pokemon XY   作:natsuki

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第二十話 VSイベルタルⅡ

「ふざけている、そんなこと。絶対に許せない……! カロスの人の思いを踏みにじるつもり!?」

「カロスの思い? はて、何のことかな。考えてみろ。すでに我々は科学力を手に入れている。カロスの力も掌握しているといっても過言ではない」

 

 破壊の繭を見つめながら、赤スーツの男は微笑んだ。

 

「素晴らしい……。これが、カロスの伝説ポケモンだというのか。今は休眠中だと聞くが、それも都合がいい。我々のアジトにもっていくには」

「それをみすみす見逃すと思っているの?」

 

 そういったのはカルネだった。

 カルネの問いにうなずく赤スーツの男。

 

「それくらい解っている。解っているとも。だからこそ、我々は……これをするだけで良かった」

 

 ずらり、と気づけばカルネたちの周りには赤スーツの男の集団が居た。

 

「……まさか! この場所を、」

「教えていました。最初から、ね? それくらいしておくのは当然のことでしょう? 別に、私たちは『目的』さえ達成できればいいのですから――」

 

 そう言って、赤スーツの男は、破壊の繭を指さした。

 

「さあ! クセロシキ様に献上するために、あの破壊の繭を持ち帰るぞ!!」

「そんなこと――」

「させない、と? さすがはカロスチャンピオンのあなた、それにしても報告を聞いたときは驚いたわ。まさかほんとうにこんなところに居るなんて……」

 

 その声を聴いて一番驚いたのは今まで上に立っていた赤スーツの男だった。

 

「ま、まさか……コレア様!? なぜ、コレア様が!」

 

 紫色の髪をした、赤い服装の女性が立っていた。

 コレア、と呼ばれた女性は言った。

 

「だから言ったじゃない。これから大急ぎで計画を進めないといけない。もう時間は限られているのだから。……行くわよ」

「待ちなさい、あなた……フレア団は、いったい、何を目的としているの!?」

「だから、その男が言ったじゃない」

 

 面倒くさそうな表情をして、コレアは言った。

 

「この世界の人間を減らし、争いの種となるポケモンを消し去ること。これが私たちの目的。さ、行きましょう」

「待ちなさい、まだ話は――!」

「ハハハ、じゃあねー」

 

 そして、コレア以下フレア団は光に包まれた。

 

「『フラッシュ』か!」

 

 目を瞑る。フラッシュをされてしまえば、そう簡単に動くことは出来ない。

 そして、光のおさまった段階で目を開けると――そこには誰も居なかった。

 

「誰も……いない? 逃げられた?」

「ねえ、イクス、見て!」

 

 そう言ったのはサナだった。サナが指さした方向、そこには破壊の繭があった――はずだった。

 しかし、

 

「は、破壊の繭が……!」

 

 もう、そこには破壊の繭などなかった。

 正確に言えば、破壊の繭があったと思われる形跡、それだけが残されている状態になっていた。

 

 

 ◇◇◇

 

 

「ボスはまだ戻らないんだゾ」

「まだホウエンに?」

「ホウエンでメガシンカが誕生した。その歴史を紐解くために向かった……そう言っていたんだゾ」

「まったく……仕方ないことね。とにかく、私たちは私たちで計画を進めていきましょう。ところで、XとYについては?」

「Yについては確保。現在このアジトに向けて運送中なんだゾ。Xも現在エスプリが捜索中。……まあ、時間の問題なんだゾ」

「そうならいいけれど。とにかく、早急に進めましょう。それが我々フレア団の望みであり、ボスの望みなのですから」

「解っているんだゾ」

 

 そして、二人の会話は終了した。

 


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