僕と翔子はFクラス   作:青い隕石

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 誤字、脱字を発見した場合、教えていただけると幸いです。


1話:夢を見ずに現実を見ろってばっちゃが言ってた

 

 人間、絶望の境地にたどり着くとどうなってしまうのか、疑問に思ったことはないだろうか?逃れなりない悪夢に憑りつかれたときどうなってしまうのか考えたことはないだろうか?

 今思えば、僕はその答えを幼少のころに学んでいたのである。

 

 

 「俺の・・・小遣い・・・俺の・・・自由が・・・うふ・・・うふふ・・・うふふふふふふ・・・」

 

 

 某魔法使いの黒歴史を彷彿とさせる乾いた笑いを聞いてしまったのは幼き頃のトラウマの一つである。いつものように父さんと一緒に寝ようとして父さんの部屋に向かったのだが、小さく開いていたドアの隙間からその台詞が漏れてきたのだ。

 

 

 普段は聞いたことのない父さんの声。すぐに飛び込んで「どうしたのっ!?」とするべきだったのに、それが出来なかった。部屋に入ってはいけないような気がした。音を立てないように近づき、恐る恐る隙間から部屋を覗いてみた。

 

 

 「アハハハハ・・・・来月からなーんにも無し♪仕事、仕事、雨、仕事♪」

 

 

 部屋の真ん中でぶつぶつ言葉を漏らしながらくるくる回っている父さんの姿がそこにあった。時々ちらっと見える目は光を失っており、全身から灰色のオーラが出ていた。

 

 

 僕はそっと部屋から離れた。むちゃくちゃ怖いものがあった。何かは知らないが、知ってしまってはいけないことがあった。僕は生まれて初めて、自分の意思で一人で寝た。

 

 

 翌朝、こっそり母さんに昨日のことを話したところ、「明ちゃんは何も気にしないでいいのよ」とまぶしい笑顔で言われたため、それ以降は何も聞かないことにした。

 

 

 ちなみに、もう父さんと寝るのは嫌だ、一人で寝たい、とも言ったら何故か毎晩姉さんと寝ることになった。

 

 

 

 

 ・・・そんな十年ほど前の思い出を今さら語ってどうする?という質問にはこう答えよう。「今、この瞬間、あの乾いた笑いに秘められた感情が分かったからだ」、と・・・

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・」

 「・・・」

 「・・・は、ははは・・・翔子、Fクラスって、どこだっけ?」

 「・・・・・・目の前」

 「・・・・・・マジ?」

 「・・・・・・(コクッ)」

 

 

 

 文月学園旧校舎2階。ここは山奥の廃墟でしょうか?と聞かれたら一も二もなく頷いてしまいそうな現実が目の前にあった。

 

 

  

 

 文月学園の一学年は3月の初めに『振り分け試験』と呼ばれる試験を2日間かけて行う。一教科一時間で難易度はあまり高くないが、それまでの100点満点の試験とは違い、一時間どころか一日かけても終わるかどうかわからない程の量の問題を渡され、制限時間の限り解くことになる。

 

 

 入学当初から勉学に励んでいる者は天井知らずといった感じで問題を解いていき、勉強していないものは十数問といて止まってしまう、という光景がどの教室でも起きていた。 

 それを全教科で行い、その総合点数によって二年次のクラスを振り分ける。一学年の総数は300人、クラスはA、B、C、D、E、F、の6クラスのため一クラスに50人が入ることになる。

 

 

 ・・・ここまでなら大なり小なり他の学校でも似たようなことをしているだろう。が、文月学園のクラス分けにはもう一つ、特徴的なことがある。

 

 

 『設備の充実の差』である。「努力をしたものとしていないものが同じ環境で過ごせるのはおかしい」というBBA・・・学園長の方針の元それぞれのクラス設備には大きな差がついている。

 一番充実しているのはもちろん最上位のAクラスである。教室の正面には黒板ではなくスクリーンが埋め込まれており、天井はスイッチ一つで開閉できるようになっている。生徒の座る席はリクライニングシート(要望があればマッサージチェアに変えることも可能)、机には個人用のPC、エアコンが配備されている。また、教室の後方には菓子類やドリンクバーが置いてあり授業中以外であれば、自由にとって飲食することが可能である(全て無料で)。

 

 

 一ランク下のBクラスはエアコンが個人用から教室用に変わりPCもないが、リクライニングシートはついており、全国基準であれば上位に位置するほどの充実ぶりであることは間違いない。

 

 

 Cクラスとなれば一般的なイメージの教室となり、Dクラスからはエアコンが扇風機+小柄なストーブに変わる。Eクラスは使い古された机、椅子を使うことになり、個人ロッカーが無いため廊下に雑魚掛けすることになる。

 

 

 ・・・さて、残るはFクラスである。一つ上のクラスでさえ中古より二、三歩ジャンク方向に足を踏み込んだ備品が使われているのだ。Fクラスには既にガタがきている不良品が回されている、と考えるのが妥当だろう。

 

 

 が、現実とは想像より良くなることは少なく、想像以上に悪くなることはよくあるものなのだ。

 

 

 二人の眼前に広がっていたのはのオンボロちゃぶ台50卓と一目見ただけで綿が詰まっていないことがわかる座布団50枚だった。

 黒板には無数の傷があり「え、これ書いた字が読み取れんの?」と言いたくなるような惨状になっている。

 窓ガラスに関してはご丁寧にひび割れのオンパレード。「ここで銃撃戦でもあったのでしょうか?」と聞かれたら頷く自信がある。時々感じる隙間風は換気のためだと信じたい。

 床は畳が敷き詰められていた。なんだ普通じゃん、と一瞬思った人、あちこち変色している畳を見て同じことが言えますか?

 とどめの照明は電球二つである。まだついてはいないが、スイッチを入れたところで教室全体に及ぼす影響はたかが知れている。

 

 

 

 

 

 そんな素敵設備が堂々と目の前に君臨していた。

 

 

 

 

 

 「・・・・・・は・・・・・・ハハッ♪」

 「・・・明久、その笑い方は危ない」

 

 

 無意識に出た笑い声はあるキャラに似ていたが、自分がいる場所は夢の国の対極にある、現実という所だった。

 

 

 

 

 

   

 

 

  

  

 

 




ラグナ×レイチェルを書きますが、別にノエルが嫌いなわけではありません。ただ、ノエル以上にレイチェル(とハザマとν-13とジンとツバキとセリカとハクメンとテイガーとアマネとバレットとバングと帝様とココノエとアラクネとバングの部下B)が好きなだけです。
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