ポケットの獣な世界へ来て何かと色々   作:優曇華の花

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一番最初と設定が変わっています。
ん?喋り方……と思う方もいらっしゃると思いますが、その方は前話を参照ください。


対決って奴ですね。

「アーボ、毒針だ!ガキの方にな!」

「ヨーギラス!あの子供に岩落とし!」

「ッ――――!あっぶない!」

 

獣道とも言えないような木々の間を、転がるようにして通り抜ける。

なんで人間にポケモンを嗾けるのよ!……いや、まあ、私しかいないからなんだけどさ。

いくら作戦でもこれはきっつい!

ああ、あれはこの怖い大人が現れたすぐのこと――――

 

 

☆☆

 

 

「おい、ガキ。そのポニータはお前のか?」

 

怖い大人の一人が問いかけてくる。

んー……、どう答えよう?

ちらっとポニータさんを見ると、彼女は意を決したかのようにこう言った。

 

『私の事はいいです。私を置いて逃げてください』

 

即ボツ。いい案とは言えないよね。

だって、知り合いがハンターに捕まって売り払われたりするって、次の日からの目覚めが悪くなるだけじゃん。

私はそんなの嫌だ。安らかな目覚めを享受したいしね。

 

「そうだよ。それで、何?」

 

さて、布石は十分。布石って言えるような布石じゃないけど。

……さて、どうしようか。

敵は十人、全員モンスターボール完備。うぐ、これには匠もご満悦だ。

 

「妙に敵対してるな。俺達の目的も分かっているのか?」

「……」

「……おい」

「、……何?」

 

む、考え事をしていること、ばれたかな。

 

「おい、まさかどうやってここから逃げるかーとか考えてるのか?」

「マジでか!いってぇわぁw」

「俺達に見つかったのが運の尽きさ!」

「おとなしく捕まれよなー」

 

ぐぐ……今のところ、いい方法は思いついてない。

人数差もありすぎるし、やっぱ世の中は数なのかな……。

……あ、人数。

そうよね、少ないなら増やせばいいのよ。

となれば……。

 

「ポニータさん、私の言うことを少しの間だけ聞いてくれる?」

『……何か、考えがあるのですね?

 ……分かりました。あなたに従いましょう』

「……ありがと」

 

ありがたい。いやはや、本当に。

本人曰く、使える技は……お、使えそうなのがあるね。

さあ、恐怖心を押さえて()と向き合う。

……あまり格好いい顔とは言えない。

 

「さあ、無駄な作戦会議は終わったか?」

「ハッ、まさにその通りだぜ」

「無駄なあがきはしねぇことだな」

 

いちいち癪に障る奴らだ。

ま、すぐにお縄になって貰えるだろう。

……ぐらいの自信を持たないといけない。

 

さあ、運命の時。ここを上手くやらないと何もかもおしまいだ。

敵が――――動くっ!

前方に指を指して、ポニータさんに指示を出す。

 

煉獄(れんごく)ッ!!」

「「「うあぁっ!?」」」

 

ポニータさんの体から異様なほどの熱が放出されている。

……のだろうけど、私には心地よい暖かみにしか感じない。

あー、あれか。確か、敵意のない者には何もしないんだっけ。

さあ、ポニータさんに乗り、誰も居なくなった方向へダッシュ!

 

 

☆☆

 

 

そして、今に至る。……あれ?ちょっと飛んでる?

そうそう、ポニータさんには森の仲間を呼んできてもらっている。

うん。数が少ないなら増やせばいいってね。

だから、今、ポニータさんはいない。

つまり、人間の身一つって事ね。……大変だなぁ。

盾になりそうだったバッグも、タマゴが入ってるからポニータさんに持って行ってもらったし、身を守る物は一つもありません!

強いて言えば、そこら中に落ちてる木の枝とか、葉っぱだけど……。

うーん……武器としては使えそうだけど、ちょっと防具にはならないかな。

 

「もう一度、毒針!」

「悪の波動!」

 

また放たれたそれは私の顔のすぐ横を通りすぎていき……!?

危なっ!?グ、グレイズ、グレイズ。得点貰えへんよそんなん。

何とかよけて、拓けたところに出ると――――

 

「……最悪」

「よぉ、ゲームオーバーの時が来たな」

「まんまと引っかかってくれるなんてなw」

 

怖い大人(Lv31程度)が、5人も待ち伏せていましたよ……。

多分、他の人はポニータさんを追っていったんだろうけど……。

あーあ、罠だったのね。まんまとおびき出されたってことか。

 

「さあ、俺達に逆らって……どうなるか、体で覚えてもらわねぇとなぁ!!」

「おい、卑猥なことすんじゃねぇぞ?」

「そんな事考えるお前が変態www」

「うっせ」

「まあ、それもいいかも知れんなぁ?」

 

だんだんお話が聞いてはいけないムードになってきた。

……いくら見た目10歳だからって、女の前でそんな事言いますか?

理解が出来ないよー、したくもない。

でも、そろそろやばいかな。逃げ場は……無い。

 

「ま、まずは黙らせてからにしようぜ」

「だな」

「よし、アーボ!毒針だ!足を狙え!」

 

 

「――――いッ!?」

 

は、早い!

さっきまでの攻撃が嘘かのように、目にもとまらぬ早さで、毒針は放たれた。

もちろん、そんな物をよけれるはずはなく、私の足には数本の紫色の針が深々と刺さっていた。

 

 

☆☆

 

Side_炎を纏う馬の子

 

 

 

『なに、最近暴れている輩を捕らえられるかもしれないとな?』

『はい、この森の住民を幾らか集めれば、何とかなると』

『……誰が考えた?』

『……人間です』

『ならん。協力してはならん』

『ですが、彼女は、今まで出逢った人間の誰とも違う目をしていました。

 まるで、何も信じておらず、全て信じているような……不思議な、目を』

『……む。

 何かあれば、お主の責任となるぞ?』

『心得ております』

『そこまでと言うのなら、許そう。

 皆の衆!今から、この娘子に続き、厄介な輩を征伐しに出る!

 力に自慢のある者、奴らに因縁がある者、全てが参加せよ!』

 

―――――ウオォォォ!

 

 

よし、これでこちらは安心ですね。

いつもながら、森の長を説得させるのは大変ですね。

さて、早く戻らないと……と?何か来ますね。

 

 

……スピアー。見覚えがないあたり、よそ者でしょう。

このタイミングで流れ者が来るとは考えられませんし、奴らの仲間でしょうか。

 

「スピアー!ダブルニードルだ!」

『煉獄!』

 

飛んできた二回の攻撃をしっかり打ち落として、嗾けてきた者に向き合います。

……あの、面倒な輩が三人、ですね。

 

「すっげー、ポケモンが大量だぜ」

「全部まとめて売り払うか?」

「いや、何匹か俺達のポケモンにしようぜ。丁度良さそうなのが数匹いるしな」

 

なんだか失礼なことを話してますね。

この数に勝てるとでも思っているのでしょうか。

 

『こいつ等か。

 ……儂が手を下そう』

『長!?よろしいので?』

『儂の森を荒らした刑罰は儂が与えなければいけない。

 ……下がっておれ』

『……分かりました』

 

長は、その大きな体を動かし、背中の花から伸びている太い太いツタを敵さんに向けました。

……ああ、長は人間に【フシギバナ】と呼ばれる種類の方です。

永く生きておられているようですが、私は長が戦う姿を見たことはありません。

その理由は、長が平和を望んでおられるからです。

物心ついてからずっと長にお仕えしてきましたが、ここまで好戦的になられている姿は、皆、珍しいと言っています。

それほどまで、長は敵意を向けておられるのです。

 

「……おい」

「……ああ」

「……やばそうなのが来るな」

「逃げるか?」

「いや、見たところ出てくるのはあいつ一匹だけだ。畳み掛ければいける」

「よし、いくか」

『話は終わったか、あはれ(憐れ/あわれ)な人間どもよ』

『長、くれぐれも無理はされないように』

『心得ておる』

「よし、いくぞ!スピアー!」

「ラッタ!いけ!」

「ドガース、突撃だ!」

 

襲いかかってきた三匹のポケモンを、長は一瞬で……樹に叩き付けました。

樹に叩き付けた、という事さえも、数秒経ってから気付いたことです。

オマケに、長は、

 

『何。この程度か。

 この森の戦闘指南も考え直さなければな』

 

等と仰っておられるので、私達は呆然。

 

「な、ぁ、ああ……」

「ば、化け物だ……」

「こ、殺される……!」

『皆の者、取り抑えい』

 

その言葉で正気に戻ったのは僅かでしたが、そんな数で捕らえられるほど彼らは脱力していました。

 

そして私達は匂いを頼りに、できる限り早く、あの不思議な人間のもとへむかったのです。

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