短いですけど
最後ってそういうものだと思う
20年後
朝、小鳥たちのさえずりに目を覚ますと、カーテンの隙間から差し込む朝日が私の覚醒を促した
体にかかっている掛け布団が私の体温と朝日で暖かくなっている
右手を動かして枕元に置いてあるはずのコップを探す
感じられるのはフローリングの冷たさばかりで水の入ったコップには手が当たりもしない
段々とイライラしてきて掛け布団を思い切りはねのけて起き上がってみるも、自分でおいたと思っていた位置にコップはなかった
一体どこに?目線を各所に配るも見つかる様子はなく、ふと見てみれば隣で寝ていたはずの亭主もいない
と、ピトリと、頬に冷たさを持つ何かが当てられた
後ろから差し出される形だった
少し感じた嬉しさを胸の内に隠しながら当てられたものを受け取る
水だ
なかに氷が入っているところから見て、ぬるくなっていたので氷を入れて冷やしてくれたといったところだろう
何気ない気遣い、だが
それが嬉しくて、心地いい
そのまま、体勢を後ろに倒してみる
『誰か』が立っていて、その人の足に寄りかかる形になった
『誰か』、なんてことは確認するまでもなく分かる
その『誰か』が私の髪を撫でる
朝日で温まっていた頭頂部に、先程まで水を持っていたために冷えた掌が接する
冷たさとこそばゆさに目を細めながら、手に持っている水をひと口飲む
今日は午後から金髪のあの子と喫茶店でお茶をする約束がある
もう陽も登っているようだし、そろそろ準備をしなくてはいけない
『誰か』にすくい上げられるように持ち上げられる
俗に言う『お姫様抱っこ』というものだ
昔はこういったことを少しされるだけですぐに恥ずかしがったりもした
けど、今は恥ずかしさよりも安心感と嬉しさの方が大きい
「エレン」
私は、『誰か』に語りかける
確か、この『誰か』も今日は昔からの金髪の親友と璧外に『調査』に行くと言っていた
『調査』なんて名目で外の世界を楽しんでいるだけだが、毎回のように話してくれる外の世界の話は、私の楽しみになりつつあった
この人と、一緒になって良かった
心からそう思える時が、何度も何度もあった
きっとこれからも、何度も何度もあるんだろう
昔と比べるのはあまり好きではないけれど
今なら分かるんだ
悩んだとき、忘れたくないとき、その時を大切にしたいとき
どうすればいいのかって
簡単だったんだ
口に出せばいい
相手に伝えればいい
一人で抱えきれない悩みなら、誰かに話せばいい
一人で覚えていられないのなら二人で覚えればいい
そのときを大切にしたいのならば、大切な人と一緒に
大好きな人と一緒に、そのときを尊めばいいんだ
「大好き」
私は、私の生きた時を
この人と一緒に覚えていこう
END
終わりになります
が、これはひとつの話の終わりであって全体の終わりではありません
一応このあと誰のENDを書こうか考えていないので、候補を上げていただければその人を書こうと思っております
それでは、次回で会いましょう!