時の流れは速いもので、ブレイブルーは無事大円団で締めくくりました。
公式がラグナ×レイチェルENDに近いもので感無量。やっぱりブレイブルーのヒロインは姫様だった(確信)
そして数年間追い続けている火ノ丸相撲という漫画も終わりそうでヤバイ。
明久は激怒した。
必ず、かの邪知暴虐のゴリラを抹殺せねばならぬと決意した。
ここまで怒りに身を支配されたのはいつ以来だろうか?鉄人の補修を受けながら自分の身に宿る憎悪を焦がし続けた。
あのゴリラを信じて受けた日本史の回復試験。しっかりと睡眠を取ったこともあり、過去最高ともいえる会心の出来だった。相手には悪いが、Dクラスよりも点数が低いEクラス。そして1時間フルに受けたことで昨日よりもさらに上がっている点数という最高の状況。
もう、何も怖くない状態で真正面からEクラス全員に対し、戦闘を仕掛けた。
2階全体に聞こえるほどの高らかな宣言。
派手な演出と共に具現化される召喚獣。
その頭上に映る『世界史 0点』
これ以上の恥はあるだろうか、いやない。あいつのことだ、ポカで異なる科目の先生を連れてきたなんてことはありえない。間違いなく、世界史担当の教師だと理解して、自分に託したはずだ。
何の相談も受けないまま、僕は雄二の描くストーリーの駒を演じる羽目になったのだ。死ぬことが確定している兵士を笑顔で前線に送りつける。こんな非道が許されるはずがない。
自信満々に散り、鉄人に担がれて退場する自分を、どこか可哀想な目で見つめるEクラス。時間経過と共に補習室に連れ込まれてくるFクラス生徒は、自分に向けてどこか冷たい視線を向けていた。ただでさえガラス製(100均)で出来ている自分の心は、既に粉々である。
2時間後に試験召喚戦争が終わったという一報が入ってきたが、補習はそこからさらに1時間続いた。計3時間、3時間である。あのババコンガの所為で自分はそれだけの時間、言葉にならない辱めを受けた。
この罪、万死に値する。
午後1時、補修が終了した瞬間に、自分は一陣の風になった。
喩えこの身が朽ちようとも、刺し違えてでもあの男を屠る。いつまでも僕が君の言うことを聞くだけの人形と思ったら大違いだ。地球上でただ1人、誰の変わりでもない『ボク』という存在がいる。操り人形でも、イエスマンでもない。意志を持った人間を弄んだその罪、思い知るがいい。
鉄人が何か話しかけてきたが振り向きもせずにすぐに補習室から飛び出した。ただひたすらに最短距離でFクラス・・・元Dクラスの教室に突っ込む。戦後対談を終え、やっと昼休憩に入った頃だろう。食事の最中という極めて無防備な時間帯、狙うにはもってこいだ。
階段を駆け上がり、新校舎の端に向かって一直線。何人も我を遮ること叶わず。過去最高と言えるスピードで僕は現Fクラス教室にたどり着いた。
そして・・・そのままの勢いで豪快に扉を開け放った。
「こんにちはあああああああ死ねやゴリラああああああああああああ!!!!!」
「・・・・・・よ、吉井君?」
入り口付近にいたのはDクラス代表、平賀君だった。
教室にいた生徒は、全員がDクラスの生徒だった。全員が、驚いたようにこちらを見つめていた。
この日自分は、恥の上塗りという言葉の意味を知った。
~時は遡り1時間前~
「こんなの勝ち目無かったじゃないのよ・・・・・・」
猪女が一転、意気消沈した様子で落ち込んでいた。
Eクラス代表中林。彼女だけが現Fクラス教室に残り、それ以外のEクラス生徒は自分の教室に返されている。戦後対談は代表同士だけで行えるため、正直その他はいてもいなくてもどちらでもいいことになっている。
勝利したならまだしも、敗北側での戦後対談など聞きたくないのだろう。代表に役割を任せて、全員が引き上げてしまったみたいだ。少しだけ、彼女に同情した。
まあ、勝ち寸前だと信じていた試合がひっくり返されて、しかも後から全然惜しくも何とも無かったと分かれば彼女でなくても気落ちするだろう。
自分の周りで教室の整頓を行っている3人・・・翔子、ラグナ、姫路の3人に目を向ける。ラグナが率先して机、椅子をもとあった場所に運び、翔子、姫路に加え秀吉や島田が掃除を行っている。
結論から言えば、今回の試験召喚戦争は予想以上の出来だった。
いくら翔子の腕輪の効果があったとはいえ、それでも点数は劣っていたし士気も低かった。そんな中でも必死に粘り、こちらの仕掛けが最高のタイミングとなる時間帯まで壊滅せずに持って見せた。
まだまだ課題は多いが、打倒Aクラスという目標は上辺だけではなかったと実感した。正直心の中ではラグナか姫路あたりを加勢に向かわせようか考えていた時もあったが、彼らを信じて正解だったみたいだ。
そして、今回も須川がいい働きをしてくれた。即席バリケードの解除と、Eクラスの退路の封鎖。最後に点数が削れていたとはいえ、中林にトドメを刺して戦争を終わらせた働きはMVPといっていい。
現時点で、俺がFクラスの指揮権を預けるとするなら、須川かラグナか翔子か。明久や姫路は咄嗟の機転に難があり、秀吉は須川以上に点数が不安定なので次点に留めている。
とはいえ、自分以外にクラスをまとめられる存在が複数人いるというのは大きい。代表がおいそれと行けない最前線。そこで一瞬の判断を逃さない頼れる現場指揮がいるといないとでは大違いだ。
出来ればもう1、2人は欲しいが・・・・・・それは次の機会だ。今は、目の前の事後処理に務めよう。
「吉井君とラグナさんだけかと思ったら・・・もう2人いるとか反則よおおお!」
小声ながらよく響く愚痴を繰り返している中林。自分がどれだけ無謀な挑戦に挑んだのか、今になって気づいたみたいだ。昨日、徹底的に翔子と姫路の存在を隠し、吉井と一緒に早く下校させたことが生きた。
「さて、中林。悪いが・・・・・・」
「はぁ・・・分かってるわ。悔しいけど今すぐに設備を・・・」
「その事だが待ってくれ。もう少しで来るはずだ」
「はい?」
来るって一体誰が?
そんな彼女の言葉に答えるように、教室の扉が開いた。立っていたのは男子生徒と女性教諭の2人だった。
「平賀君?それと高橋先生まで・・・」
中林が、疑問が詰まった声を出す。教室内に入ってきたのはDクラス代表、平賀源二と学年主任の高橋女史だった。組み合わせの意図が読めず、困惑している様子が見て取れる。
俺も、何も知らなければ首を傾げていただろうが、2人が来た理由は把握している。呼んだの俺だし。
頭をかきながら近づいてくる平賀に向かって片手を挙げる。
「よう平賀。Fクラス教室の1日体験を経て感想はあるか?」
「そうだね、中々刺激的だったよ。校舎の中で廃墟での過ごし方を学べたからね」
出来れば二度と御免だよ、と苦笑いを浮かべる平賀の姿を見て自分も少し笑った。廃墟とは言いえて妙だ。あの状況で平気な人物は、普段からごみ屋敷に住んでいる人種なのだろう。
確かにあの環境なら瞬間的に勉強への関心は高まるだろう。だが学力が上がる前にやる気が萎えたり身体に異常をきたしそうな気もする。今までのFクラスがどうやって1年間あの地獄に耐えたのかは興味がある。
ちなみに平賀の顔からは、もう1日たりとも居たくない、というメッセージが伝わってきた。やはり勉強するにも、最低限の設備は必要みたいだ。今度、あの学園t・・・妖怪ババアに掛け合ってみようか?
「高橋先生。今一度確認ですが、昨日言った処理方法で問題ありませんか?」
「はい。ルールにも抵触しておりませんし、設備ランク的にも問題ありません。あとはEクラス代表、中林さんの許可が降りれば承認と致します」
眼鏡をクイっと片手で直しながら、書類を確認する高橋女史。その言葉に、平賀がホッと息を吐いたのが見て取れた。
一方、自らが関与しない場所で着々と進んでいく話に我慢ならず突っ込んできた人物がいた。話の蚊帳の外にいた中林、その人である。
「高橋先生、一体どういうことなのですか?」
「ええ、実は・・・・・・」
一呼吸置いて、高橋先生が説明を開始した。
そもそもの始まりは、昨日行われたDクラス VS Fクラスの戦後対談である。
下位クラスが上位クラスに勝った場合、通常はクラス設備の交換が行われる。平賀もそれを覚悟して望んだのだが、相手側の代表、坂本から手渡された1枚のメモも読んだ瞬間、憂鬱な気分が吹き飛んだ。
その紙には、次のような内容が書いていった。
『今後、FクラスとEクラスの戦争が行われてFクラスが勝った場合、次の処理を行う。
・Dクラス教室にはDクラス生徒が配属される。
・Eクラス教室にはFクラス生徒が配属される。
・Fクラス教室にはEクラス生徒が配属される。 』
要はDクラスが元いた場所に戻り、EクラスとFクラスが教室を入れ替わった状態にするというものだ。
坂本は念のために初日に教師にも確認したが、勝者であるFクラスが通常の勝利条件以上に有利になる内容ではなく、Eクラスの設備降格も問題なく行われる内容だったため、相手の代表が承認すればと言う条件付で許可を降ろした。
明日から地獄の底辺生活が始まる平賀にとってはまさに、天から降りてきた1本の蜘蛛の糸に思えた。3ヶ月間もの間、あの教室で授業を受けることを覚悟していたが、それがなくなるかもしれない。
ただ、本当にそんな展開になるのかとも感じていた。試験召喚戦争は、下位クラスが上位クラスに宣戦布告した場合は拒否できないが、逆なら断ることが出来る。この場合の下位とは『設備』における下位という意味であり、Dの設備を持ったFクラスがEクラスに仕掛けても、拒否されるかもしれない。
それでも可能性がないよりは断然マシである、と思いながら過ごした新学期2日目、いきなり機会が訪れるとは思っても見なかったが。
「・・・とまあそんな訳だ。悪いがEクラスはFクラス教室に移ってもらうことになる」
高橋女史の説明を聞き終えた中林に俺は声をかける。ルール的には一段階降格という決まりも守っているため問題ない。
あとは中林が許可をしてくれるかどうか・・・・・そう思っていたら、彼女がゆっくりとこちらを睨んできた。
不満があるのかもしれない、と考えたがその口からはあきらめの言葉が漏れた。
「・・・・・・私が仕掛けようとする前から全部お見通しだった、って言う訳ね。坂本」
「全部ではないさ。不確定要素も多かった。だが中林。お前なら勝負を挑んでくるって信じてたよ」
「あなたに信じられても嬉しくないっての・・・。まあ、敗者の言葉ではないわね」
中林は一度顔を下げ、両手で自分の頬をパチンと叩いた。その後、吹っ切れたような顔で高橋女史に取り決めの受け入れを申し出た。
「・・・そんな対談があったんだね、戦争終わった後に」
「・・・ごめん、すぐに伝えにいけば良かった」
元Eクラス教室にして、現Fクラス教室。その隅で僕は翔子の胸の中で泣いていた。
Dクラスにダイナミックお邪魔してしまった後、平賀君に事の次第を説明された。話を聞き終え、顔をまともに上げられなくなった僕は、か細い声で謝罪をして、教室を後にした。
自分でも分かるほど真っ赤になった顔に突き刺さる、他のクラスからの視線。突撃の際に放った魂の叫び声は遥か遠くまで響き渡っており、廊下を歩いている間、ジャ○ーズ顔負けの注目をこの身一身に受けることになった。
穴があったら入りたい。既に全焼寸前の精神を抱えながら旧校舎に渡り、現Fクラス教室にたどり着く。
さすがにここまでは届いていないはず。さすがにここまでは届いていないはず。そんな祈りをこめて静かに扉を開き、覚悟を決めて顔を上げた先には、我らがクラス代表が立っていた。
・・・後ろを向きながら。
「おう、お疲れ、あき・・・ククッ」
バッチリ聞こえていたみたいだ。僕は本能のままに翔子に駆け寄り、抱きついた。もう死にたい。
その状態のまま、今に至る。周りから尋常じゃない殺気が飛んできているけどゴメン、今だけは甘えさせて。心の応急修理が終わるまで少しだけ待って。
「・・・よしよし」
翔子に頭を撫でられる。ああ、気持ちいい・・・。
「あ、あの・・・明久君っ!そ、その内きっと良いことありますから!」
「ごめん瑞希それ以上は言わないで」
少しずつ回復している最中に傷口を抉るマネは止めて瑞希。全く悪意がないことが分かっているだけに余計辛い。
結局、5分ほどで最低限の修理は完了し、翔子から離れた。もっとしててもいいのに、とは言われたが、さすがにこれ以上情けない姿は見せられない。既に下限突破してそうだけど。
「いやあ、悪いな、明久」
そんな中笑顔で話しかけてくる赤ゴリラ。元凶とは思えぬほどのさわやかな笑みに、怒る記憶も失せた。
「・・・雄二、作戦だったのならあらかじめ僕にも「ゲーム3本」いやあほんと作戦通りうまくいったね雄二!僕の戦死なんか名演技だったでしょ!」
文句を言おうとしたところで、真面目なビジネスの話が来た。ふふん、いつもいい取引をしてくれるんだから最高だよ我が親友は。
翔子が何かを察したような表情で、軽く雄二を睨んだ後にため息をついていたけど何だったんだろう?
翔子の行動に疑問を抱いていると、廊下から声が聞こえた。
補習から戻ってきたのかな?と思っていたら・・・・・・
「よう!邪魔するで!」
ノリの良さそうな関西弁が聞こえ、扉が開いた。
そこに立っていた人物、いや人物らを見て、固まった。
「まずは勝利おめでとう、かな?」
「まあ、あの4人がいるならEクラス相手には負けないでしょうね」
「久保君!?それに木下さん、工藤さん、アルカードさんまで・・・」
思わず声が出てしまう。挨拶と共に入ってきたのは、最高クラスであるAクラスの生徒だった。
「ふふ、お邪魔するわよ」
優雅に入ってきた一人の女子、アルカードさんを見て、ラグナが「げっ・・・」と低い声を出した。
いきなりの意図が見えない訪問に分からず戸惑っていると、入ってきた5人の内、唯一知らない男子が絡んできた。
「おうおう!他の4人は名前呼んだんに、俺だけ無視かいな!」
「え・・・あ、あーごめん、君の名m」
「あーそういえば初対面やったな!すまんすまん!はははは!!」
話しかけてきて返答を待たずに納得していた。返し方が分からずに黙ってしまったが、すぐに相手から次の発言がでてきた。
「そんなら自己紹介やな!俺は天王寺雄介!こんなんだがAクラス代表をやっとるで、これからよろしくな!」
・・・そんな衝撃発言と共に。
そういうわけで、やっとオリキャラを出せました。モデルはあってないようなものですが、彼の腕輪にはコンセプトがあります。
考え付いてから登場させるまでに6年もかかりました。こんなに遅くなった理由は何なんでしょうかね(滝汗)