魔法科らは逃げれない。   作:天道無心ビームサーべ流
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王子様とイリュージョン

「…」

 

愛梨が敗けを認めて第一高校の勝利と言う事で終わったナンパ対決。

謎のテンションになっていた魔法科高校生達は元のテンションに戻りつつも、異性と言うのは怖いものだと言うのがよく分かった。

明日からはじまる九校戦に向けて、全員調整…なんてことはならず大半はあくと飯と特性ドリンクによって意識を失ったままだった。

 

「アレが手塚の親父さんか…凄いな」

 

「あんた、何処見ているのよ!」

 

突如現れたGenius10と光國の父親に連れていかれた光國。

レオ達裏方と生き残った生徒達はなにかを話しているのを覗き、光國の父親の頭を見る。

 

「いや、だってよ…」

 

「一本だけ、綺麗に残っているな」

 

「お兄様、触れてはなりません!」

 

光國の父親の頭には一本の毛しか生えていなかった。

世に言うハゲなのだが、その一本は無駄に濃くてかなり長い髪の毛だった。

他の毛根は絶滅しているが、あの髪の毛だけは残っていた。

 

「光國…」

 

「リーナさん、大丈夫ですか?」

 

心配そうな顔で光國を見ているリーナを心配する美月。

彼が今、会話をしているのは魔法師達とは余りにも縁遠い存在で更には光國は家出に近い感じで家を出ていっていると聞く。

九校戦が始まってから会いに来るのではなく、はじまる前から会いに来るとは予想外だった。

 

「…いかないと」

 

レオ達もまぁ友人だが、光國の親や友人と出会うのははじめてだ。

リーナは勇気を出して前に進む。嫌われたり、変な目で見られたりするだろうがそれを覚悟して前に歩み光國の元に来た。

 

「光國…」

 

「リーナ、今は」

 

「良いから、隣に座らせて」

 

リーナは光國の隣に座った。

肩に寄りかかり、絶対に離れないと言う意思を見せつける。

 

「…話は聞いていたが彼女が居るとは…全く、報告の一つでもしてこい馬鹿が!」

 

リーナの事を見ると光國にチョップをした光國の父親。

額に血管を浮かび上がらせて苛立つがリーナを見るとゆっくりとゆっくりと落ち着く。

 

「ごめんね…えっと…」

 

「アンジェリーナです…リーナで構いません」

 

「そうか、おじさんは手塚神晃…おじ様で良いよ?」

 

「おい、おっさん。おかんに言うぞ」

 

「言えるものなら言ってみろ、クソガキ!

…母さん、一日だけ気絶して以降は普通に生活している…お前の住所は知っている。

だが、お前が帰ってくるまで絶対に会いに来ない……それて、秀吉は…お前の事だから情報は持っているから、いいか。蛍は元気にしてるよ…お兄ちゃんが居ないって、三日ぐらい泣いたけど…」

 

「…」

 

「じゃあな、オレは仕事がある…」

 

神晃は席を離れ、ホテルを出ていった。

言いたいことが言えたのか何処か満足しており、スキップで出ていこうとする。

 

「あ、そうだお前が第一高校だって母さんに伝えておくぞ。

きっと500円玉貯金とお前のお年玉貯金の封印を解放し、秀吉の賞金を闇サイトで第一高校の優勝に全賭けをすると思う」

 

最後の最後で置き土産を置いていった神晃。

リーナは少しだけ一息つくのだが、まだ彼の友人Genius10が残っている。

 

「相変わらずブレへんな、オカンは……まぁ、殴られなかっただけましか」

 

「貴方、ドロップキックをくらっていたわよ…でも、よかった…認めてくれたのね」

 

家に帰ってこいなんて言わなかった。

無理矢理連れ戻そうとしなかった。それは光國とリーナにとってとてもよかったことだった。

お前は化物とかそう言うことを言ってこなかった。

 

「おいおい、喜ぶのはまだ早いぜ」

 

「コシマエ…」

 

「越前だっつってんだろ」

 

爽やか系のイケメンこと越前龍我は神晃が座っていた席に座る。

そしてJAPANと書かれたジャージと1と書かれたバッジを光國に向かって投げた。

 

「お前のジャージだ。

幸いにも、九校戦が終わった次の日から大会が開幕する。

お前がなんの競技に出ても問題ないぜ…日本代表の主将として出てくれ、手塚」

 

「断る…オレはもう、魔法師だ」

 

ジャージを投げ返した光國。

日本代表の試合に絶対に出るつもりはない。ここで出ると言う事は未練が断ち切れない。

 

「魔法師か…三年前、オレがお前をぶん殴った時にお前はテニスに飽きたからと言っていたが、今度は魔法師か…最初から魔法師だからって言えよ。馬鹿が」

 

「…」

 

「光國、なんで、なんで真実を教えてくれんかってん…オレはお前が魔法師とかどうでもいいっちゅう話やぞ…」

 

「お前が魔法師だと言うが…全く、興味は無い」

 

魔法師だと言う事を知っても全く気にしない謙夜と月さん。

それを聞く人が聞けばとても嬉しいことだ。魔法師と人の境界線なんてものは無いと喜ぶだろうが、光國は黙る。

 

「待って…光國は!」

 

「…オレがでなくてもコシマエいやリョーガ、お前がいるだろう。

お前も世界トップの実力者…現プロのスイスの主将と戦って勝利した実績を持っている、No.2、いや、No.1だ…行くぞ、リーナ」

 

「待てよ…今の俺はNo.3だ」

 

「…そうか」

 

光國はリーナの腕を引っ張って、レオ達の元へと戻っていく。

無表情のまま戻っていった。

 

「お前達、なにをしているんだ。

レクリエーションは終わったんだ…九校戦は明日から開幕する、レクリエーションの優勝に続いて、九校戦全ての競技で優勝を目指すぞ」

 

「手塚さん…よろしいのですか?」

 

「なにがだ?」

 

「…泣いてますよ?」

 

光國は無表情のままで泣いていた。

本人が気付かぬまま泣いており、深雪に言われてはじめて気付いた。

 

「光國くん、本当は出たいんじゃ」

 

「出たところで、これ以上に惨めにはなりたくないですよ…未練は断ちきらないと…」

 

泣いているが止まるに止まれない光國は気持ちを切り替えるべくホテルを出ていこうとするのだが

 

「よぉ、おまんが手塚光國か…」

 

「…人にものを訪ねる時は、自分から名乗るのが礼儀だ」

 

ホテルの直ぐ横にある死体の山(特性ドリンクやあくと飯を食って気絶した奴等)の上にいた男に声をかけられる。

 

「…そのバッジは…」

 

男は首元に2と書かれたバッジをつけている。

そのバッジを見て驚いたが余り興味は起きない。

 

「ふぅ、やれやれじゃのう…まぁ、こうして真正面から会ったのははじめてじゃから、しゃーないと言えばしゃーないのぉう…eid5kj-4ztev@ーrs9…ルパッチマジックかな?」

 

「……!!」

 

「まさか、同業者が居るとは思いもせんかったわい…仁王、仁王治雅(におうはるまさ)じゃ。」

 

光國は理解した。この男が白い魔法使いだと。

 

「まさかまるっきしおんなじことをしいやおるとは…予想外じゃに…」

 

「どないなっとんねん、お前の口調は…」

 

「まぁ、詳しい話は暇なときにでもしようや…」

 

巡り巡って光國は白い魔法使いと出会った。

 








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