魔法からは九校戦からは夏休みからは逃れられない
一科生と二科生の対抗戦を暫くたち期末テストを今やっと終えて、勉強から解放された第一高校の生徒達。
「皆様、お疲れ様です。
臨時の生徒会長を勤めている司波達也です…テストで頭を使い疲れているところ申し訳ありません」
テストが終わったので家に帰れると思ったのだが、全校生徒が講堂に集められた。
ステージには達也、深雪、摩利、十文字と第一高校で重要な役職を持つ生徒が立っており、座っている生徒達はなんの説明かなんとなく理解していた。
「テストが終わり、このまま夏休みに入りたいところですが夏休みには九校戦があります。
男女テニス部の手塚光國部長が色々と騒動を起こしましたが、今年もちゃんと九校戦があります。例年より数日多いですが、それでもあります」
「おいこら、オレをピンポイントで名指しすんなや!!一応何処かの誰かがネットで書き込んだ事になっとるんやぞ!」
九校戦、またの名を炎のゴブレットパロディ。
ハリーポッターの炎のゴブレット宜しく一から九までの九つの魔法科高校のエリート達が富士演習場付近で魔法競技で競いあう炎のゴブレットのパロディ的なの。
出るだけで夏休みの宿題免除、好成績を残せば内申点がうなぎ登りで出ている選手達は将来の魔法師業界を担う者ばかり。
光國が馬鹿騒動を起こして今年は潰れたかと思ったが、九校戦はメディアに出ない魔法師達が表に出る数少ない場で、どうにかして魔法師達に向けられる世間の目を変えようと中止にせずに逆に九校戦をしようとなった。
「九校戦は魔法科高校の生徒全員が出れるものではなく、各校から選抜して生徒を出します…そして、この第一高校は期末テストを終えた後にテストの成績で代表選手を決めますが、対抗戦の結果、テストの成績だけで測れない実力者が居ることが判明しました。
なので、今回はテストの点数が低かったが実力はあるぞと言う生徒の為にランキング戦を行おうと思います。
アイス・ピラーズ・ブレイク、バトル・ボード、スピード・シューティング、クラウド・ボール、ミラージ・バット、何れかの競技に出たいと自信があると言う生徒は後で生徒会室来てください。モノリス・コードは三人のチームを自分達で作ってから御越しください。代表選手候補同士で戦い、代表を決めます」
成績=絶対ではないが、成績=大体あっているである。
こんなことをやってもテストの上位陣が代表選手になるだけなのだが、しないよりはましだ。
達也は一礼をすると、十文字にマイクを渡す。
「先に学校側から生徒を何名か推薦させてもらう。
無論、その生徒もランキング戦に出てもらう…負けることは先ず無いだろうが、もし敗けが続いた場合は代表からはずす。推薦された生徒は精進し、推薦されなかった者は残った枠や推薦された生徒から代表の座を奪う気持ちでいてほしい。
本戦のスピード・シューティングとクラウド・ボールには七草真由美、バトル・ボードとミラージ・バットには渡辺摩利、アイス・ピラーズ・ブレイクは俺だ。
新人戦は…スピード・シューティング、森崎駿と北山雫、バトル・ボードには光井ほのか、クラウド・ボール、手塚光國だ」
「おい、推薦の意味って知っとるんか?」
推薦が全くといって仕事をして無いぞとツッコミを入れる光國。
「…推薦は学校側の判断だ、生徒はなにも判断していない。
しかし、推薦された生徒は無名の魔法師に負ける可能性はほぼ皆無なのは全員分かっている」
十師族が十師族候補の十八家か同じ十師族以外に負けることはない。
いや、負けてはならない。負けることは均衡を崩すことになるのだから。
名のある家の人間も負けることは許されない。
「それと魔法師が魔法だけではない事や危険な存在ではないと九校戦中にパフォーマンスをする生徒を九校全てで募集中だ。内申点は上がらないが、周りからの評価が上がる。
最後に九校戦の点数自体には全く影響はないのだが6つの種目以外に、人間力を競う競技がある。競技内容は当日まで不明だが、人間力が高いか低いかは今後お前達の将来に関わることだ…以上だ」
「…」
光國は考える。
一科と二科の溝を埋めるために色々とやりすぎたと思ったが、そんなに影響はなかったと。
実力的に選ばれるのはテストの上位陣だから出場者もそんなに変わらないなと考え、そして
「オレはクラウド・ボールどころか、九校戦には出ません」
出場を辞退した。
講堂で細かな日程や競技内容の説明を終え、他の生徒達が代表権を獲得するランキング戦の登録を終えた頃にリーナと共に生徒会室に向かい辞退を申し出る。
「一科二科の差別は徐々に埋まってきている。
新人だろうが本戦だろうが、クラウド・ボールでお前に勝てる者はいない。
お前を倒せると言えば七草元会長だが元会長は女性で絶対に当たることはない。
更には
女子の新人戦は
辞退をすることを想定はしていなかったが、直ぐに対処する達也。
クラウド・ボールで手塚光國に勝てる奴等は恐らく、魔法師として絶対的な強さを持つ七草真由美か、魔法が使えて尚且つ日本代表に選ばれるレベルのテニスプレイヤーだと判断しているので、出来れば出て欲しい。
なので一先ずはよいしょして危険な存在は居ないことを勧めてみる。
「それでも辞退する…と言うか深雪はなにに出るんだ?
今回のテストの総合成績はリーナと深雪の1-2フィニッシュで、三位以下との差が大きく開いているのに…なんで推薦に選ばれなかった?」
「深雪なら、本戦だろうが新人戦だろうがどの競技でも優勝出来る。
俺はそう思っていて、学校側も深雪の成績ならばどれに出ても問題ないと判断した為だ」
「そう言うことしてると、ポロっと落とすで…リーナもそんな感じか?」
「ああ…」
思いの外、手強いなと感じる達也。
自分は出ないと言う意思の表示をしつつも話題を変え、無表情を貫く。
この状態では絶対に嫌だと出ないだろう。
「…手塚くん」
「選ばれた義務とかを押し付けんなや。
そもそもの話で、成績優秀者に出ないかと誘うだけであり用事があれば断れる。
成績優秀者は出場する権利を手に入れるのであって、出場する義務なんてもんはあらへんで」
摩利が心に訴える系の言葉を言う前に先手を打った光國。
出たくないので、出ない。普通に通るのだが、今ここでなんとか食い止めようとする生徒会と会頭と風紀委員長。
「手塚くん…貴方はもうテニスを、いえ、テニスプレイヤーになることは出来ない。
君の持つ魔法力はそれなりだから、プロのテニスプレイヤーとして外国に行って大きな大会に出ることはもう、不可能よ…けど、魔法師として輝くチャンスはいっぱいあるわ。
君ならば、本戦のクラウド・ボールに出ても誰も文句は言わないどころか優勝することが出来て、一校の優勝に貢献した事になって魔法師としての功績を残すことが」
「…言いたいことはそれだけか、七草さん…」
光國がただの魔法師ならば魔法師として輝く事は出来るのだろうが、そうじゃない。
魔法師として輝く事すら出来ないのを分かっている。
「手塚、お前は何故そこまでして九校戦に出ない?」
「めんどくさいからや。
数回の試合をした後、一週間ぐらい試合観戦するだけなら有馬温泉にでも行きたい。
オレには第一高校の誇りとか伝統とかそう言う感じのもんは重くもなんとも思わん…日本代表として世界一になったとき、日本最強のNo.1の証を捨てて同じ代表からぶん殴られた男やぞ…そないなもんは捨てとる…」
めんどくさいから出ない。
光國はそれだけを理由にして出ようとしない。
「…それならば、クラウド・ボールが終われば箱根の温泉に行っても」
「それも面倒やからパスや、パス…あのな、オレは表立つのが嫌やゆうてんねん。
今更なにを言っているんだとか思っとるかもしれんけど、前回の一件でオレは魔法師には色々と知られただけで、そこで止まっとる」
あの手この手で光國を出そうとするが、嫌がる光國。
言うのは物凄く嫌なことだが仕方ないとめんどくさいの意味を語る。
「魔法師とは全く関係の無い人はオレを知らん。
一科生と二科生の時は一時のテンションに身を任せたりして、なんも考えてなかった事もあるけど…今なら言える…顔見られたないねん。
九校戦は魔法科高校の生徒達が表やメディアに出る行事で…その、オレは魔法師になる際に友達にはなにも告げずに家出に近い状態でここにおる。
もし、なんかの拍子で見られてみろや…一緒に隣を歩くのが嫌になるうちの親父や、
甘えた考えとかふざけんなとか思っとるかもしれんけど…オレには、会う覚悟は無い…オレはやる時はやるけど、やらないときはやらない…九校戦はやらないんや…」
「…こうなった手塚光國は、動きません。
無理矢理動かしたり、力で従えることも出来ません…失礼します」
嫌でも出ない。
その意思を貫き通すと黙っていたリーナは口を開けて、謝り光國と一緒に生徒会室を出ていった。
「…あの調子だと勝手に登録してもわざと負けそうですね…手塚は諦めましょう」
手塚光國を出場させることは出来ないと分かれば直ぐに諦める達也。
取り敢えず、代表権を勝ち取るランキング戦に出場する生徒と開催日を決めようとするのだが
「た、達也さん…」
「どうした、ほのか?」
「その…無いです…」
「…なにが無いんだ?」
「リーナの、参加登録が無いんです。
クラウド・ボールにもアイス・ピラーズ・ブレイクにもミラージ・バットにもバトル・ボードにもスピード・シューティングにも…どの代表決定戦にも登録していないんです!」
リーナも参加しない事が判明した。
次の日、出てくれと言うが光國が出ないのと悪目立ちしたくないからパスをする。
あの手この手と頑張ってみるが、首を縦に振らない光國とリーナ。
テストの成績が出ると、二年の実技一位になっていた壬生に出ないかと頼むが格闘技での戦闘が出来る競技は無いからと断られてしまう。
「…ねぇ、光國…出なくてよかったの?
…元会長の言うとおり、もうテニスプレイヤーとしては活躍できないわ。
同学年で凄い奴はクラウド・ボールに出ないし…その、家族とか友達とか…」
「…正直な話、調べようと思えばオレの現在地を調べれる。
九島が色々とやっとるけど、戸籍とかそう言うのはオカンが守っとるから調べれる筈や。
せやけど、クドウ…今の今までいっぺんも連絡くれへんのは自力で帰ってくるのを待っとるからや…けど、オレには帰る勇気はない。
謙夜も吟もエエ奴で理解してくれるし、月さん達も理解してくれるやろう…だからこそ、帰りたいって未練垂れ流す…断ち切らんと」
暴力的な戦う力は持っているけど、それだけではなにも出来ない。
光國はそれを分かっており、諦めている。普通の魔法師としても輝けない。
「まぁ、気にすんなや。
それよりも夏休み、大阪と奈良と京都以外の場所に遊びにいこう。
ファントムの事ばれたらヤバいからと沙耶香先輩も九校戦は出ないから、パーっと遊ぼう。
こういう時に貯め込んだ金を使わんと…予想以上に賠償金貰えたから使わんとさ…それに、国にテロリストがおって、魔法科高校狙ってて…九つの魔法科高校が集う九校戦って出たくない。普通にめんどくさいのもホンマやで。」
光國とリーナと壬生は九校戦には出場しない。
光國は後日行われた代表選手決定戦には顔を出さず、発足式の日は休んだ。
その事について生徒会はなにも言わず、生徒達は逃げたと噂をたてたが全く気にする事は無く時は進む。
九島烈が出ないのかと聞いてきたが出ないといった。
自分が十二分に戦えるルールも無いし、魔法技能関係で目立つのは九島的にも面倒だろうと出ないと言い続けた。
千葉エリカが女子のクラウド・ボールの新人戦の代表権を手に入れたりしたが、大きな影響や変化はなかった。
七草真由美が服選びとかで遅刻したので、達也が点呼を取った。
一科生と二科生の差別排除の結果、お兄様と深雪は一緒のバスに乗った。
九校戦編の敵とも言える奴等が一高出場を阻止すべく事故を起こそうとしてきたが普通に対処した。
吉田幹比古はモノリス・コードに出場したかったけど、代表決定戦に出るために必要な二名の選手が集めらなかった(達也達以外に友達いなかった)
吉田家の力とかで九校戦の裏方をすることになり、レオと美月を誘った。
人間力を測る九校戦とは関係の無い競技に魔法と人数制限無いのでと参加した達也が優勝した。
森崎が悪魔化して、新人戦のスピード・シューティングをぶっちぎり優勝した。
優勝後のインタビューでポプテピピック宜しく中指を突き立てて、全国に【モブ崎】が知れ渡った。
クラウド・ボール新人戦は一色愛梨を相手に逆手の右でエリカは戦ったが、後少しのところで負けて準優勝した。
モノリス・コードで悪魔化する前に森崎とチームメイトが建物崩壊に巻き込まれて負傷。
達也、レオ、ヨシヒコのチームが急遽結成される。
クリプリスとジョージの三校チーム撃破
一高は新人及び総合優勝。
お兄様、九校戦の裏で賭けをしていた奴等ぶっ倒す。
本来の道筋通りの事は起きなかった。
しかしそれっぽい事は起きて、なんやかんやで良い感じのエンディングを迎えた。
第一高校の総合優勝で九校戦は終わり夏休み編に突入したが光國達は誰とも会わなかった。
オジイのプライベートビーチで遊び、海の家のビーチバレー大会に出た結果、オジイと百山東ペアにボコボコにされてシルバーシートにされ屈辱を味あわされたりした。
紗耶香がキスをして来たり、リーナと料理を作ったり、温泉に三人で入ったり、市原を含めて遊んだりと楽しい楽しい夏休みを過ごした。丸1日記憶を失っていて、その事について誰も答えてくれなかったりした。三人とも満足してたので聞かなかった。
これにて、手塚光國の九校戦編は夏休み編は終わりを
「…あ~今日から新学期か。
気まずいな…達也達二科生だけでクリプリス倒したから、魔法業界騒いどるし…まぁ、達也の技師としての腕が披露されたし、そう言う特殊な科は出来るか…最先端だな第一高校は」
目覚ましがなる前に目を覚ました光國。
リーナを起こさない様にゆっくりと布団を出て目覚ましを止めようとするのだが
「…?」
なにか違和感を感じていた。
よく分からないが、なんか昨日と違っていた。
「…夏休みボケやな」
遊びすぎて、オンオフの切り替えがおかしくなった。
今日から新学期だと思えば少し足取りが重くなるが行かないとクソジジイが喧しい。
「何処もかしもこ今日から新学期って言うんだろうな…この日は百年たっても変わらないか」
今日からはじまる新学期
そんな朝のほのぼのとしたニュースを見るべくテレビをつける光國だが
「…?……!?」
どのチャンネルを見ても、その手のニュースは一切していなかった。
むしろ間もなく夏休みと言ったニュース等が報じられていた。
「暑いわね…」
「リーナ…携帯かパソコンを見てくれないか?」
「なに…もしかして寝ぼ…うそ…」
自分が居なくなった事により目覚めたリーナ。
まさかと携帯を見てもらうとそこにはとんでもないものが、いや、極普通だが二人にとってはとんでもないものが写っていた。
「嘘…今日って、新学期じゃないの?
これ盗聴もハッキングもされない最新モデルなのに…な、なんで発足式の日付になっているの!?」
手塚光國とアンジェリーナ=クドウ=シールズの九校戦編は夏休み編は終わらなかった。