僕と翔子はFクラス   作:青い隕石

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隔月更新がデフォになってきている感があるこの小説、しかも今回話進んでない・・・。




26話:唐突な考察は負けフラグ

 試験召喚戦争における重要な要素として、『腕輪』というものがある。これは科目試験で400点以上(総合科目なら4000点以上)もの点数を獲得した生徒のみが使用できる能力であるが、実際に戦争中に使われた記録は多いとはいえない。

 

 既に高い点数を取っているAクラス生徒らが手加減したのでは?という考えもある。しかし、過去に腕輪を手に入れた生徒らは出し惜しみなくその能力を発動させている。

 

 何故か?

 

 理由の一つとしては、そもそも過去に試召戦争自体が『思ったより』は活発に行われていなかったことが挙げられる。設備に不満のある下位クラスが上位クラスの設備を手に入れるために下剋上を目指すことが試召戦争の基本的な仕組みだが、下位クラスとなった者は一部の例外を除いて、勉強に関する意欲が薄い。クラス設備に惹かれることはあっても、その為に一生懸命勉強に取り組むという生徒はそこまでいないのだ。

 

 部活動に熱心な下位クラス生徒はどうか。彼らは、上位クラスの生徒らが熱心に勉強をしているように、物事に必死で打ち込めるだけの熱意を持っている。その熱意を勉強に向けさせれば一気に伸びるのでは?という考えもあったが、そもそも両方に打ち込める生徒はその時点で上位クラスにいる。下位クラスの生徒は、自分のすべてを注ぎ込んでいる部活動の時間を割いてまで、勉強に取り組もうとは思わない。

 

 要は、勉強に対する意欲がわかない&意欲はあるが物理的な勉強時間がとれない生徒が集まっているのだ。

 

 その点、今年のFクラス代表、坂本雄二の演説は絶妙であったといえる。彼は初めに『Aクラスの設備を手に入れる』と断言をした。過去の代表は、精々1つ上のクラスを目指し、クラスメートらに発破をかけた程度である。意欲のない勉強に必死に取り組んで、その報酬がちょっといいくらいの教室では割に合わないと自分勝手に解釈をし、やる気を出さない生徒も多かった。

 

 対する雄二の目標は、最上位設備である。そこまで大きな報酬があるなら、いくら意欲のわかない勉強アレルギー人でもやる気は起きる。さりげなく、『あとはお前らの頑張り次第』という旨のことを言って、しっかりと逃げ道をコンクリートで整備しているあたりは抜け目ないが。

 

 下位クラスが努力をし、それに危機感を覚えた上位クラスも勉強に励む。そのような相乗効果を期待している学園長にとっては、今年のような活発な年は正に望んでいた状況であるといえる。

 

 

 

・・・閑話休題。

 

 一つ目の意見は出た。さて、二つ目である。こちらは前とは逆に、高得点者が原因となっている。いや、そういってはかわいそうかもしれないが、一つ目よりは原因が分かりやすいのだ。

 

 簡単な話、1科目とはいえ400点以上取れる生徒がほとんどいないのだ。

 

 なにせ、最高クラスのAクラスでさえ、一科目の平均点数が200点台前半であり、300点を超えれば最高学年でも一目置かれる存在となる。それが400点越えとなれば学年のTOP10に名を連ねられるエースとなれる。

 

 そして、そんな生徒らは必然的にAクラスに固まることとなる。下位クラスにも一科目特化の生徒はいるが、数は圧倒的に少ないのが去年までの状況であった。

 

 

 

 ・・・さて、もしも下位クラスが腕輪の能力を乱発できるとしたらどうなるだろうか?その答えは今年の試験召喚戦争が導き出してくれるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どういうことよ!?」

 

 現Fクラス教室前の廊下で中林は湧き出る苛立ちを抑えきれなかった。

 

 Fクラスの先遣隊を蹴散らし(しかも警戒していた吉井が戦死)、そのままの勢いで教室に突撃したEクラスは、点数の差、士気の差よりどんどんと教室の扉付近に出来た包囲網を食い破っていった。さすがに代表ということもあって先鋒を他生徒に任せた中林だったが、戦況に気を良くし、あと少しで自らも前線に加わろうと考えていた。

 

 その勢いが急に萎んだ。

 

 いきなり召喚フィールドの色が青色になったかと思えば、自分の点数が減少してしまったのだ。いや、自分だけではない。Eクラス全員の点数が下がっている。さらに、見間違いでなければ、相手の点数が若干増えたように感じる。扉からちら見することしかできないが、50~60点台クラスが多かったFクラス生徒の召喚獣が、今では70点台が多い。結果、こちらの点数減少と噛み合って、点数の差があまりなくなってしまった。

 

 目に見えて、人の流れが鈍った。押し込んでいたクラスメートの足が止まり、一種のこう着状態になっている。

 

 それでもほんの少しずつ前に進んではいる。突撃の勢いと微妙な点数差が残っている証だが、結界が展開される前と比べると、雲泥の差であることには変わりない。おまけに片方の扉の先は机やら椅子やらが積み上げられており、こちらからの突入は不可能な状態だった。

 

 明確に見えていた勝利の道が急に隠れてしまい、思わず髪を掻き毟った。続けて壁を蹴り上げようと足を後ろに引いたところで、何とか思いとどまる。もし振りぬいていれば中々のサービスショットになっていただろう。

 

 「落ち着きなさい・・・」

 

 胸に手をあて、深く呼吸をする。中林はいったん閉じた目を開け、新たに展開された結界に目をやった。

 

 「恐らく腕輪の効果ね・・・。吉井君がいない今、ブラッドエッジさんが発動させたとみるべきかしら」

 

 激戦区域に目を移しながら一人、中林は思考の海に潜った。

 

 昨日の下剋上は、当然ながらその日のうちにEクラスの耳にも入っていた。ただし、体育会系部活動所属の生徒が多いせいか、まともに自習するものが少なく、勝敗が決した瞬間は体育館やグラウンドで思い思いにトレーニングをしている者が多かった(その生徒らはその後、きっちりと鉄人に絞られたが)。

 

 そのため、Fクラス勝利という情報を皆が共有したのは、決着がついた時からだいぶ経っていたのだ。

 

 慌ててFクラスについての情報を得るためにDクラス生徒を捕まえた所、吉井明久の腕輪によって全滅したと聞いた。

 

 『あの』観察処分者の吉井明久である。冗談かと思ったが、その表情から嘘は言っていないと感じた。半年前から霧島さんと交際をしていたことは有名なため、もしかすれば霧島さんに感化されて真面目になったのかもしれない。

 

 ともかく、その情報を基に集まったクラスメートを説得した。

 

 『Fクラスは腕輪の能力によるマグレによって勝利しただけ。予め知っていれば対策の立てようはある』

 『そして、吉井君さえどうにかすれば残るはFクラスのみ。楽にDクラス設備を手に入れられる』

 

 その提案に難色を示すものも少なからずいたが、多数決の原理を存分に利用して今日この戦争に持ち込んだ。

 

 昨日の今日を選んだのは、ひとえに吉井君の回復時間を取らせないためである。その目論見は見事成功したようで、最初に出てきた吉井は何もできずに補修室送りとなった。

 

 ・・・誤算といえばブラッドエッジさんがFクラス所属だったことか。試験召喚戦争を申し込んだ後に気づいてしまい、さらには相手の代表の口車に乗せられてしまったためほぼブラッドエッジさんの対策なしで戦争に突入することになったのが痛手か。

 

 

 ふと顔を上げると、心配そうな表情をしたクラスメートと目があった。

 

 「なんでもないわ!とにかく押しなさい!」

 

 ずっと声を上げていた状態だったので、少し黙り込んでしまったのを気にしたらしい。自分の声を聞いたその生徒は慌てて扉付近の激戦に加わった。

 

 (・・・大丈夫なはずよ。点数はこちらが有利、おまけに腕輪の効果は長時間続かないはず)

 

 自分に言い聞かせるように、心の中で反芻する。そう、大丈夫だ。Fクラスにはもう切り札はない。このまま攻勢を維持して腕輪の点数を消費させていけばいずれこの結界は消える。

 

 

 

 

 

そうなれば我々、Eクラスの勝利だ。

 

 

 

 

 




現在行われている東方人気投票で易者が大躍進していて思わずむせました。

原作では悲惨だっただけに少しは報われたのかなあ・・・





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