雨が止むまで   作:シャール

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今回のラストからお話が動いていく・・・と思います




五日目

「楓ー、準備できたかー?」

「・・・・うん、大丈夫だと思う」

「よし、なら行くか」

 

楓の準備ができたのを確認して二人で家を出る

相変わらず天気は雨だが降り出した時よりもだいぶ雨脚は弱まっている

天気予報によると明日の昼過ぎには止む可能性があるとのこと

 

───────────雨が止んだとき、俺たちの関係はどうなるのだろうか

 

ふとそんな考えが頭をよぎる

最初の頃は深く考えなかったがその時が近いとなると嫌でも考えてしまう

俺は楓が幸せに暮らしていけるようにしてやりたい

その考えにいまでも変わりはないが─────────────

 

「・・・・雅紀、行かないの?」

 

楓に声をかけられ現実に意識が引き戻される

 

「───────あ、ああ。悪いな少し考え事してて、それじゃあ行くか」

「・・・・うん」

 

雨の中を二人で並んで歩く

楓には昔買って今は使っていなかった折り畳み傘を渡してある

俺には少し小さいが小柄な楓にはむしろ少し大きいぐらいだろう

 

「・・・・・・・・・」

 

その楓は親に会わないかどうかが気になっているのか不安げな表情で周囲を常に見回している

それにさっきから俺の方に寄っては傘に阻まれて離れるという行為を繰り返していて正直怪しい人にしか見えない

 

「・・・・・あー、楓? 不安なのはわかるからもう少し落ち着けって。見ててなんか怪しい人みたいだぞ」

「・・・・・そんなこと言われても」

「それなら前みたいに手繋ぐか?ってこれだと傘が邪魔なのか、それじゃあ────────」

 

言いきるよりも早く楓は自分のさしていた傘を畳むと俺の傘の中に入ってくる

 

「・・・・・これなら、いいでしょ」

「お、おう。確かにこれで問題ないな、でもこれって」

「いいから・・・・・ほら」

「あー、まあいいか」

 

結局諦めて楓の手を握る、手を繋いで歩くのは楓を家に連れて行った時以来だ

楓は手を繋いだ状態で俺の方に寄体を寄せている

・・・・・まあ雨に濡れないようにするにはこうするのが一番楽だし当然と言えば当然か

 

そのままバス停まで行くといつもとは違う路線のバスで駅へと向かう

流石に乗るときには手を離していたがなぜか楓が少し不満げだった

俺は人前では恥ずかしいのでまた手を繋いで歩くつもりはないが

────────────帰りぐらいならいいかもしれない

そのまま駅に着くと今度は電車を何本か乗り継いでいく

 

しばらく電車に揺られてようやく××駅に着いた

ここは大きなショッピングセンターや飲食店などが多く集まっていて買い物をするには困らない

 

「少し早かったか・・・・・?」

 

時刻は8時半、約束の時間よりも30分ほど早く着いてしまった

遅れるよりはいいと思ったんだが早すぎるのも考えものだな

 

 

 

「あ、センパ〜イ!早いですね〜」

「あいにく人を待たせるのは嫌いな性格でな」

 

いつもどうり彼女は初めて見る服を着ていた

膝下ぐらいの丈の黒のスカートで裾のところには白で花や模様が入っている、上はストライプ模様の白のシャツ、胸元には小さくリボンをつけていて頭には少し小さめなベレー帽がのっている

 

「相変わらず服のレパートリーが多いな」

「む~そこは『可愛いな、似合ってるよ』って褒めるところですよ」

「ハハ、死んでも言わん」

「そんな〜ひどいですよ~」

 

しかし、どうやら彼女も早く来るタイプだったらしい

これは家を早くでて正解だったな、あまり人を待たせるのは好きじゃない

 

「でも~、てっきり先輩は遅れて来るものだと思ってました〜」

「お前の中の俺の印象はどうなってんだよ」

「ふふふ、秘密ですよ〜。それで、その先輩の後ろにいる子がこの前話してた親戚の子なんですか〜?」

「ああ、そうなんだが──────って何後ろに隠れてんだよ楓」

 

気づくと俺の後ろで服にしがみついて隠れていた

 

「お前って意外と人見知りするタイプだったんだな」

「・・・・・・・・・そんなことない」

「その間は気になるが。なら平気だよな、ほら挨拶しろ」

 

そう言って楓を麻衣の前に立たせる

が、そこまでしてようやく思い出した。楓に口裏合わせをするのを忘れていた

素直に話してしまうと非常にややこしくなるのが目に見えているが・・・・・

上手く合わせてくれるだろうか

 

「はじめまして〜、私は岡崎 麻衣って言うの。よろしくね〜」

「・・・・・・・・三枝 楓って言います。・・・・・今は雅紀お兄ちゃんのところに居候してます、今日は・・・・・よろしくです」

「へ〜そうなんだ。私は先輩とは大学の先輩後輩でね〜毎日ラブラブなキャンパスライフを───────」

 

おかしなことを言いはじめた麻衣に軽くげんこつを落とす

 

「キャッ!も〜痛いじゃないですか、何するんですか〜」

「ありもしない事を楓に吹き込んだお前が悪い」

「は〜い」

「悪いな、こういうヤツなんだ。悪いヤツだけど仲良くしてやってくれ」

「・・・・・・さっきの話って」

「ん?ああ、嘘に決まってるだろ。てか、こいつの言うことは基本的に信じなくていいぞ」

「ひど〜い、私そんなに嘘つきじゃないですよ〜」

「どの口がそれを言うんだ? ん?」

「いひゃいいひゃい、ひゃめへふふぁふぁい~」

「ったく、ほらさっさと楓の服買いに行くぞ」

「む〜、わかってますよ。ほら楓ちゃんも行きましょ〜」

「・・・・・わかったから、手を引っ張らないで。それからもう少しゆっくり歩いて」

 

先を歩きつつこっそりと楓の表情を盗み見ると、口では文句を言いつつもその表情はどこか楽しげだ。麻衣の性格に助けられているのはなんとも言えないが、ここは感謝すべきだろう

・・・・・・口では言いたくないので心の中で感謝しておくことにしたが

 

「今先輩に感謝された気がします」

「んなわけないだろ」

 

───────どうしてこう女は勘が鋭いのだろうか

 

 

 

 

 

 

「楓ちゃん、こっちとかどう?」

「・・・・よくわかんない」

「も〜女の子なんだからもっとおしゃれには気を使わないとダメだよ〜」

 

麻衣が服を持ってきて確認して、それに楓が曖昧に答える

その作業を繰り返してはや30分、しかもこれは三件目だ

もうじき昼時になろうとしているが服選びが終わりそうな気配はない

 

「おーい二人とも、そろそろ昼になるがどうするんだ」

「え、もうそんな時間なんですか〜?」

「・・・・・疲れた」

 

麻衣はまだ選びたそうだが楓の方は久しぶりの外出のせいか少し疲れているようだ

 

「店が混む前に先に入っておいたほうがいいんじゃないか?」

 

俺の言葉に仕切りに頷く楓、そんなに休みたかったのか・・・・・

 

「そうですね〜、じゃあそうしましょうか」

 

麻衣の賛同も得られたことで目的が昼食を食べる場所探しに変わる

 

「楓ちゃんは何か食べたいものありますか〜?」

「・・・・・特にない」

「う〜ん、それじゃあ先輩のほうはどうですか?」

「ん?そうだな、ゆっくり食える場所がいいと思うが」

「む〜、あっ!それじゃあそこの喫茶店なんてどうです?」

 

そう言って指をさした店はあまり人がいないためゆっくりできそうではあった

それにランチメニューがあるらしく軽いものだがそれなりに食べるものもありそうだ

 

「そうだな、いいと思うぞ。楓はあそこでいいか?」

「・・・・うん」

「それじゃあ早速行きましょうか」

 

麻衣を先頭に歩き出す

ある程度距離が開いたのを確認してから今更だが楓に話をふる

 

「さっきは話し合わせてくれてありがとな、でもいきなりでよく合わせられたな」

「・・・・・別に、大したことじゃないよ」

「そうか?いやでも呼び方まで変えなくても良かったんだぞ?この歳になって『お兄ちゃん』って呼ばれるのは流石に恥ずかしいからな」

「・・・・・ふーん」

「え、なんでそんな含みのある笑い方した?」

「・・・・べつになんでもないよ『おにいちゃん』」

 

いたずらっぽく笑いながらそう言ってきた楓は先に歩いて行ってしまう

まさか楓からそんなことを言われるとは思ってもいなかった俺はしばらく固まってしまった

ようやく硬直がとけると、空を仰ぎつつ

 

「・・・・・・楓までアイツみたいになったら手に負えないぞ」

 

そう愚痴をこぼしてから後を追いかけた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え〜これもですか〜?」

「・・・・・やっぱり服はよくわかんない」

「む〜楓ちゃんの好きな服とかが無いと決まりそうに無いですね〜」

 

昼食を食べ終えて服選び再開、したはいいものの相変わらず苦戦しているようだ

 

「そうだ! センパ〜イ、ちょっと来てくださいよ〜」

 

少し離れたところにいた俺に麻衣が呼びかけてくる

 

「俺の意見は当てにはならないと思うが?」

「そうじゃなくて、先輩は楓ちゃんにどんな服が似合うと思いますか〜?」

「うーん、正直わからんからお前に頼ってるんだが・・・・・白い服とかが良いんじゃないか?あとは、普段見ないスカートとか」

「ふむふむ、わかりました。それじゃあ私が先輩の要望にそってコーディネイトしますね〜」

「いや、俺じゃなくて楓の要望を聞けよ」

「・・・・・私はそれでいい」

「本人の許可も取れましたし、早速行ってきますね〜」

 

そう言うと楓の手を握って歩き出す、付いて行こうとすると

 

「あ、先輩は来ちゃダメですよ〜。あとのお楽しみです♡」

 

お得意のウインクをかましてスタスタと歩いて行ってしまう

 

「だからなんでウインクしてくるんだよ。・・・・・・まあ待ってろって言われたし、大人しく待っててやるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2時間近く待っていると麻衣から電話がかかってきた

 

『もしもし〜先輩ですか〜?』

「他に誰が出るんだよ、あとまだ終わりそうにないのか?いい加減待ちくたびれたんだが」

『待てない男は嫌われますよ〜。それと、もう先輩の後ろにいますよ〜」

 

すぐ後ろから聞こえた声に振り返ると先程別れた麻衣が携帯片手に立っていた

手にはいくつか俺でも知っている服の店の袋を持っている、一着だけでは足りないと思ったのだろう、冷静な目を向けられた麻衣は少し不満そうな顔をする

 

「少しぐらいビックリしてくださいよ〜、つまんないじゃないですか〜」

「知り合いの声で驚くかよ、というか楓はどうした?」

「え?・・・・・あ、も〜そんなところに隠れてないで。はやく見せてあげよう?」

 

そう言って近くの角から楓を引っ張ってくる

引っ張られて来た楓は白いストライプ柄の袖の短いシャツを着ていて

お腹のあたりのウエスト調節用の紐は前でリボン結びされている

下は膝上丈の同じ白のスカート、裾の部分には白のレースが縫い付けてあって可愛いというよりも綺麗な印象を与えている

着ている楓は恥ずかしそうにモジモジとしてしきりに髪の毛をいじっていてこちらの感想を待っているようだ

 

「ほらほら先輩、どうですか〜?可愛いでしょ〜───────って、先輩?」

「・・・・・・雅紀、お兄ちゃん?」

 

何も反応を返さない俺を不思議に思って二人が声をかけてくる

声をかけられて意識が復帰した俺は慌てて反応を返す

 

「あ、ああ。悪いな、ちょっと驚いたから」

「驚いたって、何にですか〜?」

「あー、なんだ、その、あまりにも印象が変わっててな」

「・・・・・・やっぱり、似合ってなかった?」

 

そう言って楓は自分の服を少し悲しそうに見下ろす

 

「あーいや、そうじゃなくて。───────き、綺麗だって意味だよ」

「・・・・・え?」

「だから、いつもよりも綺麗になったって言ってんだよ。恥ずかしいからもう言わないぞ」

 

そう言うと俺は恥ずかしさから目をそらす

 

「・・・・・・うん、ありがと」

 

そう返してくれた楓の声色はとても嬉しそうだった

 

「あれれ〜先輩照れちゃってます〜? 可愛いとこもあるじゃないですか〜」

 

そう言って麻衣は下から悪戯っ子のような笑みで俺を見てくる

 

「そんなにからかいたいならなら好きにしろ、そのかわり服を選んでくれたことへの感謝はしないぞ」

「え〜、しょうがないですね。今は我慢してあげますよ」

「今後も我慢してもらいたいがな───────助かったよ、ありがとな」

「ふふふ、また頼ってくれてもいいんですよ〜」

「それは遠慮する、楓までお前みたいになったら困るからな」

「仲間が増えて私は嬉しいですけどね〜、っとそういえば楓ちゃんが渡したいものがあるんでした」

「ん? そうなのか?」

 

そういえば楓はさっきから左手を後ろに回して隠していた

 

「うん、えっと、これは私からのいつものお礼」

 

そう言って楓は紙袋を手渡してくる

 

「そんな礼なんて気にしなくても良かったんだが、いったい何を買ってきてくれたんだ?」

 

そう言って紙袋の中を覗くとそこには数本の花がまとめられて入っている

 

「この花、なんて言うんだ?」

「・・・・リナリアって言うんだって」

「ほー、確かにあんまり見ない花だとは思ったがやっぱり知らないな。

どうしてこの花を?」

「・・・・・最初に花を送りたいって言ったのは私・・・・それならリナリアって花がいいよって教えてくれたのが、麻衣さん」

「そうなのか?」

 

今度は麻衣を見てそう問いかける

だが、彼女は呼ばれたことに気づかずに渡されたリナリアと楓のことをどこか眩しそうに見ている

 

「・・・・・大丈夫か?」

 

体調でも悪いのかと思い額に手を当てて声をかけてようやく気付いたのかこちらを見てくる

 

「───────へ? ・・・・・ふえええええ!?」

「うわっ!どうしたんだ急に!?」

 

突然おかしな悲鳴をあげて飛び退く麻衣にさすがに驚いてしまった俺をよそに彼女は顔を真っ赤にしてこっちを見ている

 

「ど、どうしたんだってそれはこっちのセリフですよ! なんで私のおでこに手を当ててるんですか!?」

「・・・・・いや、呼びかけても答えないし。様子が変だったから体調でも悪いのかと思ったんだが」

「───────あ、ああ、そういうことでしたか。ならすみません、急に叫んだりして」

 

そう言って申し訳なさそうにする麻衣

 

「いやまあ、なんともないならいいんだよ。気にすんな」

 

そう慰めるも相変わらずシュンとしている麻衣、どうしたものかと悩んでいると楓がポツリと呟く

 

「・・・・・麻衣さん、そっちの喋り方のがいいと思うよ」

 

その言葉にしまったと言わんばかりに口に手を当てるがもう遅いと悟ったのか大きなため息をつく麻衣

 

「ハァ〜、やっぱり慣れない口調はボロが出ちゃってダメですね」

「───────そっちが素の口調ってわけか」

「そうですね。あーあ、慣れないことなんてするもんじゃないですよ」

 

そう言ってバツが悪そうに笑う麻衣

 

「それで、なんであんな話し方してたんだ?」

「あーっとそれはですね───────」

 

なんでも合コンの時にはキャラを作って参加していたらしいのだが

そこで会った俺と仲良くなりたいと思い探すとあっさりと見つけ、深く考えずに話しかけると俺の印象が合コンの時のものにかなり寄っていると気づき

とっさにその時の喋り方をしてしまったためそれ以来戻すタイミングが見つからず今までそのままにしていたらしい

 

「───────というわけなんです」

「・・・・ハァ、そんなこと気にしないで普通に話しかけてくれば良かっただろうに」

「うう、そう言われればそうなんですけど。

・・・・・・・ あの時は先輩に少しでも近づきたかったんですよ」

「ん?最後の方なんて言ったんだ?」

「なな、なんでもないです!!」

 

そう言って手をブンブンと振りながら麻衣は否定してきた、楓には聞こえていたのかジッと麻衣のことを見ている

 

「楓は聞こえたのか?」

「・・・・・うん、でも・・・・教えない」

「 ・・・・・まあいいか、ほら、やることも終わったし帰るぞ」

 

そう言って先に歩き出す、少ししてついてきているか後ろを振り返ると

 

「───────────」

「───────────」

 

麻衣が楓に何か内緒話をしている、またおかしなことでも吹き込んでいるのかと見ていると

突然楓の顔が赤くなって麻衣のことを恨めしそうに見ている

・・・・・・いったい何を教えたんだあいつ

二、三謝るような仕草をした麻衣は今度は逆に真剣な表情で楓に何か話している、楓も麻衣の目をジッと見つめてその話を聞いていて、旗からみれば睨み合っているようにも見える硬直が続き

 

「──────────」

 

その硬直は楓の言葉によって終わりを告げたようだ、麻衣を置いて一人小走りでこっちに来る楓

こっそりと麻衣の表情を見てみるとなぜか苦笑している

横に着いた楓に何を話していたのか聞いてみると

 

「・・・・・秘密」

 

とだけ言って教えてはくれなかった、まあ女同士の話をあまり詳しく聞くのも野暮か

 

「ほら、お前も早くこないと置いてくぞー」

「あっ、ちょっとー少しぐらい待ってくれてもいいじゃないですかー」

「よし、帰るか楓」

「・・・・うん」

「あー! 楓ちゃんまで、ヒドイよー」

 

その日は後から走ってきた麻衣を待ってからお開きとなった

途中帰りの電車が違う麻衣が楓のことを羨ましそうに、楓は勝ち誇ったかのような笑みを浮かべていたのだが。俺が服の代金を渡していないことに気づいて渡しに行くと二人の表情が逆になったいたのは謎だった

──────────────まあ仲が悪いようではないから気にするまでもないな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は楽しめたか?」

「・・・・・うん」

「そうか、それならいいんだ」

 

いつもの街並みを横に楓と傘をさしながら並んで歩く、どうやら手は繋がなくてもいいらしい

そのまま歩いて行くと俺たちの出会った神社が見えてくる、楓は何か見つけたのか鳥居の横で止まった

 

「・・・・・これって」

「ん? 何かあったか」

 

そう言ってて楓の横に戻って指差しているものを見る

 

「ああ、これか」

「・・・・知ってるの?」

 

楓が指差していたのは『雨神祭り』と書かれたポスターだった

 

「ここの神社は毎年この日にやってるんだよ、なんでも昔梅雨なのに雨が降らなくてこの日に雨乞いをしたら雨が降り始めたからそれを祝ってのことなんだとか。1日しかやらないし雨が降れば中止になるから俺も忘れてたな」

 

俺のおぼろげな知識を披露しているあいだも楓はポスターを見ている

 

「───────行きたいのか?」

「・・・・うん」

「じゃあ行ってみるか、えーっと日付は明後日か」

 

日付と開始時刻を覚えている俺をよそに楓はどこか浮かない顔をしている

───────無理もないか、天気予報では早ければ明日には雨が上がる。つまり俺たちの約束の期限が来るということだ

いまだに俺の中でどうすべきなのかは決まっていない、決めなければいけないとわかっていてもどこかで思考が堂々巡りになってしまい一向に決まらないのだ

 

「───────祭り、楽しみだな」

「・・・・・うん」

 

思考を遮るように出した言葉に楓は少し無理をして笑い返してくれる

 

──────────────いったい、俺は

 

 

 

 

「・・・・・お前、楓か?」

 

後ろから楓のことを呼ぶ知らない声、振り返るとそこには四十代前後のスーツを着た男が立っていた

知り合いかと尋ねようと楓を見ると目を見開いて傘の持ち手をギュッと握りしめている

 

 

そして、絞り出すような声で、男のことを呼んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────────────────────お父さん?」




ついに楓父登場です、主人公君はいったいどうするのか・・・

うぷ主的には評価、感想をつけてくれると嬉しいです
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