インフィニットストラトス 皇族の懐剣(投稿休止 再開日未定) 作:のんびり日和
颯馬が子供を連れて帰ってきたその翌日、少年は襖から差し込む陽の光に目をうっすら開ける。そして上体を起こしあたりを見渡すと畳が敷かれた和室の真ん中に敷かれた布団に寝かされていたと気付く。すると前の方の襖が開き一人の男性が入室してきた。
「おぉ、目を覚ましたか」
そう男性は言いながら少年の元に行き座った。
「あの、此処は?」
「此処は私の家だ。おぉ名前をまだ名乗っていなかったね。私は天城颯馬と言う」
颯馬は朗らかな笑みを浮かべながら名乗った。
「ど、どうも」
「うむ、それで君の名前は何と言うのかね」
颯馬は少年の名前を聞くが、少年は口を開こうとしたが徐々に口が閉じていき、呆然とした表情を浮かべる。
「なまえ。ぼ、僕の名前は……」
そう呟きながら何か思い出そうとしている様子を醸し出した。
その光景に颯馬はまさか。と心の中で懸念し質問を替えた。
「それじゃあ、君のお家は何処か分かるかね? 此処は○○県の××市なんだが」
「お家……。あれ、何で思い出せないんだろ」
そう呟き少年は落ち込んだ表情を浮かべていると、突然顔を苦痛で歪め横腹を抑えだした。
「ムッ! どうした?」
「だ、大丈夫です。ちょっと痛くなって」
そう言われ颯馬は少年をそっと寝かせた。
「無理に体を起こそうとしたからだろう。もう暫く寝ていなさい。後でお粥などを持ってこさせるからな」
そう言い颯馬は安心させるような笑みを浮かべながら部屋を後にした。少年は颯馬のお言葉に甘える様に布団にもぐり寝息を立てて眠った。
部屋を出た颯馬はそのまま屋敷の台所へと足を向けた。台所に到着し中へと入ると着物を着た女性が台所に立って料理を作っていた。
「あら、あなた。おはようございます」
「あぁ、おはよう雪子」
そう言い颯馬は中へと入り襖を閉じた。
「それで、どうしたのです? あなたが台所に足を運ぶなんて」
「うむ、昨日の子供が目を覚ましたんでな、胃に優しいお粥などを作ってやってくれないか?」
そう言うと雪子は驚いた表情を浮かべ颯馬の方へに顔を向けた。
「目が覚めたのですね。分かりました、卵粥を作って持っていきます」
そう言い雪子は小さな土鍋を戸棚から取り出し準備を始めた。
「ん……。…どの位寝てたんだろう」
颯馬が部屋から出て行った後また眠りについていた少年は、目を覚ましもぞもぞと上体を起こし時間を確認しようとしたが、時計が無く今何時か分からなかった。
「…お腹空いたなぁ」
そう言いきゅ~。と鳴るお腹を少年は、先ほど来た颯馬を探そうと思い立ち上がろうとした瞬間襖が開かれ、お盆を持った一人の女性が入って来た。
「あら、今起きた所かしら?」
「えっと、はい。あの…」
「あ、私は天城雪子。颯馬の妻よ」
そう言い少年の傍に近寄り座りその隣にお盆を置く。お盆の上に置かれていた小さな土鍋からは美味しそうな匂いが漂っており、少年のお腹からまたきゅ~。と鳴った。
「あらあら、お腹の虫が鳴いてるみたいね」
そう言い雪子はお盆の上に載せていた土鍋の蓋を開け、卵粥をお茶碗によそう。そして蓮華でお粥をすくい息を吹きかけ冷ます。
「はい、口を開けて」
「えっと、いただきます」
そう言い少年は口を開く。雪子は蓮華を口へと運びご飯を食べさせた。
「どう?」
「はい、美味しいです」
そう言い少年は笑みを浮かべ、雪子はよかった。と優しい笑みを浮かべご飯を食べさせ続けた。
次回予告
日に日に少年の傷は癒えて行く。颯馬は部下達に少年についての報告を聞く。そんな中、雪子は少年と護衛と共に外に買い物に出掛けていた。
次回
過去を知る少女~お兄ちゃん?~