花屋喰種   作:みぞれアイス

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幕間第11話 美の法・第三条

「……それで、気は済んだかしら?」

 

 銃弾を受けたハズのロウは、無傷のまま立っていた。

 

「バカな!! ……ま、まさかテメェまさか!?」

「アナタ達、そこの5人以外は好きに殺しなさい。今回は証拠を残しても構いませんわ」

 

 ロウは組長と喰種の4人を指差す。

 

「みんなぷちゅってやりたーい!!」

「ちょっとベータ、私たちも居るんだから全部潰さないでよねっ!」

 

 ロウ達は各々散開し、()()()使()()()組織の構成員達を殺戮し始めた。

 

「まさか全員が、グ……喰種(グール)だと!? てめぇらさっさと女共をブッ殺……し……」

 

 組長は後ろに控えさせていた喰種達を怒鳴りつけようとしたが……。

 

─────レートAの喰種……この中で一番の戦力だった男の頭には、深々と槍が突き刺さっていた。

 

「アニキがっ!! ……ま、まさか本当に『レザーフェイス』なのか!?」

 

 喰種の一人がロウに向かって叫ぶが、ロウは首を横に振る。

 

「残念ですがアタクシとあの御方では蟻と稀極星(リトル○インスターズ)程の差がありますわ。あの方はアタクシが全力をもってしても傷一つ付きませんもの」

 

 ロウの例えを男達は理解できなかったが、ロウがレザーフェイスでは無いことは理解できた。

 

 

 余談だが、稀極星とは人間の女児向けキャラクターを多数生み出している企業の1キャラクターだ。喰種の男達が知らないのも無理は無い。

 なお稀極星の身長は、まさかの約1737()()()()()()である。

 

 

「ですが、アタクシはあの方の側に居る事を許された女。15区の喰種である事に変わりはなくてよ? アタクシを通じて、あの方の恐怖を少しでも味わいながら死んで逝きなさいなッ!」

 

 ロウは両手に赫子の槍をそれぞれ構え……。

 

「ぴィっ……!?」

「ニェッ……!?」

 

 一瞬で喰種達の頭を貫いた。

 

「さて、アナタ達の頼れる喰種は後一人……そして、その後一人は使い物にならないみたいですわね?」

 

 生き残っている喰種は、サングラスをしたスキンヘッドの喰種だ。

 かなりの強面のようだが、その顔は恐怖でピクピクと痙攣し、下半身は黄色い液体にまみれていた。

 

「おいこのピクハゲッ! 戦わねえか!!」

 

 組長は必死に怒鳴りつけるも、残った男は棒立ちのままただ震えるのみであった。

 

「無理だ……少しでも動いたら……殺される……力の差が……違いすぎる……」

 

 強面の喰種が絞り出した声は、ひどく情けなかった。

 

 

 性器を破壊してから頭を潰すベータ(マユ)

 生きている相手の首筋にかじりつく吸血鬼プレイを楽しむ1号。

 ギザギザした鱗赫で少しずつ体のパーツを削りながら殺す2号。

 鉈のような甲赫で体を真っ二つに引き裂き内臓を鑑賞する3号。

 相手の尻に尾赫をねじ込んで遊ぶ4号。

 さっさと首を刎ねてキル数を稼ぐ5号。

 敷地から逃げようとした男達を着実に殺していく6号と7号。

 

 マユと7人の従業員達は、各々蹂躙を楽しんでいき……。

 

 

 ついに組長を除く全ての人間が死に絶えた。

 

 

「わ……儂の組織がぁぁぁぁぁ……ぜ……ぜん……め……めつめつめつ……」

 

 組長は目の前の光景が信じられなかった。

 

「さて、次はアナタですわね。おめでとう、アナタは全員から責めて貰えますわ」

 

 集金を命じたのは組長ではなく、もっと下の者であったことだろう。

 

「そんなに気を落とさないで下さいな? 落とすのは……命だけにしておきなさい」

 

 きっと組長は悪くない、ただ一つ、運が悪かっただけだ。

 

 

 

 組長は様々な方法で体を破壊され、最後は体を真っ二つに引き裂かれて生命活動を停止……死んだのだ。

 

 

 

「お待たせしました。いつまでも震えっぱなしじゃ可哀想ですわね?」

 

 ロウは優しく語りかけるが、スキンヘッドの男喰種は何も答えない。彼の脳内は、これからどうやって生き残るかで埋め尽くされていた。

 

 男はロウに一撃で殺される自身を描いていたが、ロウは男に背を向ける。

 

「さぁ! 今までアタクシとの訓練と、人間相手のみの蹂躙しかしてないアナタ達に、実践を経験して貰いますわよ。丁度そこで震える男性はアナタ達にとって一対一では難しくとも、8人で戦えば余裕な相手。やってみせなさい」

「……!!」

 

 それは男にとって好機。ロウ相手には勝ち目が無くとも、他の喰種は違う。赫子が使いこなせるようになってまだ間もないのか、どの喰種達も大雑把な使い方をしていた。

 

「……!!」

 

 先手必勝。男は真四角の鈍器に似た甲赫を両腕に装備し走りだす。

 狙うはマユ、一番弱そうな奴からだ。

 

「むー!」

 

 だが、それは大きな誤りである。マユは『綺麗になりたい』という望みのために、8人の中で最も積極的に共食いを行っており、赫子の出力なら8人の中で一番強かった。

 

 

 マユは合わせるように甲赫を出して攻撃を防ぐと……。

 

「えいっ!」

 

 相手の急所に向け尾赫を突き出した。

 

「……!!?」

 

 ぷちゅりと嫌な音を立て、男の性器が破壊される。男は咄嗟に距離を離した後、遅れて到来した痛みに全身を痙攣させた。

 

 その顔はなんとも痛ましく、(おぞ)ましい表情だ。

 

「うー、壊せたのは片方だけだったー! それじゃ交代ー」

 

 マユは文句を言いつつも、一歩下がる。替わるようにして1号と5号以外の従業員達が前に出た。

 

「相手は甲赫、2号(わたし)と3号が前衛やります!」

 

 甲赫と相性の良い鱗赫を持つ2号と、防御力の高い甲赫を持つ3号が最前線に立ち、尾赫の4、6、7号はその後ろ、羽赫の1号と5号は最後列に立つ。甲赫と尾赫を持つマユは遊撃。

 

 それはまさに理想的な布陣であった。

 

「……!?」

 

 駆け出した2号の鱗赫をスキンヘッドは赫子でガードするが、相性の悪い鱗赫相手に、その赫子にヒビが入る。

 すかさず尾赫の3人が追撃し、ヒビの入った赫子を砕いていく。

 ガードの無くなった男に羽赫の弾丸が突き刺さる事で動きを封じ、3号の大鉈赫子が相手の首筋へ綺麗に入……。

 

「そこまで」

 

─────ロウが3号の赫子を槍で弾いた。

 

「見事な連携でしたわ。もう少し苦戦すると思ってましたが、アナタ達の評価を改めなくてはいけないわね。それでは……」

 

 ロウは組長の肉をむしり取ると、スキンヘッドの口へ捻じ込んでいく。

 

「……!?」

「さぁ、殺さない程度にもう一度ですわ。髪の無いアナタも生き残りたければ足掻きなさいな? 興醒めならば直ちに肉塊へ変えて差し上げましてよ?」

 

 スキンヘッドはまさに無我夢中で戦った。

 

 性器を破壊され、腕を切り落とされ、腹に穴が空いたとしても、何度もロウは肉を与える。人肉だけでは再生が追い付かなくなれば、かつての仲間達の赫包を食べさせられ、激痛と共に治される。

 

 いつしかスキンヘッドの心は折れ、助かりたい一心で赫子を振るい続けた。

 

 

 

「ふむ、ここまでで良いでしょう。それでは殺しましょうか」

 

 従業員達の訓練が充分だと判断すると、ロウは静かに槍を構えるが……。

 

「服従します……お願いします……殺さないで下さい……」

 

 酷く弱々しい声で、男は呟いた。

 

「アナタ、車の運転は?」

「できます……免許は……偽造したものなら……」

「そう、なら今だけは生かして差し上げますわ。アナタ達! 薬、重火器、金品、金になるものを手分けして集めますわよ!」

 

 ロウはカオリのやり方を踏襲し、略奪を行う。

 マユと従業員とスキンヘッドは、ロウの略奪を手伝う者、犯罪組織の所有していた車に略奪品を運び込む者、大きな穴を掘り、そこに食べ残しを投げ入れる者に分かれて作業を行っていく。

 

「食べ残しの廃棄、完了しました! とはいってもほとんど残骸だけですけどね」

「宜しい。こちらも終わりましたわ。それではガソリンをかけて撤収しましょう」

 

 ロウ達は組織の所有していた車のガソリンを抜き取ると、穴の中にそそぎ入れ、最後時限式の発火装置を入れ、マユと従業員達は敷地の外へと走る。

 

「アタクシは見張り兼道案内。さっさと運転なさいな」

 

 ロウはスキンヘッドと共に車へ乗り込んだ。

 

 

 

 

 とある犯罪組織で起こった大規模火災。血痕と燃えカスから、警察は組織間の抗争と判断した。

 

 

 ロウ達は電撃的に奇襲を行ったため、犯罪組織がロウ達の存在を他の誰かに告げる暇がなかったためである。

 死体は殆ど燃えカスとなっていたため、喰種の犯行だと分からなかったともいえる。

 

 

 こうして、ロウの風俗店を支配しようとしていた犯罪組織は壊滅し、ロウ達は完全犯罪を成し遂げた。

 

 

 

『お疲れ様でーす!』

「お疲れ様、100点満点の戦果でしたわね。戦利品はアタクシが売りさばくとして……『アレ』はどうしようかしら……?」

 

 ロウはスキンヘッドの男を指差した。

 

「え、生かしてあげるんじゃないんですか?」

「うーん……アタクシの姉様なら迷わず食料にするんですが……アナタ達はどうしたいかしら?」

 

 その時、マユが手を上げる。

 

「はい! お店の専属運転手になって貰うのはどうですか? お客さんの中には『3倍の料金出すからデリバリーしたい』って人もいますし」

「デリバリーは後で考えるとして、そうねぇ……アナタ、あの時服従すると言ったわね。一生アタクシ達の使い走りとして生きる覚悟はあるかしら?」

 

 スキンヘッドは発言の意味を理解している。断れば死ぬことも……。

 

 ゆえに、答えは決まっている。スキンヘッドは深く頭を下げ、片膝をたてて跪いた。

 

「宜しい。ではアナタは『パーシー』ですわ!」

 

 スキンヘッドへ謎の名前を付けたロウに、従業員達が首を傾げる。

 

「レディ・ロウ、なんですかパーシーって。パーシーというよりもヴォルデモートの顔じゃないですか?」

「Non。使い走り、略してパーシーですわ!」

 

 こうして、スキンヘッドの強面喰種ことパーシーが、店の新たな従業員となった。

 

──────────

 

 数年後、7区には大きな風俗店が出来上がっていた。

 人間の従業員も増えてきたため、喰種用と人間用で別々の社宅を建て、パーシー以外の雑用も増えた。

 

 そして、ロウとマユは共食いを数多く行い、着実に力を付けていった。マユと最初の7人は、今では幹部として風俗店運営に携わるようになり、客の相手は減……。

 

 否、減ることはなかった。当初からの常連は綺麗になっていく7人にますますハマり、若い新人を差し置いて指名が入る。

 

 

 そして、マユも働くようになったのだが……その経緯が特殊であった。

 

 

 マユは受付として客を案内していたが、マユ自身は客の相手をしない。だが、マユはロウに次ぐ共食いを行う喰種であったため、かなりの美少女であった。

 それゆえ、マユを指名したいとゴネる客がいたのだ。

 

 そこでマユは『性器破壊のドMさん専用プレイのみ行う』と宣言した。

 これで客は断るだろうと思ったが、客はマユの思う以上に業が深かったらしく、喜んでそのプレイを申し込んだ。

 

 シンボルが破壊されれば、もう店に来ることはないと危惧したロウは、マユの提案に『ロウが見ていること』を追加した。

 

 結果、美女に見られながら美少女に性器拷問を受けるというマニアック過ぎるプレイが生まれたのだが……。

 

 

─────なぜか大ウケしてしまう。

 

 

 そしてマユはますます金的攻撃にハマり、ロウは頭を抱えた。

 

 そんな予定外の事もあったが、風俗店は着実に成果を上げ、介入する犯罪組織は次々に消していったため出費も少なく、今や小さな雑居ビルから始めた風俗店は巨大な風俗施設となり、その収益は途轍もない。

 

 

 ゆえに、ロウはセレブ喰種の仲間入りを果たした。

 

 

 当初は成金だの人間に媚び(へつら)う売女だの強盗団の女ボスだのと揶揄されたことはあれど、ロウは資金力で並みのセレブとの格の差を見せつけ、直接的な手段に出る者には圧倒的な戦闘力で全てをねじ伏せていく。

 やがて、大富豪にしてSSレート喰種のビッグマダムを取り巻きごと叩きのめした時、セレブ界でロウの邪魔をする者は完全に消え、ロウは社交界で序列2位の富豪へと成り上がった。

 

 

 

─────だがそんなロウ達でも、時には失敗もある。

 

 

 

 ロウは近くに犯罪組織が拠点を構えたという噂を嗅ぎつけ、先手を打って滅ぼしに出掛けた。

 

 結成して間もない組織ゆえに、大した収穫も構成員も居ないだろうと考えたロウは、マユだけを連れて組織の拠点である庭園へ潜入を開始。

 

 構成員の殺戮をマユに任せ、ロウは赫子をショベルのように変形させ、手早く『死体処理用の穴』を掘っていく。

 

 ロウは次々に聞こえてくる悲鳴から、マユの勝利を確信するが……当のマユには問題が発生していた。

 

 

「本部、ライブラリに無い喰種が出現。個体仮称『タマツブシ』と交戦に入る」

「准特等! その名称は上から怒られますよ!? せめて『ナッツクラッカー』とかにしときましょうよ!」

「ふむ……一等の進言に納得した。本部、仮称は『ナッツクラッカー』に変更する」

 

 

 マユは二人組の喰種捜査官と鉢合わせてしまう。

 7区の犯罪組織が次々に消されている事実を認識していた彼等は、前もって屋敷に潜伏していたのだ……!

 

 

「ど……どうしてここに捜査官(ハト)が!? お前たちには『暴対法』だかそれに準ずるような縛りがあったハズ!?」

「フッ、喰種風情が人間のルールを知っているとでも言うのか?」

 

 想定外の事態に驚くマユを、准特等捜査官は鼻で嗤う。

 

「一応教えてやろう。暴対法は暴力団からの要請を禁止する法であり、それ以前に……()()()()()()()()()()()()。生きた暴力団の構成員なぞどこにも居ない。我々喰種捜査官は、どこの誰だか知らない人間が喰種に殺され捕食されている所に出くわし、交戦を開始する……それだけだ。例え我々が前もって潜伏しており、どこぞの悪そうな誰かを見殺しにしたとしてもな」

「准特等、それは喰種対策法に触れるんでオフレコですよ」

 

 サラリと違法行為をバラした准特等に、隣の一等捜査官は素早く指摘した。

 

「何を言う? ここにいるのはキミと喰種しかいない。喰種は生け捕りにすることなく駆逐し、私とキミはボーナスを満額貰うために喋らない。ほら、なんら問題は無かろう?」

「もう、後でなんか奢って下さいよ?」

 

 今この場にロウは居ない。異変を察知すればロウはやってくるだろうが、それまではマユ一人でこの場を乗り切らなければならない。

 

「くっ、姉様が来るまで時間を稼がないと……」

 

 准特等捜査官とは、CCGの中で上位の実力者達だ。その実力は全力のパーシーよりも上だろう。

 マユ一人ではパーシーには勝てない。そのパーシーよりも強い相手を前に、マユは背筋に汗が伝うのを感じていた。

 

「良いだろう、今度料亭に連れて行ってやる。では行くぞ一等、May the Force be with you(フォースと共に有らんことを)!」

 

 捜査官達はクインケを構える。捜査官達のクインケはいわゆる『ダブルセイバー』のような形状をしており、発言と相まって某SF映画を彷彿とさせる。

 

「……まぁ僕らのクインケ、ダークサイドですけどね。刃の部分赤いし、形はダースモールだし」

「ダースモールは敵ながらカッコイイから良いのだ! さっさと行くぞ!」

 

 ジェダイの騎士になりきる捜査官二人組は、マユへと襲いかかった。

 

 




 ナ ッ ツ ク ラ ッ カ ー
捜査官達はマユちゃんが相手の急所を破壊しながら殺害するところをバッチリ見ていた。タマツブシ(直球)

■オリ喰種・風俗嬢ズの説明
・1号:羽赫の喰種。戦闘でも職場でも噛みつきが好き。
・2号:鱗赫の喰種。色々考えるちょっとサディスティックなお姉さん。
・3号:甲赫の喰種。のんびり一撃必殺タイプ。胸が一番大きい。
・4号:尾赫の喰種。戦闘でも職場でも相手の尻を狙う。
・5号:羽赫の喰種。せっかちさん。でも野球はしない。
・6号と7号:尾赫の双子喰種。コンビネーションはバッチリ。

■パーシー
原作ではクインクスに『ピクハゲ』と呼ばれていた無口な喰種。原作でナッツクラッカーと一緒に行動していた。めでたく仲間(?)に加入するも、ロウが怖すぎて更に無口になった。


■オリジナル捜査官
・准特等捜査官(赤いダブルセイバー装備)
スターウォーズにハマりすぎて自分をクワイ=ガンだと思い込んでいる異常者。趣味はスターウォーズのグッズ集め。

・一等捜査官(上司がくれた赤いダブルセイバー装備)
上司からオビ=ワンだと思い込まれている捜査官。ちょっと影が薄いのが悩み。趣味はえっちなゲーム。


■人間の女児向けキャラクターを多数生み出している企業
身長が月の半分とかいう稀極星の巨大スケールしかり、迷迷路亭さんのエイリアンみたいな生まれ方しかり、時折ブッ飛んだ話があって幼女じゃなくても引き込まれる。
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