無敵系中ボスが過去にしがみつく話   作:竜田竜朗

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八代②

「のう主。妾めっちゃやべぇ問題に気が付いたぞ」

「……一応聞くがなんだ」

 

人のことは言えないが問題だらけだろうというツッコミは控える。

 

「妾、服がこれしかない」

「……そういやそうだったな。けど外に出なきゃいいだけの話だろ」

 

まぁ確かに獣耳に九本の尻尾に幼女体系という、かなり気合の入ったコスプレイヤーみたいな格好の者と一緒に外を歩きたくなどないが、家に閉じこもっていれば格好など気にしなくてもいい。外出する用があれば、愛菜にもきちんと事情を説明し買ってきてもらえばいいし、最悪再び八代を取り込めばいいだけの話だ。

 

「えぇ、主、妾久し振りに実体を持って歩いているわけよ。お散歩ぐらいしてみてぇわなのじゃ」

「なら行ってくればいいだろう」

「空気読めよ!主と一緒に行きたいってことよ!それともあれか、主は鈍感系主人公なのか!?」

「遠回しに嫌だって言ってんのわかんねえか」

 

何年も一心同体を続けているのだ、彼女が自分に好意を抱いているのは知っているし、彼女もそれが受け入れられるわけがないというのも知っているだろう。

 

「よいのか主。有る事無い事喚き散らして二度とその顔で表歩けないようにしてやるぞ」

「顔くらい変えられる」

「ちぃ、本当に空気読めない奴じゃのう……」

 

本当の主人公ならばこういう些細な脅しに乗って渋々、やれやれというのがテンプレだろうが、主人公ですらない人外にはそんなお約束は関係なかった。

 

「……あぁ、忘れとったが主、数量限定の卵と秋刀魚買いに行かんでよかったのか?」

「お一人様一パックだったろ。それなら夕方のタイミングで行った方がいい。コスパ的には夕方の一パックを二つ買う方がいい」

「今なら二人だから二パック買えるのじゃぞ」

「準備しろ八代。服はひとまず愛菜のを借りればいい」

「金に困っているわけではないのにこの執着様はなんなんじゃろなぁ」

 

前深淵、笹塚未菜がこういう事に対してにあまりにもズボラだったために魔人の主夫力は高い。並大抵ではない家事スキルに、世界で最高の知能でコストパフォーマンスを割り出し、節約をする。旧世界で生きてきた身として無駄遣いに過敏な亮は、全て計算尽くで家計を立てるのだ。

 

「あるじー、服がダボい!」

 

愛菜の部屋に入り服を漁っていた八代からそんな声が聞こえた。

どうやら服選びに手間取っているらしい。

 

「半袖着てスカートでいいだろ。七分袖にロングスカートになったと思えばいける」

「それだと腰が緩い上に組み合わせが」

「知らねえよベルトしろ」

「これでも妾は雌なんじゃがっ!」

「考えたこともねえ」

「んなっ!?」

 

その後も口論をしながらもなんとか八代が出てきた。基本的に愛菜は亮の好みに合わせてか黒い服ばかり持っていて、先程まで八代の着ていた白い巫女服とは真逆の格好だ。

 

「どうじゃ主、似合っとるか?」

「知らん。ンなことより耳と尻尾消せ。スカートの中見えるし、そのまま外を並んで歩くとかごめんだぞ」

「ぬぅ、しかしそれでは妾のチャームポイントが」

「なんなら切り落としてやろうか」

「はーいすいませんでした」

 

力ない者は力ある者に従うしかない。悲しいかなこの世の理である。

八代は言われるがままに尻尾と耳を一瞬で消し去り、まともな人間らしい外見に。そうしてやっと準備が整う。

 

「よし、お前も俺ならわかると思うが戦場だ」

「お、おおう」

 

確かにと記憶からあの光景を掘り返す。タイムセール、限定という言葉の前に人権はもはや存在しない。商品を手に取り精算を済ませた者だけが勝者なのだ。

亮は顔を変え、体を大柄な男にして準備を整える。

 

「行くぞ。ついてこい」

「(なんか、主、いつも以上に気合い入ってないじゃろうか。というか、妾とやりあった時よりやる気満々じゃん?)」

 

スーパーのタイムセールに劣ってると思うと、なんだかやるせない気持ちになった八代だった。

 

 

 

 

 

「うむ、まさか卵と秋刀魚どころかお肉もゲリラセールだったとはな」

「ンー、これだからあのスーパーは侮れない」

 

見事タイムセールを制した魔人と九尾はマイバッグをそれぞれ片手に、並んで会話をしていた。

 

「開店待ちも今日は一段と多かったの」

「あぁ、強奪のサチ子に強襲のマサ子。オマケに剛腕のカヨ子まで居るとはな。まさに歴戦の猛者の凱旋だった」

「何言うとるん主。人食らいすぎてついに気でも狂ったか」

 

何千何万人もの人の記憶や感情を自分のものとする魔人。現になりかけの時はその記憶や感情に苦しめられていたものだ。

 

「そういや八代に食欲は?」

「あることにはあるが食わずとも。主と同じよ」

 

食事は娯楽であり生きて行くのに必要はない。どれほど強力な存在であっても飢えには勝てないというが、魔人や神には必要ないという事だ。

 

「じゃが主の手料理は食べたいの」

「まぁ久し振りの食事だろうし作ってやろう」

 

彼の体を通してどういう味なのかわかっている。けれど、自分の舌で味わってみたい。はっきり言って無意味な事だ。そんなことはわかっている。それでも自分だけの意志と体でそれを食するというのは、きっともっと、いいものなのだ。

 

「のぅ主、妾は手を繋ぎたいのじゃ」

「なんでだ。混雑してたさっきならまだしも今なら手を繋ぐ理由ないだろ」

「そうじゃの、しかし理由のない無意味な行動というのもたまには悪くない」

「まぁ、いいか」

 

八代から差し出された手を、亮が取る。

 

「……ん、悪くないの」

 

彼女とは長い付き合いだがこうして並んで歩いたのは初めてだった。彼女が神だった頃は直ぐに敵対し、そのまま彼女を自分に取り込んだからだ。あの頃、周りなんか本当にどうでもよくて、神聖の手がかりがあれば何も考えずに、狂ったように食らい尽くした。世界を周り、なんの手がかりも無くなったところでやっと彼女は自分と会話をしてくれた。

悪くない。言葉で表すことは難しい。きっと彼女もそんな気分なのだろう。亮はこの無意味で何の価値もない、ただ無駄に時間を消費するのを、たまには悪くないと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

案外その無意味な時間も一旦終わりを告げるのは早かった。帰宅して昼食をとり、二人でまったり寛いでいたところでナナシから着信があった。もちろん、仕事の依頼だ。

 

「なんか最近頻度多くねえか」

 

基本的に仕事は一ヶ月に一度あるかないかだ。丸一年ない時もあった。それがこうも立て続けに来るのは珍しい。

 

『そこは我々も疑問に思ってるところだ。なにせ今回も殺害だからな。こんなに殺しが続くと少々今後が心配だが、まぁいつも通り安定装置からの依頼だ。もちろん遺体もこの世に残すな。そいつらのDNAは新世界に要らないらしい。あぁ、今回は記憶も要らない。座標を送る、その建物内にいる人間全てを殺害しろ』

「はいよ」

 

突然の仕事だが、内容は簡単でさして困るものではなかった。追跡やら尾行やらとなると時間がかかって面倒この上ないのだが、相手の居場所が割れてる上での発見イコール終了はとても楽なのだ。

しかし、人数が多い今回の仕事は手応えはあるが心配が残る。建物ごと破壊していいのであればなんの問題もないが、それができないとなると手間だ。中に入って片っ端から、見つからずにやる必要がある。しかし手間なだけでできないことはない。

 

「ふむ、ちょうどいいの。主!今日は妾がやってみよう!」

「なんでだよ。時間かからねえかそれ」

 

遺体を残さず処理であれば、発見次第、敵を魔力で掴み体に取り込めば済む話だ。周りになんの被害も出さず、確実に終わることができる。八代がそれ以上に有効な手段を持っているとは思えなかった。

 

「妾、久し振りに体を持って動くからの。たまには自分の力を振るいたいのじゃ。向こうと違って、こちらは平和すぎる」

 

確か、彼女は自分の集落に仇なす魔物や人を何十年も屠ってきた実績がある。平和ボケしたこちらの世界の者を処理できない道理はないだろう。たとえそれが何百年のブランクがあったとしてもだ。

 

「だが」

「主よ、心配してくれるのは至上の喜びではあるが、妾ならば全く問題ないぞ」

「あー……まぁそこまで言うなら任せる。一応ついては行く」

 

亮の心配は彼女の調子がどうとかそういうものではなく、やりすぎた結果、周囲の建物にまで被害を及ぼすことだが、日頃の自分の体を通して仕事を見てきたのだ。杞憂に終わるだろう。

 

「んー、主、お願いがある」

「なんだ?」

「建物すべてに、あれよ。ばりあーを張って欲しいのじゃ」

「……あぁあれか」

 

旧世界で食らった誰かがそんな魔術を持っていた。対象に対して膜を張り、全ての攻撃を無効化すると謳っていた。実際は亮の攻撃には耐えきれず破壊されたため、彼の能力になったのは言うまでもない。

 

「妾の攻撃で破壊されないものを頼む」

「おいお前どこまでやる気だ。つーか、それ相当労力必要なんだが」

 

その気になれば惑星一つ破壊できる攻撃を完全を抑えつける膜。張ろうとするならばそこそこ魔力を使う必要がある。それでもそこそこで済んでしまうあたりが魔人亮だ。

 

「建物も破壊できんように頼むぞ!」

「はぁ、わかったよ」

 

そのまま出入り口まで塞いでしまえばいいだろうと考える。確かにそうすれば中で何をしようと関係ない。誰も出入りできないのだから。

 

「んじゃ、行くかの!!」

「まだはええよ。真昼間からするわけねえだろ」

「ぬぅ、そういえばそうじゃった」

 

仕事熱心なのは結構だが、先が不安だ。

 

「楽しみじゃの」

 

体の感触を確かめるように手を開いて閉じる。久し振りの体で久し振りの戦闘を前に興奮気味な様子だ。たとえ相手が自分には及ばないゴミだったとしても、自分の体で動く。それそのものに楽しさを感じているのだろう。

 

「どうせすぐ終わる」

「それはどうかの。土壇場になって奇跡を起こし、進化し、超えて来るかもしれん。それが人間というやつじゃろ」

「お前も俺に似てきたな」

 

彼女のその言葉は、いつも亮が思ってることだ。人の力の凄いところはそこにある。

生存本能、守りたいもの、譲れないもの、負けられない理由、誰かのため。なんでもいい。強い意志があれば神にも匹敵する奇跡を起こして窮地を脱する。もしかしたら自分を殺してくれるかもしれない。亮はいつもそれに期待している。

 

「当たり前じゃ。妾は主なのじゃからの」

 

そんな八代の言葉を鼻で笑う。九尾の狐の再誕祭はもう少しだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月が綺麗な夜だった。ホログラフィックのくせに実物と遜色ない。見慣れた絵ではあるが、今更そんな風に思う。

 

「妾に相応しい夜じゃの」

 

いつもの巫女服に着替えた八代は亮と共に今晩の戦場である廃ビルの前に立った。ここまで来るのに車を使ったので、歩いているところを通報されるようなことはない。

それにしても、この現代風景に巫女服の違和感が半端無い。

 

「それでは主、手筈通りに頼む」

「あいよ」

 

八代がビル内部へ侵入した後に手でビルの壁に触る。初めて使う魔術だが、使い方は彼の中の誰かが知っている。無色透明の魔力の皮膜がビルをコーティングするように張り巡る。これでこのビルから出られるものも入るものもなくなり、密閉状態になる。今頃内部では停電に加えてガス、水道、ネットワークからも切断されているだろう。

 

「……まぁ、大丈夫だろ」

 

八代の光線に耐えられるか少々心配ではあるが、彼女の神聖さは亮に取り込まれた事でほとんど消失している。今の彼女に二つ名をつけるなら、魔獣の神、九之枝の一柱ではなく、九尾の狐だろう。

ならば破られることはないはずだ。

 

「ン?灰皿か」

 

だから紫煙を吹かせて待つことにする。彼女の巨大な魔力をもし見失うことがあるならば自分が行けばいい。その時は笑って仇討ちをするとしよう。ないだろうが。

 

 

 

 

 

 

「おい、どうなってんだ」

 

男はブレイカーが落ちているのを確認して、元に戻したのに電気が通らないことに喚く。

 

「水道もダメだ」

「ガスもつかねえぞ」

 

それぞれこの状況に対する言葉が交差する。

 

「そろそろ拠点の替え時だろうな。一度本拠地に戻る必要があるかもな」

「廃園か。親父はこええからなぁ」

 

元々ここはとある組織の仮拠点でしかない。そして彼らも下っ端の一部でしかないわけだが、それでもこの拠点もいずれは買い取った後に事務所として使用する予定だった。

 

「全部止められたってことは、俺らの存在が勘付かれたわけだ。諦めろ」

 

そういうことなので、さっさと退散し、次の仮拠点候補を聞き、移動するしかないのだ。

 

が。

 

「お邪魔するのじゃ」

 

そこに、堂々と巫女服のケモ耳幼女が現れる。

 

「……おいおいおい、ここはイベント会場じゃねえぞ」

 

突然の怪しい来客に驚きつつも、見た目からそういう警戒はない。

 

「上が俺らのお楽しみように回してくれたんじゃねえですかね?」

「こんな餓鬼回してどうすんだ。そういう趣味あるやついるのか」

「俺っす」

「いるのかよ」

 

実際は世界の誰よりも長寿だが、そんなことは知る由もない。

 

「ここには何人おるのかの?」

「八人だ。悪いが今はそんな状況じゃ」

 

男の言葉を遮る様に、彼女が右手を挙げた。

 

「さて、やるかの」

 

廃ビルの一室に彼女の声だけが響いた直後。

 

「……まずい」

 

彼女の背から八つの狐の顔の骸が湧いて来る。白い狐の顔の骨は浮遊し、光の宿らない瞳でそれぞれ敵と定めた男達を見据えている。その異常な光景は、正しく魔物。

 

「加減するのじゃぞ」

 

その言葉を皮切りに、狐の顔の骸の口から黒い光線が放たれる。

それはただの魔力だ。有り余るほどの魔力。本来無色透明で、そのものには害のない魔力。人の血液と同じで、消費されるものではない魔力。

 

ーーーーバン!

という耳をつく様な破裂音が響く。それは男の一人に命中し、塵芥残さず彼をこの世から消失させた。

 

「ん?色が違うの……主の影響か」

 

かつて自分が使っていた時は白かったが、誰かさんの闇に浸りすぎたせいか、はたまた神聖さが消えたせいか禍々しい黒へと変貌していた。それに威力も落ちている気がするし、浄化の力は感じられない。破壊の光線に変わっている。

 

「やべえぞ!」

 

男達はそれぞれ机に隠れたり、反撃ために拳銃を持ち出し彼女に向けて発砲する。

 

「おっと」

 

被弾しそうになるが、狐の骸が彼女の盾となり防ぐ。

 

「行くのじゃ」

 

八つの骸はそれぞれ机に向かって口を開き、放つ。残念ながら机なんてものは破壊の光線の前には盾にすらならない。机ごと人を消し去る。

 

「くっそ!なんだこれは!」

 

あの停電やらはこのせいか。とも考えるが、それどころではない。こんな魔術があってたまるかとも思う。が、それもそれどころではない。拳銃が通用しないものに対してどう立ち回り破壊すればいいのかがわからない。

 

「俺が相手する!そのうちにお前らは逃げろ!」

 

その場のリーダーが叫んで机から立ち上がった。その瞬間に魔術を使い、炎の球体を八代に向かって飛ばす。当然それは八代に当たることなく、狐の骸の光線に消される。ついでに光線はその男を消し去ろうとするが、右に転がって間一髪避ける。

 

「叔父貴!」

「いいから行け!」

「まぁ、全くなんとも微笑ましい光景じゃの」

 

さっきから放つ八代の光線は亮の張った魔術を貫通しない。そこそこの出力で撃っているのだが、破れることはなさそうだ。ならばきっと、彼らはどこに逃げても逃げられないだろう。

 

「(ほんと主はどうかしてる)」

 

この力で魔物の頂点に立ち、魔物の信仰を集め神格化したというのに、それをこうも簡単に止められるとは。

 

「(……妾じゃ主は殺れんか)」

 

八代の顔に一瞬影がさす。その瞬間に。

 

「うおおおおおおおお!」

 

隠れていた誰かが八代をナイフで刺した。

 

「……ん?」

「や、やった!」

 

脇腹を貫かれた。一瞬を気を抜いたらこれだ。気配を消した相手に不意を突かれる。

 

「バカ離れろ!」

 

誰かが叫んだ。なるほど、彼は分かっている。この程度で死なないことを。

 

「え、なん」

 

刺した者に右手を向けて、そこから光線を使う。床を破壊しない様に、顔だけ。

ナイフを手で抜いて、投げ捨てると傷口はすぐに塞がった。

 

「全く……手応えがないの」

 

そろそろこの遊びにも飽きてきた。あまり主を待たせるわけには行かない。そろそろ終いにする。

 

「適当に頼むぞ」

 

八代は足を翻し、部屋から出る。まだ上のフロアにもいるかもしれない。ならばさっさとそちらも終わらせる必要がある。

八代の命令で、狐の骸は部屋を縦横無尽に飛び回り、的確に敵を消滅させて回った。後には悲鳴と破裂音だけが響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

「待たせたの」

「ン、お疲れ」

 

ちょうどタバコを一本吸い終えた頃に、八代は階段から降りてきた。

 

「案外時間かかったな」

「少々遊びすぎた」

「遊べる相手だったか」

「まぁの」

 

こちらが床や天井に対して攻撃しないとわかると屈んだり、色々と対策を取って攻撃してきた。何人か飛び降りて逃げようともしていた。まぁそれすら叶わなかったわけだが。

 

「やはり人はすごいの。諦めない」

「まぁお前が一人取り逃がすほどにはか」

「ん?」

 

亮が顎で指した方向に人の首だけが転がっていた。これは階段から降りてきた人のものだ。逃げられると思ったのだろうが、逃げた先には亮がいた。希望を寸のところで消された残念な男だ。

 

「手間をかけたの」

「構わねえよ」

 

魔力でその首を自分体に触れさせ、体に取り込む。

 

「他も終わりのようじゃ」

 

言葉の直後、階段から狐の顔の骸が降りてくる。

これで全て終了だ。灰皿にタバコを捨て、壁に手を当ててバリアを消す。そのまま二人は雑貨ビルを出て車を停めた駐車場まで並んで歩く。

 

「そういやなんで九尾の狐なのにこれは八個顔なんだ?」

「外界の世界の伝記で九尾の狐というものは、魔力を蓄えた狐が九本の尾を持つと言われておったからじゃが、生憎、妾は魔力を蓄えた訳ではなく同士を八体食らっただけよ。だから、尾も九つあるが、顔も九つある。奴らの八つの頭と妾の頭を合わせて九つよ」

 

要はアプローチの違いから生まれた違いだ。九尾になるのに自然と魔力を蓄えたのではなく、魔力を持った狐を八体食らったから自身と合わせて九。本来の九尾の狐であるなら九つあるのは尾だけだが、この場合は顔も九つある。

 

「しかしそんなことは毛ほども問題ではない。重要なのは、九本の尾骶骨が動くより、八つの顔の骨が動いている方がカッコよい!」

「あぁ、そうかよ」

 

その実は果てしなくどうでもいい理由であった。




前書きと後書きって何書けばいいんですかねぇ
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