僕と翔子はFクラス   作:青い隕石

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話が進めば進むほど文章力が下がっていくのが駄文炸裂クオリティです。
今回もよろしくお願いします。


21話:敗軍の将にも優しく接するのが大人の醍醐味

 

 

 

 

「おいおい、出番ねえのかよ。折角この俺が真面目に受けていたってのによ」

 

 

 

 

 

 

 明久の奴が気合を入れながら教室を出て行って1分後、シン、と静まり返ったかと思ったら教室にいたクラスメートたちが一斉に叫び声をあげ、我先にと廊下に出て行った。ご丁寧にもドタドタという効果音付きだ。あまりのうるささに思わずペンが止まったほどである。

 元気がいい奴らだ、と考えながらまたペンを動かそうと思った時だ。

 

 

 「ラグナ君、そこまでです。ペンを置いてください」

 

 

 と、いう声が聞こえてきた。年季の入った声であり、生徒のものではない。顔を上げると、オンボロ教卓に手を掛けていた白髪の教師と目があった。声が聞こえてきた方向を考えても、この人が自分に話しかけてきたのだろう。

しかし、そこまでです、とはどういう事だろうか。回復試験の時間は1時間である。時計の長針はまだ一回転していない。

 

 

 「どうしt・・・ましたか?カンニングとかはしてませんよ」

 

 

 「いえ、たった今試験召喚戦争が終わりましたので」

 

 

 「ああそうですか・・・・・・・・・・・・はい?」

 

 

 相槌を打とうとした体が硬直する。一拍遅れて、廊下からの歓声が耳元に入ってきた。

 

 

 

 「勝ったぞおおおおお!俺たちがDクラスに勝ったんだあああああ!」

 

 「胴上げだあ!吉井を胴上げするぞお!」

 

 なんて声が聞こえてくる。それはどのように解釈しても、Fクラスの勝利を知らせる叫び声だった。

 

 ・・・おいおい、いくらなんでも早すぎるだろ。明久が出て行って状況が好転、最後の詰めに自分が出陣っていう作戦だったはずなんだが。大トリを飾れるかもしれないという事でいつもより1割増しで気合をいれていたんだが、鎧を着けて武器を構える前に敵がいなくなってしまったようだ。

 はあ、とため息をついて横に立っている人物を軽く睨む。

 

 

 「悪い悪い。勘違いしないでくれ、この結末に関しては俺も予想外だ。」

 

 

 苦笑いの表情で弁解の言葉を口にする代表。表情を見る限り、嘘をついているようには見えない。腹の中まで完璧に読むことはできないが、申し訳ないという気持ちは十分に伝わってきた。なにより、自分たちは勝ったのだ。こんなところで機嫌を悪くしても何の意味もない。

 立ち上がって途中まで書いた答案用紙を教師に渡す。できれば次回の戦争で腕輪を使えるくらいの点数は取ってあってほしいが・・・。仮に400点越えていなかったとしても戦えることは確かだが、どうせなら使ってみたい。Dクラスもあと10分くらい粘ってくれればいいものを、と無茶な要求を心の中で言い、固まった肩を動かす。

 

 

 「決まり手は明久か?」

 

 

 「相撲みたいな言い方だな。ああ、明久の腕輪で一網打尽、敵の戦力と士気を削り取っての勝利だ」

 

 

 「すげえな。一騎当千ここに極まれり、ってか?もう明久一人でいいんじゃねえのか?」

 

 

 「いや、今回は相手が油断してくれたのにも助けられた。次・・・も油断してくれるはずだがそれ以上は続かないだろうな。Aクラスの奴らなら明久の点数だって知っているはずだ。遅かれ早かれ、お前の力を頼ることにはなる」

 

 

 代表の呟きにはうなずくしかなかった。

 

 

 明久は去年の半ば、翔子と付き合い始めた頃を境に人が変わったように勉強をし始めた。授業中に寝る回数が極端に減り(無くなったとは言っていない)、放課後も自習室や補習室に積極的に赴くようになった。

 文月学園は一応は進学校という事もあって、部活も勉強もせずに帰る人はそんなに多くない。大抵の生徒は授業が終わった後も学校にとどまるため、明久の努力を目にする生徒が日に日に多くなっていった。ここで言う帰宅部に当てはまる生徒は勉強をしない、つまり現在下位クラスにいるような者が大半を占めているため(もちろん、帰宅部ながら上位クラスの生徒もいることにはいる)、FクラスのほとんどとDクラスの半数程度の生徒は、明久の実力に、今この瞬間まで気付くことが出来なかったのだ。

 

 

 「だが、次はどうするんだ?Cクラス以上はさすがに明久の実力を知っているから本気で来るぞ」

 

 

 「心配すんな、一通りの作戦は立ててある・・・先生、今から戦後対談をするので同行をお願いします」

 

 

 代表は軽く欠伸をして、教室の扉に手を掛けた。

 

 

 「ラグナ、お前はクラスメートが落ち着き次第、教室の片づけをしてくれ。明久のおかげで結局ちゃぶ台のバリケードは使わなかったけどな。終わったらそのまま帰っていいぞ。ああそうだ、明久には俺から声を掛けておく」

 

 

 「分かった」

 

 

 俺が返事をしたときにはもう、代表は廊下に出ていた。視線を水平にずらし、積み重なったちゃぶ台を見る。

 

 ・・・まあ、がんばりますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 教師と共に廊下に出てから、騒いでいた明久を初めとする生徒に指示を出した。バカ久の奴が胴上げされていたのには笑ったが、Fクラスの奴らにとっては試召戦争のMVP的存在である。あるいは救世主か。たった一人で勝負を決めたのだから胴上げしたくなる気持ちもわかる。とはいえ俺が話すや否や、明久を降ろし、すぐに教室に戻ってくれた。1日だけでこれくらいの信頼を受けられるようになったのは朗報である。

 願わくば最後までこの信頼が続いてくれればいいが・・・と考えながら、廊下の壁にもたれかかっていた一人の男子生徒に声を掛ける。そいつは両手で頭を抱え、首を振っていたが、だんだんと近づいてくる足音に気付いたのか、ゆらり、と顔を上げた。

 その表情は呆然、諦め、失意・・・ありとあらゆる負の感情を混ぜ合わせたようなものだった。周りに人はいない。Dクラス生徒のほとんどが補習室送りとなったみたいだ。確証が持てないのは、明久が腕輪の効果を発動する瞬間は教室内にいたため、見れなかったからである。今後の戦略を考えるためにも目に焼き付けておきたかったが、二発目が放たれる前に戦争が終わってしまった。

 

 (ちょっと危険だが前に出て確かめたほうがよかったか?・・・まあいい。腕輪の効果は明久から聞いているし、これからも見る機会はあるだろう。Aクラス戦までに確認できればいい)

 

 過ぎたことだと区切りをつけ、目の前の人物に話しかける。

 

 

 「Fクラス代表、坂本だ。これから戦後対談をするが・・・いいか?」

  

 

 目の前の人物・・・Dクラス代表、平賀は自分とその後ろに立つ教師を交互に見やり、一度ため息をついた。来るべき時が来た、という表情に変わる。

 

 

 「平賀だ。今回は完敗だったよ・・・自分たちが負けたからFクラスとDクラスの入れ替えをしなければいけないんだったな。今すぐに始めるか?自分らのほうはほとんどが補習室に連れて行かれたが、今の内に交換するべきかな・・・」

 

 

 平賀は感想もそこそこに設備交換の話を切り出してきた。声に張りは無い。あまり触れてほしくないのか、さっさと終わらせて帰りたいのか・・・はたまた他の理由か。

 ともかく、ポジティブな理由でないことは確かだろう。そう思いながら、懐から一枚の紙を取り出す。

 

 ・・・さて、ここだ。十中八九乗ってくれるはずだが・・・どうだ?

 

 

 「これが俺たちの要求だ。事前に鉄z西村先生に許可をもらっている」

 

 

 手にしているのは折りたたまれている一枚の紙だ。平賀に言えば怒られるだろうが、一週間前にDクラスに勝つことを前提として書いたものだ。

 設備交換だけだと思っていたのだろう平賀は困惑した表情を見せながら紙を受け取り、広げる。そして書いている内容に目を通していき・・・

 

 

 

 ガバッ!、と顔を上げた。

 

 「お、おい!?これは本当か!?」

 

 「ああ、絶対って約束はできないがそうなる確率は高いと思っている。どうだ?それでいいか?」

 

 

 「も、もちろんだ!」

 

 

 驚愕の表情を浮かべている平賀に、にやり、とした笑みを返す。

 

 

 「なら、さっさと終わらせよう。補習室組も早く解放されたいだろうし、職員室に行って手続きを済ませようぜ」

 

 

 

自分の言葉にうなずいた平賀は、3人で職員室に入るまで渡した紙を食い入るように何度も何度も読んでいた。まだ他のクラスは授業中のため、誰ともすれ違わなかった。

 

途中の廊下で外を見る。窓の外、校門付近に3つの影が見えた。3人の真ん中になって歩いているのは明久だった。明久は両脇に、黒髪とピンク色の髪をした二人の女子生徒を従え、学校から遠ざかって行った。

 

 

 

・・・これでいい。

 





 東方鈴○庵でうどんげが登場しましたが、なんだろう・・・ネーミングセンスが中二クオリティからおぜうクオリティに近づいてる気がしました。
 
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