pokemon XY   作:natsuki

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第三話 VSヤンチャムⅠ

 ハクダンシティ。

 街の中心には大きな噴水があり、それが街のシンボルにもなっている。自然と人間が調和されている街としても有名で、ミアレ新聞社が主催する『カロスタウン・シティカップ』では二年連続一位を獲得しているほどだ。

 そんな街に、イクスたちはやってきた。

 

「ここがハクダンシティかー……。俺たちだけで来るのは、初めてだよな?」

「そうだねー。いつもはママやパパが一緒だったし。すっごい新鮮な気分!」

 

 イクスの言葉に、サナが頷く。

 この街、ハクダンシティ迄でも、彼らはここまで一人で(子供たちだけで、と言ったほうが正しい)来たことはない。

 だから彼らは、こんな近いところですら、冒険をしたと実感しているのだ。

 

「……やっぱり、この街に来たんだからポケモンジムだよな!」

「そうだね。ポケモンジムならば、一番自分の力がどれくらいかを試すことができるし……いいかもしれない」

 

 ティエルノがうんうん頷くと、トロバがあるものを見つける。

 赤いカラーリングの二階建ての建物。

 ポケモンセンター、だ。

 

「まあ、先ずはポケモンセンターに入ろうよ。そこでポケモンを回復したりしないと。まださっきのバトルでダメージが残っているんじゃないかな?」

「そうだね」

 

 トロバの言葉を聞いて、彼らは一路ポケモンセンターへと向かうこととした。

 

 

 ポケモンセンターへ向かうと、一人の女性がカフェカウンターにある席に腰掛けていた。どうやらこの街のポケモンセンターはカフェとくっついているらしい。コーヒー豆の焙煎されたいい香りがポケモンセンター内に漂っている。

 

「……あの人、何か見たことあるよーな……」

「そう?」

 

 イクスの言葉に、イグレックもそちらを見てみるが――思い当たるフシもない。

 そんなことをしていると、どうやらあちら側も見られていることに気がついたらしい、こちらを見てきた。

 茶髪の女性だった。肩にはエリキテルを載せている。

 

「……あら? どうかした?」

 

 女性は訊ねるも、

 

「いやー、どっかで見たことがある気がしたんですが……どうやら人違いのようで」

 

 対してイクスは飄々とした感じで答える。

 

「……そうだ。これも何かの縁よ。ちょっと、私の取材に協力してくれない?」

「……え?」

 

 女性の言った言葉に、イクスたちは同時にそう言った。あまりにも予想外のことだったからだ。

 

「ああ。その前に、私の自己紹介をしておかなくちゃね。私の名前は、パンジー。ミアレ新聞社でジャーナリストをしているわ。実は今……この街にある問題が起きているのよ」

 

 パンジーが言う取材とは、つまりこういうことだった。

 この街には今、悪戯者のポケモンがいるらしい。しかも、皆がそのポケモンの姿を見ていないというのだから、タチが悪い。

 手法は様々で、例えばちょっと目を離した隙に無くなってしまっていたりとか、監視していてもその目を塞がれてしまうなどがあるらしい。

 

「しっかし……そんなので見失うとか有り得るのか?」

 

 イクスが訊ねると、パンジーもため息をつく。

 

「そこが解らないのよねえ……。被害は甚大らしいのだけれど、まだ目星もついていない。警察だって必死に捜索しているのに、よ。これっておかしな話だとは思わない?」

「よっぽど早いスピードで奪っているんだろうなあ」

「やはり、そう考えるのが一般的よねえ……」

 

 そう言うと、またパンジーはため息をついた。

 

「実はね、私の妹からの依頼なのよ。ちょっと突き止めてくれないか、って」

「その妹さんがやる、という手はなかったんですか?」

 

 イグレックが訊ねる。

 

「確かに私もそう言ったのだけれど、彼女忙しいのよ。だから、しょうがないかな、って感じ」

「しょうがない……なら、しょうがないですけれど。どうして、それを私たちに話したんです?」

「捕まえるのを手伝って欲しいのよ。目星が全くついていないんだけど、この街はとても広いから、一人で探すのは大変なのよ?」

「ジャーナリストの仲間とか」

「私はフリーなの」

 

 それを聞いて、ああこの人ぼっちなんだな、と誤解するイクス。

 

「……今変な誤解したわね?」

「いいえ、別に」

「まあ、いいわ。それで……お願いできないかしら? 勿論、見返りはするつもり」

「どれほど?」

「ジムリーダーに優先的に戦える権利を差し上げるわ。私、ジムリーダーと知り合いなの」

 

 その言葉に、イクスは大きく頷いて、双方の意見が合致した。




次回

第四話 VSヤンチャムⅡ

2013年10月12日投稿予定!

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