僕と翔子はFクラス   作:青い隕石

13 / 36
遅れました。申し訳ありません。投稿ペースを速めなければ・・・


11話:メリハリはきちんとつけましょう

 「久保くーん!趣味ってなにー?」

 

 

 時間はまだ午前。意識を集中させ、目の前にある数式と格闘していた僕だったが、耳元で響いた高い声によって中断することとなった。

 シャープペンシルを置いて顔を上げる。悲しきかな、その声を最初に聞いてから半日も立っていないというのに、聞いてからすぐに顔が思い浮かんでしまう。悪い意味で。

  

 

 「相変わらず元気な声だね、工藤さん」

 

 

 「へっへーん、それが取り柄だからね!」

 

 

 眼鏡の位置を直しながらその声の人物に向かって言葉を返す。隣の席には、腰に手を当ててドヤ顔をしている工藤さんの姿があった。ものすごくウザい。誇らなくていいのだが。むしろ抑制してほしい。主に僕の平穏的な意味で。

 

 

 「それは結構だが、時と場所くらいは考えようか。今は私語を極力控えた方が・・・」

 

 

 「はぁ、分かってないなぁ久保君は」

 

 

 「・・・何がだい」

 

 

 ちっちっちっ、と人差し指を動かしながら語りかけてくる工藤さん。芝居がかった動きの為か、さっきより3割増しでイラつく。自分でも久しぶりに低い声を出したと感じたが、何の影響も与えなかったようだ。

 そして工藤さんは両手を広げた。

 

 

 

 「先生がいない自習時間・・・それはイコール自由時間であーる!そんな簡単なことを知らないなんて、どう生きてきたのさ久保君!」

 

 

 「うん、とりあえずそんな公式はないからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 SHRが終わり、最初の授業の準備をしている最中、高橋先生に連絡が入った。先生は最初、驚いた顔をして、それは本当ですか?、などと質問をいくつかした後に慌てたような表情で教室から出て行った。

 去年からの学年主任だった高橋先生だが、あのような表情は見た記憶が無い。どうしたものかと考えていたが、変わるようにして西村先生が入ってきた。

 

 

 「皆いるか?立っているものは席についてくれ」

 

 

 一時的にせよ、先生がいなくなっていたため、グループを作ろうとしていた人がちらほら見受けられた。さすがに、鉄人というあだ名がついている西村先生の前ではしゃぐ勇気のある人はいなかったみたいだ。皆、大人しく席に着いた。

 

 

 しかし、1時限目の授業は西村先生ではなかったような・・・、というより生活指導担当だったような、と思っていた所、疑問に答えるように先生が言った。

 

 

 「新学期早々だが、試験召喚戦争がFクラス、Dクラス間で成立した。今日の午後から始まる。よって本日は自習となる・・・こらっ!騒ぐな!」

 

 

 自習、という単語を聞いた何人かがざわついたため、すぐに叱責が飛んだ。

 

 

 「はぁ・・・Aクラスのことだから心配ないとは思うが、私語は極力控えるように!もし自習中に教員が来たなら、その者の指示に従うようにしてくれ」

 

 

 それだけいうと、西村先生は急いで教室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・それがこのザマだよ」

 

 

 持っていたシャーペンを置いて周りを見渡す。さすがAクラス、西村先生の言葉を守り、全員が机に向かって一切言葉を喋らずにペンを動かしている。

 ・・・という光景は幻想の彼方のようだ。聞こえてくるのは勉強とは全く関係のない内容の会話ばかり、真面目に席について勉強しているのは10人いるかどうかで、その他は友達との会話、私的な目的でのPC使用など、ここが本当に最高学年かと疑いたくなる。そのことを隣ではっちゃけている痴女に聞いたら、

 

 

 「まーまーいいじゃん。ほら、Aクラスは公私の区別がしっかりできる人が多いんだって。頑張るときは頑張る、遊ぶときは遊ぶ!」

 

 

 「その基準でいえば、今は間違いなく公の時間のはずなんだが」

 

 

 「ボクは家でも勉強しているから大丈夫だって!」

 

 

 と、どう考えても筋が通っていない返答をされた。

 

 

 「諦めなさい、愛子に細かいことを求めること自体が間違ってるわよ」

 

 

 「・・・どうやらそうみたいだね」

 

 

 

 はぁ・・・とため息をつく。そうだ、初対面の時、雰囲気からして分かっていたことじゃないか。この人と自分は性格が180°違うと。

 

 

 

 

 「ぶー、なによ優子ぉ。そんなこと言ったら久保君がボクの事ずぼらな女だって勘違いしちゃうじゃん」

  

 

 「勘違いも何もその通りでしょ。学校でくらいシャキっとしなさい」

 

 

 「えーいいじゃ~ん。だらけきった優子のOFF時よりはよっぽどシャキぎゃん!?」

 

 

 

 後ろを振り返って話していた工藤さんの緑髪が一瞬にして視界から消えた。代わりに見えたのは親しき知人の顔。だが、鬼気迫るオーラをしていた。

 そして、ばっちり目が合う。

 

 

 

 

 「・・・久保君、今の話忘れなさい」

 

 

 「今の話?具体的にはどこからどこまでの範囲なんd」

 

 

 「全部よ、いいわね」

 

 

 「いや、全部って」

 

 

 「い い わ ね」

 

 

 「・・・分かった」

 

 

 

 なんだろう、肯定しなければいけない気がした。表情はいつもと変わらないはずなのに雰囲気が全く違う。

 まあ、これ以上聞かないようにしよう。誰だって知られたくないことの一つや二つはあるはずだ。親しき仲にも礼儀あり、という訳ではないが、彼女の今の態度からして深く掘り起こそうとすれば、痛い目を合うことになるだろう。

 

 

「いてて・・・もう、そんなに久保君に短所聞かれたくないの?やっぱり、気になる人の前では完璧人間でありたいってことかな~♪この、て・れ・や・さ・ん☆」

 

 

 「・・・遺言はそれでいいかしら?」

 

 

 「・・・・・・え、・・・い、いやー冗談だって、冗談!だからボクの右手はそっちに曲がらないからあああああああああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 ・・・こんなふうにね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はい、久保君。烏龍茶で良かった?」

 

 

 「ああ、わざわざありがとう、木下さん」

 

 

 「優子~ボクの分は~?」

 

 

 「自分で取ってきなさい」

 

 

 「・・・ジーザス・・・」

 

 

 

 1時限目が終わり、休み時間に入った。問題集も目標としていたページまで行き、一息つこうとしたところで、木下さんがドリンクバーから飲み物を持ってきてくれた。感謝して受け取り、一気に半分ほど飲む。飲み込むと同時に体中に水分が回っていったのを感じた。

 

 

 

 「久保君、少しいいかしら?」

 

 

 「何だ?」

 

 

 再びグラスを傾けようとしたところで、木下さんが改まった口調で話しかけてきた。

 

 

 

 「試験召喚戦争の事よ」

 

 

 「・・・ふむ」

 

 

 彼女の言葉を聞いて、言葉以上のことを悟った。おそらく、初めに自分が感じた疑問、彼女も考えているのだろ。

 

 

 「このクラスが危険かもしれない、ってことか」

 

 

 「!!」

 

 

 「図星みたいだね。僕もさっきの時間、少しだが考えていた」

 

 

 

 いきなり話の核心をつかれたことによって、木下さんが驚愕の表情を浮かべた。どうやら本当に考えが一致していたようである。まあ、その結論に辿りつかなければ、自分に話しかけてきたりはしていないだろう。

 試召戦争は大きなイベントではあるが、対象となるのは2クラスだけである。2クラスだけで勝敗を決定し、2クラスの間だけで事態は完結する。他のクラスへの影響は今回のように、授業が自習に変更されるくらいだ。対岸の火事といっていい。

 そのことを言うだけであれば、あの改まり様は不自然である。が、久保利光個人ではなく、学年次席としての自分に相談に来たのであれば納得できる。

 

「君の考えをさらに詳しく当てて見せようか?Fクラス対Dクラスの今回の試召戦争、普通に考えたらDクラスが勝つに決まっている。が、木下さんはFクラスが勝つと思っているんだろうね」

 

「そ、それは・・・まあ、あの2人がいるんだしね」

 

「それに加えて、姫路さんとブラッドエッジさんもFクラスだからね」

 

「・・・へ?う、嘘っ!?」

 

 声を挙げて慌てて立ち上がったことにより、いささか注目を集めてしまったようだ。他の生徒がこちらを見ている。木下さんは少し顔を赤くしながら周りを見渡して、席に座った。アイスコーヒーを口にし、声を抑えて言った。

 

「・・・いないわね、確かに」

 

「名簿でも確認済みだ。気の毒な事だが、Dクラスは明日から座布団とちゃぶ台になりそうだね」

 

「それはまた・・・笑えないわね、当人たちは」

 

 とてもではないが、あの4人を全員倒して勝利するDクラスの光景が思い浮かばない。南無三。

 

「そして、Fクラス代表がそれだけで満足するかどうか・・・ね」

 

「ないだろうね」

 

 木下さんの問いに即答する。彼ら、彼女らは一人一人が、極めて高い点数を叩きだせる。特に吉井君と霧島さんは桁違いの成績だ。それをFクラス代表が戦争中、実際に見たなら・・・

 

「もしかしたら、DクラスどころかAクラスにも勝てるのではないか、なんて思いあがった考えをするのかもね」

 

「かも、じゃないな。するよ、絶対に。もしかすれば既に、その気なのかもしれない」

 

 

 そうなるとFクラス対Aクラスの試召戦争が始まってしまう。Aクラスレベルがたった4人とはいえ、あの4人である。絶対に勝てる、なんて保証はない。クラス設備にこだわりがあまり無いとはいえ、この設備のままでいれるならそうしたいのが本音だ。

 

 

 どうしたものかと考えていると・・・

 

 

「あ~、おいしい♪やっぱりオレンジジュースでしょ♪」

 

 どこぞのはっちゃけ娘の声が聞こえてきた。飲み物を取って、今戻って来たらしい。

 

「愛子、こんな時間からジュースなんて太る・・・」

 

 木下さんが工藤さんに注意しようと横を向き・・・不自然に声を止めた。気になり、自分も横を向くと・・・

 

 

「ふふ・・・私たちも混ぜていただけないかしら」

 

「よ、参謀。面白そうな話しとるな!加わるで!」

 

 

 関西弁の口調の男子、上品な佇まいの女子が立っていた。

 

 

「構いませんよ、アルカードさん。そして・・・・・・」

 

 

 クイッと眼鏡を挙げて答える。自分の視線は男子の・・・手に注がれていた。

 

 

「・・・代表、とりあえず両手に持っている大量の菓子類、どうにかして下さい」

 

「断る!食いもんは親友や!」

 

 

 

 一点の曇りも見えないその返答に、頭が痛くなるのを感じた。

 




鎮守府着任時
「お、この叢雲って子かわいい!秘書艦に決定だな!いやーこんなに早く嫁が決まるとは」


11月上旬
『軽巡、多摩です。・・・猫じゃないにゃ』
「!?」


2月14日・・・ケッコンカッコカリシステム実装
「多摩!結婚しよう!必ず君を幸せにすチョットムラクモサンドウシタンデアレナンデギョライカンコッチニムケギャアアアア!!」


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。