pokemon XY   作:natsuki

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遅れて申し訳ございません。


第八話 VSカモネギ ◇

【ポケモン交換、できるかな?】

 

 サナはハクダンシティを歩いていた。なぜ彼女一人だけなのかといえば、イクスとイグレックはジム戦に奔走しているし、ティエルノはダンスチームを、トロバはポケモン図鑑を完成させるためのポケモンを集めている。

 しかし明確な目的もないサナは、こうカフェでのんびりするしかないのだ。

 

「どうしようかなあ……」

 

 サナには明確な「これがしたい!」という気持ちがはっきり言って、なかった。

 彼女にとってポケモンは友達なのだけれど、『旅の目的』がそれに合致するのかは、正直言い難い。

 

「ねえ、どう思う? ホルビー」

 

 そう言ってサナは抱きかかえているホルビーを見る。ホルビーはその言葉にただ首を傾げるだけだった。

 

「もしもし、そこの君」

「は、ひゃい!?」

 

 サナは急に話しかけられて、思わず声が裏返った。

 そこに居たのは、スーツを着た男だった。手元にはモンスターボールがある。

 

「もしよければでいいんだが……君のホルビーと私のカモネギ、交換することはできないかね?」

 

 交換。

 それは、文字通りの意味だ。自分のポケモンを相手に渡す。その代わりとして、相手からもポケモンをもらう――これがポケモン交換だ。

 それを行うということは、ホルビーを手放すということでもある。

 それを考えると――彼女は一瞬躊躇ってしまった。

 でも――サナは考える。

 もしかしたら、彼女といるより、その人といたほうがホルビーにとってはいいのかもしれない――そうも思えてきたのだ。

 

「もし君が嫌ならば、それでもいいんだが……」

 

 サナが長考していたので、男は慌ててそう言った。

 だが、サナははっきりとこういった。

 

「いえ、交換、お願いします!」

 

 

 ◇◇◇

 

 

 この時代において、交換は未だにシンプルなものである。図鑑所有者同士であるなら、図鑑を用いての交換も可能であるのだが、一般人同士ではそうも行かない。

 だから、単純にモンスターボールを交換するだけ。それで『交換』が成立する。

 

「……はい、これで僕のカモネギは君のものだ。大切にするよ」

 

 そう言って、男は手を振って立ち去っていった。

 

「これで……いいのかな」

 

 そう言ってサナは交換してもらったモンスターボールを見る。ボールの中からカモネギが悲しそうな表情でサナの方を見ていた。

 それを見て、サナは直ぐに笑顔を取り戻す。

 

「……悲しんでちゃ、ポケモンも悲しんじゃうね。だから、楽しく生きなくちゃ!」

 

 そう。今は、

 この新しい出会いに感謝しなくては――サナはそんなことを思いながら、カフェを後にするのだった。


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