花屋喰種   作:みぞれアイス

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第41話 作戦失敗 《Side.ロウ》

「また行き止まり……嘉納はどこにいますの……? こんな事ならマダムAを連れてくるべきでしたわ……」

 

 ロウの脚力は並の喰種を容易く凌駕するため、嘉納の捕獲は容易に思えた。しかし、迷路の様に入り組んだこの場所において、ロウはまさしく迷子になっていた。

 

「仕方ありませんわね。2つ前の部屋を右にいってみま……あら、ついてきましたの?」

「左様」

 

 引き返そうとしたとき、ロウの元へ(シャチ)が走ってきた。

 

「ランサー、貴様も武の極致に立つ者なら……(ワシ)死合(しあ)って貰おうッ!!」

 

 鯱は拳を固め、ロウと対峙する。

 

「……アタクシの槍術、独学なんですが……まぁ良いですわ。アナタをここで仕留めておけば、探索が楽になりますもの」

 

 ロウはアタッシュケースを床に置きながら甲赫を展開し、赫子の槍を構えた。

 

「倒される準備はよろしくて?」

「……超・笑止ッ!」

 

 先に動いたのは鯱だ。本来なら甲赫よりもリーチが長い尾赫は、甲赫の様子を見るのがセオリーだが、鯱の攻撃手段は近接格闘及び()()()()()()()()()()()

 一方ロウの赫子は、カオリに大きく影響されているため、赫子のリーチをある程度操作できる。それは、鯱の赫子よりも遠くまで届くことを意味する。

 

 ゆえに、鯱はロウよりも狭い間合いで戦わざるを得ないため、先手を打つしかなかった。

 

()ッ!!」

 瞬く間にロウの懐へもぐり込み、鯱は自身の尾赫を叩きつけたが……。

 

「遅くてよ?」

 ロウは槍を横薙ぎに払うことで尾赫を弾き、体勢を崩した鯱の側頭部へハイキックを見舞った。

 

()ゥッ……!!」

 

 轟音と共に壁が抉れ、Rc細胞壁が顔を覗かせる。

 

「威力に全振りした攻撃をするなら、相手との力量差が要りますわよ? 雑魚ばかり相手にしていたのではなくて? ……とはいえ、それはアタクシも同じですけど」

 

 抉れた壁が更に吹き飛び、鯱がその穴から飛び出す。

 並の喰種では即死するレベルの攻撃だが、ロウや鯱クラスの喰種にとっては、軽い挨拶のようなモノだ。

 

「……然り。昨今雑魚ばかりとの戦いで、感覚が鈍っておったわ」

「あの包帯娘、悔しいですが速度はアタクシ並にあるようですし、訓練相手には良いのではなくて?」

 

 高速飛翔する赫者の怪物。それは鍛練に最適だとロウは考えるが、鯱は静かに首を振る。

 

「否、エトでは練武にならぬ。武技とは怪物を相手に鍛えるものに(あら)ず」

「そうでもなくてよ? アタクシの赫子は姉様を超えるために鍛えたモノ。あの包帯娘の更に上を行く……至高と狂気の怪物との訓練で得たモノですわ。ゆえに……」

 

 ロウはアタッシュケースを開き、『蛇腹剣(ドクター)』を左手に構えた。

 

「ここからはただの『ランサー』ではなく、『凄いランサー』としての戦いをお見せしましょう」

 

 ロウは右手の槍を振るう。しかし、それは明らかに鯱へリーチの足りていない攻撃だが……。

 

「……!? (フン)ッ!!」

 

 風の流れを速やかに捉えた鯱は、全力で地面に伏せる。鯱が地面に伏せた刹那、鯱の真上に鋭い音が響いた。

 

「……フフフ!」

 

 だが、鯱の真上を通過したロウの槍は、突如空中で軌道を変え、鯱の腰へと飛来する。

 腰、それ即ち鯱の赫包がある場所。致命の一撃となる槍は……。

 

()ァッ!!」

 

 僅かに体をズラした鯱の腹部へと突き刺さった。

 

「ここからは儂の番だ……!」

「フフ、お腹に槍が突き刺さったままでは恰好が……あ、あら?」

 

 鯱に突き刺さった槍を引き抜こうとしたものの、槍が動かない。

 

「!? まさかッ」

(オウ)。人の世で武練を積み上げ、喰種の肉体で昇華した儂の武……腹筋の力で貴様の槍を掴み取っただけだ」

「……なら一度解除して刺し直すだけのことッ!!」

 

 ロウはドクターを振るいながら、赫子の槍を解除するが……。

 

─────その隙を見逃す鯱ではない。

 

 ドクターの剣戟をすり抜けてロウに肉薄し、大きく右腕を後ろへ振り……。

 

()ァッッ!!」

 

 ロウの鳩尾(みぞおち)へと、掌底(ショウテイ)を叩き込んだ。

 

 掌底突きとは、相手の内臓へと攻撃を与える技である。鉄より硬い外皮を持つ喰種であるが、粘膜や内臓は人間の耐久力とほぼ変わらない。

 

 つまり鯱の掌底突きとは、対喰種戦において赫子以上の効果を発揮する……!!

 

「お……ぶッ!!」

 

 破壊力に特化したSSレート喰種『鯱』による内臓への重い一撃。それはロウの体を内側から粉砕した。

 

「ご……ばっ……あ゛……あ゛……姉様から頂いたヘルメットの中が……血塗れですわ……」

 

 フルフェイスヘルメットの内側から血を滴らせながらも、ロウは倒れる事無く立っていた。しかし、それは今にも倒れそうにも見える。

 

「嗚呼……姉様以外でこんなに血を流してしまうなんて……アタクシと……したことが……でも……」

 

 

 

()()()()()()()()?」

 

 

 

 ロウはヘルメットを外し、内側に付いた血を拭きはじめた。

 

 

「……なんだと?」

「あら? 共食いはあまりなさらないの? 潤沢なRc細胞をもってすれば、即時再生など容易くてよ」

 

 血を拭き取ったロウは、再びヘルメットを被る。

 

「さて、この戦い方はまだ見せたばかりですし、続きと行きたい所ですが……ここに来客が向かってきていますの。このニオイ……最高級のご馳走のニオイ……歯茎のボウヤですわ!!」

 

 ロウにとって優先されるのは、戦いより食事である。至高の美食が来た今、戦いの勝敗などどうでもよかった。

 

「今回は油断していたアタクシの負けにして良いので、退いて下さる?」

「待たれよ。隻眼の(ワッパ)は儂が相手をするゆえ、貴様は隠れて見ていろ。勝ったのは儂なのだろう?」

「……仕方ありませんわね。今回だけですわよ?」

 

 ロウは渋々と部屋の隅にある死角へと身を隠し、鯱は天井に張り付きながらカネキが来るのを待つことにした。

 

──────────

 

「フン……また会ったな、隻眼の(わっぱ)ァ!!」

「鯱! やっぱりアオギリも……!!」

 

 ロウは約束通り、邪魔にならない位置から鯱とカネキの戦闘を眺めていたが……。

 

(……退屈ねぇ。鯱は格闘家のポリシーがあるから近接格闘を使うのは納得できるものの、歯茎のボウヤは鯱に接近しすぎですわね……あれじゃあせっかくの鋭い鱗赫も宝の持ち腐れね)

 

 ロウは退屈と評した戦いだが、決してそんな事は無い。鯱とカネキの戦闘は、壁を貫き、床を砕き、血飛沫の舞う激しい攻撃の応酬である。

 

 だが、この戦いに不満を抱いていたのはロウだけでは無いようだ。

 

「なんで()()()()()()……? 鯱ッ!! 僕にあなたを倒す力が無いと思っているんですか? ……僕を、舐めるなァッ!!」

 

 カネキは鯱が以前よりも手を抜いていると感じ激昂するが……。

 

(手を抜いているんじゃなくて、本気が()()()()んでしょうね。先程まで鯱のお腹にはアタクシの槍が突き刺さっていた……見た目だけは治せても、内側までしっかり治すには()()が必要ですわ。鯱はアタクシや姉様と違い、大量捕食するタイプではない……なら、今も内臓の痛みを堪えながら戦っているハズですわ)

 

 事実、鯱は自らの腹部が発する激痛に耐えながらカネキと戦っている。

 

 かつて鯱はカネキと交戦しており、その際には容易くカネキを下した。しかし、カネキはその敗北を糧に特訓を重ねて強くなり、対する鯱はロウによる攻撃の後遺症で弱体化している。互いに縮まった差は、着実に鯱を弱らせていき……。

 

()ゥ……」

 鯱はついに、その足を止めた。

 

「ハァ、ハァ……共食いをすれば……喰種の血は強まる……相手が強ければ強いほど……!! 僕に……奪わせろ!!」

 

 ダメージが蓄積し、今にも倒れそうな鯱を喰らおうとしたカネキだが……。

 

「これで仕舞いか?」

 鯱は素早く身を躱し、カネキの顔を掴んで持ち上げた。

 

「なっ……!」

身躱(みかわ)しだけは一人前の、ちょこまかと(やかま)しい鼠風情が……お・と・な・し・く───」

 

 鯱は尾赫を腕に纏わせながら、その腕を大きく振りかぶり……。

 

(せい)ッッ!!!」

 

 全力でカネキへ拳を叩きつける。

 

「おベェッ!?」

 カネキはその勢いのまま床に叩きつけられ、轟音と共に床を貫き、更に下の階層まで落下していく。

 

「あら、まだ下の階がありましたのね?」

 

 墜落したカネキを追いかける鯱。ロウは更にその鯱を追いかけ、下の階へと降りる。

 

「なっ……捜査官(ハト)!? ……違う、あのクインケはヒナミちゃんの……まさかレザーフェイス!?」

「ランサー!! 手出し無用。お主は黙って見ておれ」

 

 ロウに初めて気付いたカネキは、新たなる強敵の出現に戦慄し、鯱は手出し無用と念押しするが……。

 

「いいえ、アナタ達の児戯を見るのは終わりですの。目的を見つけましたわ」

 

 ロウはもはや鯱達を見ていない。カネキ達もロウの視線の先に目を向けると……。

 

 

「やぁ、カネキくん。できればゆっくりと話したかったよ……お薬はちゃんと飲んでいるかな?」

「嘉納……先生……」

 

 そこには全員の目的である医者・嘉納が立っていた。嘉納が立っている機械の下には、一体の喰種が繋がれている。

 

「それに、リゼ……さん?」

「利世……」

「へぇ、アレが『大喰い』ですのね」

 

 それは神代リゼ。かつて『大喰い』と呼ばれた喰種であった。

 

「ここまで辿り着いたということは、今更隠しだてする意味は無いんだろうね……ヒトの身から始まったキミが、よくそこまで上り詰めたモノだ。クロやシロですら及ばない、キミは私の最高傑作だよ!」

 

 嘉納はカネキに向けて拍手をする。

 

「リゼさんを使って貴方が喰種を作っているのは本当だったんですね……一体……何のために……」

「……飼われた鳥は、何故自由に空を飛べないか分かるかな?」

 

 カネキの問いに、どこか夢心地な声色で嘉納は語り始める。

 

「そう、鳥籠が他者のモノだからだ。それは我々も同じだ……私は気付いたんだよ。歪んだ鳥籠が、私達の世界を絡め取っていることに! 私はそれを壊したい。そのためには強力な手段……即ち喰種が必要だった! それも雑種強勢によって生まれた『隻眼の喰種』こそが、この曇天を晴らす一筋の光明足り得た。そのためにたくさんの犠牲者が出たし、何度も実験を繰り返したが、実験の成功率は未だ芳しくない。だが、これも戦略上の致し方ない犠牲なんだよ」

 

 

 その言葉をロウは冷めた目で見ていた。ロウにとって、『ご馳走を生む機械(かのう)』の目的などどうでもいい。

 

 

 だが、カネキは違う。嘉納の言葉にカネキは怒気を強めていく。

 

 

「……鳥籠だとか光明だとか……そんなモノのために僕をこんな体にしたのか……!! あれから……あれから僕がどんな生活を送ったかも知らずにッ!! あんたは医者じゃない! 頭のイカれた人でなしだッッ!!」

 

「人でなし……か。私はすでに人の世界で生きる気は無いんだよ」

 

 ニヒルに微笑む嘉納のその言葉に、ロウはニヤリと笑った。それはつまり、喰種の世界で生きていく決心があるということ……!

 

「素晴らしいですわ! さぁ嘉納センセ! アオギリを裏切ってアタクシ達と共に……」

「カネキくん、()()()()私と一緒に『アオギリの樹』へ行かないか?」

 

「……はい?」

 

 これから。つまり、まだアオギリではないということ。

 

「ちょ! ちょっと待ちなさいな!! 嘉納センセ、アナタまだアオギリの構成員じゃないんですの? 聴きなさい!! アオギリなんていずれ姉様に滅ぼされる組織!! 姉様の召使いや(ビン)兄弟、こんな雑魚共ですら幹部になれる程度の組織ですのよ!! そんなモノよりアタクシ達の15区へ来なさいな!! 15区なら誰にも邪魔される事無く研究が続けられますし、資金も潤沢! 材料補給にも事欠きませんわ!! さぁ、さぁさぁさぁさぁ!! アオギリではなくアタクシ達に付きなさい嘉納センセェ!! アナタの研究を高く評価できるのはアタクシ達でしてよ!! 最高のご馳走を生み出すアナタの研究は、世界で最も崇高な研究ですのよ!!」

 

 ロウは全力で嘉納をスカウトした。

 

 カオリは一度の略奪で数億の金を稼ぎ、ロウはセレブ界に名を連ねる喰種。資金繰りに苦労するアオギリとは資金面で雲泥の差がある。

 また、戦力は極僅かしかおらずとも、最弱のペニーワイズですらアオギリ幹部クラス並みの実力がある。

 資金力、単体戦力、実験体を集める能力、全て15区陣営が勝っているが……。

 

 嘉納は首を横に振った。

 

「15区の喰種達が私を高く評価してくれているのは光栄だ。だが、私は鳥籠を壊す兵士を作りたいのであって、美味しいブロイラーを作りたいワケじゃないんだよ……とはいえ、15区と敵対はしたくない。()()()()()()()()()()の肥料になる気は無いからね。だからこの後、私が積み上げてきた全研究のコピーをあげよう。美味しい材料のレシピだ、上手く使いこなしてくれたまえ」

 

 どうやら嘉納の意志は固いらしいことを理解したロウは、ため息を吐きながら肩をすくめる。

 

「……仕方ないですわね。それで妥協してあげますわ。ですが随分強気ですのね? ここにいる歯茎のボウヤと鯱を速やかに始末して、アナタを無理矢理攫う事も可能でしたのよ?」

 

 速やかに始末可能。その言葉に鯱とカネキが殺気立つが、嘉納は楽しそうに笑う。

 

「研究にはやる気が大切だ。意欲を無くした私が研究を放棄すればどうなる? まぁ、その時私はキミの主に世にも惨たらしく殺されるだろうが、それではもうご馳走が手に入らない。なら、レシピで妥協する。そうだろう?」

「……えぇ、腹立たしいですが、その通りですわね」

 

 ロウの吐き捨てるかのように放たれた言葉に、嘉納は深く頷いた。

 

「それは何より……さて、カネキくん。私に着いてきなさい。この世界の本当の姿を見せてあげよう」

「……本当の姿?」

 

 

 嘉納は語る。

 

 その内容はカネキにとって非常に重要な話であったが、ロウにとってはどうでもいい内容であったため、聞き流すことにした。

 

 

 それよりも、ロウはこちらに高速で接近する喰種の方が気になっていた。

 

「ひとまず牽制しておきましょうか……」

 

 ロウはアタッシュケースから『蛇腹剣(ドクター)』を取り出し、来訪者へ向けて振るう。だが使い慣れた自身の赫子と違い、その動きは若干遅い。

 

 そのため、来訪者はクインケの攻撃を躱し……。

 

─────リゼが格納されている機械へと突っ込んだ。

 

 

「なっ……四方(よも)さん!?」

 

 突如機械へと突っ込んだ来訪者こと四方はリゼを連れ出し、そのまま走り去っていった。

 

「嘉納センセ? アタクシなら追いつけますわよ? やっぱり15区につきませんこと?」

「……いや、リゼちゃんは諦めるよ。アオギリでもドナーはすぐ手に入るだろうからね」

「……そうですの? それよりも……」

 

 ロウは高く飛び上がると……。

「嘉納ぇぶッ!!」

 嘉納に攻撃を仕掛けようとしたカネキへ、踵落としを放った。

 頭を強烈に揺さぶられたカネキは、回転しながら床へとめり込んでいく。

 

「アタクシがデータを貰う前ですのよ? 嘉納センセへ狼藉を働くことを許すと思いまして? そして味見ッ!!」

 

 脳震盪と呼吸困難を起こし、前後不覚となったカネキの肩へ、ロウは歯を突き立てた。

 

「あぐぁぁっ!!」

Delicious(デリシャス)!! まさしく嘉納センセの最高傑作!! グルメなアタクシは三つ星をさし上げますわ! さて、データのある場所まで案内して下さる?」

「勿論だとも。だがその前にちょっと良いかな?」

 

 嘉納はポケットからリモコンを取り出すと、そのスイッチを押す。すると、部屋の壁に設置された機械から、何体もの『失敗作』達が現れた。

 

「カネキくん、キミの弟たちだ。仲良くするといい。失敗作とはいえ、その数では手を焼くだろう。また会える日を楽しみにしているよ」

(わっぱ)、貴様の(しん)はかたすぎる。それでは『貫く』か『折れる』しか道は無し。己の弱さを知れ」

「フフフ、弱いままでも結構ですわよ? 歯茎のボウヤは所謂(いわゆる)ご馳走。この弱肉強食の世界、美味しい弱者は強者ねえさまに(しょく)されてこそ価値があるのですわ。ご機嫌よう」

 

 3人はカネキを置き去りにして、この場を後にした。

 

「ま……待て……」

 

 その言葉に耳を貸す者は、誰もいなかった。

 

 

 

 

 ロウは嘉納と鯱、そして途中で合流したエトの4人と共に、研究所のモニタールームへと来ていた。

 

「へぇ、ここから研究所が全て見えますのね」

「あぁ、好きに見てくれて構わないよ。ここはもうすぐ放棄するからね」

 

 嘉納は近くの端末を操作してから、ロウへ1つのハードディスクを手渡す。

 

「さて、これが私の研究……その全てだ。全てを理解できるとは思っていないが、これで良いかね?」

「ええ、構いませんわ。ところで、この研究所全域に放送ってできまして?」

「できるが、何をする気かな?」

「帰宅の放送ですわ。姉様達を呼ばなくては」

 

 ロウは嘉納の案内に従い、全館放送のスイッチを入れた。

 

「こちら桜野裕子一等捜査官です。嘉納は敵の手に落ちましたが、第二目標を達成。作戦を終了します。神代上等と夢街二等は所定の地点まで合流願います。繰り返します……」

 

 ロウは放送を終えると、ハードディスクを鞄に詰めた。

 

「嘉納センセ? そこの包帯娘の下に付くのが嫌になったら、いつでも歓迎致しますわ」

「ハハハッ、ほざけランサー。レザーフェイスの底は知れた。我々の敵じゃない」

 

 ロウの挑発混じりの勧誘に、エトが挑発を返すが、ロウは不敵に笑い返した。

 

「フフフ、そうだと良いですわね? それにしても歯茎のボウヤ、特等捜査官を倒しましたのね。ただの食料かと思ってましたが、潜在能力はフレディ並みなのかもしれませんわね?」

 

 モニターには、ムカデのような赫子を纏う半赫者のカネキが、特等捜査官・篠原が装備する『鎧型のクインケ』を食べる様子が映し出されていた。

 

「ご機嫌よう、嘉納センセ。またどこかで」

 

 

 こうして、カオリ達のラボ襲撃は終わった。

 

 

 その後、マスクに全裸で帰ってきたカオリにロウが慌てたり、探索に参加できなかった小林が嘆いたり、火照りきったリオのために途中で車を止めて『野外調整』したりといった事があったが、無事に家へと帰ってきた。




 唐 突 に デ ィ ス ら れ る 瓶 兄 弟 
……誰?
 →本作には登場すらしていない兄弟喰種。原作では11区掃討戦で亜門さんに瞬殺されたアオギリの幹部。
コンビネーションが自慢な尾赫の兄弟。ただし二人揃ってもヤモリさんより弱い。

■各戦果
カオリ:いっぱいご飯を食べて素早さ以外の基礎能力が更に向上した。
リオ:エトの赫子を取り込んで羽赫が強化された。
ロウ:嘉納の研究資料をまるごと入手した。
アオギリ:嘉納を手に入れた。
金木チーム:特に戦果無し。
CCG:後々に本編で。
マダムA:カネキ達に脅されここまでの道案内をさせられていた。カネキ達がナキと交戦している間にこっそり逃げ出し、カオリ(首無し)と遭遇するも逃げ切る。無傷で脱出。

Q.なんでカネキくん失敗作じゃなくて篠原さんと戦ってんの?
A.原作とまるっと一緒だと削除対象になるっぽいので描写していませんが、原作の流れはこうです。
→嘉納先生は失敗作軍団でカネキくんを足止め。カネキくんが暴走半赫者へ進化し失敗作を全滅させたところに篠原さん達がやってきて戦いへ。
→篠原さんが暴走半赫者のカネキくんと戦ってる間、亜門さんチームはナキ&月山チームとバトル。ナキ達を撃退した後で篠原さんに加勢し、カネキくんに向け亜門さんは五七五『いいんだな だたの喰種で いいんだな』を詠む。
→正気に戻ったカネキくんを、亜門さんは篠原さんの手当が優先と判断し見逃す。
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