魔法科らは逃げれない。   作:天道無心ビームサーべ流
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鏡の中の領域

「ふぁ~あ…リーナ、凄い残酷な事かもしれないが森崎は見捨てろ」

 

「えっと…どういう意味?」

 

九校戦の開催日は同じだが、会場入りする日はちょっと早かった。

原因は言うまでもなく光國で、人間力を競ったりするレクリエーションをやったりパフォーマンスをしたりと色々とあるからだ。

その辺は九校戦の点数とは全く関係なく、光國はリーナの髪の毛を整えながらそこそこの決断をリーナに迫る。

 

「結果的には第一高校の優勝に終わるが…地味に負傷者が多かったり、確立された飛行魔法が堂々と使われる。その辺について余計な事をしないでほしいんだ…相手の望みが分からないからな」

 

「…分かったけど」

 

「アイス・ピラーズ・ブレイクは優勝しても良い。

と言うよりは、優勝しないと強制的に飲まないといけないからな…はい、終わり…あ~眠い」

 

白い魔法使いの目的は光國は九校戦に行くことなのは確かだ。

そこで恐らくもう一度、会合する機会があり…下手すれば死闘を繰り広げる。

原型(アーキタイプ)が完成形の仮面ライダーに勝てるか不安だが表情には出さない。

 

「光國、徹夜どころかオールしてたけど…なにをしてたの?」

 

「北欧神話の勉強をちょっとしてた…時間逆転できるのが神様ぐらいで、それも最上級のものとくれば、神話に出て来てゲームや創作物に出てくる時間関係の神様やから調べてた」

 

「時間の神…クロノスとかかしら?」

 

「それはギリシャや。

少なくとも、魔法が実在したと完全に証明された現代だ…神様は実在しているし、地獄や天国だってあるはず…とにかく、知らぬ存ぜぬ体でいかんと…余計な地雷を踏みたくない。

なにせ、タイムリープをしている起こしている奴も姿も原因も分からん…下手すりゃ外国で起こしとる可能性があるんや…オレ達だけ時間干渉が効かんとか恐ろしいしな」

 

「確かに…日本にはそういう感じの神様が居るって耳にはしないわね」

 

上手いことを言ったなと服に着替えて、外に出る光國とリーナ。

 

「コネクトって何気に最強の魔法よね…地味に一番、疲れる魔法だし」

 

「オレの魔法は四次元ポケットじゃない」

 

手ぶらで出る光國とリーナ。

早いところ、九校戦の会場に向かうバスに行きたいのだが、一週間以上家を開けるので大家のババアに言っておかなければとアパート前で掃除をしている大家に声をかける。

 

「大家さん」

 

「ああ、あんた達かい、ちょうどよかったよ」

 

「どうかしたんですか?」

 

「光國、あんたに手紙だよ。

このご時世に珍しい、紙の手紙で差出人が全日本テニス協会だと来た…あんた、アダルトサイトにでも引っ掛かったのかい?」

 

小さい茶色の封筒を見せてくる大家のババア。

このご時世に紙の手紙で送ってきただけでも珍しいのに、差出人が全日本テニス協会ときた。

完全に偽の手紙だと怪しむ。

 

「いやいやいや、オレがアダルトサイトだなんてそんな…リーナが居るだろうが、クソババアが!!舐めんじゃねえぞ!!」

 

「うるせえ、クソガキが!!

あんたなんだかんだでモテてるんだろ、年上の女を三人も連れてきてるの知らないと言わせないわよ!!」

 

「両手に花どころか、東西南北真っ暗だけどな!!

ちょっと九校戦に出てくるから、二週ぐらい部屋を開ける…」

 

「あら、九校戦なんて…イケメンが間近で見れて羨ましいわ、私も後もう少し若ければ口説きにいったんだけどね…大人な熟した女って、良いかしら?」

 

「「オボロロロロロロロ!!」」

 

「吐くんじゃないわよ!」

 

大家の気持ち悪さに苦しみながらも出かける事を教えた光國とリーナ。

九校戦の会場に向かう為のバスがある集合場所に向かう。

 

「あれ、タツヤが点呼を取ってるの?」

 

集合場所に着くと点呼を取っていたお兄様。

臨時とは言え、生徒会長な彼はしなくても良い仕事なのに何故かしている。

こう言う割とどうでも良い感じの仕事は下に任せるんじゃないかと下の立場の人を探す。

 

「七草元会長は遅れているみたいでな」

 

一番下は遅刻をしていたが、特に不満らしい不満を言わない。

十師族の七草家の娘、生徒会長解雇と言う前代未聞な目に遭ったのだからこの九校戦では的な事を言われているのだろうと皆が察する。

 

「…暑くないのか?」

 

「暑いかどうかと言えば暑いが、騒ぐほどじゃない」

 

「…リーナ、先にバスに乗っててくれないか?」

 

「光國は?」

 

「オレはまだバスに乗っていないから、遅刻だな…バスに乗った時点で笑ったらアウトやで」

 

「…はいはい」

 

なんだかんだで優しい部分はある光國。

緊張して眠れなかったと遅刻したものを煽ったりフォローしたりする為に残る。

 

「私の席は…早いわね、皆」

 

バスに乗って自身の座席に向かおうとすると、隈を作っているほのかと雫と何時も通りなエリカと深雪がいた。

 

「ごめん、一睡もしてない…ほのかが寝かせてくれなかった」

 

「だ、だって…負けたらペナルティーがあるんだよ!!」

 

「だからこそ勝てば良いじゃない、勝てば。

実際のところ、出れるだけでも嬉しいって思っているだけじゃダメだわ…手塚くんみたいに勝利に執着しないと」

 

「光國は参考に出来ないわよ」

 

全員を恐怖のドン底に突き落としたあの汁がやってくる。

そう思っただけでほのかは怯えるも、なんだかんだ言いながらも代表の座を渡さずにいる。

芯はちゃんとあるんだとリーナと深雪はちゃんと見ている。

 

「…それにしても、遅いわね」

 

「ちょっ、リーナ!」

 

「なに?」

 

「ええ、確かに遅いですわね。

日本人は五分前集合どころか、三十分前には来ているのが当たり前なのに来ていません。

バス内部は冷房が効いていますが、点呼を取っているお兄様は炎天下の中晒されていると言うのに謝らずにいて…手塚さんはお兄様の側にいますが、出来れば私と交代してほしいわ」

 

「寒い、寒いよ深雪!!」

 

炎天下の中で晒されているお兄様を下にみていたり、遅刻している生徒達が許せない。

一応のためだが、遅刻していない。全員真面目でくそ早く来ているだけで今の時間帯に来ている人は普通に来た人達だ。

素で地雷を踏み抜いたリーナと言うか深雪を中心に真冬並みの寒さになる。

 

「あら、ごめんなさい…でも、この涼しさをお兄様に届けれないのが残念ね」

 

「達也くん、バスの内部でも良いのに…」

 

「エリカ、達也さんは物凄く真面目にやっているんだよ。

バスの内部でやると入ってくる生徒に迷惑になるし、達也さん自身が一人一人を几帳面に確認している…基本的な事をここまで普通に真面目にこなすのは、中々に出来ないよ」

 

自分なら誘惑に負けそうだと褒める雫。

深雪もほのかも流石ですとなるので、呆れるエリカとリーナ。

 

「流石ねとか褒めるよりも、動いた方が良いわよ。と言うことでほのか、この水を貰って良いかしら?」

 

「え、良いけど…なにをするの?」

 

「深雪、ちょっと協力して」

 

バスに備え付けの透明のエチケット袋にほのかが買った水を入れるリーナ。

二つ入れて深雪に渡した。

 

「えっと…」

 

「凍らせて」

 

「!」

 

リーナがしたい事を理解した深雪。

中に入っている水を凍らせて氷にするとリーナはもう一度水を入れて氷水にして袋を縛った。

 

「冷た!?」

 

「少しは頭を冷やしなさい…まだ始まってすらいないのよ?」

 

そして一個を深雪に渡して、バスを降りたリーナは達也の横にいる光國の頬に氷水の袋を当てる。

このくそ暑い中で魔法師だから作れる簡易的な氷枕、と言うかかちわり擬きをリーナは作り出して、光國に届けた。

 

「家に帰るまでが遠足と同じで家から出た時点で九校戦開始だ」

 

「開会の挨拶をしてからが九校戦よ。

とにかく、熱中症で倒れたら迷惑だから…その、頭に置いておきなさい…じゃ」

 

ポンと光國の頭の上にかち割り擬きを乗せたリーナ。

やることは済ませたとバスの内部に戻り、深雪に向かってサムズアップする。

 

「…っく!」

 

「恥じることはないわ」

 

深雪はお兄様が点呼を取るぐらいならと自分が出ようとした。

しかし、達也が熱中症になるし妹を炎天下の中で長時間晒すのはいけないと自分がやると頑固として拒否。

渋々深雪はバスに乗り、リーナが来るまではお兄様が戻ったら汗を拭いたりとかそう言うのを考えていたが、甘かった。

水の差し入れをするレベルじゃないので、差し入れなんてしなくても良いと思っていたがリーナがかちわり擬きを作り出した。しかも自分の力を使ってだ。

 

「お兄様、御暑い中の御仕事御苦労様です。

ですが、油断は出来ません…お兄様は余り暑さや寒さを感じにくいのですが油断大敵です」

 

先程のリーナと同じ行動を達也に対してとる深雪。

達也はありがとうと深雪の対して言い、深雪はバスの内部に戻っていった。

 

「…まだまだ、見習うべき点や改善すべき点が多いわ…」

 

「大丈夫よ、深雪なら直ぐにいけるわ…この領域(レベル)まで…頑張りなさい」

 

「ええ」

 

「凄い…これが真の乙女同士の友情…」

 

「清楚や女性らしさは深雪が上だけど…リーナの方が何枚も上手だね」

 

「いやいやいや、意味わかんないわよ」

 

ほのかと雫が言っている意味が分からないエリカ。

全くこれだから女子力が脳筋な女はと呆れた視線が四方八方から来る。

 

「…達也、普通に遅刻したのは誰だ?」

 

「まだ来ていない人だ」

 

炎天下とは言え、深雪が作ったかちわりが溶けるまで外にいる達也と光國。

まだかと来ていない遅刻者について聞くとお前は分かっているだろうと返される。

 

「遅れてごめんなさ~い」

 

質問から数分してやっとやって来た真由美。

 

「…達也会長、TPOって知ってる?」

 

「…俺個人としてはよくお似合いだと思いますが、流石にダメだと思いますよ?」

 

大会当日とかでもなく、現地入りをするだけで特にこれといった服の制限はないもののサマードレスを着ている真由美を見て、如何なものかと考える。

 

「酷い!!折角、一時間もかけてコーディネートしたのに!!」

 

「ちょっと皆、聞いたか!!

元生徒会長の遅刻理由、服の選びに手間取ったからやってぇ!!」

 

言質取ったぞとバス内部にいる生徒達に言うと、急激に温度が下がるバス車内。

 

「七草…女性が服選びに手間取るのは分かる。

だが、それを理由に遅刻して良いと言う訳ではない」

 

「で、でも先に行ってて良いって連絡を」

 

「真由美、そんな事をしてみろ…私達が怒られるんだぞ」

 

「と言うかや、オレ達に遅刻の電話をして先に行ってて言うてる割には車で行くとか言う事を一切言わずに最終的にここに来たやん、自分」

 

遅刻した理由を聞いて出てきた十文字と摩利。

実際のところ、見捨てると遅刻した側も見捨てた側も物凄く怒られる。

 

「…う…うぇえええええええん!!!」

 

「泣いてどうにかなる問題やと思ったら大間違いやぞ!

これは移動中、面白い話をしてもらんとアカンな…七草は色々と深い経験をしてるやろな~」

 

「…え?」

 

遂に泣き出したが手を緩めない光國。

追撃をかけるとバスの車内に戻った。

 

「皆、聞いてくれ!

七草元会長が御詫びに面白い話とか暴露話をしてくれて、道中盛り上げてくれるらしい!」

 

「ちょっと!」

 

「元会長、期待しています」

 

「リンちゃん!?

待って、確かに面白い話はあるにはあるけど、その」

 

「それじゃ、出発するか」

 

真由美は物凄いまでにハードルを上げられたが、とりあえず全員揃ったので出発する一高。

 

「…眠い…ごめん寝る」

 

北欧神話の勉強をするべく夜通しで起きていたので、物凄く眠い光國。

もう無理だとゆっくり眠るのだが

 

「……やっぱ椅子じゃ眠れない…」

 

座ったまま眠ることは出来なかった。

後、単純にスベっている元会長の話が五月蝿かった。

なんだ、鰹節に硬化魔法をかけて石斧代わりに使ったって、面白くもなんともない

 

「…膝を貸しましょうか?」

 

眠気でイラついていると隣に座っていた市原が膝を叩く。

眠たかった光國は返事をせずにそのまま市原の膝を借りて眠った。

 

「…あれ、良いの?」

 

そんな光景を見ていた雫はリーナに聞いた。

彼女としてあんな光景を見せられて殺意が沸かないのか気になった。

 

「別に構わないわ…イチハラなら別に」

 

本当にこれは正しいのか?と言う素朴な疑問から裏切り、光國についた市原。

彼女は光國に好意的で光國も彼女を嫌っている素振りを一切見せていない。

本当に光國は疲れているし、真実を知ってもなお裏切りない市原をリーナは信用していた。

 

「モテモテぐらいでちょうど釣り合いが取れるのよ…本当なら、九校戦じゃなくてテニスの世界大会に出れてたんだから…」

 

「…ごめん」

 

「気にしなくて良いわよ…どうすることも出来ないのだから…それになんだかんだで最終的にには私の手元に来るしね」

 

汚くて黒い笑みを浮かべたリーナ。

なんか謝った際の罪悪感が消えたが何とも言えない雫だった。

 

「…リーナ、余計なことはしなくていい」

 

この九校戦編だが裏社会の住人が深く関わっている。

具体的に言えば、九校戦の何処が勝つか賭けていて第一高校が優勝されると大負けする。

なので第一高校を潰したり、勝利する高校を変えたりとあの手この手と妨害工作をしてくる。

第一の妨害は第一高校のバスに衝突事故を起こすと言うものだが、そんな事故が起きたら九校戦は強制的に中止な可能性が出てくる。割と高確率でだ。

九校戦は膨大なお金が掛かっていて中止にしにくいとは言え、事故が起きて死人が出れば絶対に中止になる。

 

「…これ、中止にならない…のよね?」

 

衝突事故を防いだ深雪達。

バスは一時停止し、警察に通報したり事故が起きたと通行止めの準備をしたりとテキパキ動く。

 

「ならないよ…魔法師は此処に有りと証明した方が威嚇になるんやから」

 

裏社会の住人が深く関わっているのが分かっているのに中止にならない。

生徒達が強いとは言え大丈夫なのかとリーナは疑うが、魔法師の扱いなんてそんなものである。

 

「…?…」

 

「どうかしました?」

 

「…手塚くん…中止にならないのよね?」

 

「…リーナ…」

 

「…あ!」

 

全員が事故やばかったとか誰がなんの為にとか話していたり集中している中、膝を借している市原はただ一人気付いた。

リーナがおかしなことを言っており、人工魔法師の一件もあり言い間違いではないと感じて光國に聞けばビンゴした。

 

「…後で説明をしてください、仲間外れは嫌です」

 

「出来れば、聞かないで欲しいんだけどな…こりゃ大変だ」

 

「ま、まぁ、良いじゃない…頼れる人は多い方が良いわ」

 

完全にリーナのミスだが、特に攻めない光國。

と言うよりは攻めるよりも、とんでもない事に気付いた。

 

 

 

 

仮面ライダーオーディンが、バスのバックミラーに写っていた

 

 

 

 

そして七草真由美の小話はスベった。








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