・・・ヒロインの出番です
うん・・・きっと、ヒロインだよな
ちょっと本気出す
ミカサ編
「ッズァ!!!」
私は、ジャンケンでパーを出すと同時にその掌を床へと向けた
発せられた風圧により皆は顔の前にグーをつくり風から守ろうとする
それは同時に
私が勝利した瞬間でもあった
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「エレン起きて」
私は猫の上で寝ているエレンを揺すって起こした
まるで慌てているかのように起こした
それに驚いたのか、エレンは目をパチクリさせると困惑した顔で私を見上げてきた
「可愛い(エレン、落ち着いて聞いて)」
「えっ」
「しまった」
本音と建前が逆になってしまった
「エレン、落ち着いて聞いて(可愛い)」
「お、おう」
「あなたは今から私と寝なくてはいけない」
「おう?なんで俺のこと起こしたんだ?」
「私とねるため」
「・・・んー?」
エレンが幼い目に疑問の色を浮かべている
エレンが首をかしげて何故か困惑している
・・・何故?
「そうか!」
と、私の天才的エレンロジック
あぁ、そういえば今のエレンは私と出会う少し前だったか
と、いうことは私のことを知らない
エレンは私のことを知らない
・・・なんだか悲しくなってきたからこれ以上考えるのはやめよう
「なんでおれがお前と寝なきゃいけないんだよ!」
夜中だというのに大きな声を出すエレン
ほかの人にエレンの声が聞こえたらどうするの・・・
エレンの声は私だけが聴いていればいいのだからもっと小声で喋って欲しい・・・
「エレン、静かに、みんないる」
「あぅ(みんな横になってる・・・寝てるのかな?)」
「エレンはいい子、静かにできる?」
「・・・おう」
少し納得していない風だが頷いてくれた
「それでは、私と寝よう」
「やだ」
・・・やだ?
いや、エレンがそんなことを言うはずがない
もしかして、私と『寝る』のがいやだという意味?
私とは起きた状態でお互いに見つめ合っていないといやだという・・・?
こ、子供なのにエレンは大胆だ
「え、エレン、それは恥ずかしいからまた今度にして欲しい」
「は?」
と、とぼけたふりをして私を困らせて楽しむとは、エレンは意地悪だ
「と、とにかく寝よう」
「わっ、や、やめろよ、持ち上げるなよ!」
私はエレンを小脇に抱えると自分のベッドへと連れて行った
エレンは連れて行かれている間あまりにも嬉しいのか両手両足をブンブンと振って喜びを表現していた
『オロセー』というどこかの民族の言葉も発していたがおそらく嬉しいという意味だろう
「さぁ、今日は寒いから毛布の中に」
「う・・・わかったよ」
エレンはおとなしく毛布の中に入っていくと、暖かさに安心したのか
「はふぅ」
と、息を漏らした
「エレン、一度に大量の酸素を体内から失ってしまっては危険」
「ふぇ?」
「ので、口移しで私の体内から酸素を供給する」
「ふぁい!?」
私はエレンに続くように毛布の中に入っていき、エレンの顔を両の手を使い固定する
「わっ、や、やめてよ!なんか怖いよ!」
「そんなに怖がる必要はない、すぐに酸素の供給は済む」
「い、いや、怖いのはあんたで」
「アンタデア・ニサンタ?確かそんな訓練兵がいたはず(※いません)そいつが怖いのなら明日にでも始末しておく」
その時、エレンは理解した!
脳ではなく、心で理解した!
人には、必ず逆らえない存在がある
そう、天災である
地震を止めるなどということが不可能なのと同じように
エレンはこの目の前にいる女も止めることはできないのだと悟ったのだ
「あぁああぁぁああぁ」
「ふふ、そんなに震えて緊張しなくてもいい、私も口伝いの空気の供給は初めてだけれども舌を使えばなんとかうまくいくはず」
「わわわ、わわわわ」
ズキュウウゥウゥウゥウウン!
「や、やった!」
と、突然跳ね起きて反応するミーナ
そして、その視線の先で口元に笑みを浮かべながら勝ち誇った表情を浮かべるミカサ
「エレンの初めてはアニやクリスタではない・・・このミカサだ!」
そして、その目の前で目に涙を浮かべながら放心するエレン
「う、うぅ」
なんということか、エレンは突如として近くでよだれを垂らしていたサシャのよだれを手に拭い取り、それで口元を洗い始めた(※汚いですので皆様は真似をなさらぬよう
「な、なにぃ!?」
思わず反応してしまうミカサ
しかし
「え、エレン、そんなにトラウマじみた行為をあえて行うことで私とのキスを深く脳裏に刻みつけようとしなくてもいいのに」
ポジティブだったッッッ!
圧倒的ポジティブッッッ!
「そうとなれば、エレン!」
呼ばれ、即座にミカサへと向き直り構える
「な、なんだよ」
ビクビクと恐怖に臆しながらも構えを取る
「こ、怖くなんかないからなぁ!」
「そう」
短い返事
そして、短い動作だった
たった一瞬のその動作の後
気づけばエレンはミカサの腕の中にいた
「い、一体何が・・・ッ!?」
エレンが困惑を口にするも、その言葉に虚しさを覚えたかのように
「無駄なの、全部、無駄無駄」
ミカサは至極冷静に、そう返した
実力差やそんな言葉では片付けることのできない
存在の格差だった
「もう、あなたは腕の中・・・ッ!?」
腹部
何かが
いや、エレンだ
エレンがその部分に
手を伸ばしていた
「すっげー腹筋」
「」
思わず言葉を失うミカサ、褒められたのか、それとも女性らしくないと思われたのか
ポジティブなミカサであったが、女性らしさとしてはさすがに腹筋は別のものであるとは分かっていたため、ウィークポイントとなっていたのだ
「なんつーか」
0.001秒が0.01秒に
0.01秒が0.1秒に
0.1秒が1秒に
1秒が10秒に
そう感じてしまうほどに長い
エレンの次の言葉までの覚悟の時
褒められるか
貶されるか
はたまた、惚れられるか
どれがきてもいいようにミカサは心の内で構えた
「かっこいいな!」
「っしゃぁあ!!!」
吼えた
思わず吼えた
勝利の吠え
歓喜の吠え
他の物からすればただただ迷惑だった
「な、なぁ、なでなでしてみてもいいか?」
目に期待を込めながらお腹の位置にいるため見上げる形で頼んでくるエレン
「(かわいい)」
断れるはずがない
「だめ」
だが断る
「えっ」
途端に瞳に涙が浮かぶエレン
「(この泣き顔が見たかった)」
満足したミカサ
「やっぱりいい」
そして
「やったぁ!」
満面の笑みに変わるエレン
先程までのどこか反抗的な態度とは打って変わって、年相応の無邪気な喜び方はそのギャップもあって可愛さを増大させていた
「(鼻血が出そう)」
さわさわ
「っ・・・!」
エレンは腹筋が割れていることに感動を覚えているのか、腹筋の線をなぞっている
それが、どうにかなりそうなほどにむずがゆく
そして同時に
官能的な快感をミカサに与えた
「うわー、すっげぇー」
ミカサの腹筋の線をなぞりながら、ふとエレンの手がミカサの足へと伸びた
睡眠時ということもあり、ミカサは母に作り方を教わっていた東洋の寝巻き(※つまりは着物みたいなものです)を着ていた
そのため、隙間から手を潜らせれば素足を触ることはたやすかった
そして、腹筋からの感覚に集中していたミカサにとって
素足を触られた驚きと、エレンの幼いぷにぷにとした可愛らしい手の感触は反則級のご褒美へだった
「ッッッ!!!」
ミカサは体をブルブルッと震わせると、疲れたかのように大きく息を吐き
「・・・」
しばしボーーッとしたあとに
「おやすみ、エレン」
睡眠へとついた
やすらぎ、そう、この訓練所に来てから最も
やすらぎを感じた瞬間であった
眠ると決めたミカサはエレンを両手で優しく包み込むと
胎児のように丸まりながらエレンを抱きしめた
最初はなんとか脱出しようとしていたエレンだったが
それ以上何もしてこないミカサと、そのミカサから与えられる熱に影響され
「(あ、これなら俺も・・・)」
ミカサに寄り添う形で、眠りについた
その姿は
お互いの年齢は違えど
見る人が見れば、ある日ある時を思い起こさせる
穏やかで
幸せで
誰もが笑顔で語り合って
ときには怒られ
ときには悲しみ
ときには楽しんだ
今は帰らないある時
その日、ミカサは寝ながらにして涙を流していたと仲間のひとりが言っていた
そして、その表情はとても嬉しそうであったとも
ミカサ編
も
とぅどぅくぅ!
※この話はちょっと力入れたので感想をいただけるととてもありがたいですm(_ _)m
悪い点なども含めて評価していただけるとありがたいです