艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について―   作:謎のks

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※この物語は前作「艦これすとーりー」のリメイク版となります。


プロローグ
いきなりだけど、僕しにました。


 ── ねえ、君は「異世界」に興味ある?

 

 その世界には、私たちの知らないような文化や生活、見たこともない人種や魔物なんかもいるかも?

 

 …あ、怖くなった? うふふ、大丈夫よ?

 

 確かに最初は怖いかもしれないけど…でも、大好きな人や大切な人と一緒に、そんな世界を駆け回れたら良いなって…え? 例えば誰と?

 

 うーん…君……とか?

 

 …あ、赤くなった。うぅやめてよぉ私も恥ずかしいんだから……。

 

 

 …うふ! うふふ!

 

 

 ねえ、約束して…? いつか、いつか必ず、二人で……──

 

 

 

 

 

・・・・・

 

「──…くと? 拓人?」

 

 …ふと、過去を反芻していた僕は友人の声で現実に引き戻される。

 

「…ん?」

 

 僕らは大学生、ここは食堂で今は昼時、つまりは昼食の真っ最中。

 しかしながら、僕はあることで頭がいっぱいになり、楽しみにしながら頭の中でその時のシミュレーション…というか妄想? とにかく、想像していると「つい」自分の世界に入ってしまって…お恥ずかしい。

 

「…全く、しっかりしろよ?」

「あはは、ごめん…」

 

 …あ、自己紹介がまだでしたね? 僕は「色崎 拓人(しきざき たくと)」です。

 普通の世界で、普通に生活する、普通の人間ですハイ。…ただ、違うとすれば。

 

「それで? 今度の休みはどこ行くんだ? 「提督」さんよ?」

 

 ──提督。

 

 そう、僕…いや「私」こそが!

 

 人類の敵「深海棲艦」より人の世と海の平和を守る、鋼の心に愛と正義を宿す可憐な少女たち…即ち「艦娘」! その艦娘を指揮し、様々な作戦を立案、数多の海域をかの魔物たちより防衛する…それこそが「提督」!

 

 これぞ、艦隊これくしょん!!

 

 …まぁ、ゲームなのですが。

 

 詳しく説明すると…2013年よりブラウザゲーム版が配信され、瞬く間に人気に火が付き大ヒット! 今やブラウザゲームの垣根を越え愛される「美少女擬人化」の先駆け的存在…それが「艦隊これくしょん」略して艦これ、です。え? 萌え萌え? あーあー聞こえなーい。 /(´・Д・)\

 多くの人を魅了する魅力的なキャラクター「艦娘」たち、彼女たちは昔起こったある大戦で実在した軍艦がモチーフになっており、その史実ありきの個性への反映の仕方させ方は、軍オタの柳田君もニッコリ。

 

「柳田) b」

 

 とにかく、超が付くほど可愛い子ばかり、しかも殆どが甲斐性あり、提督Love、ウブで一途と来たものです。いぇーい!

 

 …現実に居ないから、余計のめり込んじゃうよね?

 

 そんな僕は、提督(プレイヤー)歴二年のまだまだルーキーの方、でもイベントにも参加してるし兵站もやってる、レベリング(キス島ツアー)は毎日のようにやっている。そんな感じです…え? 外に出ないのかって? いやいや、私は用事が無い限り出歩かない主義ですし(言い訳)。

 僕も軍オタ…では無いですが、一般的に言えば「オタク」みたいなものです…あ、でも顔には自信あります。不細工では無いと自負しています。この前女子から「モヤシオタ君」って呼ばれたけども…キモ、は言ってないからセーフ! セーフ!!

 …そう、そんなオタクの見本みたいな僕は、目の前の友人「白波 海斗(しらなみ かいと)」君から長い休みの予定を聞かれる…そんなことは決まってる。

 

「…勿論「艦たび」だ。憲兵君(ゲンドウポーズ)」

「誰が憲兵だ(デコピン)」

「(コツッ)あたっ、うぅ…海斗君はノリが悪いよ…」

「お前が良過ぎるんだ」

「褒め言葉であります!」

「はいはい…艦たびって、あのゲームのヤツか?」

「そう! 艦これ御愛顧記念の一大イベント! 航空会社、老舗百貨店、レジャーランドと! 様々なリアルイベントに手を出して来た艦これ運営鎮守府、その彼らが遂に! 聖地巡礼にも手を出した訳です!」

 

 艦たびは、かつての鎮守府跡地や艦娘たちにまつわる土地等に、足を運んでは当時の雰囲気を堪能する…所謂「聖地巡礼」というアレですが、それらを船旅として計画した…という趣旨の企画なのです。

 艦娘たち(というか元になった軍艦)の沈んだポイントにも行く予定があり、上手くいけばお気に入りのあの娘の沈んだ時の風景を拝める…ちょっと怖い発言かもだけど、艦これって大体そんな感じ(主観)。

 

「なるほどな…で、お前の好きな子って…?」

「もちろん「金剛」デース!」

「ああはいはい、そのデースはやめろ耳にタコができる」

 

 海斗君は苦い顔をしながら耳を塞いだ、関係ないけど彼は自分とは正反対の超のつくイケメン。僕なんかと一緒にいると、時々憎らしげな視線を感じる時があるくらい(勿論僕に向けてだろうけど、不釣り合いって言いたいのか分かってるよバカヤロー)。

 そんな彼は歴史系…特にあの大戦について詳しい、流石に軍オタって程ではないけど、身近にいる共通の(?)趣味を持つ人は貴重だ、だから声を掛けてみたんだけど…自分でもここまでの仲になるとは思わなかった。

 

「しかし金剛か…確かに分からなくもないけど…艦これってヤツはやってないから分からないが、そんなに良いのか? 大和とか長門とかもいるんだろ?」

「何を言いますか! 彼女は艦これのサービス開始当初から大人気の娘ですよ! 惚れない訳がない! 寧ろ惚れない方が無理!」

「分かったよ。…お前は金剛に会いに行くんだな?」

「はい! まさか抽選で当たるとは思わなかったし、思い切り楽しんで来ますよ!」

「そうかい…」

 

 嬉々とした表情の僕とは対照的に、海斗君はどこか憂鬱な感じだ。

 

「海斗君…?」

「…なぁ拓人、お前みたいな普通の奴が軍艦やあの時の戦いに興味を持ってもらうことは、俺としても嬉しいんだよ」

「うん…?」

「しかしな、聞けば聞くほど「違うんじゃないか」って思ってな…俺が考え過ぎなだけかもしれないが、あの時の戦いはアイドルとか英雄活劇みたいな見世物じゃないんだ…皆必死で生きようとした。そんな「戦争」があった時代なんだよ…」

 

 机に肘をつき、頰を手で支えながら悲しそうに呟く海斗君…でも、僕は彼の言っていることは理解出来なかった。

 

「…海斗君はお父さんが海自だから、そういうこと言えるって分かりますけど」

「! おい、俺はそういう意味で」

「僕はそれもどうかと思う、だって何十年も前の話だよ? 彼女たちは「ゲームのヒロイン」で現実に疲れきった僕たちに癒しを与えてくれるんだよ? それで良いではないですか。他にどう解釈しろって?」

 

 怒り気味に、自然と突き放す口調で話していた僕。海斗君は少し怒ったか睨んでいたけど…?

 

「…そうだな? 悪い、俺が言い過ぎた」

「…っえ、あ、そ、そうだね?」

 

 …お気づきのとおり、僕はあんまり喋るのが得意ではないです。頭に血が昇るとついさっきみたいにムキになって…悪い癖だとは自覚していますが。

 

「あぁ、俺が悪い。さてと、そろそろ行くか。拓人、浮かれるのはいいけど授業遅れるなよ?」

「あ、うん…」

 

 すれ違いで出てしまった言葉を訂正する間もなく、海斗君はそそくさとその場を後にした…。

 

 

 

 

 

・・・・・

 

「はぁ…」

 

 夕暮れ、大学の帰り道に僕は昼間の出来事を思い返していた、海斗君には悪いことしたけど…正直これが僕、いや今の若者の気持ちだと思う。

 当たり前だけど、戦争はいけないと思う。命は大切にするものだと思う。過去を振り返って惨劇を繰り返さない! って気持ちになるのは良いことだと思う…でも「それだけ」。

 人間にとって一生は短いもの、だけど時の流れなんて本当に長い、それこそ七十年前だなんてお年を召した方しか分からないのが現状。

 しかも、日本は平和だ。戦争なんて知る訳がない、学生は学業に、サラリーマンは残業に、お年寄りの方も老後を考えるので精一杯だろう…殆どが「覚えていないんだ」その時の事を。

 生きることに一杯いっぱいの僕ら、平和を享受する僕らにとって戦争とは「遠い過去の過ち」でしかない。皆もいじめられてたり、嫌な思い出とかトラウマとか…そんな目を向けて「疲れる」事を一々気にしていたら身が持たないと思うでしょ? 今の僕が正にそれ。

 確かに艦これは史実を忠実に再現した作戦とかキャラが売りだけど…平和な時代にまさか「世界大戦」がいきなり勃発する訳ではなし。

 

「…はぁ、何言ってるんだ僕は」

 

 あぁ、こんな過去のしがらみだらけの世界なんて、もういい加減頭がおかしくなりそうで…もういっそ「別の世界」に…

 

 

 

 ──異世界に興味ある?

 

 

 

 …ああ、止めだやめ! どんなに無いものねだりしたって、急に異世界転生出来る訳ではなし! …というか、異世界なんて本当にあるのかなぁ? もしあるとしたら…

 

 ──それはとっても、嬉しいなって。(裏声)

 

 …ってネタを棒線で強調することも無かったな? 反省。

 

 さあて、今度の旅の準備をしないと! …ええと必要な物は…ん?

 

「ほら、早く来て? ママはここよ?」

「きゃっきゃっ!」

 

 えと? 仲睦まじい親子が僕の目の前の横断歩道を渡ろうとしている。あれ、何か嫌な予感…。

 

「…!? おい! 何やってんだ! あぁくそ間に合わねえ!! (ビーーー)」

 

 あぁそうそう、あんな感じでブレーキが間に合わない大型トラックがピンポイントで赤ん坊を狙い打ち的な、ベタだなぁ………。

 

「おいいいいいいいいいいいい!? (ダッシュ)」

 

 そりゃ目の前でやられりゃね?! こう助けたくなりますよね赤ん坊! え、ならない!?

 確かに僕はオタクだ、にわかオタクだ、でもなあ、そんな僕にも人間の矜持的なアレが心にある感じ的な、ってネタに走ってる場合じゃねええええええええええええ!!!

 

「おおおおお(必死)」

「きゃあ!? 坊や! 止まってぼ(ビュン!)…!?」

「おらあああああああああああああい(マッハ的走り)」

「だぁ?」

「おらぁい! (キャッチ&パス)」

「(とすっ) あぁ坊や!」

「あぁ〜い!」

 

 …はい、無事に赤ん坊をアウトルートから向かい側の母親の元へキャッチボール成功。簡潔に言うと「俺の屍を越えていけ」的な…え? どういう意味か分からない、それはね?

 

「ビーーーーーーーーーーッ!!!」

 

 

 ──ドォンッ!!

 

 

 …あぁ、やっぱりな。

 

 僕は赤ん坊の代わりにトラックに轢かれ、その一生を終える。回転横捻り飛びしながら…あぁ、奥さん、そんな顔しないで? 僕はただのオタクです。オタクが死んだところで「キモっw」って嘲笑されるだけですから…。

 あぁ、身体が重い…いや、段々と軽くなっていく……コレが「死」か。

 

 目の前が真っ暗になる…意識が………とお…く……………。

 

 

 

 

 

 あぁ……艦たび………行きたかっ…たな…………──

 

 

 

 

 

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