ーライブ当日の朝ー
さて、そろそろええ時間や。兄弟が待ってるやろから、そろそろ行こか。
ー天下一通りー
「劇場前広場言うたら・・・。ここをまっすぐやったな。」
道を確認しつつ、劇場前広場へと足を動かそうとしたその時だった。
「ん・・・。なんやあの子、えらい困っとるな。」
冴島が見つけたのは道の端っこで1人でオドオドしつつ誰かを探しているかのようにも見える、空色の髪色をした少女だった。
(神室町を女の子1人で・・・?ちょっと危険すぎるで。急いどるけど、ここは事情を聞いた方が良さそうやな。)
冴島は少女の方に足を動かす。
「お嬢ちゃん、こんな所でどないしたんや。」
「あ、・・・えっと、道に・・・迷って・・・ってふぇあああっ!?」
(・・・俺ってそんな怖いんか・・・。)
「大丈夫や嬢ちゃん。別にとって食おう言うわけやないから、安心し。こんな所に一人で来たんか?」
「いや他のみんなと来たんですけど・・・、その、はぐれちゃって・・・。地図見ても・・・、わかんなくて・・・、」
確かにこの街は地図あっても分からんやろなあ。
PPP.....
「あ・・・、美咲ちゃんからだ・・・。」
「ん、出たり。声聞いた方が相手も安心するやろ。」
『もしもし!?花音さん!今どこですか!?』
「あ、美咲ちゃん・・・ごめんね、私また迷っちゃって・・・。」
『いつもの事ですよ。慣れっこです。周りになにか目印らしきものはありますか?』
「周りに・・・。」
「天下一通りっちゅうでっかい看板があるわ。その下で待っとったらええやろ。」
『・・・え?今の・・・、花音さんの声ですか?』
「そ、そんなわけないよ!私が迷ってたところを助けてくれた人がいて・・・。」
『なんだろう、素性が分からないのに迷ってる花音さんのそばにいる人は全員安心できる気がする。』
「どういう意味やそれ。」
「と、とにかく、私さっきの看板の下で待ってるね・・・。」
『分かりました!・・・あの、動かないでくださいね。』
「う、うん・・・。」
ピッ
「大丈夫やったか?」
「は、はい。それじゃあ、看板の下に行きましょ」
「嬢ちゃんそっちちゃう!こっちや!あんなでかい看板見逃したあかん!」
「ふ、ふぇぇ!?」
ー移動後・・・ー
オドオドはしとるけど、礼儀の正しいええ子やな。・・・しっかし、なんかどっかで見た気がするんやけど・・・、なんやろか。
そう考えていると柱に貼られていたポスターが目に入った。
ガールズバンドフェスティバル・・・。せやったな。これの準備やったな。はよ行かなあかんけどこの子の面倒も見たらんとな。
「・・・・・・あっ!!」
「はえっ!?」
「あ、驚かせてすまんのう。・・・せやけど、今やっと思い出したわ。嬢ちゃん、ガールズバンドやったんやな。」
「あ・・・、はい、そうです・・・。ハロー、ハッピーワールド!っていうバンドのドラム担当です・・・。」
「ポスターに描かれてる子やったな。実はな・・・」
→俺もガールズバンドやねん
俺は今日のフェスティバルの役員やねん
「俺もガールズバンドやねん。」
「・・・ええ!?女の方なんですか!?」
「嘘や、冗談。今日のフェスティバルの役員や。」
「で、ですよね・・・。」
「まあ今日は嬢ちゃんが最高のパフォーマンスできるよう、仕事はちゃんとやったるからな。」
「は、はい!」
ー数分後ー
「・・・遅いな。・・・せやな、来るまで自己紹介しとこか。」
「あ、はい・・・。」
「俺は冴島大河や。よろしゅう頼むわ。」
「ハロー、ハッピーワールド!のドラム担当の松原花音です。・・・よろしくお願いします・・・。」
・・・・・・・・・
終わってしもたで。時間つぶしにもならんかったわ。
「せや、花音はなんか好きなもんとかあるんか?」
「私・・・、クラゲが好きなんです・・・。」
「クラゲ?」
「はい。・・・だから水族館にこの前1人でクラゲを見に行こうと思って・・・、電車に乗ったら・・・。」
「どないしたんや?」
「2駅乗り過ごして右往左往してたらはじめ乗った駅に戻ってたんです・・・。」
「それもう方向音痴超えとるやろ。」
「だからバンドのみんなにも迷惑かけちゃってて・・・。今回もそうですし・・・。」
「ええねんそれで。人はほかの人に迷惑をかけて生きる生きもんや。俺かていろんな人に迷惑かけたし、逆もある。嬢ちゃんもやけど、他のメンバーから迷惑食らってる時もあるんちゃうか?」
「・・・それは・・・。」
「心当たりが・・・ありすぎて・・・。」
(波瀾万丈なメンバーなんやろなぁ。)
「あ、いたいた、おーい花音さぁっ!?」
やっぱ俺見て驚いとる。
「花音さんが初対面の人と仲良く喋ってる!?」
「そっちかいな!?」
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「すみませんありがとうございました。」
「いやええんや。・・・ところでほかの4人もガールズバンドやねんな?」
「ええ、そんなところです。」
「ほなちょうど良かったわ。俺もガールズバンド・・・」
「そのネタさっきやったじゃないですか・・・。」
「花音さんか初対面の人にツッコミしてる・・・!」
「もうええやろそこは・・・。まあ冗談は置いといてやな。今回のフェスの役員をやっとる冴島大河や。よろしゅう頼むわ。」
「私は奥沢美咲です。ハロー、ハッピーワールドのDJです。」
「え?ハロー、ハッピーワールドのライブではミッシェルじゃなかったかしら?」
「こころ、ややこしくなるからちょっと静かにしてて。」
「ん?どういうことや?」
「あーあの・・・、ちょっとわけアリで私着ぐるみに入ってDJしてるんですよ。それをあの金髪の娘を含め3人がわかってなくて・・・。花音さんは分かってるんですけど。」
「なるほど、つまりあの3人が苦労の種っちゅうことやな、花音。」
「本人の前で言うの!?」
「大丈夫ですよ、多分聞こえてないし聞こえても響いてません。」
「じゃあ次は私が自己紹介しようかしら!私はハロー、ハッピーワールド!のボーカルでリーダーの弦巻こころよ!楽しいことが大好きなの!よろしくね!」
「ああ。よろしゅう頼むわ。楽しいことが好きか・・・。俺も楽しいことは好きやで。」
「あらそうなの?だったら今度私の家の庭でBBQをハロハピのみんなでやるの!招待するわ!」
ザワザワッ・・・
「黒服の人達がざわついた!?」
「まあ俺パッと見悪者に見えるからのう。アレやろ?この子ええとこの子やろ?」
「え、なんで分かるんですか?」
「雰囲気。」
「え、えぇ・・・。」
次は紫髪の子やな。
「どうも子猫ちゃん。」
「・・・え?」
「はは・・・、ぶれないなあこの人。」
「アハハ・・・、そうだね・・・。」
美咲と花音は呆れたように笑う。
「薫、瀬田薫だ。ハロー、ハッピーワールド!のギター担当だ。よろしく。」
「ああ。よろ」
「儚い・・・。」
「え?」
「冴島さんの理解が追いついてない・・・。」
「いや無理ないよ・・・。」
「50近くで何十歳も年下の子から子猫ちゃんとか儚いとか言われるとは思わんかったわ。」
「あっでも薫さんをよく見てください花音さん。」
「え?・・・あ、凄く汗かいてる。」
「強面の男の人に対してキャラ維持するのに大変なんですよ。」
最後にオレンジ髪の子やな。
「ハロハピのベース担当!北沢はぐみだよ!よろしくね冴島さん!」
「元気いっぱいやなぁ!よろしく頼むわ!」
「自分で言うのもなんだけど、うちの肉屋さんのコロッケはとても美味しいよ!」
「コロッケがうまいんか?」
「ええ、本当に美味しいですよ。」
「・・・せやな、今度買いに行ってみよかな。」
「うん!絶対来てね!」
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「・・・主に3人の個性が強すぎひんか。花音の方向音痴も相当やけど、3人の強さに腰抜かしそうになるわ。」
「「なんか本当にごめんなさい。」」
「しかし・・・、『ハロー、ハッピワールド!』か。・・・俺にとったら無縁な世界な名前かもしれんのう。」
「・・・冴島さん?」
「ああ、いやええんや。俺の独り言や。きにせんとき。」
「それなら貴方もハッピーになる方法があるわ!」
「え!?」
「なんかヤな予感・・・。」
「貴方もボーカルとして歌えばいいのよ!」
「「「いやその理屈はおかしい(やろ)!!」」」
・・・正反対な世界の子達やなぁ・・・。
to be continued…