輝きの洞窟。
「ここが輝きの洞窟か……」
イクスたちは輝きの洞窟へ到着した。
理由は単純明快。メガストーンがあるかもしれない――そう思ったからだ。
「メガストーンがあるかもしれないから……ここにやってきたはいいものの、ほんとうにあるのかなあ」
「ストーン、っていうくらいですからきっとあるでしょう。ほら、『石』ですし」
イグレックの言葉に答えたのはトロバ。
「そういう意味で言ったんじゃないけれど……。そもそも採掘されているなら、もっとメガストーンって有名になっていると思わない?」
確かにイグレックの言うとおりだった。
この輝きの洞窟は化石がよく採掘されることで有名な洞窟である。過去にも様々な化石が採掘され話題になっている。
しかしながらメガストーンが採掘された、という報告はない。
だからこそ、イクスたちは気になっていたのだ。
このような場所に、ほんとうに――メガストーンはあるのだろうか、ということに。
「き、きっとありますよ、メガストーンは……」
トロバが落ち込むイクスたちの気分を鼓舞させようとするが、彼らの空気は重い。
「でも、ほんとうにメガストーンはあるのかしら……。ただの化石しか見えないけれど」
そもそも。
輝きの洞窟は、石に付着しているコケがエメラルド色に輝くことにより、方向感覚がずれてしまうから、別名『迷いの洞窟』とも言われている。
石が採掘されることを有名にしているわけではない。
「……ねえ、取り敢えずここから出ない? もう、見た感じどこにもないし……」
そうイグレックが言う前に――イクスがある一点を指さした。
そこにあったのは――居たのは、赤いスーツの男だった。
「……誰だろう?」
そう言って、男も反応して、踵を返す。
その男は、正面から見ても、不思議なファッションだった。スーツもネクタイもサングラスも凡て赤で決めたファッションの男だった。髪も何だかよく解らない髪型をしており、至極目立つ男だった。
「まさか、このようなところにお子様が来るとはね? ここは立ち入り禁止だったはずだが……」
「そのようなことは出ていませんでしたよ?」
答えたのはトロバだった。
「……そんなことは関係ない。私たちにとって、ここは大事な場所なのですよ。メガストーンを手に入れるためには。しかしここにはメガストーンが無かったらしいですが」
「やっぱり、無かったの」
イグレックは溜息を吐いて、踵を返そうとする。
しかし――彼女たちの背後にいた赤スーツの男を見て、硬直する。
「立ち入り禁止にしていたはずなのに、すいません。私が失敗したようで」
「お前のせいか……。まあ、いい。丁重に去ってもらうだけだよ」
そして、ポケモンバトルの幕が開く――。
「……そこまでよ」
赤スーツの男の背後には、さらに女性が立っていた。
パーカーを着た女性だったが、お淑やかな雰囲気が醸し出ていた。パーカーを着ているはずだったのに、そうではない、ドレスのような恰好を着ているようにも見える――。
そしてその姿は、イクスたちが見たことのある女性だった。
「カルネ……さん?」
カルネの隣に立っていたのは、サーナイト。
「怪しい雰囲気のスーツ男を見つけて追いかけてみたら……、やっぱり怪しかった。どうするつもり? いたいけな少年少女を」
「カルネ……。確かボスが最重要人物としてマークしていた……」
「あら、そうなの? 光栄ね。でも、そうだとしても……この状況は許せないなあ」
そして彼女は首にかけたペンダントを手に取る。
同時に、サーナイトが持っている七色に輝く石が、眩い光を放つ――。
「本当はあんまり見せたくないのだけれど、この状況を看過するわけにもいかないし」
サーナイトの姿が――ゆっくりと変化を遂げる。
「見て居なさい、トレーナーさんたち。これが――メガシンカよ」
そこにあったサーナイトは、今までのサーナイトの姿ではない――別の姿となっていた。