僕と翔子はFクラス   作:青い隕石

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えー・・・・申し訳ございません(土下座)

overwatchにドハマりしたり、新社会人になったり、overwatchにドハマりしたりで書く気力がわきませんでした。

一年ぶりとなりましたが、今回もよろしくお願いします。


27話:慢心、ダメ、絶対

 「・・・そろそろだな」

 

 戦況をじっと見守っていたが、無意識にその言葉が口から漏れた。

 

 Eクラスが突撃を掛けてきてから既に1時間半が経った。両クラスの一進一退攻防はその間休むことなく続いており、少しずつEクラス側に天秤が傾いてきている。

 

 翔子の腕輪でなんとか持ち直したとはいえ、点数差はある。どんなに小さなものであっても長期戦になればなるほど、人数差と点数差の影響はより濃く出てくる。あれからFクラスは12人が、Eクラスは9人が戦死しした。戦死まではいかずとも点数を削られた者を含めれば両クラスの半数以上に上り、今回の戦争がいかに激しいものであるかが分かる。

 

 こちらは著しく点数を削られたものを下げ、回復試験に回しながら戦っているが、相手は恐らくノーガード、不退転のままFクラスを押し切る気でいるはずだ。Eクラス代表を挑発した経緯もあるが、あの中林が押して引いての駆け引きを仕掛けてくる可能性は低い。

 現に、Eクラスからの圧力は一向に弱まる気配を見せないでいる。もし、回復試験なりを受けに戻っているとするならば、多かれ少なかれ攻撃の『波』があるはずだ。

 今回、相手のEクラスからはその『波』を感じない。ということは、戦争開始から現在に至るまで、常に全力全壊の精神で攻勢を仕掛けてきているはずだ。

 全力攻撃というものは、単純そうに見えて意外と侮れない。特に自分らのような格下相手には有効な手段の一つと言っていいだろう。策がないという欠点こそあるが、戦力差を最も浮き彫りにできるという大きな利点がある。対処しようにしても下手な策で対抗しようものなら、逆に勢いのまま食い破られてしまう怖さもある。

 策を弄するとは簡単に言うが完璧に実行するのは難しい。少しのタイミングのずれで相手に与える影響が激変してしまう。もちろん、策の内容自体に問題があるならば、それはもうタイミング以前の問題となる。

 

 ・・・今回の戦争において用意した作戦は、実を言うと一つだけである。明久の戦死から翔子の腕輪効果補助による戦闘、という流れをまとめて作戦としていたため正確に言えば一つではないが、他に策は用意していないため複数と言わなくてもいいだろう。

 

 さて、その用意している策だが、いよいよ最終段階に入った。後は戦況を見て、どのタイミングで発動するかである。最高のタイミングは、『相手の代表が教室に攻め込んできた時』だが、その瞬間に決まれば勝利確定と言っていい。

 

 だからこそ、その瞬間を見極めなければならない。

 

 「須川、ちょっと来てくれ」

 

 扉付近の戦闘から目を外し、椅子に寄りかかっていた生徒、須川の名前を呼んだ。回復試験も終わって採点待ちという名の休息を満喫していたのだが、その邪魔をされたことで若干眉を寄せる。

 彼は前回、Dクラスとの対決で見事に役割を遂行してくれた。序盤で相手を押し込み、反撃してきたところで自分を犠牲にし、明久の回復時間を稼いでくれた影のMVPと言っていい。Aクラス戦ではラグナを指揮官にしようかと考えていたが、今後の結果次第では須川に任せる可能性も出てきた。

 最前線の指揮官となると冷静な判断力はもちろん、長く指揮を執り続けられるよう、ある程度の点数もほしい。片方だけならまだしも両方備え持った人物となると、Fクラスでは片手で数えられるほど少なくなってしまう。

 

 「どうした、代表?」

 

 「仕掛けるぞ。お前に大役を任せる」

 

 彼をAクラス戦でどのポジションに就かせることが出来るか。自身の試すような目を認識したのか、須川の表情がさっきよりも厳しくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いける。

 

 大きく一歩踏み込んで突き出した槍が、相手の召喚獣を捉える。鋭い刺突を受けようと構えられたサーベルはしかし、簡単に弾かれ遠くへと飛んで行った。そのサーベルが地面に落ちる頃には、槍で体を貫かれた召喚獣の姿が薄れ、消滅した。

 

いける。

 

 微妙な均衡を保っていた戦線が、明らかに押しあがってきている。もはや教室内に食い込んでいるEクラスは自分を合わせて軽く10人を超えている。激しい喧騒の中、一歩、的一歩と相手の喉元に刃が近づきつつあるのがはっきりと感じられる。

 

 「いけるわ!みんな、もう少しよ!」

 

 感情の高ぶりを抑えきれず、大声を出して発散させる。おおう!と周りから返ってきた力強い声を聞きながら、新たな召喚獣と武器を合わせる。

 

 

 

 ほぼ一進一退だった攻防に変化が現れたのは20分ほど前のことだ。こちらが前に出ようとすると必ず反撃をしてきたFクラスだが、それが無くなったのだ。押し返す、から受け止める体勢になったように感じる。

 

 ついに戦力が切れたか?

 

 自分たちEクラスと違い、Fクラスは教室内で戦闘していることから回復試験も並行しているはずだが、知っての通り試験は1時間もかかる。早く切り上げることも可能だとはいえ、テストは100点満点ではなく上限なしの青天井式だ。30、40分で採点するとなるとどうしても点数に影響が出てしまう。

 戦闘での被害に回復が追い付かなくなったか?そうであるなら最大の好機だ。

 

 2、3人でいい。防衛網を突破できればあとはもう乱戦である。双方の総力が入り乱れた戦闘では相手も作戦の使いようがない。そして、そうなれば必然的に点数の高い自分たちが勝つ。

 

 要注意のブラッドエッジさんも1時間を優に超えて腕輪を使用してるのだ。もう脅威となるだけの点数は残っていないはずである。

 

 障害は、ない。はっきりとこの目に見えてきた勝利とつかむため、私は教室に押し入った。

 

 『教科 日本史

  中林宏美(代表) Eクラス 117点』

 

 相手の腕輪の影響で若干点数が下がっているとはいえ、日本史は最も得意とする教科である。多少の弱体程度では止められるはずがない。

 

 自分の姿を見たのか自分、相手双方の陣営から驚愕の声が上がった。慌てて話しかけようとしてくるクラスメートを一喝する。今は1秒も惜しい。

 

 「私も加わるわ!このチャンス逃したら勝てるもんも勝てなくなるわよ!」

 

 言葉を発しながら相手に切りかかる。あわよくば放心状態の敵を1人と思ったが、驚きからいち早く立ち直った相手に、薙刀で武器同士を合わせられた。軽く舌打ちしながら2回、3回と打ち合う。

 

 『教科 日本史

  木下秀吉 Fクラス 77点』

相手は、色々な意味で有名な木下さんだった。・・・本当に美人ね、性別を偽っているんじゃないかしら、と心の底から思う。少し、いやかなり妬ましい。思わず召喚獣を操作することに力を入れすぎてしまいそうになる。

 

 「な、中林よ、何故そんなにワシを睨んでおるのじゃ!?」

 

 「うっさいわ!誰が顔面ラストハルマゲドンよ!」

 

 「誰もそんなこと言うとらんぞ!?」

 

 私にも彼(彼女?)みたいな美貌があれば久保君にも想いは届くのだろうか。そこまで考えてハッとする。自分で1秒も惜しいと言っておきながら、戦闘以外のことに考えが及んでしまった。

 その顔で無意識に自分の集中をかき乱すとは・・・付き合いたい女子ランキング3位に入った実績は伊達でないということね。

 

 「本当にっ、厄介ねっ、木下さんは!」

 

 端から見れば八つ当たり以外の何物でもない行為でもあるし、自覚もしている。それでも世の中の不条理に納得すること何でできない。

 9割ほど私怨の混ざった槍の連続突きを、木下さんの召喚獣は死に物狂いで避けようと動く。だが、斬撃ならともかく刺突をそう何度もかわせるはずがない。数発目あたりから攻撃がかするようになり、その影響でどんどんと召喚獣の点数が削れていった。

 相手は反撃をしようとこちらの攻撃をかわした後に薙刀を構えようとするのだが、その暇を与えるほど自分は甘くない。攻撃に攻撃を重ねる猪突猛進。相手に攻撃の隙など与えるはずがない。

 援護を呼ぼうにも、我に返ったクラスメートらが相手への攻撃を再開している。相手もその対応で手いっぱいのはずだ。

 

 「ええい・・・!」

 

 猛攻を何とか凌いでいた木下さんだったが、このままでは負けると見たのだろう。躱した後の無理な体勢から薙刀を振るってきた。

 

当然、私はそれを待っていた。

 

 「もらったあああ!!」

 

 相手はワンチャンスにかけてきたのだろうが、それがやすやすと決まるならばワンチャンとは言わない。苦し紛れの反撃など躱すのは容易であり、躱した後の相手は隙だらけである。残ったのは体制を崩した相手の召喚獣のみ。

 前にのめり込むように駆け出した自身の召喚獣。放った槍の一撃は木下さんの召喚獣をしっかりと捉えた。

 

 『教科 日本史

  木下秀吉 Fクラス 0点』

 

 

「まだよ!狙うは代表ただ一人、防ごうとする者はねじ伏せなさい!」

 

 鉄人に連行されていく木下さんを見ながら、すこしだけすっきりとした私は、休む間もなく次の召喚獣に切りかかっていき、そして今に至る。

 もう負けは無い。唯一警戒していたブラッドエッジさんは、自分が教室に入って20分ほど経過しているのにもかかわらず前に出てこない。どうやら相当に腕輪の点数消費が痛いようだ。1時間以上発動し続けられるという時点ですごいのだが、これなら残りの効果時間もあとわずかと見ていい。回復が追い付かず、腕輪の効果も切れたとなったらあとはもうじり貧のはずだ。

 

 「せやああああああああ!」

 

 金属バットを構えた召喚獣に横なぎの一閃を与える。見事にクリーンヒットした相手は、はるか後方まで飛んで行った。

 

 「上田ああああ!」

 「お、おい、誰か代表を止めろよ!あいつさえ倒しちまえば勝ちなんだ!」

 「出来たらとっくにしとるわ!指示なしでどうやって倒せってんだよ!」

 

 戦闘の合間に相手の喧騒も聞こえる。どうも指示系統が狂って、個人個人の判断で動いているようだ。

 ・・・もしかすると木下さんが指揮を執っていたのだろうか?だとすればあの私闘が案外クラスの勝利に貢献していたこととなる。今頃彼女は鉄人の補修を受けているだろう。かわいそうなので、明日には1ランク下がったクラス設備をプレゼントをしよう。

 

 ふふふ、と含み笑いをしながら高らかに勝利宣言をした。

 

 「今よ!全員突撃!!」

 

 もはや相手は烏合の衆だ。私たちの突撃は止められない。

 

 おおおおおおおおおお!!と大きな歓声を背に受けながら、崩れかけている防衛網にとどめを刺そうと自身の召喚獣を突っ込ませた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時、音が聞こえた。

 

 『ガラッ!』

 

 

 教室の扉が開く音だった。

 




ここで翔子の腕輪の紹介を。

~翔子の腕輪~
フィールドに結界を張る腕輪。自身の召喚獣が存在するフィールドにのみ効果が発生する。

自チーム,敵チームの召喚獣の点数に若干の補正(10%~20%)をかける。点数消費は無し。(中林ドンマイ)

『結界強化』
1秒につき2点消費。両チームにかかる点数の補正を大きくする(20~30%)。

なお、かかる補正%は範囲内から完全にランダムで決まる。はっきり言ってチート。



今後戦う相手の強さですが、Bクラスを風神録ノーマルとするならAクラスは紺珠伝レガシールナティックです。代表と久保君の腕輪がチートすぎる。翔子よりチートです。・・・これFクラス勝てるのかな・・・?

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