「ンし、綺麗になった」
全ての巨人の残骸を体内に取り込み、血痕やら骨やら肉やら。明日、極術師達が来た時に怪しまれない程度に場を掃除した。先程の黒の柱でできてしまったクレーターの部分等はそのままではあるが、別にこの世界にクレーターなんて珍しくも何ともないので放置している。
『2、3体じゃったか?』
『残しとけって言われたな。まぁ、出すか』
結局面倒臭くて全部殺してしまったので、先程の巨人を生成して体内から取り出す。亮の全身が黒く歪んでいき、巨人が現れていく。現実的に考えると大きさ的に出てくるはずはないのだが、出てきた後に肥大化していくという何が何だか分からないような状況だ。
そんなこんなであっという間に三体の巨人が出現し、クレーターで三体とも、亮が来る前と同じ様に立って虚空を見つめている。ちなみにもうその三体が亮に攻撃することは無い。そういう風に作った。
『ぱーふぇくとじゃの』
『少し時間食ったがな』
あの拠点を出てから現在までにかかった時間は三十分と少し。思った以上に時間を使ってしまった。まぁ本来、三十分でどうにかできる相手ではないのだが、その辺が魔人クオリティである。
『早いところ拠点に戻るか』
『うむ。ナナシ……と言うより、王の方は主にやらせたいことがあるみたいじゃったしな』
亮が王に電話した時のことだ。脅して外界遠征に出る事が決定したタイミングに八代は居なかったが、こうして八代を取り込むことで記憶は共有されている。
王が亮にやらせたいことの内容も分からないが、まぁどうせロクなことでは無いだろう。王から直接依頼されてロクな仕事だった事は過去に一度もない。
取り敢えず拠点に向けて足を進めて──と、その時、ピリリリリと仕事用の携帯電話が体内に鳴り響いた。携帯電話を右手に出現させながら通話ボタンを押して電話を取る。
「なんだ」
『終わった様だから連絡をさせてもらった』
「何かあったのか?」
『王から連絡が入った。やってもらいたいことが変更になったからプライベート用の番号を何時でもどこでも取れるようにしておいてくれ。だそうだ』
ちょうどその事を考えていたのでタイミングはいい。だが、やってもらいたいことが「変更」とはどういう事か。なんだか振り回されている気がする。
「分かった。ンで俺はこのあとどうすりゃいい?」
『好きにしていてもらって構わない』
「……分かった」
『では。戻ってきたら一言かけてくれたまえ。後、結界は壊すなよ』
「分かってる。ンじゃ」
言って、通話を終えて体内に携帯電話をしまう。旧世界に来て早々にやる事が終わってしまった。仕事が早く終わるのも考え物だなと思いつつ、やることはないが、やりたいことはあった。
『……行くのなら、妾は出ていこうか?』
『気にしなくていい。ただ、静かにしてろよ』
『ん、わかった』
愛菜達が来る時間まであと一日ならばと亮は拠点とは真逆の方向に進み始めた。
「帰る……か」
ポツリと呟いて、生い茂る木々の中に亮は消えた。
丁度その頃、新世界、ホワイト地区ではつまらなさそうに愛菜がデパートに向けて足を進めていた。
目的は明日の外界遠征に持っていくための日用品の購入。衣類は既に準備できてはいたが、歯ブラシやらシャンプーやら女子として身嗜みを整えるための物が不足していたのだ。買いに行かなくてはと朝からデパートへ。一人で行くのも味気ないので優衣も誘ってはみたのだが。
「私は義兄さんからこのお店の番を頼まれちゃったから、ごめん!」
と、張り切って下のフロアの書店に篭もりきりなので、仕方なく一人で歩いている。
「ひっと言もなく出てくんだもんなぁ……」
別に起こしてもいいから挨拶くらいして出ていって欲しかったと思う。いってらっしゃいとかいってきますとか、ちゃんと言えって言うくせに……なんて不機嫌な愛菜。
イライラしながら歩を進めるも、どこか落ち着かなくて、被っているこの前買ったキャスケットの位置を直してみたり。なんてしているうちに、前方の警察車両に気が付いた。
「(ひったくりとかかな?珍し)」
家の近所で物騒だなと思いつつも、日頃自分の方が物騒な事してるし、別に関係なさそうなので警察車両とは反対側の歩道を進む。あまり近くを歩いて職務質問を受ける。なんて言うのも面倒臭い。静かに気配を殺して通過しようとしたところで。
「あの、少しいいかな」
「(がっでむ!)」
たまたまこちらの方に視線を向けた警察官に声を掛けられてしまう。
「はい、なんでしょうか?」
足を止めて警察官の方に体を向ける。世の中には職務質問の拒否をする者もいるそうだが、一応愛菜は極術師。新世界の戦力の象徴の一部として受けざるを得なかった。
「実は早朝に、この路地で氷を扱う術師が倒れていてね。何か知っていることは無いかな?」
「知りません。向こうのマンションに住んでいますが、そういう音も聞こえてきませんでした」
こんな住宅街でよくやる物だと思いながら、質問に回答した。
「そうかぁ……あ、IDいいかな?」
「どうぞ」
言って、警察官はポケットの中から端末を取り出して愛菜へ向ける。直ぐにピピッと電子音がした。
「はい、ありがとう。これで協力してくれたお礼が……っ!?」
この新世界では公的機関への協力には謝礼が出る。缶のドリンク一本をタダで買えるとか、そういう小さいサービスではあるが、まぁ多少なりとも時間を割いてくれたお礼というやつだろう。
大変有難い話ではあるが、個人情報を確認してギョッとするのは頂けなかった。
「えっと、もう行っていいですか?」
「ど、どうぞ!お時間を頂いてありがとうございました!」
「失礼します」
警察官の端末には愛菜の身分証、名前と生年月日と顔画像、そして術位が表示されているのだろう。それを見て知って、態度が変わるなんてよくある事だったので、特に気に止めることも無く進み始める。
──極術師
その称号には、まぁ人の態度を変えさせるくらいの力を持っている。
そして、それを実感する度に、この新世界の小ささを思い知る。極術なんて言うのも所詮はこの狭い新世界での上限というだけの話なのだ。家にいる自分を除いた三人とかにかかれば、そんな称号なんて霞んで消える。愛菜はそれを見てきたし身をもって実感している。
加えて言うなら、愛菜は見ていないが、路地でもう溶けている氷が、それを証明していた。
「(……気を取り直してお買い物を……)を?」
「おっ……うあああっ!」
ダン!と、左側の路地から出てきた誰かが愛菜の前で盛大に倒れ込んだ。何となく嫌な予感がして足を止めたから良かった物の、あのまま進んでいればぶつかっていただろう。
「大丈夫ですか?」
「ってて……だ、大丈夫大丈夫。驚かせて悪い……ってあれ、根本さん?」
「…………あぁ、鈴木さん」
起き上がって顔を見れば、嫌なのに見慣れてしまった顔があった。
鈴木数馬である。見たところ今日は他に誰も居ないようだ。いつもなら誰かしら他の女性を連れているはずなのだが。と、そこまで考えて。
「(……これは、私が取り巻きになるパターン?うっわ)」
この流れからしてその可能性は非常に高いと思われた。
「こんなところで奇遇だな」
「……そ、そうですね」
そうなる前にさっさと立ち去ってしまおうと決め。
「じゃ、私は急いでいるので」
「あっ、ちょっと待ってくれ!」
これで。と、言い切ろうとしたタイミングで引き止められてしまった。控え目に言って最悪である。
「由紀……宮里由紀を知らないか?」
「……知っていますけど、何処にいるかは」
「そっか……じゃあ、シェイカー博士って聞いた事あるか?」
さてどうしたものかと困った質問が投げ掛けられた。知ってはいる。だが、話して良い物かという話だ。一応、博士には表と裏の顔があって、自分は裏の顔のシェイカー博士しか知らない。世間一般的に使える研究を発表しているのは知っているが、研究に協力してた時は専らヤバい研究ばかりだった。
だが考え方を変えてみれば、知られても大丈夫そうな研究内容の方を伝えてしまえば、そちらに気を取られて勝手に居なくなるのではないかと思い付く。
そうと決まれば早い。
「えぇまぁ。たまに研究にお付き合いさせていただきました」
「っ!頼む!何か……そう、すっごい魔術師を作る研究してたとか知らないか!?」
「とてつもなく抽象的で私には何が何だか分かんないんですけど」
すっごい魔術師を作るとは何か。極術師のクローンの話か、はたまた極術師に成長させる話なのか。
「あー良い表現が出てこねえ……心臓!すっごい魔術師!」
「心臓……?まぁでも心臓がどうのなら、ここの道をあっちに行って、七つ目の交差点を右に。二つ目を左に行ってから四件目の一軒家。そこが博士の没商品の保管庫になっていて、結構その類のものがあったはずですよ。あ、この事は他言無用でお願いしますね」
あそこの家ならば問題ないだろう。医療機器や電化製品とか、国を揺るがすほどヤバい物は無い。人体関で魔力の送受信のやり取りをする物はギリギリ怪しいかもしれないが、アレだって戦闘時に魔力が枯渇して戦えなくなった人を一時的に助ける様な装置だし──
「本当か!!助かる!ごめん俺もう行く!」
「はい、どうも」
っし!と、内心でガッツポーズ。もう今日はこれで関わらなくて済みそうだ。
「……また何かに首突っ込んでるんだろうなぁ」
術位向上事件、学校の稲妻の件、媚薬の件、デパートの襲撃、宮里由紀のクローンの件、一体どれだけの物事に手を出していくのやら。潜り抜けた修羅場の数なら、裏の人間にも負けず劣らずなのではないか。
「(私には関係なさそうだからいいけど)」
一応、これでも魔人に並び国の機密事項。彼が深淵の真実を知り、敵対する時があるとしたら。それはもう、数馬の方が新世界の敵になっているはずだ。
その日は実際に訪れそうな気がして──まぁいいかと割り切って再びデパートへと足を進るのだった。
翌日。この日はついに外界遠征当日である。ブルー地区の軍事基地での集合時間は午前9時。その後直ぐに出発式が始まる。
電車を乗り継いで大体2時間掛かるので、朝7時に家を出る。ので、色々と準備がかかるので朝6時に起床した。シャワーを浴びて、身嗜みを整えて二人分の朝食を作る。亮の様に手早く、それでいて手の込んだ物は作れないので、パンを焼きながらベーコンエッグとコンソメスープだけ作って、さっさと朝食を済ませる。
諸々の準備を終えきった時にはもう時刻は7時に迫っていた。最後の最後に大仕事が残っていて、それに立ち向かう。
「優衣ちゃん起きて〜!」
「すぅ……にーさん……ゆーすけ………裂いて……」
「?????」
一体彼女はどんな物騒な夢を見ているのだろうか。頭の中に大量の疑問符が浮かんだ。というか一体誰を裂けと言っているのか。気になるところではあるが取り敢えず早く起こさないと遅刻してしまう。流石に外界遠征は「いっけな〜い遅刻遅刻!」とはできない。
「ゆーいちゃーん!」
「おとー……ふっ……ふふふ……」
「ダメださすが神様の妹、世俗なんて知ってこっちゃないって顔して寝てる」
体を揺すっても起きない優衣に対して感想を述べつつ、もう普通の方法では起きなさそうだった。粘れば可能性はあるかもしれないが、本格的に遅刻してしまう。
「仕方ない、亮から教わった最終手段を使うしか……」
あまり使いすぎると耐性ができるから非常時以外は使うなと教えられた、優衣を起こすための手段。彼曰く、神の妹ならばこれで起きる筈だと。
「優衣ちゃん、マキさんがまた変な本拾ってきたよ」
言い切った直後。ガバッと勢いよく優衣が上体を起こした。
「はっ!あのバカ兄さんまたりょ……あれ?」
「おはよう優衣ちゃん」
「…………おはよう愛菜ちゃん……あれ……?」
何が何だか分からなさそうに優衣が首を傾げた。
「……大丈夫?」
「うん……ただ何か、絶対に許してはいけない全ての災厄の根源を滅ぼしたい衝動に駆られて……ってごめんなさい、何か用?」
「うん。私もう行くから、朝ごはん作ったのと、後これ」
言って、愛菜が優衣に一枚の磁気カードを差し出した。
「これは……」
「牛丼屋さんの定期券」
「?????」
今度は優衣の頭に疑問符が並ぶ。
「これがあればね、近所の牛丼屋さんで牛丼が一ヶ月食べ放題なの」
「は、はい」
「私思ったんだ。優衣ちゃん、家に誰も居なかったら飢えて死ぬんじゃないかって」
「え、えぇ、私だってインスタントくらいなら作れる……」
「インスタントは体に悪いよ。でも大丈夫、これで牛丼が食べ放題だから」
「べ、別にインスタントも牛丼も変わらないんじゃ」
「あ?」
「な、なんでもない、なんでもないよ。牛丼なら安心だね……」
一瞬、愛菜が本気で人を殺しそうな目をしたので、慌てて訂正する。
「そうっ!牛丼なら安心だから、学校に持ってくお弁当に牛丼を持って行っていいし、晩御飯も食べられる!それにこれを使えば卵も付けられるからね」
「あ、ありがとう?で、でも牛丼ばっかり食べてて太らないかな……?」
「んー、優衣ちゃんなら再聖があるから大丈夫だよ」
「一応、神の起こす奇跡なんだけどなぁ……」
確かに。過剰に摂取した部分を害と見なせばその栄養価だけ無かったことにできるが、そこまでしたいとは思わなかった。
「起こしちゃってごめんね、でも大切な事だったから」
「うん、わざわざありがとう。愛菜ちゃん、気を付けてね」
「ん。亮と一緒に、無事に帰ってくる」
優衣の言葉に、愛菜は笑顔で答える。この場には居ない亮が思っている以上に二人は仲良しだった。
「それじゃあ行ってくるね」
「うん、いってらっしゃい」
亮とはできなかったが、優衣に見送られて、昨日から何となくザワついていた心に、少し落ち着きを取り戻す愛菜だった。
午前9時15分。ブルー地区の軍事基地は、既に人で溢れ返っていた。官僚にメディアに、極術師達を人目見ようと一般の者まで。例年の何倍もの人が集まっている。
極術師総出の外界遠征は前例にない。この新世界に置いて魔術師の上限に位置するとされる五人を、一枚の写真に映せる機会はこれが初めてだからだ。
今はまだ五人の姿は見えないが、もう間もなく予定。集う者たちは今か今かとその時を待ち侘びている。
「深淵を生で見れる日が来るなんてな」
「あの子はよくテレビに出るから、個人的にはリフレクターの方が気になるかなぁ」
「もーちょっと前に行けないかな」
なんて人の声の数々が重なってガヤガヤ。といった具合。もはやアイドルか何かのイベントの様な雰囲気が流れている。これで極術師達が入場する時はもっと弾ける様な歓声に溢れることだろう。
だが、そんな空間に、ボンボン。と、音が響いた。至る所に設置された拡声器からの音であることは明白。
『時間だ』
直後に、声が響いた。現国王の声。もちろん彼がこの場に居ないなんて事は無い。この第三格納庫のもっとも奥、潜水艦が停泊している海面のほんの少し手前に立てられた即席の壇上に、王が立っている。
『まずはお集まり頂いたことに感謝を。そして静まれ』
最後の一言は喝の様な強い口調で紡がれた。
『さて、これから出発式を始める。興奮する気持ちは分かる。私だって極術師五人を送り出す側になるわけだ、興奮してる。けれど忘れるな、これは撮影会でも握手会でもない。これは、彼等を、この新世界の頂点たる五人を、地獄に見送る場だ』
場の空気が固まった。
『旧世界はかつて我々の祖が住まっていた土地らしいが、今はご存知の通り魔物が巣食っている。そして魔物達はとても、凶暴だ。魔物達からすればただの人は新鮮な餌にしかならない。公の場でこの発言は頂けないかもしれないが、これは明白な事実だ。我々はそういう場所に極術師達を向かわせようとしている』
彼の言葉を遮る音はない。誰しもが王の言葉に耳を傾け、聞き入っている。
『けれど彼等は決して、魔物の餌になりに行くわけじゃない。先祖の愛した土地を魔物の手から取り返す。そのために向かう。今回の遠征の目的は旧世界にある我々の拠点の整備、拡張、そして近くに住む魔物の撃滅。大した事ないように聞こえるか?しかしこれはこの新世界に置いて彼等にしかできない!』
強く言い切って、間を空けた。
『だから、君達は静かに見送ってくれ。携帯電話をしまえとは言わない。だが、地獄で我々の代わりに戦ってくれる彼等を、力強く見送ってくれ。話が長くなった。さぁ来い、最強の五人』
第三格納庫。その入り口の大扉から五人が並んで入ってくる。王の言った通りに、この場は静まり返っている。カツ、カツ、と彼等の足音だけが響く。
『静まってくれてるところ悪いが、一人一人私が解説しろってカンペ出されてるから解説する』
少々不服そうな声で王が言った。クスリと笑う声が所々から聞こえている。締まらないとかいうレベルじゃなかった。
『通り名はブラスター。真名はマグナス・スローン。恐らく極術師の代名詞だな。彼は産まれたその時から極術師だった。そしてその才に劣らぬほどの努力を重ねて、今この場に居る。彼の炎は、悪しき魔物を燃やし尽くしてくれるだろう』
ド真ん中を歩く大男。王によるマグナスの解説が終わる。彼はなんかそこそこ恥ずかしい紹介のされ方をされているのだが、まぁそれは意に介さずといった様相だ。いつも通りに、ただ真っ直ぐ前を見て歩いている。
『続いてドリフター、
「そ、そんなことしませんよ!!」
王の紹介に大声で反応したのは小さな少年。身長は愛菜と大して変わらない。茶色の短い髪の先端が少し赤色に染まっているのが特徴的だ。
他の極術師と足並みを揃えながらも否定の声を上げ続けている。
『あー、悪かった、次行くぞ?きっとここに居る全員、一度はその通り名を聞いた事あるだろう。絶対零度、宮里由紀。一族代々極術師の血統、今日は一段と冷たい目だな?』
「……」
王が茶化すも、由紀は答えない。いつもの彼女を知る者でないと分からないが、確かに彼女の目はいつもの様に凍り付いていた。果たして、目だけで済んでいるのかどうか、分かる者はこの場にはいない。
『…………よし次、知る人ぞ知る極術師、イエローで自警団してるって言えばコイツの事だ。名前は俺でも知らん、リフレクターで覚えとけ。ちなみに俺は認めてねえからな?』
「なら早いところてめえらできっちり取り締まれよ」
そう言うのは黄色い髪が長く下ろされているのが特徴的な青年。マグナス程ではないにしろ身長が高く、今は王に対して怒りの表情を作ってはいるが、傍目に見れば好青年といった様な雰囲気。
『全地区で警察隊の増員を予定している。今後一時的な物になるかもしれないが検問の予定も多く入っている。何の罪もない人も検問されるかもしれないが、許してくれ』
と、王はその言葉は雰囲気を変えて紡いだ。かと思えば直ぐに表情が崩れた。
『最後。原初の魔術師、深淵。根本愛菜。相変わらず黒いなお前』
「……」
『おいおい怒るなよ。てかそのパーカーに革ジャンにジーンズって。お揃いにしてき──ふぉぉぉお!?』
歩きながら革ジャンの内側に手を突っ込んで暗闇からナイフを取り出して投げた。もちろん王に当たることはなく、壇に突き刺さるに留まっている。もうこれ以上喋るなという愛菜の意思表示である。
『ま、まぁあれだ、やる気があるのはいい事だわ。全員なんか俺への扱いが大分雑なのが気になるところだが……これで全員の紹介は終わったな』
と、王が言い切るタイミングでもう既に王の立つ壇の前に極術師達が並び揃っている。真正面から見れば、圧巻というやつだろう。この新世界の上から五人が王を背にして立っている。まさに、これが新世界。そう言わんばかりの光景だ。
それを確認してから、王は再びマジな雰囲気を纏って、目付きが変わる。
『……さて、これからこの五人にはこの世の地獄に行ってもらうわけだが、私から言うことは一つだ』
少し間をあけて、王が言い放った。
『生きて帰って来い。健闘を祈る』
その言葉が言い終わってから、カメラのフラッシュ音が響いた。一つ、また一つと小さな光が弾ける。しばらくしてから、再び王が口を開いた。
『一つだとか言っといて二つ言った気がするが気にするな。これにて出発式を終える!!』
まぁ、なんとも最後の最後に締まらない王だった。
す〇パスが消える時、私の牛丼生活が終わる()
後なんか初期構想では極術師9人でした。ただなんか多いなと思って最初の書き溜めからは変えているのですが、修正しきれて居なくて9人になってたら書き直すので教えて頂けると幸いです