰したモノだよ。ペニーワイズはあんまり共食い適性が無さそうだから、多分これ飲んでおかないと死ぬからねー?」

 死ぬという言葉に顔をひきつらせつつ、小林は粉末を飲み干した。

「ちゃんと飲めたね。それじゃ、始めるよっ!!」

 

 カオリは赫包(かくほう)を一つ手に取り、小林の口へねじ込んだ。

 

「ングッ……!!」

「ほら、さっさと飲み込んでねー」

 

 小林は赫包を飲み込むと、全身に痛みが走り出した。

 

「グガぁッ……な、なんだこの痛みは……!! ああああ熱いッ! 腰が焼けるゥッ!!」

 

 小林の腰付近から鱗赫が飛び出し、のたうち回るかの如く暴れ出した。

 

「ペニーワイズは鱗赫(りんかく)だったんだねー。銀色の蛇腹剣……『ドクター』と感じは似てるけど、ペニーワイズのも違った良さがあるね! 『ドクター』よりも頑丈さがあって、攻撃力はドクターよりも低めって感じかなー? でも、これから強くしていくからねっ! さー、どんどんいくよー!」

「ちょ、ちょっと待ってください!!」

「やめないよーっ」

 

 カオリは尾赫を展開し、小林を拘束する。身動きの取れない小林の胃へと、赫包が叩き込まれた。

 

「イギャァァァアアア!! 痛いィッ! やめてくれェェッ!!」

 拘束から逃れようと、カオリへ小林の鱗赫が飛ぶ。

 

「はい、そんな攻撃は効かないよー? そんな悪い子にはもういっこドーン!」

 小林の胃に3つ目の赫包を叩き込む。

 

「アバギぎっ……! もウ……殺して……くれ……」

 

 Rc細胞の異常活性により、小林の全身から血が吹き出す。叫ぶための喉がやられたのか、小林は掠れるような声しか上げられなかった。

 

「うーん、やっぱりペニーワイズは私の粉末有りでもこれが限界かー。それじゃ、最後にもう一回粉末飲もうねー? このままだと死ぬだろうし」

 

 小林の暴れ狂う鱗赫を拘束し、カオリは粉末を小林に与えた。

 

「お待たせフレディ! 今度はフレディの番だよ! 今回は前回よりも共食いさせるから、フレディもしっかり粉末飲もうねー」

「えっと……ペニーワイズさんは放っておいて良いんですか?」

 

 粉末を飲みながら、リオは小林へ視線を移した。

 小林は血飛沫をあげながら、狂った蛇のように地面を跳ねており、その様は非常に不気味である。

 

「うん、あのままでいいよ? しばらくしたら収まるだろうし、ペニーワイズは弱くても鱗赫なら、再生も早いでしょ? さぁフレディ、さっそく拘束するからねー」

 

 カオリの甲赫が、リオをぐるぐると縛り上げていく。

 

「あ……あの……やっぱりやめませんか? あの痛みは……本当につらくて……」

「ふふっ、だーめっ!」

「おがっ……!」

 

 カオリはリオの口に尾赫を2本ねじ込み、胃への直通路を開ける。そこに放り込まれた赫包は、妨げるものなく胃へと落ちていった。

 

 

 途端、全身が灼けるような痛みがリオを襲う。

 小林は鱗赫しか持たないため、痛みを感じる箇所は腰のあたりだけであるが、リオは4種の赫子を持つ。ゆえに、その痛みは小林の4倍……否、痛みが痛みの連鎖を伴い、痛みは加速度的に上昇する……!

 

「ぁぁぁぁああああアアアアアアッ!!!」

 

 強制的に口を開かされているリオは、叫びすらまともにあげる事ができない。顔を振って痛みを紛らわせようとしても、全身に巻きついた甲赫は、リオをピクリとも動かすことは無い。

 

「もういっかーい」

「ぇえああぁァァァアアアア!!」

 

 嫌と口にするも、それは無意味な叫びへと変わる。無慈悲にも新たな痛みの種が、リオの口へと落ちていく……。

 

 

「あーー……あーー……」

 激痛は脳髄を灼き、意識は混濁へと変わる。

 

「ふふ……私の粉末はねー。共食いによる『あーるしー細胞』の異常活性で、体が壊れにくくするだけなんだよねー。だから、痛みが減ることは無いし、それどころか、壊れにくくなる分痛みは増すかもねー? どう、まだ2個目なのに、もう頭はわけわかんないよね? でも、体はまだまだ大丈夫。どんどんいくよー!」

 

 一つ、また一つと、赫包が入っていく。

 

「へ……あ……は……」

 

 赤と黄色の液体が、リオの足元へと広がっていく。

 

「ふふ……ペニーワイズにはごめんねだけど、フレディの痛みに悶える顔は……とーっても! 可愛いよっ!! あはははは!!」

 

 リオの眼前の悪魔が笑う。

 

「あ……ははは……ははははははは!!」

 

 やがてその痛みは、意識を埋め尽くした。

 それでもなお、笑い声は止まなかった。

 

 

 そして、その口には……次々と激痛の種が放り込まれていた。

 

──────────

 

 

「う……あ……」

 冷たい床の上。15区の『ゴミ捨て場』で、リオは目を覚ました。

 

「おはようリオちゃん。」

「あれ……カオリさん……? 小林さんは……?」

 小林の姿はどこにもなかった。もしや共食いの負荷に耐えきれずに死んでしまったのかと、リオは不安になった。

 

「もう起きて帰ったよ? 小林はそんなに共食いしてないからねー」

 小林は死んでいなかったと分かり、リオは安堵の息を吐く。

 

「リオちゃん記憶無いだろうけど、暴走したときに半赫者までなったんだよ? 私は半赫者まで何年もかかったのに、リオちゃんは凄いねー! 才能の塊だね! でも、流石にこれからは安静だよ? そうだね……1ヶ月は大人しくしてて貰うからねー」

「わかり……ました……全身がズキズキします……カオリさん……おぶって貰えませんか?」

「いいよー。家に帰ったら、1ヶ月かけて調整してあげるからねー。1ヶ月後の自分を楽しみにしててね。SSレート相手でも渡り合えるくらいにしてあげるから!」

 

 1ヶ月に及ぶ調整。リオの背筋に、ゾクりとした電流が走った。




 監 禁 調 教 開 始 
しかしながら、これから一ヶ月間のリオくんはまるっとカットですよ?
R-15じゃ載せらんないですし。

※小林さんの赫子を尾赫から鱗赫へ変更致しました。指摘して下さった方ありがとうございます!


☆モンハン風アイテム紹介
戦喰種の靭尾 13000z
『赫者となった戦喰種の尾赫。この素材を使った薬は、摂取した生物を作り変えるという』

というわけで、原作にあった黒い粉末の捏造設定です。
共食いのしすぎで崩壊しかかったグルメさんの崩壊を止められるほどの薬なら、こんな感じの素材から作られているんじゃないかなぁと。

戦喰種じゃなくて花喰種じゃねぇの?って思っている方が、もしかしたらいるかもしれませんが、一応理由はあるんです。
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