フレア団アジトは静かだった。
「……おかしい。あまりにも静か過ぎる。どうして、ここまで静かなんだ……?」
ブラックは周囲を見渡しながら、首を傾げる。
「そんなことをしている場合じゃないですよ、ブラックさん。ほら、あそこ!」
カルネの言葉に、ブラックはそちらを見る。
そこにあったのは、何らかの装置。
そしてそこにあるモニターを見つめているのは――。
「フラダリ……!」
「おやおや、まさかあなたたちと再会出来るとはね。しかし、もうおしまいだ。最終兵器の起動スイッチは既に手に入れている。あとは起動するのみだ。エネルギー充填も完了しているしね」
「……フラダリ。ほんとうに、あなたがフレア団のボスだとはね……」
カルネは目を細めて、フラダリに問いかける。
「まあ、それは普通に考えられる結論では無かったかな?」
言ったのはブラックだった。
まるでこれから何が起きるのか――知っているようなそぶりだった。
「貴様、何者だ……? 少なくとも、カロスの人間ではないな?」
「世界の危機に、カロスもどこも関係ないだろ?」
ブラックはフラダリの言葉にそう言って、鼻で笑った。
それを聞いたフラダリは一瞬虚を突かれたような感じだったが、直ぐに平静を取り戻して笑みを浮かべる。
「それもそうかもしれないな。でも、私は諦めない。もう最終兵器の起動はこのスイッチを押せば発動する。そうすれば何が始まるか、簡単に教えてやるとしよう」
「最終兵器は、人間の世界、ポケモンの世界、すべてを破壊するものだ」
気付けば、イクスとサナ、トロバ、ティエルノの背後には一人の男が立っていた。
「AZ……、貴様どうやって脱出した!」
「そんなことは、お前の中では些細な問題だろう? 鍵を入手した今、私を必要とはしていないはずだ。いずれにせよ、お前の中では、このカロスを滅ぼすことでどんな意味があるのか知ったことではないし、言える立場ではないが」
「ならば分かっているはずだろう、カロスの王よ。この世界は要らない世界だ。人間とポケモンの、あるべき姿に変えなければならない。そして、この世界を滅ぼすためには……古代文明の最終兵器を使えば良い。ただそれだけの話だ」
「お前……。カロスに住んでいる人間の気持ちを考えちゃいないのか!」
イクスの言葉に、フラダリは一笑に付す。
「人間の気持ち? もちろん、考えたことがあるとも。寧ろ考えているといってもいい。考えた結果、人間は下らない考えのもと、ポケモンを使役しているということを判断した。そういうことは、人間の欲望、感情、すべてを吐き出すためにはリセットするしかない。そういう結論に至るまで、そう時間はかからなかった。情報を収集するために、ホロキャスターを利用したことも原因の一つにあるかもしれないがね」