僕と翔子はFクラス   作:青い隕石

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遅れてしまい申し訳ございません!

就活も無事に終わったため、ぼちぼち再開していきます。

これからもよろしくお願いします。



~補足~
明久ら友人グループの関係ですが

『明久、翔子』

Aグループ・・・ラグナ、瑞希
Bグループ・・・雄二、秀吉、ムッツリーニ

と別れており、明久、翔子は1年の時から全員と親しくしていますが、AグループとBグループは現時点では友達の友達のような関係です。









22話:一戦去って、また一戦

『Fクラス下剋上』

 

 その報は自習しながらも試召戦争の行方を気にしていた2年生、自らの経験から勝てるわけないと思い込んでいた3年生の間を瞬く間に駆け巡った。

 

 現時点では圧倒的な戦力差がある2クラス。文月学園と関わりのある者に聞けば10人中10人がDクラス圧勝で終わる、と答えるくらいの力の違いがあった。3年生や一部の教師は、1時間持てばいい方、1日持てば大健闘だとも考えていた

 

 それが蓋を開けてみれば、最初にDクラスを教室まで追い込む、その後長い間Dクラスを教室内に押し込む、戦争が終わった時点でFクラスは戦死者たった6人、とどめに開始1時間以内での決着という、仮に格下相手でもここまで圧倒するのは難しいと言えるほどの完勝を収めたのだ。実際にはDクラスは教室に押し込まれていたのではなく議論中で動かなかっただけなのだが、蚊帳の外から見ていた他クラスには分からない事情である。

 

 勝利に湧くFクラスを一目見ようとする生徒が多数いたが、自習とはいえ授業は授業、教室の外に出ることは許可されていなかったため、形だけ机の上に勉強道具を広げて周りのクラスメートと会話をする者が多かった。ただ、教室から出てはいけないと言われていたが、教室の扉を開けてはいけないとは言われていなかったため、体を半分廊下に乗り出して、リアルタイムで見学をする生徒はたくさんいた。

 

 新学期新クラス1日目、初対面の人々が多いクラス内ではあるが、「試験召喚戦争」という共通の話題が転がり込んできたため、自習中、戦争が終わった後もその結果をタネにおしゃべりを続けられる生徒が多かった。クラスメートとすんなり会話をすることが出来る話題を供給したという点では、Fクラスに感謝をする人も少なからずいた。

 

 さて、試召戦争の結果で会話をするとなれば誰もが持つこととなる疑問がある。

 

 Fクラスはどうやって勝負を決めたのか?

 

 試召戦争の一般的な勝敗決着条件は、いずれかのクラス代表が戦死すること、あるいは双方の代表の合意の上で戦争終結が決定されることが示されている。今回はDクラス代表の平賀が降伏を宣言し、Fクラス代表の雄二、およびその場に居合わせた教師が承諾という形となったための後者に分類される決着条件となった。

 

 降伏の意味は万人が理解しているが、簡潔に言うと自らの敗北を認め、それ以上の戦闘行為を中止することである。

 

 つまり、平賀がこれ以上Fクラスと戦っても勝てないと悟ったということとなる。実際、戦争終了時点でDクラスは5人も残っていなかった。どう頑張っても覆せないほどの人数差が発生したため、降伏したのか。

 

 だが、Dクラスは格上クラスである。なぜ、最低クラスのFクラス相手にそこまでの戦死者を出してしまったのか。

 

 一番の疑問点は、しかしすぐに解決した。先ほども言った通り、教室の出入り口を開けて戦況を見守っていた生徒は多数いるのだが、そのうちの何人かが、吉井明久が召喚獣を使っている所を目撃したのだ。広い敷地を誇る学園とはいえ、広がるのにそう時間はかからない。

 

 『何故かは分からないが、吉井明久がFクラスに所属しており、彼の攻撃で試験召喚戦争が終結した』

 

 上位クラスはそのような結論に至った。放課後も課題や自習のために残ることが多かった人々は、明久の努力をしっかりと目で見ていた。そして、その努力が見事に実となったことも知っている。久保や木下といった一部のメンバーは翔子を通して明久の学力向上プロジェクトに携わったため、むしろ今回の結果は当然だとさえ思っていた。

ともかく、明久の努力、実力を知る上位クラスの面々は明久がいると分かった時点で何故勝てたのか、その理由を見抜くことが出来たのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・上位クラスは。

 

 

 

 

 

 

 「へー、中々のモンじゃねーか」

 

 学生ズボンのポケットに手を突っ込みながら教室に入ったラグナは、内装を見るなり感嘆の声を挙げた。1日だけとはいえ昨日生活した山奥の廃墟とは似ても似つかぬ光景が広がっていた。

 

 世間一般的な学校机と椅子、傷の付いていない黒板に比較的新しいタイルの床。さすがにAクラスと比べれば雲泥の差だが、普通の教室といって差し支えない程度には元Dクラス教室は整っていた。

豪勢な生活に人は憧れる。もちろん自分もその気持ちがないと言えば嘘になるが、普通という言葉がどれだけありがたいことかをラグナは実感していた。昨日までこの場所にいた人々も今頃は普通のありがたさを身を以て実感していることだろう。

 

 時間は朝8時を少し過ぎたあたり。SHRまではまだ時間があるが、昨日と比べると明らかに教室にいる人数が多い。たった1日で生まれ変わった教室(実際は単に場所を移動しただけだが)を確かめたくて早めに登校したクラスメートが多いのだろう。かくいう自分もその一人である。

 

 ぐるっと教室を見渡し、つい昨日見知った顔を見つけ、そちらに足を進めた。その人物も自分の存在に気が付いたらしく、手を挙げて挨拶をしてきた。

 

「昨日と違って早いな、ラグナ」

 

「本来ならこれくらいは早いぜ、代表」

 

 笑顔でジョークを言ってきたのは昨日、FクラスおよびDクラス相手に堂々の立ち回りを見せた代表、坂本雄二だった。頑丈な教卓に腰掛けながら教室全体を見渡す姿勢はそれなりに様になっている。

おまけに、代表が見渡している教室全体には活気があふれている。代表の言った通りに動き、その結果大勝を収めることが出来たのだ。このままついていけばAクラスも夢ではない、と考えているのかもしれない。

 

「しかし見事なもんだな。たった1日でここまでランクアップできるとは」

 

「それは明久のおかげだ。さすがにあいつがいなければ初日からは仕掛けなかったさ」

 

「そうか・・・そうだな。そういや明久はどうした?あいつももう来ておかしくない時間だろ」

 

 会話をしながら教室内をもう一度見渡したが、試験召喚戦争のMVPとなった明久がいない。登校時間の詳しい把握はしていないが、少なくとも、いつも自分より早く学園に来ていたのだ。ついでに言えば、翔子と瑞希の2人もいない。

 

 「ああ、明久なら翔子、姫路とデート中だ」

 

 「朝っぱらからリア充全開かよ」

 

 にやにやしながら言ってきた代表の言葉に、反射的ながらも口を合わせた。つーかその言い方だと2股じゃねーか。もっとマシな嘘つけよ。

 

 「安心しろ、試験召喚戦争までには戻ってくるさ」

 

 「そっか、さすがに授業までにはもど・・・・・・」

 

 

 

 

 

・・・・・・は?

 

 

 何かおかしな言葉が聞こえた気がした。頭を掻いていた手を降ろし、まじまじと代表を見る。

 代表の姿におかしなところは無い。ついでに言えば、教室のざわめきも聞こえていることから、自分の聴力にも問題はない。ここ数年は病院の世話になったことは無いので、自分の体調には自信がある。

 万が一聞き違えたのかと思い、もう一度聞こうとして・・・

 

 

 

 

 勢いよく開かれた扉の音が、耳に飛び込んできた。

 

「Eクラス代表、中林よ。Fクラスに試験召喚戦争を申し込むわ!」

 

 

 自信にあふれた、その大声と共に。

 




鈴仙「私の時代が来たわ!」

咲夜「月と言ったら私のはずなのに・・・」

紺珠伝体験版でうどんげがガチで主人公していて涙が出ました。正直今までは虎の威を借る狐(兎ですが)のような人物だと思っていましたが、今回は「主役」という言葉が真っ先に浮かぶ言動をとっていました。成長したんだなあ・・・


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