僕と翔子はFクラス   作:青い隕石

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14話:大声出しときゃ士気は上がる

 

 「だ、代表~!!」

 

 

 試験召喚戦争開幕。それから5分も経っていないうちに、教室に転がり込んできた人物を見たとき、嫌な予感がした。

 

 命からがら、といった状態で帰ってきたのは、開始と同時にFクラスへ様子見に行かせたクラスメートらの内の一人だった。だるそうな顔で出て行った時の面影などどこにもなかった。

 

 

 「どうしたんだ?」

 

 

 驚きつつも、突然のことで固まっている皆を代表する形で(実際自分がDクラス代表なのだが)話しかける。あ、今結構リーダーっぽいことできたな。

 

 

 

 「Fクラスがっ・・・すぐそこまで!」

 

 

 ・・・・・・・

 

 

 

 「「「・・・へ?」」」

 

 

 変な声が出た。無意識につぶやいてしまった。皆もそうみたいだが。

 

 Fクラス。自分たちと戦争をしているクラスである。すぐそこ。とても近くにいるという意味である。つまり・・・

 

 

 「・・・マジかよ!?」

 

 

 言うが否や、廊下を確認しようとドアを開けようとし、

 

 

 「・・・って代表!あんたが出ちゃ不味いって!戦闘申し込まれたら大変なことになるだろうが!」

 

 

 「代表落ち着いてくれ!」

 

 

 クラスメートに羽交い絞めにされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  須川だ。試験召喚戦争が始まって俺たちはすぐに教室を出て、Dクラスへ向けて一直線に走り出した。その数40人。クラスの5分の4である。地響きを立て、喚声をあげながら廊下を突っ走るその姿は、真面目な教師が見たら卒倒しそうな光景だ。現在進行形で、ついてきている若い教師がよろしくない表情をしているが、今は目をつぶって欲しい。

 先陣に半分以上の人数を投入するのはあれだが、代表の指示なのでやるだけである。いくらDクラス相手と言えどこの人数なら大丈夫なはずだ。みんなで逝けば、じゃない行けば怖くないのだ。

 

 

 さて、そのDクラスだが、新校舎の端にある。教室が挟み撃ちにされないという利点がある(と代表が言っていた。俺にはそんな細かいこと分からん)が、それを補って余りある欠点があるみたいだ。それを浮き彫りにする作戦を代表から言い渡されているが、俺たちでも出来る分かりやすいものだった。すなわち・・・

 

 

 

 「須川、敵が来たぞ!5人だけだ!」

 

 

 「OK!踏みつぶせ!」

 

 

 「「「おおおおおおお!!」」」

 

 

 

 戦いは数だよ兄貴+サーチ&デストロイ。単純明快、⑨でも分かる戦法だ。

 

 

 相手はこっちを見てヤバいと思ったのか、全員が回れ右をした。いくら格上とはいえ40人対5人じゃ勝負にならないのは明白である。その判断は正しい。

 

 

 だが遅い。

 

 

 「先生、お願いします!」

 

 

 「承認します」

 

 

 教師の声と共に、教師を中心とした透明に近いフィールドが広がる。近くにいたFクラスらはもちろん、逃げようとしたDクラスの面々にまで届いた。その数4人。

 

 

 「Fクラス須川亮、Dクラス4人に勝負を仕掛ける!」

 

 

 自分の前にまで広がったフィールドを見て観念したのか、4人は振り返える。1人逃がしてしまったが、上々だ。

 

 4人は振り返ったのはいいが、改めてこちらの人数を確認し、汗を流しながらじりじりと下がっていく。勝負を申し込まれてから出てしまうと失格になるのは分かっているはずだ。それでも下がるのは本能的なものだろう。

 

 

 もちろん、逃がすつもりはない。

 

 

 「試獣召喚(サモン)!」

 

 

 言葉を発すると同時に、足元に怪しげな魔法陣が出現した。白色に光ったかと思うと徐々に中央に収束し始める。それは人の形だった。

 

 

 光が収まると、そこには自分がいた。

 

 

 ・・・いや、それでは語弊が生まれる。自分そっくりの者がいた、と言い換えよう。

 

 

 全長は1mに届かないそれは、俺と同じ服装をしており、右手に薙刀を持っていた。銃刀法違反待ったなしの姿だが、誰も、教師すらも騒がない。

 

 当然である。その者に触れようと手を伸ばすが、何の手ごたえも感じずにすり抜けた。薙刀にも手をやったが、こちらもすり抜けるだけで、傷など一つもつかなかった。実体がないのである。

 

 

 

 

『試験召喚獣』

 

 

 

 獣、なんて物騒な文字があるが、それが先ほど現れた自分のそっくりさんの正体である。あのB・・・学園長が生みの親と言われているが、誕生した原因は全くの不明であり、今でも解析中なのだとか。

 

 そんな不安定なもの使うな、と言いたくなるが、聞かされたのは入学後だったため打つ手なし。よくよくパンフレットを読めば、学費の安さとの因果関係(要は、学費安くするから在学中に試験召喚獣動かしてデータ取られてくれ、というもの)に気付けたと思うが、そんなの見てる暇あったら寝る。

 

 

 話がずれたが、今召喚した試験召喚獣、縮めて試獣を使って戦うのがこの戦争の根本である。

 

 

 「くっ・・・試獣召喚」

 

 

 観念したのか、1人が小さな声でつぶやき、自分と同じように試獣を召喚する。他の3人もそれに習った。

 

 

 

 『 教科  日本史

  

  Dクラス 西川裕也  142点

  Dクラス 足立夏樹  122点

   Dクラス 星川彩   120点

  Dクラス 山中俊介  97点

       VS

  Fクラス 須川亮   161点』

 

 

「・・・はい?」

 

 

 いざ、突っかかろうとした相手がピタっと動きを止める。呆けたような表情。その視線は、俺の試獣の頭に表示された点数にくぎ付けとなった。

 

 

 「ドッキリ大成功・・・ってでも言われたような顔だな。生憎本当の事だ。日本史ならあんたらに負ける気はしないぜ」

 

 

 試獣に意識を傾けて念じる。すると棒立ちの状態から若干腰を落として、薙刀を構えた体勢になった。去年の授業で少ししか動かしていないため、動きがぎこちない。だが、それは相手も同じである。条件は同じ。勝敗を分けるのは点数の差、そして・・・

 

 

 「「「試獣召喚!!」」」

 

 

 『Fクラス生徒 39人  平均68点』

 「数の差じゃあああああ!!!突撃いいいいいい!!!!!」

 

 

 「「「ひゃっはああああああああああ!!!!!」」」

 

 

世紀末モヒカン顔負けの叫び声をあげながらたった4人を袋叩きにする光景に、教師は目を背けたとか何とか。

 

 

 

 

 

 「・・・嫌な、事件だったね」

 

 「いや代表まだ終わってませんから!確かに4人は今地獄部屋だと思いますが現在進行形で戦争続いてますから!」

 

 生き延びた者から詳細を聞いたときは、普段信じてもいない神に4人の冥福を祈ったが、クラスメートの女子の言葉で我に返った。

 起きてしまったことはしょうがない。まさか全力で突っ込んでくるとは思わなかった。が、読めなかったのは代表である自分の責任である。

 

 「すまん、誰か1人外の様子を見てきてくれないか?」

 

 「分かった」

 

 自分の言葉に反応した男子生徒が1人、教室の扉を開け・・・

 

 『ピシャン』

 

 速攻で閉めた。

 

 「どうした?」

 

 「あの、代表・・・目の前にいたんだが」

 

 「マジかいっ!?」

 

 「いやだから代表自らが確認しようとしちゃ駄目だって!」

 

 この目で見ようとして、再びクラスメートに取り押さえられて、床と友達になった。

 

 「すまない・・・とにかく、もう近くにいるんだな」

 

 止めてくれた生徒に謝り、一旦落ち着いて考えてみる。

 

 戦争が始まって、とりあえず偵察に行かせた5人、その内4人が戦死して補修室逝き。Fクラスはその勢いでDクラスの教室前近くまで来ている。

 

 ・・・あれ?

 

 Dクラスは隅にある教室であり、他の階に行くには、中央階段を使わなければいけない。

 その階段に行くに廊下を進む必要があるが、その廊下をFクラスに塞がれている。

 

 

 つまり・・・

 

 

「・・・閉じ込められた?」

 

 

 




プロ野球開幕。これで半年間は生きていける・・・!
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