pokemon XY   作:natsuki

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第十五話 VSカビゴンⅡ

 コボクタウンの西側の道路。

 気持ちよさそうに眠っているカビゴンの前に、イクスたちはやってきた。

 ただし今度は、さきほどまでとは違う。きちんとした対処法を持って――のことだ。

 

「……ポケモンの笛、まさか私たちもこうすんなりお借りできるとは思ってもいなかった」

 

 コボクタウンに住む男(さきほど城の説明をしていた男である)はそう言うと、ポケモンの笛を銜えた。

 

「……いいですか? もしかしたら寝起きのカビゴンがこちらに襲ってくるかもしれません。その時は、お願いします」

「「解りました」」

 

 サナとイクスは頷く。

 それを聞いて男は頷くと、笛を吹いた。その音色はとても暖かい音色だった。

 そして、その音色が聞こえて――カビゴンは目を覚ました。人間には暖かい音色に聞こえるがポケモンには別の音色で聞こえるらしい。

 そしてカビゴンは、男の言った通りイクスとサナの方に向かって駆け出してきた。その迫力は圧倒的なものであった。見るものを圧倒させる巨漢ともいえるカビゴンは、圧倒とともに人々を恐怖へと導く。

 だが。

 それでもイクスが動揺することなどなかった。

 

「ハリボーグ、『とっしん』!!」

 

 その言葉にハリボーグは頷くと、カビゴン向かって走り出した。

 そして。

 ハリボーグは向かってくるカビゴンを受け止めた。

 

「なんと。あのカビゴンを受け止めるとは……」

 

 そしてそれにはカビゴンも予想外のことだったらしく、目を丸くしていた。

 

「そしてその至近距離から『ニードルアーム』だ!!」

 

 ニードルアームが、カビゴンに襲いかかる。

 そして、カビゴンはゆっくりと倒れていった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

「す、すごい……」

 

 イクスがカビゴンをモンスターボールにいれて、『捕獲』を完了する。

 踵を返して、イクスは言った。

 

「僕たちはこれからコウジンタウンの方へ向かおうと思っています」

「……ありがとうございます。君たちにはなんとお礼を申し上げればいいか」

「いや、大丈夫です。こっちだってカビゴンがいたから通ることができなかったし、それにカビゴンを仲間にすることが出来たのは、ある意味幸運とも言えると思うんです」

 

 そう言って、イクスは踵を返し、歩き始めた。

 手を振る人たちが見えなくなるのを見計らって、一緒に歩いていたサナは言った。

 

「……イクっちってあんなにきな臭い発言をする人だったっけ?」

「僕はいつだってこうだよ? それがどうかした?」

「あ。だめだ。これ天然で言ったパターンだわ」

 

 サナの言葉をイクスは理解することができず、ただ首を傾げるだけだった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 その頃、イグレックはその先にある施設へと足を踏み入れていた。

 バトルシャトー。

 ポケモントレーナーの強さを爵位で測る場所である。イグレックは初めて入ったのでバロネスの称号を与えられている。正直な話し、先に進むためには障害になっているに等しい。

 でもどうして彼女がここにいるのか?

 それはイグレックと偶然再会したトロバとのバトルをするためだった。

 

「トロバとバトルするのはどれくらいぶりだったっけ? 久しぶりな気がするよ」

「僕もですよ、イグレック!」

 

 お互い、ポケモンもトレーナーも疲弊していた。

 イグレックはヤヤコマ。

 対するトロバはホルビーだ。

 お互い、あと一発が最後。

 

「ヤヤコマ、『かまいたち』!!」

「ホルビー、『マッドショット』!!」

 

 そして。

 お互いの攻撃が、同時に命中した。

 ホルビーとヤヤコマもまた、同時に倒れた。

 

「ダブル……ノックアウト?」

「この勝負、引き分けっ!!」

 

 ちょうど審判を担当してもらっていた執事が、そう言って手を掲げた。

 

 

 

「うわー、負けちゃった。それにしてもトロバ強いのね」

「いや、イグレックこそ強かったですよ。僕が勝てたのは偶然だと思います」

 

 そう言ってお互いを称賛する。

 ポケモンの回復はすぐにシャトーにあるポケモンセンターで行われるため安心だ。

 

「それじゃ、行きましょうか!」

「はい!」

 

 お気を付けて、と言った声を背中で受け取ったイグレックとトロバは同時にバトルシャトーを後にした。

 ちょうどその時だった。

 

「あ~イグレック!」

「うそ、イクス!?」

 

 イグレックとサナ、イクスとトロバは同時にお互いを見た。

 イグレックとトロバが出た、ちょうどそのタイミングで彼らと出会ったのだ。

 

「僕たち今からコウジンタウンの方に向かおうと思うんだけど」

「コウジンタウン? どうしてまた」

「なんでも、ポケモンの化石があるんだって」

 

 地図を広げながらイクスは言った。

 化石は男の子にとって憧れともいえる。そして化石から蘇るポケモンというのはとても珍しく、そして強い。それもあってイクスはそれを狙おうとしているのだろう。

 

「そういえば、ティエルノは?」

「ティエルノだったら『自転車レースのある町があるんだって!』とか言ってそっちのほうに言っちゃったけど……」

 

 それを聞いてイクスは頷く。

 

「そっか。もしあえたら五人旅を再開できるかな、なんて思ったんだけど、そう甘くもいかないね」

 

 イグレックはそれを聞いて笑みを浮かべる。

 そして、ティエルノを除いた四人は、一路ポケモンの化石で有名なコウジンタウンへと向かうことにした。

 


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