効能:Rc細胞増強・適性によっては赫者化
副作用:精神汚染
というわけで、精神汚染リオちゃん回です。
被害妄想や幻聴などの症状が発生します。
別の日の夜、リオは単身『Helter Skelter』に向かっていた。ルチがジェイルでなかったことにより、一切の情報が無くなったからである。
「こんばんはー」
「よっ、いらっしゃい。今日もコーヒーだけで良いの?」
「はい、お願いします」
ふとその時、リオ以外にも来客が居るのに気が付いた。
「アラァ……随分ちっちゃなお客さんじゃないの、イトリ?」
そこには見るからに分かる『オカマ』が居た。
「はぁ……全員女の服着てんのに、
ニコはイトリが言った『女はあたしだけ』、この言葉を聞き逃さなかった。
「イトリ……この子、男の子なの!?」
「……やっぱり食いついたか……そうよ。ていうか教えたわよね? レザーフェイスさんが少年を調教してるって」
ニコもイトリと同じ組織に属しているため、当然イトリから情報は共有されている。
「確かに聞いたけどねぇ……まさかここまで女の子になってるとは思ってなかったわぁ……ワタシも数多くの男を
「言っとくけど、その子に手出してレザーフェイスさんに殺されても助けないわよ? ただでさえアンタ、この前殺される一歩手前だったんだから……そんでリオっち、今日は何の情報をお求めで?」
リオはイトリにキジマから来たメールを見せた。
「以前教えてもらったルチは、ジェイルじゃなかったみたいで……」
「おっとストップ。つまり他の情報が欲しいのよね? だけどタダじゃ教えられないわ」
リオの発言を遮り、イトリは情報の提供を否定した。
「あたしの情報はタダで渡してるワケじゃ無いのよ? 前回はレザーフェイスさんが大金払ってくれたから教えただけ。リオっちは何が払える? 勿論お金じゃなくてもいいわ。むしろお金よりは『情報』と交換したいわね。てか基本は情報の交換よ? お金で情報買うのってあの人位だから。んで、リオっちは何か情報ある? レザーフェイスさんやキミに関する事
リオは渡せる情報を考えている……。
「えっと……共食いはRc細胞が強くなるけど、死ぬほど痛い……とか……」
「リオっち……あたしもニコもそんなの知ってるわよ。そんなんじゃ情報なんて渡せないっての……」
渡せる情報が見つからず、リオが肩を落とした。そんな中、ニコがリオのもとへ歩いてくる。
「じゃ、ワタシが肩代わりしてあげようかしら?」
ニコは、リオの情報代を肩代わりすると言い出した。
「良いんですか?」
「良いわよぉ……そ・の・代・わ・り……」
「その代わり……?」
「リオきゅんには後で体で払ってもらうわね」
リオはその意図を理解し、頬を染める。一方、イトリは磨いていたグラスを握り潰した。
「あの……えっと……その……」
「やめろォ!」
リオが返事をするより先に、イトリがニコをひっぱたいた。
「アァん! 何するのよイトリ?」
「何するのはこっちのセリフよ!! 勘弁してよね……リオっちの尻からアンタのニオイがしてたら、西から『オバQ』よりヤバいオバケが来るかもしんないでしょうが!!」
「アラァ……イトリ……あなた意外とムッツリね? 別にワタシはリオきゅんを犯すワケじゃないわよ? ただ、キスをして貰うだけよ? もちろんキスだけじゃ足りないから、ちょっと『お使い』を頼むけど……ね?」
「んなっ……! まぁ、それなら良いんだけど……アンタがヤモリの捕食を邪魔した次の日、開店前のウチへレザーフェイスさんが乗り込んできた時は、マジで終わるかと思ったんだからね……」
ニコのあんまりな言い分に、イトリの眉間に皺が寄る。だが、ひとまずニコがリオを犯すつもりが無いことが分かり、イトリは安堵の溜息を吐いた。
「それであの……お使いと言うのは……?」
「ウフフ、簡単なお使いよォ? とある場所にある、とある人物の、とあるモノを取ってきて欲しいの」
リオはその言葉に、顔を歪めた。
「泥棒……もしくは強奪ですか……それとも……誰かを殺して首なり赫包なりを持ってくるとか……ですか?」
リオの声色は少しずつ下がっていき、闇の混ざった瞳が、じっとニコを見据える。
「やだ怖いわ……そんな顔しないで? 可愛い顔が台無しよォ? 別に盗んでくるワケじゃないし、誰かを殺すワケでもないわ。ただ忘れ物を拾いに行って貰うだけ。アタシの大切な人の遺品を探して、それを拾ってきて貰うだけ……」
暗い仕事では無いと分かったが、何故かリオの心は晴れない。
「……遺品ですか?」
「そう。去年の12月、11区の廃団地で喰種集団『アオギリの樹』の掃討戦があったのは知ってる? 知ってるわよね? アナタはそのお陰でコクリアから逃げれたんだものね」
「……いいえ、知らなかったです」
リオは当時、キジマから逃げるのに必死であったため、そのことを知らなかった。
「あら、そうだったの? ともかく、彼らのアジトは
カオリの名前が出たことで、リオは何か嫌な予感がした……。
「そう……だったんですか……」
「『ヤモリ』っていう凄く強くて、オトコらしい喰種だったんだけどね……」
その時、リオはカオリが以前に言った言葉を思い出した。
『ヤクモちゃんはリオちゃんがコクリアから逃げた日に死んだ喰種だねー。ヤモリとかジェイソンとか通り名があったよー』
(……なんで姉さんは、その日に死んだことを知ってる……?)
続いて、イトリの言葉を思い出す。
『アンタがヤモリの捕食を邪魔した次の日、開店前のウチへレザーフェイスさんが乗り込んできた時は、マジで終わるかと思ったんだからね……』
(……姉さんはヤモリって人を捕食しようとして、ニコさんに邪魔された……アオギリを襲撃して喰い殺した……?)
リオの背に、冷たい汗が流れるのを感じた。
(……じゃあニコさんが僕に依頼するのって……!?)
目の前にいるニコの声が、二重になって聞こえてくる。
「運命って残酷よね……だからせめて、思い出の品は回収しておきたいの……」
『運が無かったわね……姉の代わりに、アンタの命を回収しておきたいの……』
リオの意識に霧がかかりだした。視界は紅く染まり、全ての存在が敵に見え始める……。
「……姉さんがヤモリさんを殺したから……僕を代わりに殺すんですか……?」
リオの様子がおかしい事に、ニコたちは気付いた。
「リオっち……?」
『ジェイル……?』
ニコだけでなく、イトリの声も二重に聞こえ始める。
「違うッ! 僕はジェイルじゃない!!」
「ちょっとォ……大声出さないでよ。びっくりするじゃない」
『ちょっとォ……大声出さないでよ。殺したくなるじゃない』
「あぁ……あ……ぁぁあああああ!! やっぱりだ! ヤモリさんを殺したから……殺したのは……姉さん……あれ、僕? 姉さん? キジマ? 兄さん? 姉さん?姉さん姉さん姉さん僕僕僕僕僕??」
リオの両目が赫眼へと代わり、ぐるぐると無秩序に動き出す。
「ニコ、なんか様子がおかしい! これヤバいかもしんない」
「分かってるわよォ! ちょっとなんか分かんないけど頭のネジが飛んじゃってるみたいね。もう! 別にリオきゅんに仕返しとかじゃなくて、純粋に取ってきて欲しかっただけなのに!!」
もはやニコ達の声は、リオに届いていなかった。
「あはは……あはははは……」
リオの腰から、紫色の鱗赫が伸びる。
「姉さん……兄さん……小林さん……1000引く7は? 1000引く7は?1000引く7引く7引く7引くななぁァァアアア!!!」
肩からは橙色の羽赫が、肩甲骨からは水色の甲赫が、尾骶骨からは灰色の尾赫が、次々と伸びてくる。
そして、それらの赫子の上から『特殊な赫子』が、不完全ながらも混ざり合っていく。
「『四種持ちの半赫者』!? あたしみたいにキチッと線引きしないからこうなんのよニコォ! これだから15区関連に首突っ込みすぎるのは危険だっつーの! とりあえずリオっちなら血酒飲ませりゃ潰れるから、血酒飲ませるわよっ!」
イトリは血酒のボトルを取り、戦う構えに入る
「ウフフ……刺激的で楽しくなってきたわね……」
「言っとくけど、これからリオっちが壊した店の備品は全部アンタに請求すっからね?」
「……オーケイ、イトリ。オカマの本気を見せるわ」
イトリの店には高価な内装も多く、ニコはいくら請求されるのか気が気でなかった。
「なら先手は貰うわね! ニコは追撃宜しく! 行け、ファンネルッ!」
イトリは肩から浮遊する赫子を展開し、リオの周囲へ飛ばす。その赫子から更に小型の結晶弾が飛び出し、四方八方からリオを撃ち抜いていく。イトリの結晶弾はあまりにも速く、次々とリオの体に突き刺さっていった。
「アハハハァ! 痛いよぉ、痛くて暗いよ姉さん……おやすみなさい兄さん♪」
リオの両目にイトリの赫子が刺さったことにより、リオの目が潰れる。視界を奪われたリオは、デタラメに赫子を振り回しはじめた。
「羽赫は撃ち落とすから、他を抑えてニコ! 店が壊される!」
イトリは次々に結晶弾を飛ばし、リオの炸裂する水晶を撃ち落としていく。
一方、ニコは赫者化してリオにしがみついた。しかし、接近するということは、ニコはリオの赫子に体を刻まれていくことになる。
「ごぶっ……ワタシこの前レザーフェイスちゃんに抉られてんのよ……もっとオカマを労ってよね……」
ニコは全身を斬られ、刺され、叩き潰されようとも、リオから離れなかった。
「あはぁ……♪ 動けない……姉さん……また共食いするのぉ……?」
リオの動きが止まった。その隙をイトリは見逃さず、一気にリオへ飛びかかった。
「そうよ! あたしの酒を飲めぇっ!」
イトリはボトルをリオの口へ突っ込んだ。
「んぐ……んぐ……っぷはぁ! 姉さん、今日の喰種はおいしい……おい……しい……よ……」
リオの顔はみるみる赤くなり、そのまま意識を失った。
「はぁーっ……はぁー……てか何よコレ。リオっちってヤバい系なの? レザーフェイスさんが共食いさせてるっぽいし、それのせい? ……おーいニコー? 死んでるー?」
「ごぶっ……い……生きてるわヨォ……でも、割と死にそう……肉が欲しいわァ……」
満身創痍の二人は、よろよろと冷蔵庫へ歩き、肉を貪った。
──────────
リオが目覚めると、そこはバーにあるソファーの上だった。
「おーすリオっち。記憶はどこまである?」
バーのカウンターで突っ伏していたイトリが、気怠げにリオへ質問した。
「? えーっと……確かニコさんにお使いを頼まれて……それから……? あれ? それ以上は思い出せないです……それと、頭が痛いです……」
「おっけおっけ。リオっちが暴走する直前までって事ね。リオっちってば何か勘違いしたっぽくて、錯乱しだしたのよ? まぁ、これはニコが悪いんだけどね。んで、あたしは暴れるリオっちに酒飲ませて酔い潰した。そんで今リオっちが起きた、頭痛いのは二日酔い。分かった?」
「えっと……ご迷惑をお掛けしました?」
「気にしなくて良いよん。あの馬鹿には良い薬だから。んで、アイツからリオっちへの依頼は
イトリは、リオを暴走させない様に言葉を紡いでいく。
「なるほど、姉さんの戦利品ですか」
「そゆこと。んで、それをニコが買い取りたいって事なのよ。依頼、受けてくれる?」
リオはカネキが『アオギリの樹』の情報を求めていた事を思い出した。
(アオギリの元アジトなら、何か情報が残ってるかな……?)
「分かりました。受けます」
「よっ、それでこそリオっち! んじゃ、これがプライヤーの写真で、これが廃団地の地図。リオっちの健闘を祈ってるよ!」
イトリはリオを送り出すと、再びカウンターに突っ伏した。
「……はぁー、説明一つで冷や冷やしたぁ……次リオっちが暴走したらヤバかったわ……今日はもう閉店しよ……もうここで寝るか」
リオが去った後、イトリはバーを『CLOSED』にし、ソファーの上で眠りについた。
リ オ ち ゃ ん 半 赫 者 化
でもリオちゃんの半赫者化はしばらく使えません。
(゜∀。)語尾に記号。段々リオちゃんらしくなってきましたね!
実は18話でも半赫者化してるのですが、後々に描写するためカットしてます。
Q.イトリからファンネル?
A.東京喰種:reの168話にて、イトリさんの使う赫子がファンネルそのもの。6月中はヤンジャン公式サイトで試し読みが公開中。
☆原作JAILと違う点
・体で払って:原作のリオくんは「体で払う=歩きまわって情報を探してくる」という認識であり、ニコが「違う、そうじゃない」と否定する。
・話の流れ:原作はそもそもリオくんが『ヤモリ』という喰種を知らないため、ふーん、じゃ探しに行っていきます。って感じに次の話へ進む。そもそもイトリ達と戦うことはない。
次回、3話にセリフだけ出てきたあの人。