魔法科らは逃げれない。   作:天道無心ビームサーべ流
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荒ぶる野獣乱舞

急遽、レオから光國に変更し始まったモノリス・コード決勝戦。

やはりと言うべきか、光國は仮面ライダービーストに変身をして騒がせた。

 

「…迷惑ばかりしかかけないな…」

 

九島烈は、ビーストに変身をすることを予想はしていた。

殴れない以上は、一条に勝つには四葉の家系の達也が頑張るかビーストに変身をするかのどちらしかない。

制服姿で登場した際に、ビーストで戦うつもりだと確信をしていたのだが、ここからどうするかを考える。

自身の持てる権限を使えば、今すぐにこの試合を中止にすることは可能だがそれをすれば色々と面倒な事になる。既にビーストに変身をして、見せてはいけないものを見せているのだから。リーナが変身したのと、光國が変身をしたのでは訳が大分違う。

九島の秘匿を教えたと言うことで、誤魔化せるには誤魔化せるのだが、そもそもの話でビーストは光國が使う事により120%の力を発揮できる。

 

「…奴にしては珍しく、やる気を出している…見せて貰おうか」

 

光國は強いには強い。

日本人にしては恵まれた体格を持ち、筋肉も強靭だが柔らかく持久力と瞬発力を持っている。

頭の回転も早く、いざという時にリーダーシップを見せるのだが、全くといってその力を発揮しない。単に面倒だと、やる気が無いんだと戦おうとしない。

仮に戦闘訓練でリーナと対峙した場合は、殴られる前に降参。それが出来なければ、蛸殴りされるほどに戦おうとしない。

仮面ライダービーストの基本スペックに、備え付けられている魔法、そして変身者である手塚光國のセンスを合わせれば、呂布の如く一騎当千の武将になると言うのにだ。

やる気を出さない手塚光國が少しでも真面目にやった時の恐ろしさを知っている九島烈は、一条を倒して見せろと、戦略級魔法師同等かそれ以上でありながら戦略級魔法師とは異なる方向性の存在だと証明して見せろとモニターを見つめる。

 

「な、な、なんだそれは!?」

 

「アイス・ピラーズ・ブレイクの新人戦を見ていなかったのか?」

 

「直接は見ていないけど、見ていたよ…でも、間近で見たら…どうなっているんだ?」

 

仮面ライダービーストに変身する行程が分からないヨシヒコ。

アイアンマンのスーツの様に用意していた物を着るのではなく、出現させた魔方陣を通過するだけで自動的に装着をしている。いったい、幾つの工程を経ているのかが分からない。

 

「オレに質問をするな!」

 

尚、光國もイマイチどうなっているのかが分からない。

ドラえもんの宇宙開拓史のワープと似た感じの理論で、なんとなくで使っている。なにせ、光國は一切演算処理をしていないのだから。しかしまぁ、世の中そんなもんである。

賢い奴はどういうものか分かるが、賢くない人間はどういう原理かは知らないけれども使っている。

 

「幹比古、手塚…一条達が動き出した」

 

光國の変身と言う余りにも異質すぎる行動をとった為に互いに硬直状態が続いた。

しかし、なんとか持ち直した第三高校の面々は動き出した。

 

「一条が攻めるのをメイン、吉祥寺が遊撃…そして彼が防衛か」

 

本当に可哀想なクリプリスとジョージと一緒に参加している三人目のモッブ。

彼が防衛ならば倒すのは簡単だが、問題はクリプリスとジョージだと考えるヨシヒコ。

本来なら、レオが防衛なのだが今居るのは光國で、その光國の戦法がリーナと同じならば防衛は出来るのかと言う疑問が浮かぶ。

しかし、クリプリスもジョージも待ってはくれない。

達也は圧縮空気弾を撃ってくるクリプリスに、2丁拳銃で術式破壊と攻撃を繰り返して一歩ずつ近づく。クリプリスも一歩ずつ近づいていく。

 

「手塚、俺が」

 

「みなまで言うな…オレはどれでもいける、と言うよりはどれもやるつもりだ」

 

クリプリスの相手を自分がするから他を頼もうとするのだが、勘違いをして前に出る光國。

腰につけている指輪のホルダーから、一つだけ指輪を手にとって白い魔法使いドライバーをスライドさせて魔法モードにする。

 

『ルパッチマジック、タッチゴー!ルパッチマジック、タッチゴー!』

 

「とにもかくにも、不可能を可能にすんのが魔法使いだ」

 

『デュープ、ナウ!』

 

ホルダーから取った指輪を翳す光國。

ベルトは指輪に反応をし、音声が流れる。

 

「ソフトとハードを別々か…なに!」

 

間近で見る事により、ベルトと指輪の関係性に気付く達也。

魔法が発動すると少し距離を取ろうとするのだが、ぶつかった…草原のフィールドなのに、障害物は一切無いのに、なにかにぶつかった。そしてそのなにかかなんなのか直ぐ気付いた。

 

「んじゃ、行ってくる」

 

ぶつかったのは光國だった。

目の前に居るはずなのに、何故か後ろにも居る筈の光國だった。

仮に光國Bと名付けるとして、この光國Bはヨシヒコの応援へと向かった。

 

「根本的な頭数を増やす。

いや、ヨシヒコは精霊を使ってるから既に3対3ちゃうな」

 

『デュープ』

 

再びベルトをスライドさせ、ベルトに指輪を翳す光國。

魔方陣が出現し、三人目の光國が現れて逆走して、モノリスがあるところに戻る。

 

「デュープ、複製か…」

 

「今は試合で、そう言った事は後だ…さっき、そう言う時間があるって言ったばっかだ…」

 

見たことの無い魔法で驚くまでは良いが、解析は許さない。

その時間は後程に、さっき言ったする権利と聞く権利はそう言う意味かと試合に意識を戻して手を動かす。

 

「ブンシン=ジツだ!!!!」

 

そして横で光國は忍者の印みたいな事をして、大きく叫んだ。

 

「成る程、確かに実体があるかの様に思える自分そっくりの化成体を戦わせたら忍者の分身の術と言える…しかし、自身そっくりにした化成体を複数同時に出して命令を出すとは…そう言えば、君は彼に色々と教えていたそうじゃないか…」

 

達也と響子の上司であり、今現在響子の隣に座っている偉い人こと国防陸軍第101旅団所属、独立魔装大隊の隊長の風間は驚く。

達也とクリプリスがどう戦うのかと見ていたのに、蓋を開けてみれば全員が全員、光國に翻弄をされている。

 

「…」

 

「藤林くん?」

 

「え、あ、はい…」

 

響子からの意見を求める風間だが、答えない響子。

仮面ライダービーストに変身をするのに必要なビーストドライバーではなく、自身の知らないベルトを付けていることに気付いた。

九島が遂にベルトの複製に、ベルトをベースにしたCADの開発に成功したのかと考え話を聞いていなかった響子。

 

「彼についてなにを知っているんだ?」

 

「…」

 

知らない魔法を使っている、知らないベルトを使っている。

借りていることに気付かない響子は、どうにかしなければ焦る。

 

「さて、メインディッシュの前に前菜(オードブル)を頂くか」

 

ヨシヒコの元へと駆けつけた光國B。

 

「手塚、忍術使いだったのか!?」

 

「忍者じゃない。オレは…古の魔法使い・ビーストだ」

 

そこだけは変えるつもりはないと誇示する光國。

ジョージを見つめて、ホルダーから新しい指輪を取り出す。

 

『ルパッチマジックタッチゴー!ルパッチマジックタッチゴー!』

 

「なんて、無駄な…」

 

ベルトから流れる音声を聞き、無駄にも程があると呆れるジョージ。

自身がなにをするのか分かれば、此方からある程度の対処は可能だ。なんでそんな機能が付いている、もしかするとその音声がフェイクで別の魔法を連想させて隙を作るんじゃないのかと考えてしまう。

実際のところは、ヒーローものの御約束を守っているだけであり、軍事的な意味で言えば物凄く無駄どころか手の内を晒してしまうダメな機能なのだが

 

『ファントム、ナウ!!』

 

そんなダメな機能なんて気にしない程に凄まじい力を、ビーストは持っている。

魔法の発動を許してしまったジョージ。直ぐに、光國の周りの圧力を加重魔法で書き換えて、光國にかける圧力を増加しようとするのだが

 

「来い、キマイラ!!」

 

「来ると言うよりは、出るのが正しいぞ小僧!!」

 

光國の右肩から原寸大のキマイラが出現した。

それと同時にジョージの対象に掛かっている圧力ではなく、圧力そのものを改変する不可視の弾丸の発動が失敗に終わる。

 

「久々のシャバの空気はどうだ、キマイラ!!」

 

「戯けた事を、貴様を食い殺したい気分だ!!」

 

「コレは…精霊なのか?」

 

古式魔法は家によって大きく異なる。

キマイラと言う異質な存在にヨシヒコは戸惑うしかない。それほどまでにキマイラは異質で、威圧感を感じた。

 

「よし、じゃあ先ずはっておい!!」

 

「此方よりも、彼方の方が旨そうだ!!」

 

キマイラと共に戦闘をしようと背に乗ろうとするのだが、振り落とすキマイラ。

クリプリスと達也が砲撃戦を繰り返す場所へと飛んでいく。

 

『デュープ、デュープ』

 

「「「とっとと、倒すぞヨシヒコ!!」」」

 

キマイラが向かっていった先にも自分が居るので、頭数を増やして三人になり、ダイスサーベルを構える。

 

「…アレが……」

 

ジョージを相手に集団リンチを仕掛ける光國。

先程から発動している魔法はルール違反じゃないのかと観客席では騒ぎになるのだが、ルール違反にはならない。と言うよりは運営が把握しきれていなく、出現したキマイラは出現しただけである。

 

「リーナ、アレは」

 

「…分からないわよ、まともに戦うのなんてはじめて見るのだから」

 

存在は知っていたが、はじめて見るキマイラ。

ビーストドライバーに描かれている動物を象徴するかの様なパーツがあり、キメラ(キマイラ)の名に恥じぬ姿。

光國の言うことを一切聞かずに、達也とクリプリスの砲撃が飛び交う中へと飛んでいき

 

「っちぃ、やはり味が薄いな!」

 

クリプリスと達也の攻撃を食った。

正確に言えば、空気を圧縮して放つための空中に浮いている魔法式、そしてその魔法式を破壊するべく魔法式にしていない想子の塊を放つ術式解体を食った。

 

「どうした、もっと撃たんのか?薄味とは言え、悪くはないぞ」

 

「っく!!」

 

威圧感を醸し出すキマイラに睨まれるクリプリス。

臆することなく、魔法を使おうとするのだが魔法式をキマイラに食われる。

 

「手塚、どうなっている!」

 

クリプリスを倒すには、狙うなら今しかないのだが隙があってもキマイラが邪魔で攻撃できない達也。術式解体をぶつけようとしても、食われてしまう。

魔法がどうとか以前に好き勝手に戦っているキマイラ。なにをしているのかと呼び出した光國に顔を見る。

 

「使役できない精霊を召喚した…達也、クリプリスを倒す役を頼む」

 

『コネクト、ナウ』

 

矢尻の様な形状をした石とビーストドライバーを取り出す光國。

チラリとカーディナル・ジョージと乱戦状態の分身している自分を見つめる。

 

「「「ヨシヒコ、後は頼んだ!!」」」

 

「この魔法を決着でつけてやる…それと僕の名前は幹比古だ!!」

 

既に第三高校の三人目の男は倒されており、カーディナル・ジョージと光國×3とヨシヒコと対峙している。

直接攻撃が出来ないので、ダイスサーベルのセイバー・ストライクだけで攻撃するのだが、威力も制限されるので1か2で抑えているのだが、それだけで充分だった。

光國は最初から当てる気は無く、ジョージの動きを抑制して誘導するのが目的で、バックステップを取った先には雷が仕掛けられていた。

 

「問題ないか…」

 

雷をくらえば、カーディナル・ジョージだろうが終わりだ。

残りはクリプリスだけになった事が分かると変身を解除する。

 

「キマイラ、口を開けて待ってろ!」

 

「来たか、我を真に解放する時が!!」

 

ビーストドライバーをつける光國。

右手の人差し指にはハイパーウィザードリング、左手の中指にはビーストウィザードリングをつけており、仮面ライダービーストに変身するポーズを取る。

 

「へん~しぃん!!」

 

『L・I・O・N、ライオーン!!』

 

そして、もう一度ビーストへと変身をする光國。

キマイラは来たかと後ろを振り向き、クリプリスに背を向けた。

 

「リーナ、クソジジイ…見ておけ!!」

 

ハイパーウィザードリングをドライバーに嵌める光國。

リーナが使用した際はエラー音が鳴り響き、使えない指輪だったのだが

 

『ハイパー!!』

 

エラー音がなることはなく、魔法は発動する。

キマイラが吠えると、赤い粒子の塊の様なものに変化をし光國の周りを飛び回り

 

『ハィハィ、ハィ、ハイパー!!』

 

青い粒子の塊に変化を起こして、光國に突撃し仮面ライダービーストを、仮面ライダービーストハイパーへと進化させた。

 

「コレが進化する野獣、ビーストハイパーだ!」

 

光國の叫びと同時に、仁王が封印をしたミラージュマグナムが光りを放つ。

周りの石が砕けちり、本来の形へと、鏡面獣銃ミラージュマグナムになった。

 

「…」

 

それと同時に、ビーストハイパーの両脇にヒビが入った。

リーナから貰い、日常を送る以外で使わないようにと貯めに貯めた魔力が底を尽き出した。

だが、そんな事は今の光國には関係無い。今日の絶望を乗り越え、明日への希望を手に入れた光國は止められない。

 

「命…燃やすぜ!!」

 

 


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