エレン「なんだこの飲み物?」   作:スペイン

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子供になったエレンはアルミンと一緒にこのことを皆に伝えに行こうとした・・・

しかし目前にはそのエレンに対してただならぬ視線を浴びせるミカサがいた

前回短かった分今回長いです


エレン・イェーガーは考える

ライナー・ブラウンは皆に頼られる兄貴分である

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

少し前のことだ、ジャンは訓練が終わり疲れを隠せずにいた

 

「だから!俺たちは訓練の技術を磨いて巨人を倒すんだ!」

 

その疲れのせいか、どんなにエレンが騒ごうともそれにつっかかろうともしなかった

 

マルコやアルミンからすると胃痛の原因がないその日の夕食は実に平和なものであった

 

しかし、ライナーだけはそのジャンの様子を気にかけていた

 

その日の夜のことだ、夕食をとって皆でお風呂に行った際、ジャンは訓練の疲れを感じながらお風呂に浸かって体を休めていた

 

しかし、長くつかりすぎたせいなのか、それとも休めていたカラダを急に動かしたせいなのか、お風呂から出ようとしたジャンは脚をつってしまった

 

後からお風呂に入ってきたエレンなどはもう出てしまい、残っているのはコニーとジャンだけになっていた

 

そのコニーも頭を洗っていてこちらに気づく様子は全くなく、ジャンは脚が治るのを待つ算段をとった

 

しかし、熱という人の身近に存在する恐怖はジャンの体を蝕んでいた

 

ジャンは頭がのぼせてくるのを感じていた

 

そして同時に、上体に力が入らなくなってきていた

 

そのため、段々と体の芯が抜けていくかのようにジャンのカラダは浴槽の中へと崩れていった

 

「(まずいな・・・コニーに助けを・・・)」

 

と、声を出そうとしたものの頭がのぼせてまともな思考が浮かばず、口にだそうと考えていた言葉さえどこかに消えてしまっていた

 

ガラッ と近いようで遠いどこかで何かが横にスライドする音が聞こえた

 

「ジャ・・・ジャン・・・!ちくしょう、コニー!更衣室の窓開けて空気換気しておけ!」

 

その後から聞こえてきた野太い声と、その声による怒号にも似た要求を耳にして、ジャンの意識は熱に飲まれるかのように溶けていった

 

 

 

「(・・・何が、起きたんだ?)」

 

目を覚ましたジャンが最初に感じたのは風だった。そよ風だ、頬に当たると自分の顔が持つ熱をやさしく撫でるように、すくい取るように冷ましていく

 

次にジャンは、自分がどこかに横たわっていることに気づいた

 

「ここは・・・更衣室か・・・?」

 

目の前にある見慣れた天井と、自分が寝ている物が木の材質でできたベンチだったことからそう推理した

 

「お、起きたのか」

 

覚醒したジャンをまっさきに迎えてくれた人物はライナーだった

 

手には洗面器を持っており、洗面器の淵には濡れて重みを持っている白いタオルが見えた

 

「俺は・・・そうか、風呂場で・・・」

 

体を起こそうとするも、力がうまく入らない

 

「あぁ、無理に起きるな、お前疲れがたまっててボーっとしちまったんだろ、お前がエレン達より早く入ったってのになかなか出てこないから心配で見に行ってみたらちょうど浴槽の中に沈んでいくところだったから思わず焦ったぜ」

 

「あ、あぁ、すまねぇ」

 

ジャンはそこまで気遣いをしてくれたライナーに恩を感じた

 

この一件以降、何かと目立った発言をすることの多いライナーに対してジャンは文句を言わないようになった

 

きっと、どこかで自分の恩を通しているつもりなのだろう

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

そういったこともあって、ライナーの仲間からの信頼は厚い

 

今回の事件の中心であるエレン・イェーガーともとても仲が良く、体術訓練や私生活で行動を共にすることも多くあった

 

なので、ライナーはエレンが持つ不思議な魅力を多く知っていた

 

が、いくらなんでも子供になるなんてとんでもない魅力をエレンが持っているのは予想外だった

 

事情・・・といってもよくはわかっていないが、エレンが子供になったという説明をアルミンから受けた面々は一様に驚いた顔をしていた

 

現在、エレンはアルミンの膝の上にちょこんと乗っている

 

円を作るように集まった中から、一つの声がした

 

「エレンは・・・俺たちのことを覚えているのか?」

 

コニーだった。コニーのその言葉にハッとなったかのように、アルミンはエレンに

 

「エレン、この人たちのことを少しでも知っているかい?」

 

そう聞いてみた

 

「しらねぇ!でも、そこにいるきんぱつのおねえちゃん・・・」

 

と、エレンがアニを指差して唐突に話を始めた

 

「ハッ、なんだい?目つきが悪くて怖いって?」

 

アニは悪態をつきエレンを冷たく突き放そうとするが

 

「ううん!おねえちゃんすっげぇきれいだなっておもって!」

 

ざわ

 

「それに、そのめだってあおくてきれいで、だいすきだぞ!」

 

その言葉とともに歯を見せる笑顔をアニに向けたエレンは、まるで太陽を背景にしているのでは?という程の輝きを放っていた

 

「な、な、何をいってるのさ・・・私はそんなこと言われたって嬉しくもなんとも」

 

赤面しながらもごまかすかのように早口でまくし立てるアニの言葉を遮るようにエレンは純粋な心をさらけだした

 

「そうなのか?じゃあ、おれにできることならなんでもいってくれ!おれ、おねえちゃんにうれしくなってほしいからさ!」

 

アニの体がブルッと一度大きく震えて、顔を赤くして俯いて黙ってしまった

 

「あ、あれ?おねえちゃん?」

 

「アニ」

 

「?」

 

唐突に発せられた言葉に、その場にいた者たちは誰も意図が読めずにいた

 

「私にはアニって名前があるから、そう呼びな・・・エレン」

 

「アニ・・・アニ・・・おねえちゃん?うん!わかったよアニおねえちゃん!」

 

「!」

 

ざわざわ ざわざわ

 

「(あ、アニおねえちゃん・・・いいかもしれない)」

 

「?(なんでみんなざわざわしてるんだろう?)」

 

エレンが少し心配そうにしている中、ごまかすためなのかミカサが口を開いた

 

「エレン、私はあなたの家族、もちろん私のことは覚えているはず」

 

いや、口を開いた というよりも 目を開いた という方が正しいかもしれない

 

「ひっ」

 

いきなり知らない黒髪の女が黒よりも深い黒色をした目をカッ!と開けば少年となってしまったエレンが驚くのも無理はない

 

「エレン、覚えてるよね?」

 

「え、あの、ごめんなさい」

 

涙目になって怖がるエレンだが、それに気づかずにまくしたてるミカサに安心しかけていたエレンの心には再び恐怖の火が灯ってしまった

 

「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」

 

恐ろしさから謝りながら後退しようとするエレン

 

「エレン?なぜ謝るの?なぜ?なぜ?」

 

しかし

 

そんなエレンの後退の速度と同じ速度で全く変わらない距離で詰めてくるミカサ

 

「え、なんでって・・・ぐす」

 

自分は後ろに下がっているはずなのにまったく距離が変わらない

 

「なぜ?なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ?」

 

さらに相手は自分の言葉など聞こうともしない同じ言葉ばかりを繰り返す

 

「う、うわぁ・・・うぐ、うぅ・・・」

 

大人であろうと

 

怖い

 

「(まずい!)」

 

アルミンが最終警告信号を感じたものの、既にておくれ

 

 

 

 

「うわぁあーーーーん!こわいよーーー!」

 

 

 

 

「「!!!!」」

 

一番驚いたのは泣かせたミカサだったが、幸せな気分に浸かっていたアニも驚いていた

 

「えぇえええーーーん!いぇえーがぁーーー!」

 

※泣き方がもはや泣いているのかわかなくなっているが、泣いています

 

「え、エレン、ごめんなさい、泣かせるつもりはなかった」

 

なんとか慰めようとするミカサに

 

「え、エレン!落ち着くんだ!」

 

事態の発展を止めようとするアルミン

 

「おいミカサ何してんだよ!」

 

ミカサが泣かせたということしか見ていなかったコニーに

 

「うるせぇぞハゲ!ミカサのこと責めるんじゃねぇ!」

 

ミカサだけを責めるコニーに怒りを覚えるジャン

 

「じゃ、ジャン!コニーのことを悪く言わないであげてください!」

 

そんなやりとりを傍目からみて止めようとするサシャや

 

「サシャ!今はエレンのことだよ!」

 

そんな中無用な争いを止めて本来の目的を見ようとするクリスタ

 

「さすが私のクリスタだな、全くその通りだ」

 

そしてそのクリスタの落ち着いた様をみて何故か自慢げになるユミルや

 

「ユミルはもうちょっと慌てようよ・・・」

 

全くの空気だったけどちょっと口を出してみたベルトルトと

 

「ベルトルト、いたんだ」

 

本気で驚いているミーナ

 

「ミーナ!?」

 

そして今それをツッコムことに驚いているマルコであった

 

それぞれがあわてふためる中

 

ライナーはひとりエレンの方へと歩み寄っていった

 

「エレン」

 

「びぇええぇええん!」

 

ライナーは中腰になると、エレンの頭に手のひらを置いた

 

「びぇ・・・」

 

「「(止まった!?)」」

 

エレンは目に涙を溜めながら、頭に置かれたライナーの手に自ら頭をスリスリし始めた

 

「「(可愛すぎる!?)」」

 

「エレン、落ち着いたか?」

 

わしゃわしゃ と、少し乱暴にエレンの頭を撫でてやると、エレンは素に戻ったのか顔を赤くして俯いてしまった

 

「ん・・・うぁう」

 

俯いていても耳の赤さからまだ恥ずかしがっているのがわかる

 

「ははっ、恥ずかしかったのか?なに、恥じることはないさ」

 

ライナーが微笑みながら慰めるも、エレンは俯いたままどこか悔しそうに言葉を発した

 

「でも、おれないたぞ?いろんなひとがいるのにめのまえで」

 

ライナーからすれば、いや、みんなからしても子供がなくというのがそこまで恥ずかしいことだとは思わなかった

 

しかし、そうではないのだ

 

エレンは子供として恥ずかしがっているのではなく・・・

 

「そうだな、お前は男だもんな」

 

ライナーは、それに気づくことができた

 

「でもなエレン、涙ってのは流すためにあるんだ」

 

「?」

 

エレンは顔をあげて、ライナーの言葉に耳を傾けた

 

「声ってのは発するためにあるんだ、お前はその両方を正しい使い方をしただけで、何も恥ずかしいことはしていない、そうだろ?」

 

ライナーの言葉は、聞かせようという思いが詰まっていた

 

「うん・・・そう、なのかな」

 

「そうなんだよ、それに、お前は泣けるんだろ?」

 

「え?う、うん」

 

「この世にはな、生まれてこれなくって泣けないやつとかもいるんだ、お前はそいつらの分も涙を流してやれる、そんなやつだってことだ」

 

今のエレンには少し難しい話かもしれないがな と追加し、ライナーは立ち上がって自分の座っていた場所へと戻った

 

「よく、わかんないや」

 

エレンの素直なその感想に、少し苦笑いをライナーはこぼした

 

「まぁ、仕方ないさ」

 

「で、でも!」

 

 

 

 

 

 

 

「でも、ないてもはずかしくないってのをにいちゃんがつたえようとしてくれたのは、おれわかったよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのこぼした苦笑いが笑顔に変わるのを、その場にいたものは見ることができた




てなわけでライナー兄貴でした

頼れるライナーを書きたかったので今回はこういったお話です

ちとミカサには悪いことしたかな?

タグの指摘ありがとうございました!

まぁ、つづく!
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