pokemon XY   作:natsuki

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第二十二話 VSマフォクシー&ブリガロン

「Z?」

 

 捕らわれの身となった大男に話をするクセロシキ。

 

「そう。その名前はZ……。この地方を監視する役目を持つ。かつてはこの地方では無い、別の地方に居た。今は地方という概念で名づけられているかもしれないが、私の頃は一つの王国に過ぎなかった」

「『ポケジニア』……。モンスターボールも開発されていない太古の昔に存在したといわれる、ポケモンと人間のユートピア」

 

 クセロシキの言葉に頷く大男。

 

「しかし、それも今や過去の話。今や世界は地方という概念で括られている存在となっている。ポケモン協会という、害悪のせいでな」

 

 クセロシキの背後から、声が聞こえた。

 クセロシキが振り返ると、そこに立っていたのは見覚えのある人物だった。

 いや、忘れるはずが無かった。

 

「……フラダリ様。戻ってくるのはもっと後だと聞いていたゾ」

「予定が早まった。もっと言えば、ホウエンで色々とゴタゴタがあったものでね、巻き込まれる前に帰ってきた。だが、情報は手に入った」

 

 そう言ってフラダリは一枚のフロッピーを差し出す。

 受け取るクセロシキは、首を傾げてフラダリに訊ねる。

 

「……これは?」

「『世界の区分を一つにする』プログラム、Azoth計画のデータ……とでも言えばいいか?」

「世界の区分を……一つに?」

「貴様、まさか最終兵器を使うつもりか……。それも、私欲のために」

 

 大男は鉄格子を握り、フラダリを睨みつける。

 しかしながらそれに臆することなく、フラダリは鉄格子に近づく。

 

「貴様がそれを言える立場か? AZ。……いや、ポケジニアの王」

 

 フラダリの言葉を聞いて、AZは溜息を吐く。

 

「脅迫は聞かんぞ、フラダリ。あきらめろ、お前の求める道はその先に残っていない。最終兵器を使って得られるものは無い。世界は破壊され、ポケモンは死滅し、その先に残っているのは絶望のみだ」

「それはただの戯言だ」

 

 AZの忠告をフラダリは一笑に付し、そのまま立ち去って行った。

 

「忠告はしたぞ、フラダリ。この先に何が待ち受けていようとも……お前はそれを受け入れるというのか」

「私はただ、私が追い求める『美しい世界』を探すだけだよ」

 

 言って、フラダリは部屋を後にした。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 修行は続いていた。

 ブラックの下でイクスたちが修行を行う形となっているが、自主性を孕んだものとなっていた。ポケモンバトルをして、お互いの技を見つめあう。そしてそれについて対策を練る。それが彼の考えた修行だった。

 

「……ほんとうにこれだけで強くなるのでしょうか?」

 

 そう言ったのはカルネだった。

 カルネの問いに首を傾げるブラック。

 

「カルネさん、それはいったいどういう意味ですか?」

「だから、こんなことは誰だって出来ることです。わざわざイッシュからあなたが来る程のものでも……」

「果たして、ほんとうにそうかな?」

「?」

「……この修行は簡単に出来るけれど、それによる結果は一目瞭然だ。そりゃあそうだ。ずっと実戦を続けていくのだから、レベルも上がる」

「けれど……、もっと効率がいいものは? このまま手を拱いている場合じゃないのは、あなただって十分に解っているはずでしょう?! だから先ずは……ひゃん?!」

 

 会話の途中でカルネが変な声を上げた理由はただ一つ。

 ブラックがリュックに入っていた『おいしい水』をカルネの頬に当てたためだ。

 

「冷えているぞ。こういう時はクールダウンすることも大事だ」

「……ありがとう」

 

 カルネは溜息を吐いて、おいしい水を一口。

 

「ハリボーグ、『はっぱカッター』!」

「テールナー、『ほのおのうず』!」

 

 カルネが水を飲んだ同じタイミングで、イクスとイグレックのバトルが終了したようだった。

 同時に、テールナーとハリボーグの身体がまばゆい光に包まれる。

 

「これは……」

「これって……!」

 

 イクスとイグレックがその現象が何であるかを直ぐに予測して、顔を綻ばせる。

 そして、光が収束すると――、ハリボーグはブリガロン、テールナーはマフォクシーに進化を遂げた。

 


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