「では、改めましてこの一科生と二科生の対抗戦、二科生の勝利です!!」
第一試合 エリカ・レオ ● 深雪・リーナ ○
第二試合 幹比古・美月 ● ほのか・雫 ○
第三試合 壬生 ○ 桐原 ●
第四試合 手塚 ○ 森崎 ●
第五試合 二科生 ○ 一科生 出場条件を満たせず失格
一科生 2-3 二科生
勝者、二科生
講堂へと立った、代表選手達。
真由美が途中までしか言い切れなかった、勝利宣言を言い終えると拍手が講堂に響く。
「…一学年、2クラス分減ったな」
講堂のステージから、一望する光國は生徒の数が少ない事に気付いた。
今日は病気じゃない限りは絶対に登校しないといけない日で、来ている生徒の少なさに疑問を持つ。
「それと悲しいお知らせをします。
各学年の一科生と二科生の生徒の多くが辞めて、一科生と二科生が一クラス分ずつ減りました。つきましては後日、減った分の補強を、クラス分けを行います」
これから先、お兄様達が中心に災厄の時代が始まる。
光國達の試合を見て、実力と才能が無い二科生は諦めて退学した。
今回の一件で魔法師の才能こそあるが魔法師じゃない家の人達は子供をやめさせられた。
第一高校自体に問題があると魔法師の家系の人達は別のところに向かうべくやめさせた。
ある意味、この第一高校を辞めて別のところに向かおうとするのは良いことかもしれない。
「七草会長、一つ質問をよろしいですか?」
「なにかしら?」
「…そう言うのって、校長が言うんじゃないのか?」
両手に花の光國。
右には壬生、左にはリーナがいて腕を組んでいるが気にせずに七草に何故七草が進行しているのかを聞いた。
「…魔法科高校は普通科の高校とは違い、生徒会長に大きな権限が」
「クラス変更等の説明が生徒会長がするのはおかしいですよ…それよりも肝心の校長先生は何処にいるんですか?」
ずっと疑問に思っていた、学校側の対応と言うか百山校長。
対抗戦の時にも学校にはおらず、今日もまだ一度も見かけていない。
と言うより、見掛ける方が稀なんじゃないだろうか。
「そう言えば、一度も見ていないわね…」
校長の事を話題に出すと全生徒が見ていない事に気づく。
記者会見の後、各関係者に色々と対応していたりするのは分かるのだがそれでもこんな日にすら来ないのは…となっていると
「すまない、遅れた」
百山校長が講堂に入ってきてステージにたった。
「やっと表に出たわね…」
「百山校長、今年で10年目らしいよ」
「今までなにもしなくて、今さらなにをしに来たんでしょう…」
紗耶香、ヨシヒコ、美月は校長を睨む。
今の今まで問題を放置していて、対抗戦を見に来ることもなく、今さらなにをしに来たんだと他の二科生も睨む。
「お前達、そう言う視線はやめろ」
リーナと紗耶香のホールドから抜け出し、マイクを手に取った光國。
百山校長に近づいていき、逃げれないようにする。
「百山校長、一科生と二科生の対抗戦は二科生が勝ちました…」
「…会見で言った通り、学校の公式HPで結果のみをあげる」
「ありがとうございます…で、どうするんですか?」
光國達が出来ることはもう全てやった。
騒ぎを起こし、試合をやって勝利をして、結果を作って成果を残した。
一科生と二科生の心は変わったが、光國達はここまでしか出来ない。教師を足したり、制服を変えたりなどは光國達には出来ない。
子供の時間は終わり、大人の時間に変わった。
「まさか、ここまでやって制服をそのままのするんですか?」
「…制服等は、全て一新する。
その為、来年までは私服での登校を…」
「制服代は?」
「私の退職金から出る…全員、花弁の制服だ」
「あざーす…で、他は?」
差別を助長させる一番の原因である制服は終わったが、まだまだである。
魔法科高校の問題点は他にも多くあり、代表的なのは人間力の低さとか道徳的なものだ。
「他にも色々と問題点はあります?
この第一高校でなくても、他の魔法科高校でもある問題点…例えば達也みたいに、実技がダメだが実戦が得意な生徒に対する救済措置とか、どうします?」
追撃は止めない。
今を逃せばこれから三年間、チャンスは来ない。
絶対に逃すわけにはいかないと質疑応答を繰り返す。
「…君ならば、どうする?」
「いやですねぇ…帰宅部のオレにはなんの権限も無いですよ」
「そうか…では、現生徒会長、七草真由美!!」
「はい!…あの、既に生徒会の枠は全て埋まっていますが…」
「今まで、ご苦労だったね」
「え…」
真由美に一枚の紙を渡した百山校長。
まさかと真由美は恐る恐る折り畳まれた紙をゆっくりと開いた。
【国立魔法大学付属第一高校 現生徒会長 七草真由美
貴殿を本日付けで国立魔法大学付属第一高校の生徒会長を解任とする。
つきましては、次の生徒会長を決める選挙まで百山東現校長が臨時の生徒会長を任命をお願いします。】
「校長、権力争いに負けたな…」
魔法師は好きでも嫌いでもないが、十師族が気にくわない。
そんな感じの奴等との口喧嘩と言う名のパワーゲームに百山校長は負けた。
十師族が嫌いな奴等は嫌がらせとして七草に大恥をかかせるべく、動いた。
「現生徒会長は解任し、次の生徒会選挙までは君が臨時の生徒会長だ…手塚光國くん」
「…え…え…え!?」
「…二科生は生徒会には入れないのでは?」
予想外の事なので、驚く光國。
しかし規約で二科生は生徒会に入れず、それでお兄様は仕方なく風紀委員に入っている。
光國はセーフなのかと深雪は額に青筋を浮かべて校長にその辺について言及する。
「一科生のみ可能で、二科生は出来ないと言ったものは廃止。
実技授業等の調整も今後していく方針とし、生徒会には調整の意見を求める事が多くなりますが」
「それって、光國に全部やらせるつもりじゃない!何処まで、逃げに走れば」
「ちょ、リーナ、黙れ。
校長の首は来年辺りに飛ぶし、退職金も減らされてる上でオレ達の制服代金に使われてて、天下りも出来ん状況や…その話を受けるけど、幾つか追加してええか?」
意識を現実に戻した光國は、冷静になりリーナを落ち着かせて、これはある意味チャンスじゃないかと、話を受け入れる。
「この際だ、言ってみなさい」
「生徒会役員に辞職権限とクビにする権限をください。
…まぁ、うん…生徒会にもね、一科生とか二科生とか…そう言った感じの事をね…本当にダメだからね…それと力不足だったケースが怖い」
「その程度の事ならば、構わないとも」
「ああ、そうですか。
じゃあ、辞職する際には後任の人を指名しないといけないシステムでも良いですか?
過去に一度も生徒会に入っていない生徒限定で指名できるシステムで…大丈夫ですか?」
「そんな事なら、幾らでも構わないと言ったはずだ。
それよりも早く生徒会役員をここで指名してくれたまえ」
「マジかー…」
ここまでスムーズに進むとは思わなかった光國。
校長がもうなにか言われたくないのか、適当にやっている。
「スゴいな、手塚!一年で生徒会長になるなんて!」
「深雪とか達也くんならともかく、まさか手塚くんが生徒会長になるなんて…おめでとう!」
「お前等、覚えとけよ…」
光國が生徒会長になったことにレオ達は喜ぶが、地味に酷いことを言う。
しかしカリスマ性では達也や深雪、リーナには勝つことが出来ない。カリスマAやBが達也や深雪達ならば光國のカリスマはDぐらいだ。
その辺の自覚をしているので、小言を呟くだけで光國は終わらせる。
「え~じゃあ、一応の任命をしますね。
自分では力不足だと言う人は後で生徒会室に来てください、もし来なかったら認めたと言う事になり、入った事になり、仕事をしなければ内申点が下がります…て言うか、オレ達はそこそこ休んどるけど、授業日数足りとるん…あ、今の無しな。休日返上は嫌や。」
「手塚会長、早く新しい役員のご指名を。
幸いにもここには全校生徒がいますので、余計な手間が省けます」
「あ、すみません市原先輩…え~…まず、深雪を副会長にします」
「リーナではなく、私、ですか?」
「あ、嫌なら後で断ってエエから…取り敢えず、進めさせてくれ。
えっと…中条先輩と市原先輩、引き続き今の役職をお願いしますね…で、深雪がいたポジは…あ~…もう、光井ほのか辺りでエエか。成績的にも人間力的にも問題ないし…嫌なら後で言ってきてくれ」
「…お兄様は今のままで?」
「深雪、話を最後まで聞いてくれ」
徐々に徐々に寒くなる講堂。
深雪が無意識に周りを冷却してしまい、半袖な生徒達は寒いと訴えだすが気にせず進行。
「で、生徒会の風紀委員への推薦枠ですが…たまには下働きをしてみろやぁ、ぐぉるぁ!!という事で、七草真由美元会長(笑)に…精々苦しめ」
「百山校長、新しい生徒会長の方が人格に問題があります!!」
「七草元会長、そんなことよりもお兄様が何処にもいません!!」
このままだと男女比率が面倒な事になったり、光國ウハウハの状態だったりとなにかと問題だと抗議が入る。
「…ああ、そう言うことね」
自分を選ばなかった理由を分かったリーナ。
光國の座右の銘はモットーは、やる時はやる。やらない時はやらないだ。
真面目の時は真面目だが、真面目じゃない時はだらしなかったりするのが光國だ。
「え~ここで大事なお知らせがございます…私こと現生徒会長、手塚光國は生徒会長を辞任します!!つきましては、新しい生徒会長を司波達也を指名します…はい、後は頼んだ…あ~疲れた、夕飯作るの面倒になったな…」
生徒会長なんてかったるくて面倒な事なんて絶対にやりたくない。
なので、逃げ場を封じてから達也に全てを押しつけた。
「お、おい待て!」
「喜べ、深雪。
愛しのお兄様がNo.1に、深雪がNo.2になった…1-2フィニッシュだ!」
嫌だと断ろうと光國を追いかけようとする達也。
しかし達也の唯一の弱点とも言える深雪を上手く利用する光國。
「お兄様が生徒会長で、私が副会長…ナイスです、手塚さん!!」
「褒めるぐらいなら、焼肉を奢ってくれ…食べ放題じゃない注文形式の焼肉を」
「その程度の事でしたら、この後に!!」
「お、マジで!?」
最早、断ることは出来ない空気が生まれた。
と言うか、深雪が物凄いノリノリになっているので達也は断ることが出来ない。
国立魔法大学付属第一高校 臨時生徒会長
手塚光國
「一年生にして、生徒会長になるなんて…」
「はい、皆さん御一緒に」
一部を除く生徒が、達也に向かって言った。
完全に達也が逃げれない場所を作り上げられた。
「今後の活動や授業の増加につきましては追々とします。
…手塚くん、帰ろうとしてはなりません…まだ、最後のメインイベントが残っています!」
「メインイベント…あ、そうだった!」
普通に帰ろうとしていた光國は市原に止められた。
メインイベントが残っており、光國はそれをしなければならなかった。
「メインイベント…お兄様が生徒会長になるのがサブイベントと?」
「ああ、そうだ…」
達也の生徒会長(臨時)就任以上のメインイベントは無いと深雪は言いたいだろうがまだ残っている。
「市原先輩、壬生先輩、リーナ、GO!!」
光國の合図と共に動き出した三人。
ステージに立っている森崎を取り押さえる。
「!」
そして、深雪はメインイベントがなにか分かった。
達也の生徒会長就任よりもビックでメインなイベントだった。
「な、なにを!?」
「…え~ここで本日のメインイベントを行いたいと思います。
皆さん、テロられたり第五試合があやふやになったり森崎がデビルになったりして忘れてるかもしれませんが…オレとこいつ、負けた方が丸々一年間坊主です」
ウィイイインと音がなるバリカンを取り出す光國。
それを見たエリカや深雪は顔を青くして、引いてしまう。
「対抗戦は出れただけでも良い経験になったとかじゃありません。
勝ち以外はなにも求めておらず、今年負けてしまった生徒には来年絶対に勝ってほしいです。
と言うことでメインイベントを…
を行おうと思います…せめてもの手向けだ、司波深雪をはじめとする美女達の前に…髪の毛を散れ!!」
こうして、一科生と二科生の溝を埋める対抗戦は幕を閉じた。
本来の道筋通りにはいかなかったものの、本来の道筋以上に魔法科高校の問題点は解決した。
「て、手塚ぁあああああああああ!!」
失ったものは多かったが、それでも人は前に進まないといけない…永久脱毛じゃないだけ感謝しろ森崎。