魔法科らは逃げれない。   作:天道無心ビームサーべ流
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全国最強とかと団体戦をすればよくあること。

一科生と二科生の対抗戦がはじまった。

第一試合、深雪、リーナのペアとレオ、エリカペアの試合。

ルールをざっくりと説明すれば障害物競争で互いに様々な障害物を越えていかなければならず、仕掛けの内容は無人のロボットなどの仮想の敵や敵を察知すると弾を撃ってくる警備システムや、ローションの階段などとかなりの難所が多く、それを見ていた摩利は成績だけが良い生徒では攻略が出来ないものだと認識した。

エリカとレオは猪突猛進を表すかの如く、物理、物理、物理での突破。

硬化魔法で物理をあげて殴る、剣を片手に物理で突破していくだけで序盤は大きくリードをしていた。

しかし、中盤からは深雪とリーナの追い上げがはじまった。

序盤は正攻法で罠や仕掛けを突破していった為に時間が掛かってしまっていたのだが、中盤以降からはレオとエリカの様に力業でのゴリ押し。

仕掛けを問答無用で破壊して一気に距離を縮めるのだが、負けじとくらいつくエリカとレオ。

試合の終盤には素のスペックがものを言いはじめ、徐々に徐々に勢いを落とした二人は勢いを落とすどころか上げていった深雪とリーナに敗北。

 

「ごめん、なさい…」

 

第二試合、ヨシヒコ達の試合。

試合は脱出ゲーム+宝探しを合わせた様なルールで、序盤は達也がCADの調整をしてくれたことにより一科生上位陣となんら変わりの無い実力になったヨシヒコが美月を引っ張らなければと焦りを出し、ほのかも勝たなければならない、勝って当然でないといけないと言うプレッシャーに飲み込まれかけてしまうが、美月がヨシヒコを、雫がほのかを冷静に戻した。

中盤、本来の実力を出して連携の取れたほのかと雫が一気に間を引き剥がそうとするのだが、勇気を振り絞り眼鏡を外した美月はヨシヒコの呼び出した精霊を見て宝や脱出のヒントを察知。

 

「いや、謝るのは僕の方だ。

僕がコードの入力をミスしなければ、脱出は出来たはずだ!いや、それだけじゃない。

試合の序盤で僕が焦らなければ、自分でどうにかしないといけないと考えてしまわなければっ!!」

 

ほのか達が追い付こうとしたら、一歩進むヨシヒコと美月

最後に待ち構えた脱出口で集めた宝を置いて、暗号化されていたコードを読み解き入力をしなければならないのだが、暗号の答えが二つあり、自分が正しいと思った答えのコードを入力してしまい、もう片方のコードを入力したほのか達が先に脱出して敗北をしてしまった。

 

「違います、私が、私が頼りなかったせいで」

 

「そんな事はない!」

 

互いに負けた原因は自分にあると攻めるヨシヒコと美月。

どちらも悪いようで悪くないのでなんとも言えない壬生達はどうすべきかと掛ける言葉がなかったのだが

 

「じゃあ、喧嘩両成敗だ」

 

「「ひゃぐ!?」」

 

光國が言葉をかけた。

美月とヨシヒコの頭を掴んで、互いの額をぶつけた。

 

「イチャつくならば余所でしろ…今後どうすんの?」

 

「それは…」

 

額を抑える美月は光國の質問に答えれなかった。

自分達は負けてしまった。成果主義の学校のエリートに挑んだが、負けてしまった。

自分達が誇ったり、武器として使えるかもしれない部分を武器として使ったが負けてしまったのならば魔法科高校に居る必要があるのだろうか?

魔法師の将来なんて軍事関係ばかりで、中途半端な才能や力しか持っていないのならば戦場や現場に立たない方がいいかもしれない。

ここで才能が無いと認めて諦めるかどうかを聞いた。

 

「…来年に生かすか?」

 

「…来年もやるんですか?」

 

「そりゃ魔法師の中には測定しにくい生徒がこんなにも居るんや。

ペーパーテストとかよりも、こう言った感じの事をやって目立つチャンスを与えへんとアカンし…選民意識の強い魔法師をどうにかせえへんと、ホンマに終わるぞ魔法師。

まぁ、一先ずは任せとけ。オレと壬生先輩が一気に巻き返してやるから…勝ちましょう、壬生先輩」

 

「え、あ、う、うん。

そうね、そうよね…私達が頑張らないといけないわよね…」

 

負けた美月達を落ち着かせる事は出来たが、今度は壬生がプレッシャーに押されていた。

顔色が真っ青で、冷や汗をかいておりバイブレーションの如く震えていた。

 

「レオと壬生先輩とヨシヒコとエリカと美月の五人だから…ヤバいな…」

 

そんな壬生を見て、敗北して自主退学した際の責任を取るための金を計算する光國だ。

この調子だとストレート敗けをしてしまうと達也が感じる一方

 

「か、勝ててよかったぁあああ」

 

ほのかは一科生の控え室に戻って、体中の力を抜いて五体倒置の体制に入る。

 

「ほのか、力を抜きすぎだよ」

 

「そう言う雫だって、同じじゃない」

 

互いに五体倒置の体制を取っており、体に上手く力が入らない。

すると、深雪がほのかを、リーナが雫を起こして椅子に座らせてジュースを渡す。

 

「お疲れ様、ほのか…」

 

「本当にギリギリのところで、勝てたわね、シズク」

 

「運が、私達を味方してくれたんだよ…殆ど敗けに近かったし」

 

最後の扉を開くコードは二つに一つ。

ここぞと言う時の運をほのか達は味方につけたと喜ぶが、リーナは余り良い顔をしない。

 

「…私達が勝ったらダメだった?」

 

「いえ、そんな事はないわ…」

 

その表情を察した雫は直接聞くが、リーナは強く否定する。

 

「入試の成績も悪くなくて、一科生の中でも成績優秀者が集まった1-Aに入って深雪やリーナには勝てないけれども他の人達には勝ってた、ほのかと競い合ってた…だから、正直なところ勝てると思った…」

 

「…リーナ、深雪、ごめんね。

今だから告白出来るけど…リーナと深雪が二科生と一緒に居るのを見て、達也さん達と帰ろうとしたあの時、二科生なんかと仲良くしてって思っちゃった。

もし、過去に戻ることが出来るんだったら私はその時の自分を思いっきり殴りたい…一科生とか二科生とか関係ない、強い人は強いんだって、今日本当の意味で分かった」

 

「ほのか…」

 

試合に勝って勝負に負けたに近い二人の意識は大きく変わった。

それを見て、深雪は手塚が巻き起こしたこの対抗戦をしてよかったと感じる。

ほのか達は気付いていないが試合を講堂で観戦している一科生と二科生の心も良くも悪くも変わり始めていた。

 

『「間もなく、第三試合が始まります!

選手の方は直ちに試合会場に向かってください!繰り返します!」』

 

場が和むのだが、摩利のアナウンスにより一瞬にして空気が元に戻った。

距離を置いていた桐原は竹刀を握り、肩に乗せた。

 

「…悪いがオレで決めさせてもらう。

勝たねえとやべえのはオレもなんだ…だけど、オレは二度と二科生とかそう言うので笑わない…お前達の試合を見て、二科生にもやれば出来る奴は居るじゃんって思ってしまった、すまない」

 

桐原は頭は下げなかったが、心はちゃんとこもった詫びを言うと控え室を出ていった。

 

「…ここでいけるかしら…」

 

リーナはそんな桐原が勝てるかどうか心配だった。

 

「アンジェリーナさんには悪いが、ここで決まりだよ。」

 

「でも、剣術部と剣道部が揉めた際に桐原先輩と壬生先輩は戦って、壬生先輩が勝ったわよ?」

 

心配しなくても良いと桐原を信頼する森崎だが、エイミィの言葉に深雪達は耳を貸す。

単純な剣の腕では壬生が上、しかし魔法の腕では桐原の方が上。

 

「そう言えば、第三試合ってどんなルールだっけ?」

 

「えっと…。虹色と同じ七色の皿を体の好きなところにくっつける。

互いに虹色の順番、赤→橙→黄→緑→青→藍→紫か紫→藍→青→緑→黄→橙→赤のどちらかの順序で相手の皿を破壊すれば勝ち。

もし違う色の皿を間違えて破壊したなら、破壊された選手は破壊された色の次の色から相手の皿を割っていいルールで赤の次に紫を割ったら、紫の次の色から、紫の次に赤を割った赤の次の色から割らないといけないわ」

 

自分の出る競技のルールを覚えるのに必死なほのかは知らなかったので、補欠の為、全てのルールを叩き込まれたエイミィが説明をする。

 

「更に言えば、七色のお皿を割る際には魔法だけの攻撃は禁止。

お皿に振動系の魔法をお皿にかけて割った場合は反則敗けで、移動系の魔法でなにかを移動させてぶつけるのはセーフ、魔法無しもセーフ」

 

「つまり、どっちも剣を使ってくるんだね」

 

エイミィの説明を聞き、二人の戦闘方法を理解した雫。

直接の魔法ではなく間接の魔法、互いに剣を片手に基本能力を上げたり剣の質を上げたりする。

 

「それならば尚更、桐原先輩の方が」

 

「馬鹿ね…それはテストでの話でしょ。

…本当に、本当に限界ギリギリまで調整をしてきたわね…光國…」

 

「どういう、意味ですか?」

 

「第一から第五全て学校側が用意した競技じゃない。

光國の考案した競技よ…オーダーのミスをした時点で立場が逆転をしていたわ」

 

最初はなんとなくだった。

深雪とペアを組んだ際に、なんとなく感じていた。深雪とペアが正しいと。

何度か試しにエイミィ、雫、ほのかと組んでみた。深雪も三人と組んでみた…だが、どうもしっくりと来なかった。

試合をして感じた。試合に勝って感じた。雫とほのかの試合を見て確信をした。既に嵌められていると。

 

「…確かにそうかもしれません。

こう言うのは本当によろしくないですが、ペアがリーナだったので二人三脚で走ることは出来たけど」

 

試合中、二人が協力しなければどうにか出来ない仕掛けがあった。

深雪の高いスペックがあれば余裕でどうにでもなるのだが、ペアが深雪についてこれない可能性があった。

 

「それなら私もだよ…渇を入れてくれたのが雫だったから持ち直したけど…」

 

「待ってくれ!じゃあ、ここまでの試合は全て手塚の想定内だと言うのか!?」

 

「まさか…本気で勝ちに来ているわよ、光國。

最後に色々と言う基本的な能力やここぞと言う時の運で一科生は勝った。

だけど、第三試合からはそれが通じなくなる…私かミユキが出れば話は変わるけれども、第三試合は一人だけで、第四試合には光國が待ち構えている。

第一試合をキリハラとどっちかが組んだところで、レオとエリカのペアに勝つ可能性は低い。ほのか達と組んだら負け確定よ」

 

オーダーが良くて勝てた。

その事を全く否定しない女性陣を見てなにも言えない森崎。

 

「例え桐原先輩が負けても、第四試合には」

 

「無理よ、勝てないわ」

 

自分がいるから負けない。

そう言おうとした森崎だったが、真っ向から否定される。

ほのかと雫もうんうんと頷いていて、最初から勝てると思っていなかった。森崎は所謂捨ての大将だった。

 

「どうしてそう言いきれるの?

手塚さんは…今回のこの対抗戦を大きくしたけども、自らで動いていないわ。

例え、ルールで手塚さんが有利だとしても…」

 

「それは……ごめんなさい…理由は言いたくないわ」

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「ど、ど、どうしよう…」

 

荒野の決闘ならぬ演習場(草原)の決闘がはじまる数分前。

壬生はまだ慌てていた。自分が負けてしまえば全てが、魔法師として完全に終わりだと頭の中で瞑想していた。

 

「この作戦で、この作戦で本当に大丈夫なの!?」

 

「…負けても良いですよ?」

 

「え?」

 

余りにも慌てている壬生に期待していないかの様に付き添いできた光國は言った。

 

「別に負けても、構いませんよ。

魔法師としては完全に壬生先輩の人生は終わりです、負け犬の道を歩みますよ。

けど…それのなにが問題だって言うんですか?魔法師として終わっても、壬生先輩の人生は終わっていませんし…逃げたり諦めたりする事は悪くない。問題は次にどうするか、逃げた先でなにをするか、諦めて別の道を見つけ出すかが重要ですよ」

 

トンっと壬生の額に人差し指と中指をつける光國。

壬生の顔をしっかりと見ており、壬生の体には力が入っていなかった。

 

「壬生先輩は美人だしエリカと美月を使って、アイドルって言うのもありですよ」

 

「ア、アイドル!?」

 

「……落ち着きましたか?」

 

「ええ…なにを言っているのよ、もう。

私がアイドルなんて…柄じゃないわよそんなの」

 

緊張が解れた壬生はゆっくりと深呼吸をしてリラックスをはじめる。

それを見て光國はもう問題ないと安心をする。

 

「それでは頑張ってください…勝てる方法は既に教えてますので」

 

「ねぇ、こんなので本当に大丈夫なの?」

 

「お前達、時間だ」

 

光國から聞いた桐原の攻略方法。

果たしてそれで勝つことが出来るのかと、心配するが摩利が間に入った。

時間が来たと光國は壬生とわかれる。

 

「頑張って勝利を…オレまで繋いでくれ…」

 

「…手塚、随分と色々な手を用意したようだな。

試合を観戦している一科生と二科生は色々と心を変えだしたが、これだと壬生達が…」

 

余りにも醜態を晒すだけだ。

自分達を抑えた事はよかったが、勝つまでには至らなかった。摩利はそう感じるが

 

「なにを言っている…オレ達は負けてはいない」

 

光國は最初から勝ちに来ていた。

壬生に負けても良いと言ったが、壬生を落ち着かせる為で勝てと言うのが本心だ

最初から光國は全員が勝てると信じていた。だから自らを第四試合に置いた。

 

「…不幸を感じるものは幸福者で、不幸と感じないものこそが真の不幸な者。

悪を悪だと感じるものは真っ当な人間で、悪を悪で罪だと自覚しないものが本当の悪…オレ達にとっては現実な世界だが、どうなってるんやろうなその辺は…」








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