僕と翔子はFクラス   作:青い隕石

29 / 36
遅くなりました・・・今回もよろしくお願いします。


25話:敵を騙すにはまず味方から

 

 新学期2日目にして早くも2回目となった試験召喚戦争。そのFクラス VS Eクラスの初戦は、明久の戦死によって勝敗が決まったといっていいだろう。

 

 元々Fクラス先遣隊5人に対し、Eクラスは50人全員での突撃である。多勢に無勢、しかもFクラスのほうが点数が低いのだ。先遣隊に抜擢された4人は、相手が地響きを立てながら迫ってくるや否や瞬時に明久に期待の視線を向けた。自分たちで何とかしようという気は皆無のようである。ある意味自分の成績をわきまえているともいえるが、少しくらいは頑張ろうと考えないのだろうか。

 

 そんな状態だからこそ、明久の召喚即戦死を目の当たりにした彼らはこの世の終わりを迎えたかのような表情となった。

 明久の召喚獣の点数を見て顔が固まり、あっという間に消滅したのを見て何度も目をこすり、鉄人に担がれて去っていく明久の姿を見てようやく事態を理解したのか、ムンクのような表情となった。

最後に自分たちが召喚した召喚獣の点数を見て何かを悟ったかのか、はたまた憑き物が落ちたのか、穏やかな表情になったという。

 

 

 

・・・・・・廊下のFクラス生徒全員が補修室行きとなる、30秒前の光景であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「お前ら、扉を固めろ!」

 

 現Fクラス教室に居座る代表、坂本雄二は大声で叫んだ。

 

 まさか開始早々攻め込まれるとは思っていなかったFクラス生徒。事前の説明でも明久が相手の点数を削り、しばらくした後に突撃して中林を討ち取る、と聞かされていたためほぼ全員がリラックスムードだった。

 

 そんな所に明久戦死の情報が迫り来る大勢の足音と共に届けられたのだ。思い思いの格好で寛いでいた生徒らは慌てて片方の扉の前に陣取った。悲しいことに、今回は早くも机のバリケードが効果を発揮する場面が来たみたいだ。

 

 元々広いとは言えない教室のおかげか、すぐに扉の前に何重もの人だかりが形成され、直後に教室内の教師が承認し、『日本史』のフィールドが広がった。

 

 「何なんだよ!吉井の奴もうやられたのか!?」

 

 扉の前に陣取った生徒の一人が愚痴を漏らす。彼なりに思い描いていた展開とは(悪い方向に)かけ離れた現状に焦り半分、不安半分といった感情だ。前回はほとんど何もしない内に勝利したため、今回が実質上の初陣といえよう。悪態をつきながらもその瞳は揺れながら扉のほうを向いていた。

 

 彼を含めた生徒らは明久がどうやって戦死したのかを実際に確認していなかった。雄二に「5人の他は絶対に教室から出るな。いらない挑発をすることになる」と釘をさされていたためだ。おかけで扉から覗き見することさえできなかったのだ。

 

もし見ていたとしたら、吉井の奴がチョンボで補修室送りとなった、で済ませられたが誰一人その様子を確認できなかった。それは、

 

『もしかしたら吉井以上のエースがいるかもしれない』

 

という不安を生徒らに持たせる事態となったのだ。その所為でDクラス戦の時とは違い、Fクラスは決して士気が高いとは言えなかった。

 

 ガラッ!

 

 そこに付け入るかのように扉が開いた。試験召喚戦争中となれば、開けた相手は決まっていた。

 

 『教科 日本史

  Fクラス 41人 平均64点

       VS

  Eクラス 50人 平均97点』

 

 Eクラスは初戦の勢いそのままに突撃を敢行した。一致団結で一つの目標に突き進むという体育会系の強みを存分に生かし、幾重にも重なったFクラスの試験召喚獣をぶち破らんと武器を手に挑みかかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 こうして教室の入り口内でいきなり始まった本格的な戦闘。その端っこで、俺は1人の女子生徒に迫られていた。

 

「・・・雄二、どういうこと?」

「すまないな、黙っていて」

ご存じというか、明久LOVEを貫く才色兼備、霧島翔子だ。通り過ぎる男子生徒を必ず振り向かせるほどの少女は、今は万人を遠ざけるオーラを発している。

 

 簡潔に言うと、めちゃくちゃ怒っていた。オーラどころか背後から毘沙門天が出ているあたり、かなりヤバい。明久に貸したエロ本が見つかった時もこんな表情をしていたのかと思うと、わが親友への同情を禁じ得ない。その本が未だ返ってきていない所をみるに、翔子に処分されたと見ていいだろう。

 

 「・・・あの本、雄二のだったの?明久に変な本渡しちゃダメ」

 

 「悪い悪い、あいつがどうしてもって言ったんでな・・・ところでその本は」

 

 「処分した」

 

 即答である。あの本気に入っていたんだがなあと思いつつも、今はもっと重要なことがある。翔子と、そのすぐ後ろにいるラグナ、姫路を見た。

 

 3人にはあらかじめ、親衛隊という口実で傍に置き、俺の指示があるまでは試獣召喚をしないようにと伝えてある。Eクラスが攻め込んできた瞬間、姫路が駆け出していきそうになったが、ラグナに頼み何とか止めてもらって事無きを得た。おまけに明久はもういないため、今戦闘を行っている生徒はFクラス相当の学力しかない者ばかりである。とはいえ人数はほぼ同じ、加えて相手もEクラスのため、何とか教室の入り口付近で受け止めることが出来た。

 

 現在は一進一退の攻防が繰り広げられているものの、微妙に点数差があるためかFクラスがやや押され始めている。突破はされないにしても、何もしなければ時間の経過とともに悪化していくだろう。

 

 ・・・正直、Dクラス相手に明久一人で決着がついたのだから、今いる3人を戦線に加えればすぐにケリが着く。しかし、それでは『ダメ』だ。そもそも全力で勝ちに行くのなら明久という尊い犠牲を生ませるつもりはなかった。

 

 「ま、さっきの質問についてだが対Aクラス戦に向けての布石さ。今はとにかく実践経験を積ませたいと考えてな。犠牲になることは明久も了承済みだ」

 

 扉付近の激戦にも目配りしながら、小声で3人に話す。そもそも、前のDクラス戦でも少しくらいは戦わせる予定だったのが一瞬で終わってしまったため、最初から激戦にしようと思った所もある。ガンガンいくタイプのEクラス相手と戦闘となれば、さぞかしいい経験となるだろう。おまけに、精神的柱がいなくなったことで皆少なからず動揺している。逆に相手は、こちらのエースがいなくなったことでさらに勢いづいておる。言ってしまえば、前回と違って戦力的にも精神的にも万全とは言えない状態で格上と戦うことを強いられているのだ。その状況で戦った事実はAクラス戦で必ず生きる。

 

 ・・・要約するとその様な考えを、3人に話した。さらりと明久関連で嘘を混ぜたが、こうでもしないと彼女様の機嫌が戻らないからな。少し色を付けてゲームを貸せば明久もほいほい賛成してくれるだろう。(都合の)いい親友を持てて俺は幸せだな、うん。

 

さて、3人の反応は、ラグナは相変わらずの余裕そうな笑みを浮かべていたし、翔子と姫路は納得はできないが理解はできた、という微妙な表情をしていた。とりあえず翔子の怒りは収まったみたいである。

 

 「なるほどな、だとすれば俺たちを前線に送らないのもその為か?」

 

 「ああ、理解が早くて助かる。お前らが戦闘に加わっても雑魚狩りで終わっちまうからな」

 

 ラグナはすぐに悟ったらしく、壁に寄りかかってのんびりと観戦モードに入った。すまんなラグナ。今回もお前の出番はないから、ゆっくりしていてくれ。

 

 「うーん・・・坂本君の考えは分かりましたが、えーと、その・・・」

 

 そのラグナとは対照的に困惑した顔の姫路が、言葉を選ぶように口を開けた。指をもじもじとさせながら、何かを言おうとしてすぐに口を閉じる。

 

 どうしたんだ、と思ったが、ちらちらと扉付近の激戦に視線を送っているのを見てすぐに合点が行った。確かにやさしい性格のこいつでは言いづらいことだ。

 

 「どうした姫路、あいつらだけじゃ勝てないだろ、とか思ってるんだろ?」

 

 「もう少し言葉を選んで下さい!」

 

 キッとした表情で姫路が睨んできた。言葉の内容を否定しないあたり図星だろうが、どう表現するかで迷っていたらしい。翔子にも目を向けると、小さく頷いた。どうやら、女性陣は同じことを懸念していたようだ。

 ラグナはすでに欠伸をかいて、我関せずを貫いていた。自分の役割がなくなったらすぐにだらけているあたりが、明久と似ている。類は友を呼ぶとはこのことだろう。その分、次の試験召喚戦争ではきっちり働いてもらうつもりだがな。

 

 「確かに今戦っているメンバーだけでは厳しいだろうな。だから翔子、頼んだ。姫路はラグナと一緒に待機していてくれ」

 

 「・・・・・・?」

 

 俺の発言に翔子はきょとんとした表情を見せたがすぐに納得し、その足を激戦区に進めていった。と、その途中で振り返る。

 

 「・・・点数は?」

 

 「最初は使わないでくれ。あと、手も出すなよ」

 

 「・・・分かった」

 

 「・・・って坂本君!いいんですか!?」

 

 そこで、一拍遅れて内容を咀嚼した姫路が慌てて翔子を止めろうとした。・・・そっか、姫路には伝えていなかったな。

 

 「大丈夫だ姫路、少しだけの手助けだ。翔子は戦闘には加わらないさ」

 

 ほら、と翔子を指さす。姫路が視線を向けた先では、翔子が召喚獣の展開を終えていた。

 

 

 『教科 日本史

  霧島翔子 Fクラス 672点』

 

 

 ・・・いつみてもすさまじい点数である。あれで得意教科ではないというのだから恐ろしい。

 

 しかし、囲いの一番外側で召喚したためか、Eクラスには翔子の召喚獣は見えていない。言い方を変えれば、もっと内側に行かないと敵と対峙することはできないのだ。

 

 

 本来ならエースを内側に送るべきなのだが、今回は例外である。高い点数を持つ召喚獣は、武器を振るわなくても戦闘に影響を与えることが出来るのだ。

 

 静かに腕を前に出す翔子。その右手には、いつの間にか青色の腕輪が装着されていた。

 

 「・・・・・・『結界』」

 

 ぼそっとした小声が耳に入ると同時に、青いフィールドが召喚獣を中心に広がった。それは、瞬く間に召喚フィールド全体を覆いつくす。

 

 そして、これまた瞬く間に、戦場に変化が訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「教科 日本史

  Fクラス 霧島翔子   672点

  Fクラス 他41人  平均74点

       VS

  Eクラス 50人   平均81点」

 

 




ブレイブルーの新作が稼働したので早速ゲーセンに行ってきました。

・・・ハザマ弱体化してますねこれ(汗)

ウロボロスの性能が落ちた代わりに平均火力が少し上がった感じですが、ワイヤーアクション好きの自分としては以前より飛び回れなくなったのが痛いです。とはいえ稼働したばかりなので、これからの研究に期待しています(他力本願)




東方紺珠伝ではようやくレガシーnormalをクリアしました。個人的には過去最高難易度でしたが、完全無欠モードのおかげで思ったよりも早くクリアできた感じです。だがクラウンピース、お前は許さない。

その後、「紺珠伝を制覇した今の自分なら地霊殿normalで空に会えるかも」と血迷い挑戦しましたが、案の定お燐で詰みました。知ってた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。