「諸君、我々は何故、美少女に惹かれるのか?それは人間の、いや、生物の根本的な本能に従っているからだ。生物は例外なく、種族の存続、繁栄の為に子を産む。この時、ただ産むだけでなく、より優れた子を産み、次世代に繋げたいという感情が芽生える。美少女は優れた容姿を持つため、我々は無意識の内に惹かれ、その美少女との子を次世代に残したいという感情に支配されるのだ」
「「「サーー!!!その通りであります、近藤教官!!!」」」
「そして、それは女性にとっても同じこと。イケメンという優れた要素を持つ者に惹かれることは確かだ」
「「「しかし!!!それだけではありません!!!」」」
「そうだ!顔が良いというのは優れた要素の1つでしかない!身体能力の高さも要素の1つ!社会的地位の高さも遺伝に絡めれば要素の1つ!・・・そして!」
「「「頭の良さも要素の1つです!!!サー!!!」」」
「その通りである!頭脳明晰というのは列記とした女性が惹かれる要素の1つ!世の女性は賢い異性を頼りにするのだ!いいか皆!頭がいい奴はモテる!」
「「「頭がいい奴はモテる!!!それがこの世の真理であります!!!」」」
「それでは、我々がAクラスに勝利した場合どうなる!?」
「「「最高学年のAクラスよりも頭脳明晰という事になります!!!つまり・・・」」」
「「「「「俺たちがモテモテになるという事だああああああああああああ!!!!!」」」」」
「・・・・・・ねえ瑞希、あのクラスメート達に惹かれた?」
「いえ・・・惹かれたというか・・・引いたというか・・・」
「所詮は頭の良さも要素の1つでしかないってこと忘れてるなあいつら・・・」
「・・・・・・明久みたいな優しさも重要な要素」
教室に響き渡る男子たちの魂の叫びを、自分、瑞希、ラグナ、翔子の4人はなるべく距離をとって眺めていた。男子の一人が教卓の上に立って演説を行い、その周りを他のクラスメートが囲んでいる。どうみてもヤバい宗教である。というかそうとしか見えない。
こうなった原因は間違いなくあのゴリラにある。
SHRにおいて担任の先生からEクラスとの試験召喚戦争の旨を伝えられた。二日連続の試験召喚戦争ということで、さすがに嫌な顔を見せるFクラス生徒は多く、不満の声を挙げる者もいた。やる気が出たとはいえ元々が勉強アレルギー(重症)持ちの集まりである。むしろ当然である。
早く来ていた生徒はSHRが始まるまでに教室の改造、もとい整理をしていたみたいだけど、あまり乗り気ではなかったみたいである。昨日の戦争では自分の攻撃のせいで、苦労して築いた秘密兵器ちゃぶ台バリケードが秘密兵器のままで終わってしまったことにより、今日も使わないまま終わるのではないか、と思った生徒もいたらしい。うん、ごめん。自分もあの威力は予想外だったんだよ。
そういう訳で担任の教師が出て行ったあと、雄二に不満をぶつける生徒がちらほらいた。考えてみれば打倒AクラスはFクラスの総意であり、雄二一人で決めたことではないため、ひどい八つ当たりである。また、試験召喚戦争は最終目標の達成の為に避けては通れない道である。それを、2日連続続いただけで文句を言ったとなると、本当にAクラスに勝つ気があるのかと思ってしまう。・・・まあ、単純に言いたいことを言っているだけだとは思うが。
自分が雄二の立場だったら怒鳴りはしないが、負の感情の1つや2つが顔に出ていたと思う。しかし雄二は言いがかりに等しい文句を言われてもいつもの顔のままだった。ポーカーフェイスってレベルじゃねえ。むしろ外野である自分たちの方が苦い顔をしていたはずだ。
不満の吐き出しは5分ほど続いただろうか。クラスメートの一部が次々に口を開き、それを雄二が頷きながら受け止める、といった状況に変化が起きた。
不意に雄二が文句を言っている生徒一人に近寄って行った。笑顔のまま、である。
騒がしかった教室が静まり返った。
ヤバい、代表がキレた、という小声が聞こえてきた。・・・後悔するなら最初から言わなければいいのにと思ったが、止めることはしない。昨日以上に自業自得であるし、なにより面ど(ry
「坂本君っ!」
ゆっくりと歩く雄二の前に一人の生徒が立ち塞がった。・・・苦労を苦労と思わないクラスの清涼剤、瑞希だった。雄二を止めるのが面倒と思っていた自分、罪悪感がマッハである。
「た、確かに気持ちは分かりますがっ、その、暴力はいけません!」
「安心しろ姫路。そういうのじゃねえからよ」
勇気を振り絞ったのだろう、手を広げ、顔を紅潮させながらも道を塞いだ瑞希。雄二はそんな瑞希の頭にポン、と手を置きながらさりげなく力を込め、瑞希をどかした。自分が瑞希と同じことをしたら、もれなく熱い拳でどかされていただろう。扱いの差が違いすぎる。
「いや、我が親友のバカ久ならシャーペンで勘弁してやるよ」
「雄二、本当の親友なら暴力に頼ったどかし方を選択しないと思うんだけど」
「親友相手になら遠慮は必要ないだろ」
「わーお早速の矛盾」
舌の根も乾かぬうちの手のひら返しである。というよりシャーペンって昨日のあれですか?あの弾丸並みの速度で飛んできたシャーペンのことですか雄二さん?つーかもう手にしてるし。どうやって壁から回収したんだよそれ。そして元辿ればそれ自分のシャーペンなんですが・・・。
「まあ、さすがの俺も暴力は振るわないさ。ちょっとしたお話をするだけだから安心してくれ」
「・・・分かりました」
軽い口調で告げる雄二に対し、瑞希は暴力が無いという事が分かったのか、黙って引き下がった。瑞希自身も今回、クラスメートを庇うつもりはあまりないらしく、すぐに自分の席に戻った。いや、瑞希も最初は自分と同じく苦い顔をしていたから、雄二が動かなければその内瑞希が立ち上がっていたかもしれない。翔子もそうだったし。ラグナ?あくびしながら見守っていたみたいだよ。
ともかく瑞希がどいたことで、雄二の道を阻むものは無くなった。雄二の標的にされたクラスメートは、顔が青ざめる→瑞希の乱入で生気を取り戻す→再び青ざめる(今ここ)、という地獄から天国への往復列車を満喫した直後だ。
・・・顔をよく見たら、昨日雄二に焚き付けられてDクラス宣戦布告の大役を務めあげた人物だった。ああなるほど、そりゃあ文句も言いたくなるね。小町に会う寸前まで逝ったっていうし。雄二が覚えているかどうかは別として。
とかなんとか思っている間に、雄二が男子生徒・・・近野君?近藤君?いいや、コン君の前に立った。笑顔だけどすれ逆に怖い。コン君も雄二の顔を確認して体引いているし。
「な・・・なんだよ・・・?」
「なあに、少し耳貸してくれ。1分だけでいい」
「・・・へ、耳?」
「ああ」
身構えながら滝汗を流しているコン君、そこに届いたのは説教ではなく、雄二の意味ありげな言葉だった。軽く耳を塞いでいた自分にとっては朗報だったけど、雄二が話す内容が全く想像つかない。散々文句を言われていたから何かしらはあると思っていたけど、雄二がコン君に話し始めた言葉は小声で、こっちまで聞こえてこなかった。
・・・いったい何を話しているんだろう。と考えていた時に始まったのが今のあれである。今のFクラス生徒に不満や文句というものは欠片も見られない。全員がただ一つの目標に向かって一致団結している様は、何も知らない人から見ればこれぞ青春、輝いて見えるだろう。会話内容を聞けば一気に幻滅するだろうけど。
ともあれ、クラスメートのやる気が上がったのは事実である。
「・・・で、雄二。自分達は始まったら何をすればいいの?」
青春()を視界の片隅に収めながらいつの間にか隣に来ていた雄二に話しかける。士気を上げるのは結構だけれど、戦争の時間まであまり余裕はない。午前中から開始のため、教師の確保、作戦内容の確認などするべきことがたくさんある。仮にそれが無くても補充試験の時間が取れない。下手に20分ほど受けるよりは朝の内に受けた教科を軸に戦った方がいいかもしれない。
・・・もしかしたら、Eクラスが昨日の今日、それもこんな朝から戦争を仕掛けた理由は、自分の補充試験を嫌ったせいかもしれない。
だとしたら、昨日の雄二の指示は、これを見越したものだったのかと思い、寒気がしてきた。本当に雄二の頭はどうなっているのだろう?
「勝つためには最悪の想定から考えろ・・・ってな。まあ今回は簡単に行くさ。明久は最初、数人を引き連れてEクラスを受け止めてくれ。仮に30~40人ほど来てもお前の点数なら大丈夫だろう。ヤバくなったら合図をくれ。もう一つフィールドを展開して相殺させるから、その間に逃げてこい。相手さんの動きを見てその後の指示を考えるから翔子とラグナ、姫路はとりあえず待機だな」
「へえ・・・昨日と比べたらずいぶんシンプルじゃねーか」
「本来作戦はシンプルなほうがいいからな。ま、昨日より余裕が出来たし大丈夫さ。」
「・・・・・・分かった」
にやり、笑う雄二。この顔をした雄二は何かをたくらんでいることが多いけど、推測すること自体が不可能に近いため、黙って従うしかない。従って損はないしね。ちなみに本来相殺することはあまり褒められた行為じゃないんだけど、いまさらかもしれない。
床から立ち上がり、準備運動を開始する。と、直後にズボンを触られた感触があった。後ろを向くと、しゃがんだ体勢の翔子と目が合う。
「・・・・・・明久、埃を取るから待ってて」
「ああ、りょーかい」
翔子は自分の言葉を聞くとすぐにズボンのゴミをつまんで、集め始めた。30秒ほどで集め終えたのか、手にまとめてゴミ箱の方に向かっていった。
「羨ましいぜ、ああいう彼女がいて」
「・・・?ラグナだっているじゃん?」
「・・・羨ましいぜ、『ああいう』彼女がいて」
ラグナは翔子の方に視線を向けながらも、その焦点は遥か彼方にあるようだった。
「いるだけマシじゃねか」
「そうですよ!」
振り返ると、現在フリーの2人がいた。・・・雄二と瑞希なら相手から寄ってきそうなんだけどね。外見はいいし。外見は。
10時になり、試験召喚戦争の始まりを告げる専用のチャイムが鳴り渡る。それと同時に自分は数人のクラスメートと一緒に、廊下に飛び出した。
あれからクラス全体への簡単な作戦の説明があり、その後、やり残していた教室の整理に時間の大半を割いた。思ったより時間がかかり、雄二が5分前に複数の教師を連れてきた時にやっと終了した。
それからは雄二が連れてきた若い教師にすぐ動くことを説明し、伝え終えたところで開始である。予想以上にどたばたしてしまったけど、間に合ったし何も問題ないね(汗)
廊下に出ると、旧校舎側から男女入り混じって団体で爆走してくるEクラス生徒の姿が見えた。運動部の生徒が多いのか、瞬く間に距離を縮めてきた。あわてて声を挙げる。
「先生!お願いします!」
「承認します」
『日本史』のフィールドが広がり、一瞬で向かってくる生徒の半分近くを飲み込んだ。しかし、相手は臆することなくどんどんと向かってくる。展開を終えた10秒後には見える範囲内で全員がフィールド内に入った。性格まで体育会系が多いみたいである。
「大丈夫よ!吉井君は昨日の戦闘で点数を大きく消費しているはずだわ!一気に押し込むわよ!」
「「「「「おおおおおおおおおお!!!!!」」」」」
戦闘に立っている女子生徒の声に反応し、Eクラスが咆哮をあげた。・・・なるほど、やっぱりそれをあてにしていたみたいだ。
ふと後ろを見ると、さすがの多勢にビビったのか、数人のクラスメートが後ずさりを始めた。しかし、それに素早く反応した人物がいた。
「待ちなさい!Eクラス代表中林よ!あなたたち5人に勝負を仕掛けるわ、覚悟しなさい!」
さっきの女子だ。しかも代表!?・・・・・・先陣での指揮とはかなり強気みたいだ。だけど、今回はこちらの作戦勝ちである。
「逃げたりはしないよ・・・。『試獣召喚』!」
自分の声に反応して、魔法陣が生成され、召喚獣がでてきた。
相手の代表はああいったが、自分の点数は削られていない。むしろ昨日より増加している。雄二の指示のおかげで、朝一で補充試験を受けることが出来たからだ。補充しなかったら今頃冷や汗が止まらなかっただろうが、この点数なら腕輪を連発できる。ヤバくなったら逃げろと言ってたけど、腕輪を使えば自分だけでも勝てる!
「行くよ!皆も召喚して、なるべく一塊になって!」
クラスメートへの指示を出し終えると同時に、自分の召喚獣の具現化が完了した。
『教科 世界史
Fクラス 吉井明久 0点』
「「「「「・・・・・・へ?」」」」」
廊下の空気が止まった。
教室内にまで響いてきた、『戦死者は補修うううううう!』という野太い声。それを聞いたとある赤髪のクラス代表はニヤリ、と笑みを浮かべた。
東方紺珠伝について盛大に予想してみた結果
・夢世界のドレミー繋がりでカナちゃん出る!?というか出て!→出なかった
・ラスボスは間違いなく嫦娥!→クレイジーサイコレズだった
・EXでよっちゃん、とよねえが出るはず!→変なTシャツヤローだった
笑えよベジータ・・・