花屋喰種   作:みぞれアイス

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更新再開です!
でも挿入話です。re編開始までは少しお待ちください。
今回はオリキャラばかりです。カオリすら出てきません。


幕間第22話 だれかのいつかの物語2

 やっほ。儂、触手仙人。女体博士を自称しておる。今日は儂のイカれたメンバーを紹介しようかの。

 

 まずは儂のマブダチである『ルビー』じゃ。アナルビーズの略でルビーじゃよ? またの名を『迫真スコーピオン先輩』といってな、儂が掲示板の住民にこやつの名を安価(アンカー)したらこんな名前になったわい。

 CCGからは『蠍天狗(さそりてんぐ)』と呼ばれとるそうじゃ。何でもサソリと名の付く喰種は以前東京に居たらしくての。付けてる面も名前に入ったそうじゃ。

 とはいえ、初代サソリは大した強さを持っておらなんだ。こっちは初代と違ってSSレートなのにのぉ……。

 こやつは男のクセして男にしか興味の無い変態じゃな。されど故に、獲物がブッキングしない。儂が女でこやつが男。ギブアンドテイクなのじゃよ。

 

 次は儂の弟子。本名は……なんじゃったか? 冴木(さえき)までは覚えておるんじゃが、普段『魔羅男(マラオ)』と呼んでおるせいで下の名は忘れたのじゃ。確かマラオと似たような名前……マリオだったかの? 違う気もするわい……ええい! 男の名なんぞ記憶領域の無駄じゃ無駄!

 こやつはハッキリ言って性欲だけの雑魚じゃな。せいぜいレートAあれば良い方じゃないかの?

 趣味と特技は儂のお古を使ったリアルオナホール作りじゃ。何でもこやつは『胴体だけのおなご』か『体に傷跡のあるおなご』じゃないと勃たないらしくての。可哀想なヤツじゃが、儂らと同じく性欲に生きる者。可愛いところもあるんじゃよ?

 じゃがこやつ、アレの大きさだけは本当えげつないのぉ……肌は白いが、実はアフリカ系の祖先でもいるんじゃろか……?

 

 そして最後はこの儂、触手仙人。CCGからは『千手(せんじゅ)』と呼ばれ、ネットの信者共からは『下半身の旧支配者』と呼ばれ、時に崇められ、時に恐れられておる。

 趣味はネットサーフィンとzipのうp。それとおなごを儂の鱗赫で犯しまくる事じゃ……何? 攻撃性の高い鱗赫じゃ女体が傷付くだけとな? カーッ! これだからトーシロは駄目じゃ。儂の特技『Rc細胞の精密操作』を以てすれば、柔らかさも動きも大きさも自由自在なのじゃよ。

 これはルビーも同じじゃ。儂とルビーはRc細胞の精密操作が大得意だからの。

 

「仙人、そろそろヤリたくならないっすか?」

「確かにのぉ……」

 

 前回街で見かけたカップルを襲ってから一週間。そろそろヤリたいのじゃ。

 

「ですよねぇ……おっ! この辺にぃ、新婚旅行で美男美女のカップル来てるらしいっすよ」

 

 ふむ、どうやらルビーがスマホで何やら情報を手に入れたらしいのぉ。

 

「行きませんか?」

「ほっほ! 良いのぉ!」

「じゃけん夜行きましょうね~」

 

 こうして儂らは一週間ぶりの獲物を狙いに行くことになったんじゃ。

 

「というわけじゃマラオよ、出かける準備をするのじゃ! ビデオカメラは残りの電力とメモリーも確認するんじゃぞ!」

「は、はい老師!」

 

 

 

 そして、儂、絶賛スニーキングなう。目的の二人組は現在旅館の家族風呂(露天)に入っておる。

 ヒョホホ!! 丸腰で無防備! 一気に攫うとしようかのぉ!

 

 儂は『ひょっとこの面』を被り、ルビーは『天狗の面』を被り、マラオは『般若の面』を被り、儂らは露天風呂にいる二人組目掛けて跳んだ。

 

 

 

──────────

 

 

 

 廃ホテルの一室にて、老人と全裸の美女が対峙している。

 ここは廃ホテルでこそあるが、ここは老人によって手入れが施されており、汚れ一つない。

 

「んで、攫ってきたというわけじゃ。何? 良く分からないとな? そりゃそうじゃ。良く分かるように攫うのは亀の大魔王だけで充分なのじゃよ? というわけで初めましてお嬢さん。儂は触手仙人。触手の生える不思議なジジイじゃよ? なぁに、取って喰ったりはせんよ。儂はお嬢さんに()()()()()()気持ち良いことをするだけじゃ」

 

 目の前の老人は楽しそうに語るが、突如攫われた側としては堪ったモノではない。

 

「ふ、ふざけないで!! 彼はどこにやったのよ!!」

「ヒョホホ! 儂は女体のマッサージ専門でのぉ。旦那は別の者がマッサージなうじゃよ? というわけでお嬢さん。オヌシも旦那と同じように気持ちよくなるんじゃよっ!」

「きゃぁっ!?」

 

 老人は背中から無数の触手を生やし、女をベッドの上に放り投げた。

 

「な、なに……それ」

「ヒョ? さっき儂言ったよ? 儂、触手仙人。触手が生えるジジイ。よろしくの!」

 

 異形。女の背筋に冷たい汗が伝う。

 

「いやぁぁああああ!!! バケモノぉぉぉおおっ!!」

「ヒョホホホホホ!! 化け物結構。オヌシを化け物フェチにしてやるのじゃぁぁあああ!!」

 

 老人は無数の触手を女へ伸ばし……。

 

「秘技・触手百裂指圧拳」

 

─────全身のツボを的確にマッサージした。

 

「……え?」

「ヒョホホ!! 百の触手による指圧はいかがかな? 人間では絶対に味わえない気持ちよさじゃろ? 儂は言ったハズじゃ、オヌシに()()()()()()()()()()()()()()()とな」

 

 確かに言っていたが、何せ老人は異形の者。マッサージだとは欠片も思っていなかったのである。

 

「儂のマイフレンド……今オヌシの旦那をマッサージしてるヤツはの、オイルマッサージが得意なんじゃよ。儂は元々指圧メインで()()()()()()()()使()()んじゃが、儂もマイフレンドからオイルマッサージのやり方を習っておる。早速始めるが安心して良いのじゃよ?」

 

 老人は触手にオイルを塗り、女の体をオイルまみれの触手で(ほぐ)していく……そのオイルは、仄かにラベンダーのニオイがした。

 

「良いニオイじゃろ? 儂お手製アロマオイルなのじゃ! 本当はオイルマッサージには花のアロマよりも生姜(ショウガ)等を入れるべきなんじゃが……儂は()()()()()()()()()()()()()()()での。なので花のアロマとなっておる。じゃが、その分リラックスできるじゃろう?」

 

 オイルはじんわりと温かく、マッサージはとても心地よい。女は異形の老人に、少しだけ心を開きつつあった。

 それは老人の成せる魔性の妙技。数多くの女を喰らってきたからこその業だ。

 

「ヒョホホ! どうかねお嬢さん? 化け物によるマッサージも中々どうして凄かろう? 儂ら異形の民は都市伝説として語られる存在、滅多に人前には現れぬ。さりとて、こうして存在しておるのじゃ。儂とお嬢さんの邂逅もまた一期一会。せめてこの一時を楽しむと良い」

 

 

 老人のマッサージはまさしく完璧。変幻自在の触手は女の体どころか、心すら解す。

 

 女は攫われた状況にも拘わらず、この老人に好意すら抱き始めていた。

 

 

 だが、楽しかった時間は唐突に終わる……。

 

─────老人すら予期せぬ形として。

 

 

 

「ンアッ─────!!」

 

 突如どこかのガラスが割れる音を響かせ、数秒後に野獣の如き咆哮が轟く。

 

「……ルビーに何かあったのかの? すまんがお嬢さん、ちょっと待っていてく……」

 

 老人が友人の様子を見に行こうとした途端、轟音と共に壁が吹き飛んだ……!

 

「こんにちは!」

 

 元気の良い挨拶と共に現れたのは一人の女。

 

 だが、人間ではない。女の両腕は重厚なブレードのような形状をしていた……!

 

「……こんな時に乱入とは無粋な娘っ子よの。()ね、ここはオヌシが居て良い場所では無……」

「こんにちは!」

 

 老人は乱入者に立ち去るよう命じるが、乱入者はあいさつと共に駆けだし……。

 

「さようなら!」

 

─────女の首を刎ね飛ばした。

 

「……は?」

 

 脈絡も無く行われた凶行に、老人の思考が止まる。

 

 だが、老人はすぐに正気を取り戻し……。

 

「何やっとんじゃこのクソアマァァァアアアアアッ!! 儂まだマッサージしかしてねぇぇぇえええええッッ!! 儂の楽しみ取りやがってブッ殺すぞ貴様ァッ!!」

 

 一週間ぶりの女を奪われた事で老人は激昂し、無数の触手を乱入者へ突き出した。

 

「こんばんヘヴン゛ッ!?」

 

 老人の攻撃はまさに一瞬。乱入者の体へ無数の触手が突き刺さり、乱入者の体をズタズタにすると同時、首を刎ね飛ばした。

 

「……クソが。何だったんじゃコヤツは」

「─────頭に来ますよ!」

 

 乱入者の残骸を部屋の隅へ放り投げていると、浅黒い肌をした筋肉質の男が壁に空いた穴の向こうから歩いてきた。

 

「ルビー、やはりオヌシの所が最初に襲われた様じゃな」

「……これじゃ商品になんないよ」

 

 ルビーが手に持つのは男性の首。どうやらルビーもまた獲物を乱入者に殺害されたようだ。

 

「はぁ……仕方ないのぉ……コヤツがここで暴れたせいで、CCG(ハト)警察(サツ)が来るやもしれん。さっさとトンズラしようかのぉ……マラオ! どこにおる! こっちへ来るんじゃ!!」

 

 

 すると、若い細身の男がクローゼットの中から出てきた。

 

「なんでそんなところに居たんじゃ?」

「え? ここが一番待機場所には落ち着くんで。それに、今回みたいにヤバいのが来たときに隠れられますし」

 

 老人としてはマラオに獲物を守って欲しかったのだが、それは高望みしすぎだと結論付けた。

 

「そうかの……そんな事よりマラオよ、儂のおなごが首無しになったのじゃ。ゆえにオヌシへプレゼント。切断は風呂場で、切り落とした手足は袋にちゃんと保管するのじゃぞ?」

「ありがとうございます! すぐやりますね!」

 

 マラオは首無しの女を担ぐと、風呂場へと向かう。

 

「さて……儂等も撤収の準……」

「こ↑こ↓」

「ん? そこは儂が殺した不届き者の死体が……無いじゃと?」

 

 乱入者の死体が無くなっていた。

 

「マラオのヤツが持って……違う、上じゃッ! 避けよルビー!!」

「ンアッー!」

 

 天井に張り付いていた乱入者が、ルビー目掛けて飛びかかったが、ルビーは汚い咆哮をあげながらギリギリで回避。

 床に突き刺さった乱入者へすかさず老人が触手を放つものの、乱入者は無理矢理バックステップで触手を避けていった。

 

「……再生持ち。つまり上位個体か……その赫子、バードマンか?」

「こんにちは!! ありがとう!!

おやすみなさい!!」

 

 老人は乱入者に問いかけるが、乱入者は焦点のあっていない目で元気に挨拶を返す……どうやら話が通じないタイプのようだ。

 

「……否、もう一人似た赫子がうpされておったな。そしてその狂い様、『あいさつの魔法』か貴様……ルビーよ、羽赫相手ではオヌシが不利。ここは儂に任せよ」

「いや全然。ソイツ甲赫。はっきりわかんだね」

 

 乱入者は隻眼の梟(バードマン)に似た赫子を持っていたため老人は羽赫と判断したが、ルビーは野獣の如き観察眼を以て、相手が甲赫であることを見抜いていた。

 

「ほう? 流石じゃなルビー。じゃが甲赫ならオヌシの尾赫より儂の鱗赫が有利。儂メインでオヌシはフォローに回るのじゃ」

了解(おかのした)

 

 ルビーは老人のやや後方に下がると同時、老人は乱入者へと触手を放つ。

 

 甲赫は総じて近距離に強いが、中距離では鱗赫や尾赫に軍配が上がる。

 故に老人は甲赫が届かぬ中距離の間合いから攻撃を仕掛けているのだ。

 

 

……しかし、乱入者は突如背中を向け、全力で逃走した。

 

「さようなら! さようなら! さようなら!」

 

 元気良く別れの挨拶を告げながら。

 

 

「ファッ!?」

「……まぁ、儂が一度ズタズタにしておるからの。いくら再生持ちとはいえ、何度も再生するのは難しい。儂の見立てではおそらくアヤツはもう再生できなんだ。故の逃走……ということは理解できるんじゃが納得いかねぇぇぇえええ!! 嗚呼イライラが収まらぬッ!! こんな時は安価(アンカー)スレを立てるのじゃ!! 安価(あんか)に指定されたヤツ襲ってその後でトンズラするのじゃぁぁあああ!!!」

 

 

 

─────その日、一つの伝説が終焉を迎えた。

 

 グール・未確認生物板に立った安価スレ『安価で全員ヤるまで帰れまテン』。そのスレの襲撃相手にアンカーされていたのは『CCG』だった。

 

『うはwwwwおkwwww把握wwww今から○○県のCCG本部をスーピンと一緒に襲ってくるwwwwww』

 

 その後書き込みが途絶えたため、住民達は当初逃亡したと思っていた。

 だが、安価は絶対だ。触手仙人と迫真スコーピオン先輩は本当にCCGを襲い、何人もの捜査官を犯し、時には殺し、そして死んだ。

 

 

 『俺グール。人間のお前等に触手の絶技を教えてやる』から始まった伝説は、『あの日にCCGと安価した者ですが、喰対法違反で死刑にされそうです誰か助けて』で幕を閉じる。

 

 

 グ板の住民は、数多くの伝説を残した触手仙人と迫真スコーピオン先輩の名を、きっと忘れる事はないだろう。

 

 

 

 

 更に後日、各地を暴れ回っていた『あいさつの魔法』も討伐された。

 

……だが、マラオと呼ばれていた男は、今もなお姿をくらませている。




 だ れ ?
実はこの3人。元ネタにしているクインケがあります。
そこから着想を得たオリジナルキャラとなっています。
よって、このキャラ達はクインケにこそなりますが、今後も関わってきます。

ちなみに、マラオさんは本名カラオさんです。つまりトルソーさんです。
この後師匠達が居なくなったので東京でタクシードライバーを始め、小林と出会います。
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