魔法科らは逃げれない。   作:天道無心ビームサーべ流
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永遠に続いていく未来など無い

「はぁはぁ…」

 

「なんとかと言ったところか」

 

光國は魔法少女★ビースト発言を一切気にせずに、ビーストに変身したリーナを観察する。

変身しただけなのだが、息は荒れていた。リーナが変身するのにはかなりの負荷が掛かった様だ。

 

「大丈夫や…後遺症は無い…それよりも、老いぼれを見てみんしゃい」

 

心配する光國を落ち着かせ、九島烈が座る席を指差す仁王。

九島烈は立ち上がっており、第一高校の集団を探しているが光國はそこにはいない。

 

「そこはおまんの仕事、勝つためにも行ってこい」

 

「…ああ」

 

光國は席を立ち上がり、九島烈の元へと向かう。

 

「アレが…」

 

一方、市原達第一高校の集団はと言うか観客全員は驚いていた。

先程まで深雪の美しさに心を奪われていた面々ですら、リーナの仮面ライダービーストには驚かされており

 

「誰があのCADの調整をしたんですか!?」

 

あずさは目を輝かせていた。

だが、あずさの質問には誰も答えない。誰もビーストドライバーの調整をしていないのだから。

 

「達也くん、アレがなにか分かる?」

 

この中で一番の知識を持っている達也にエリカは聞くが首を横にふる達也。

 

「似たような物ですら見たことの無い物だ。

だが、ソフトとハードをわざわざ分けているのを見ると…大分、無駄が多いな…何処だ?」

 

「何をしているんですか?」

 

「手塚を探している。

対抗戦の時、第一高校に奴等が侵入した際に手塚はアレを使って倒した」

 

「リーナが持っているサーベル…手塚が使ってた…いや、待てよ…確か、壬生先輩の時も」

 

「なら、尚更だ…手塚がなにかを知っている……」

 

光國がなにかを隠し持っているのは分かっていた。

聖遺物の類だと睨んでいたが、リーナが使うことまでは予想することが出来なかった。

 

「見せてもらおうか…九島の古式魔法と言うものを」

 

どんな魔法が飛び出るか達也は少しだけ気になっていた。

 

「さてと…小手調べなんてしている暇は無いわ。

最初から最後までクライマックスに行かせて貰うわ!」

 

『エラー!!』

 

「え!?」

 

効果は知らないが、キマイラが探せと命じたハイパーウィザードリング。

形からして右の嵌め込み部分に嵌めるのだが、魔法は発動することなくベルトからエラー音が流れる。

 

『エラー!エラー!エラー!エラー!』

 

何度も何度も嵌め混むのだが、エラー音しか流れない。

リーナはハズレを掴まされたのかと考えたが、エラー音が流れると言うことはこの指輪自体は本物だ。直ぐになにかが原因でエラーになっていると考えるが、そんな暇は無いと直ぐに別の指輪に変えようとするが

 

「遅いわよ」

 

深雪が攻撃をして来た。

自陣を冷やし、相手の陣地を燃やす氷炎地獄(インフェルノ)を発動する。

 

「まだよ!」

 

ハイパーウィザードリングが使えないと分かれば直ぐに別の魔法を使うだけだ。

 

『ドルフィ!GO!ドッドッドッドルフィ!』

 

ドルフィウィザードリングを使い、ドルフィマントを羽織った。

 

「マントを羽織った!?」

 

「確かコレは…」

 

滅多な事では使わないビースト。

能力を思い出しながら、ドルフィマントに想子を流し込むリーナ。

すると、リーナ側の氷柱が一つだけ砕けて溶けて、水になりイルカの形になり空高く飛んでいった

 

「っ!」

 

リーナは制御が全くといって出来ない。

深雪を倒すには確かなものがあると感じるのだが、それと同時に自分の身の丈と合った魔法でないことを。

 

「コレなら、どうにか出来る!!」

 

マントでの魔法を諦めたリーナ。

ダイスサーベルのスロットを回して、リングの嵌め込み口に嵌める。

 

『5!』

 

「よし!」

 

『ドルフィ、セイバーストライク!!』

 

出目5を喜び、ダイスサーベルを持つ右腕で大きく円を描くと同時に魔方陣を展開する。

それと同時に上空からイルカの形を保たなくなった水が落ちてきて、リーナが振るうと同時に五つに分かれて深雪の氷柱をマッハを越える速度で貫いた。

 

「まだよ!」

 

『カメレオ!GO!カ、カ、カ、カメレオ!!』

 

直ぐに指輪を変え、今度はカメレオマントを装備するリーナ。

カメレオマントのカメレオンから舌を伸ばし、自陣の氷を舐めさせると氷が消えた。

 

「氷が消えた…カメレオン、光学迷彩での透明化も出来るのね…」

 

変わる変わる、リーナのマント。

なにをしてくるかが分からないのと、干渉力が高いのもあって深雪は上手く魔法が発動できなかった。

 

「この力じゃ、上手く、出来ない…っぐ…」

 

カメレオマントは攻撃には向いていない。

バッファウィザードリングで纏えるバッファマントを纏えば、自己加速や自己加重が自動で発動して物凄い身体能力を手に入れれるが、肉弾戦が出来ない立っている場所から降りることが出来ないので使い物にならない。

 

「…」

 

光國から貰った体に異常が起きない限界ギリギリまで貰った力だが、もう限界が来たと感じる。もうすぐ、想子が底をついて変身が解けてしまうと感じる。

九島烈への反抗の為に、手塚光國と共に人として生きる本当の幸せを掴みとるべく仮面ライダービーストになった。必死になって隠していたものを晒せば、九島も手を変えると信じて変身をしたが、このままでは負けてしまう。負けてしまえば、光國は超一流の魔法師とやりあえない出来損ないと思われる。

 

「…私が光國の希望、なのよ!!」

 

カメレオマントから舌を伸ばし、深雪の氷柱に巻き付けたリーナ。

遠隔から攻撃する系の魔法で氷柱を破壊するのが基本のアイス・ピラーズ・ブレイク。

物を伸ばしたりして攻撃するのはルール上は反則ではないのだが、効率が悪すぎる。

 

「この姿は、ただ格好だけじゃないのよ!!」

 

カメレオから伸びる舌を素手で掴んだリーナ。

持てる力を振り絞り、背負い投げの要領で氷柱を引っ張り投げた

 

「な!?」

 

余りにも前代未聞の行為、と言うよりは氷柱を投げ飛ばす事に驚く深雪。

スゴいと騒ぐことを観客達は忘れ、リーナは新しいウィザードリングをはめる。

 

『バッファ、GO!バッバッバッバッファ!』

 

空中を舞う氷柱。

リーナ目掛けて落ちてくるのだが、自動的に発動された減重魔法でゆっくりと落ちていきその間にバッファマントに変えるリーナ。

 

「流石に、この位置なら外さないわよね!」

 

バッファマントをひらりと靡かせた後、力の入った拳を氷柱に入れるリーナ。

氷柱砕けて大きな氷塊へ変わり、その氷塊は深雪の氷柱に向かって飛んでいき、氷柱と共に砕けちった…のだが

 

「そん、なっ!?」

 

そこで変身が解除してしまった。

身体中から力が抜け落ちるリーナ。たった、数回の攻撃でコレだけの想子や力の消費をするとは思ってもいなかった。

 

「どれだけ、効率が悪いのよ…」

 

ビーストドライバーの高燃費ぶりを愚痴り膝をついたリーナ。

ファルコも、ドルフィも、バッファも、カメレオも使ってしまった。後は攻撃には向いていない魔法と効果が全くといって分からない、自分には使うことが出来ないハイパーウィザードリングだけだ。

 

「中々だったわよ、リーナ」

 

「なにを、言ってるのよ…終始私の優勢じゃ、ない…」

 

「けど、形勢逆転をしたわ…貴女はもう魔法を使えないでしょう」

 

「勘違いをしないで、変身が解除されただけであって魔法はまだ使えるわよ…」

 

終始優勢だったリーナだったが、ガス欠になった事により大きく逆転をする。

後は広域冷却魔法ニブルヘイムを使うだけ、それを使えば液体窒素発生し、暑くなっているリーナの陣地の熱と合わさり熱膨張を起こして氷は解ける。

もうこれ以上はなにも出来ないリーナ。最後だとCADに触れようとするのだが、リーナは諦めなかった。絶望だけは絶対にしないと最後の力を振り絞り、ウィザードリングを変えてダイスサーベルのダイスを回し

 

『1!』

 

「よりによって、1って…あれ?」

 

最悪の出目を出してしまった。

終わったと諦めたのだが、リーナは気付いた。

自身がダイスサーベルに嵌め込んでいるウィザードリングが、ファルコの筈なのに間違えてハイパーのリングな事に。

今の今まで、エラーばかりしていた使えない筈のハイパーウィザードリングだが、ダイスサーベルではちゃんと使えていた。

 

「なんでも良いから、出なさい!!」

 

コレで最後だと大きくダイスサーベルを振るリーナ。

今までのセイバーストライクと同じく魔方陣が出現し、カメレオン、バッファロー、ドルフィン、ファルコの四体が一体ずつ…でわなく、一体のキマイラが出現し

 

 

『GYAOOOOOOOO!!』

 

 

叫び声を上げ、その際の衝撃で深雪とリーナの氷が砕け散った。

 

「……」

 

どちらかが勝ったかは分からないが、少なくとも敗けはしなかったリーナ。

ゆっくりと意識が眠りに落ちていくのだが、大きく前に倒れてしまい立っている場所から落ちていった。

 

「よくやった、リーナ…お前の勝ちだ…」

 

そして光國が落ちてきたリーナをキャッチして、微笑んだ。

リーナは意識を失ってはいるものの、とても綺麗な笑顔で眠っていた。

 

 

 

 

アイス・ピラーズ・ブレイク 新人戦 女子の部

 

 

優勝者 アンジェリーナ=クドウ=シールズ

 

 

 

 

「ベルトは返してもらうぞ」

 

もう必要の無くなったベルトをリーナから外し、自分につけて待機状態にする。

リーナは想子切れで意識を失っているが万が一を想定し、光國は医務室に向かおうとするのだが

 

「ベルトは此方に返して貰おうか」

 

「光國君、どうしてベルトをリーナに渡したのかしら?」

 

明らかに怒っている九島烈と、怒っているには怒っているが心配して怒っている藤林響子が医務室に向かわせてくれなかった。

 

「…いったい、なんのつもりだ?

ビーストに変身をするだけでも、次元が異なる魔法で、他の魔法も己の意思一つで使える。

そんな物を堂々と公表をして…自分で自分の首を絞めるつもりか?」

 

「建前とかオレの事を気にせずに言えよ…クソジジイ」

 

「そうか、それならば言わせてもらおう。

これ以上は好き勝手するな…お前は確かに強いが、それは虚構に過ぎない。本当に強い者達にとっては余りにも脆すぎる」

 

「ビーストドライバーは力を求める魔法師には喉から手が出るほど…いえ、誰かを殺してまで、大きな犠牲を払ってまで手に入れたい代物…君の事を知られれば、日本中の魔法師が動き出してしまうわ。光國君、これ以上は好き勝手していると君の身が」

 

自分の事を心配している響子と自身に利益しか考えていない九島烈。

いったい何処で考え方が変わったのか、ダメになったのだと光國は呆れつつもこの場を切り抜ける方法を考える。

 

「オレが死んだとしても、ビーストドライバーの秘密を知られたとしても、もう遅い…そうですよね、響子さん…」

 

「…」

 

「…クソジジイ、覚えているか?

このビーストドライバーは古墳から出てきたものを…ちゃんと居たぞ、他にもベルトを持っている奴が」

 

「ほぅ…」

 

今ここでビーストドライバーを取り上げられない為に、黙っていた事を語る光國。

九島烈は響子の顔を見るが響子は俯いたまま黙っていた。

 

「他にもベルトを持っている者がいたか…いや、居て当然か。

古墳に有ったと言うことは古代の物…今の時代まで、誰かが伝えている可能性がある」

 

「…それと異なる系列の物があるなら、どうする?」

 

「なに?」

 

「魔法師が今後どうにかこうにか生き残る方法は大きく分けて三つしかない。

一つは魔法の民間利用、エネルギー資源開発とかじゃない漫画やゲーム等の娯楽レベルに身近に利用する。

二つ目は魔法を使わない、魔法師の需要を完全になくす新技術かなにかを開発して魔法視の価値を下げた世の中にする」

 

「…三つ目は?」

 

「決まっている…世界征服だ。

この世の誰もが成し遂げたことのない、人類史上最高の偉業を成し遂げることだ。

世界レベルで魔法師が差別されているなら、世界を一度壊して、別の世界に作り直せば良い」

 

 

仮面ライダーは改造人間である。

彼を仮面ライダーに改造したショッカーは世界征服を企む悪の秘密結社である。

仮面ライダーは人間の自由のためにショッカーと戦うのだ

 

 

 

つまりは、仮面ライダーが善に目覚めずに悪に加担していたなら世界征服が出来る。

と言うか戦争の道具にすれば圧倒的だ。この世界に現存する仮面ライダーはそれだけの力を秘めている。

 

「オレが使っているビーストの鎧よりも上のスペックは幾つも存在している…対抗できるのか?」

 

そんな仮面ライダーに対抗できるのは、怪人か同じ仮面ライダーだ。

 

「少なくとも、そいつ等は十師族を滅ぼすつもりだぞ…まぁ、テロリストみたいな奴等だから、話は断ったがな…通るぞ」

 

光國は九島烈の直ぐ横を通り、医務室へと向かった…

 

「君は知っていたのかね?他のベルトを持っている者がいるのを」

 

「……知っていたと言うよりは、知りました…」

 

今すぐにリーナと光國の元に向かいたい響子だが、行くに行けない。

九島烈の御機嫌をどうにかして取らなければならない。

 

「そうか…君は彼を大事に思っているが…程々にしたまえ」

 

「っ!」

 

教育係にした癖にどの口がほざくと怒りたいが怒れない。

その様を見て響子は完全に言う通りに動いてくれる存在でないと九島烈は考える。

光國と関わったものは確実に悪影響を受けている。手塚光國を此処等でどうにかしておかないといけない。

力で押さえるのではなく、力で押さえつけて従順にしなければならない。

誰か個人の力で、魔法師には絶対には勝てないと手塚光國に思わせなければならない。

 

「奴が最も得意とするものを…クラウド・ボールか…」

 

九島烈は密かに、手塚光國を叩きのめす方法を考えていた。

 

「…」

 

響子はこの事を伝えるべきなのかと迷いながらも、医務室へと向かった。

なにも出来ない、力が全くといって無い自分の弱さに悔やんでおり、悔しさで出来た握り拳は赤く滲んでいた。








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