機巧という名の   作:お兄ちゃん

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第1話 直後、主人公の頭に叩きつけられる

頭が痛い。左のこめかみから流れる血が頰を濡らす。触ると肉が抉れているのかぐにゅっとした感触がした。

 

「この事は誰にも知られてはいけないの」

 

やめろ、やめてくれ。俺はお前に会いに来ただけなんだよ。

「私がここから抜け出すためには……私の夢のためには……こうするしかないのです」

 

そんな勝手なことで俺を巻き込むなよ。ちくしょう、痛すぎてくらくらする。

 

痛みを耐え左手で押さえながら立ち上がる。

 

「せめて、その苦しみから救ってあげますわ」

 

目の前でゆっくりと右手に持った凶器が上げられる。止めなければ。ただ一言、『やめろ』と言わなければ。

 

「さよなら、私の大好きな……」

 

はやくーーー

 

最後の言葉を聴く前に、目の前が真っ暗になり頭部の衝撃と同時に何も聞こえなくなった。

(ああ、これが『死ぬ』ことか……ちくしょう、まだ二十になってねえのに呆気ねえな……)

頭にのぼせにも似た眩暈と緩い液体、開閉が分からない視界をそれぞれ感じた。そして意識が遠のく直前に感じたのは別れや後悔ではなくーーー

 

(ざまあ、見やがれ……)

 

達成感であった。

 

 

「OH!どうした?地面に寝転がってると風邪をひいてしまうぞ?」

「おい、起きたまえ青年」

「……はあ、仕方ない。ウチに連れて行くか」

 

「ふう、こんなちょっとの事で疲れるとは私ももう年カナ」

「さて、続きをしないとな。キミは気にせず休むといい」

「そうだ、コレをあげよう。より疲れがとれるだろう」

「それじゃあの」

 

 

一日の始まりは、寒気からである。

肌に伝わる寒さと目を凝らしても分からない暗さの中、毛布を退けて起きる。始めは起き上がれず家族から投げられ蹴られているうちに反射で起きれるようになっていた。

起きたら洗面所で洗顔と歯磨きを済ませ、薄暗いリビングに座る。本日の朝食も冷蔵庫から取り出したサンドウィッチである。中にあったラップに包まれたご飯や副菜にはとても手は出せない。トマトの果汁とベーコンの肉汁が合わさり、味が口内に染みる。今日も美味しい。

食事を済ませ、パジャマからハンガーにかかる制服へと着替える。年度始めでまだ寒いとはいえ、ブレザーを着なければいけないのは少し苦痛だ。厚い生地でできた袖を通しながらそう思った。

そして玄関で靴を履き、ドアを開ける。

ここまで、家族に気付かれないようにするのが毎日の生活リズムだ。物音一つたてるだけで、機嫌の悪い家族に良くて暴言、ひどい場合は物が飛んでくる。幸い一回も当たらずに今日まで過ごせている。

「行ってきます」

今日から二月になった、彼の一日が始まる。




|∀^)
|;゚Д゚)))))))

皆さま、約2年ぶりでございます。お兄ちゃんです。
言い訳するとキリがないので簡単に言うと「勉強」「シルビィ」「アズールレーン」主にこの三つです。
まあ、他に重要な事あったんですがね……余裕が少しできたのと久しぶりに書きたいなと思いましたので新シリーズ開始を兼ねて執筆再開しました。

更新は相変わらずになってしまうと思いますが、それでもいいという方は応援よろしくお願いします。
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