「……で、ここ、どこなんでしょう?」
やっと静かになってきたところで、話を切り出す。
いや、さ。茶色い兎、おそらくイーブイ君が私の上に乗ったり私の上に乗ったり、さらに私の上に乗ったりしてきてさ。
で、微かに腕に触れたとき、すっごいモフモフだったのね。
人_人_人_人_人
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なことはしてないけど、ちょっとだけ、ね?
「うん?ここ?僕の師匠の研究所だよ」
研究所とな。
どうして研究所にこんなベッドとか、ベッドだけが置いてある部屋とか、なんだかお値段高そうな絵とかがあるのかは疑問だけど、きっと仮眠室なんだろう。
で、その少年はこう続けた。
「君も名前は知っているはずだよ。オーキド博士のこと」
「……ぱーどぅん?」
この少年は今なんと。(あ、今の身長的には私のほうがちっさいんだった)
オーキド博士。
……あの、ゲームでもアニメでも有名なお方の、研究所とな。
「僕はこれから用があるからもう行くけど、余裕が持てたら1階の博士の部屋に行ってね。んじゃ!」
『ばいばーい!』
え、置いていかれるんですか。
放置ですか。そうですか。
え、これもう一回寝ちゃダメっすか?
☆☆
「おお、目が覚めたのか!」
そう言って安心したように笑う、私の目の前のおじいさんが、世界的権威のオーキド博士。
フルネームはオーキド・ユキナリ博士で、昔セレビィに出会ったことがある。
昔は早押しユキちゃんと呼ばれていて―――これはどうでもいいか。
オーキド博士はにこやかな顔をやめて、こちらを見てからこういった。
「で、お主の家はどこじゃ?
あまり見ぬ顔じゃが、隣町から来たのか?」
Oh、家を聞かれてしまった。
この世界に私の戸籍はないだろうし、『私』の存在があること自体おかしいだろう。
考え込んだ私を博士は黙り込んだと捉え、おそらく勘違いをして言葉を発した。
「家出でもしてきたのか?」
「……家出なんかはしてません」
「では、お主はどこから来たのじゃ?」
むむ、なんか誘い込まれている気がする。
家出したかときいて、相手が何か言うのを待って―――この人、もしかして黒い人?
あれか?人によって態度を変えているのか?主人公にはいい顔して、他の人には違う顔を見せているのか?
と、とにかく、前の人からの威圧感がすごいので、嘘にならない程度にゴタゴタいう。
「……とても、遠いところからきました」
「ほう、どこじゃ?」
「どこだと思います?」
「ふーむ……不思議な娘じゃのう」
さ、早速不思議ちゃん判定ですか!?
「不思議な娘って……もっと、他の言い方とか」
「うむ。お主についてはもうこれ以上言及しないでおこう」
「いや、ありがたいですけど。無視ですか」
「はっはっは。大人びているな。……そうじゃ、自己紹介をしていなかったな。オーキド・ユキナリじゃ。皆からはポケモン博士と呼ばれておる」
「紅蓮……クレンです。私って何歳に見えますか?」
「うーむ……11歳、いや10歳か?」
「あはは、そ、そうですよねー。じゅ、11です」
やっぱりかー。やっぱり子供に見えるかー。向こうでは17歳だったんだけどなー。
精一杯意地を張って11歳と言っておいた。だって、だって、だって。
「そういえば、クレンに会いたい人……とも言えんが、まぁ待っとる者がおる。
外へ出て見なさい」
私に会いたい者とな。あの言い方からして、人間じゃないみたい。
博士に促されるままに外へ出ると、そこにいたのは―――
『待ってましたよ』
私の鞄を持っている、炎の子馬でした。