艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について―   作:謎のks

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 えっ!? ライ○・アライブリメイクが夏のセールなのか、早々にほぼ半額に?! 良いんですか時○さん!? 分かりました(?)買います、というか買いましたー!! 幕末の100人斬り無理だったよ、今SF編の元祖ヤンデレを嗜んでるよ、ヤバい楽しい、久しぶりの据え置きゲーム楽しいいいいい(オタク早口)。
 …ありがとうございました。


二つの正義がぶつかる時──①

 ──名も無き鎮守府前、海岸。

 

 ドラウニーアとの戦いで僕自身の過去のトラウマを逆撫でされた結果、僕は戦うことが怖くなってしまい全てを喪わないために戦うことを投げ出してしまった。周りは深海金剛の封印が解かれて世界破滅の一大事だというのに…無責任なことを仕出かしてしまった。

 でも、夢の中でエリや光凛、そして現実でもマユミちゃんに背中を押されて「諦めないことが僕の誇れる力」で「喪っても皆が側に居る」ことを認識した、本当はまだ怖いけど…今まで僕がして来たことを無駄にしないためにも、僕自身の過去に向き合うことを決めたんだ。

 

 ──そして今、僕は鎮守府前海岸でシゲオさんと向き合っていた。

 

 シゲオさんは連合鎮守府総帥として、選ばれし艦娘5隻を用いた「深海金剛の再封印」を強行しようとしていた。彼もまた己の過去に決着を着けようと躍起になっているようだけど…加賀さんたちを封印の楔にしても結局は同じことの繰り返しだと思う、艦娘を愛する者として…それだけは阻止しなきゃ。

 僕が話をしたいと持ちかけると、彼は何かを悟ったかのように穏やかな声で「朝日が昇る時分に、海岸で落ち合おう」と言ってくれた。そして言われたとおり僕は朝焼けの昇る前、薄明るい波打ち際でシゲオさんと対峙した。そんな僕の隣には…?

 

「タクト、ここからが大事だよ。シゲさん普段はスケベなお爺さんだけど真面目な話だと人が変わるから、ペースに呑まれちゃダメだよ!」

「彼が連合総帥か…マユミ君の居た百門要塞に潜んでいたというが、成る程あれは気づかないな?」

『ヴェイビー! 今は睨みを効かせてるから厳格な雰囲気だケド、確かに格好は普通のお爺サンだネェ。潜伏能力の高さが見えるヨ流石総帥と言ったところだネ!』

 

 僕の両隣で各々の意見を述べているマユミちゃん、ユリウスさん、そして──何故かユリウスさんの映写型通信機に映し出されている「マサムネ」さん。彼は…改めての説明が難しいけど、簡単に言うと元TW機関の研究員で、今僕らの味方である彼は()()()()()()()()()()()()()()()()A()I()なんだ。

 クロギリ海域の戦いでドラウニーア側に付いていたマサムネさんは、色々あって僕たちの味方になってくれた。そんな彼は元TW機関研究員の中でも天才的な技術力を持っていて、ドラウニーアとの最終決戦時の完璧なサポートで僕たちを支えてくれた。

 だけど、南木鎮守府の崩壊に際してその後の行方は分からないままだったんだ。揺れが止まらなくなった時に僕は翔鶴に、エリは野分に抱えられる形で脱出して、マサムネさんは助けは必要ないって言って僕たちをその場から見送っていたんだ。僕らが南木鎮守府から離れた時には崩落が始まっていて…その後彼の姿は確認されなかった。

 マサムネさんは南木鎮守府に備え付けられたコンピュータの中に居るAIだったから、鎮守府が崩落した以上もう完全に消えているものだと踏んでいたんだけど…話を聞くと折を見て()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだと言う。

 

『南木鎮守府が最終決戦の場になることは想像に難くなかったからネ、万が一のためにユリウスのパソコンに予めデータを送っておいて正解だったヨ。持つべきものは唯一の友ということサ!』

 

 僕らがシゲオさんと対峙する前、そんな風に言ってユリウスさんを称えていたマサムネさん。当のユリウスさんは苦い顔で唸っていたけど…縁があることは認めてる様子だった、なんか可哀そう;

 

「──…ほほ。あれだけ憔悴しておったに気力を取り戻すとはの、原因は…マユミちゃんだけとは見えんのぉ?」

 

 シゲオさんは元に戻った様子の僕に関心を見せると、その要因を探っていた。とはいえ隠すことでもないしはっきりと言ってしまおう。

 

「僕に寄り添ってくれた人たちが居てくれたんです、マユミちゃんもですけど…夢の中でエリに、それから「彼女」にも…自分の過ちと醜い恐怖心と向き合う勇気を分けてもらったんです」

「…そうか、お主がそう言うならそれは真実なのだろう。周りに救われたか…善き縁に恵まれたようじゃな、お主にはもったいないぐらいじゃ」

 

 僕の回答に少し毒づくような言葉を投げるシゲオさん、やっぱりこれから話す内容を分かり切って呼び出しに応じたみたいだね。

 

「さて…ワシをここに呼んだということは、矢張り深海金剛の再封印に異を唱えると見えるが?」

「はい。今更こんなこと言う資格は僕には無いのかもしれない、でも…艦娘たちを犠牲にして得た平和を僕は認めたくありません、だから…()()()()()()()()()()、シゲオさん」

 

 僕が自身の意志をシゲオさんに伝えると、彼は──険しく寄せた眉間の皺を更に引き寄せると、鋭い雰囲気を研ぎ澄ませて僕たちに向ける、やっぱり…簡単には聞き入れてはくれないよね?

 

「その程度の理由でワシが折れると思っておるなら、甘く見積もらん方が良いぞ? ワシは…世界秩序と世界破滅の要因から人々を守るためなら何だってする、それが…ワシが信頼を重ねた盟友たちを犠牲にすることであろうとな?」

 

 唸るような低い声色で僕を牽制するシゲオさん、大多数の人の掲げる「正義」ってとこかな? 加えて彼には七十年前からの因縁もあるから──例え自分のやろうとすることを理解していても──背中を向けられない事情があるのだろう。

 そんなことは解り切っている、本当はそうした方が確実なんだろうけど…僕たちにも「引けない理由」が出来たから、そうも言えない。

 

「シゲオさん、貴方を止めたいとは言いましたがそれだけではないんです。もしも…()()()()()()()()()()()()()()()()()()退()()()()()()()()…と言ったら?」

「何? …出来もせんことを強気に言うものでないぞ、お主もエリを通して金剛の強さを見ているじゃろう。彼女を止められる方法なぞ…何処にも存在せん」

「…ユリウスさん」

 

 僕はユリウスさんに話を振る、彼は黙って頷いて了承すると先ずはシゲオさんに確認を取る。

 

「総帥、深海金剛が当時の金剛と同等の力を有していることは間違いありませんね?」

「うむ、あの頃と同等…いや、深海化している故それ以上の力を持っていることは確実じゃ。それが解らん貴様ではあるまいに…何故そのような疑問を?」

「…ならばまだ希望は残されています、今から説明する方法を貴方は「馬鹿げている」と一蹴すると思われますが、我々も本気です。これしか残された道がないということを先にご了承願いたい」

「ほぉ? そこまで言うなら最後まで聞いてやる。…言うてみぃ、下らない事ならこの話は無かったことにさせてもらうがな?」

 

 ユリウスさんの前置きに、渋々と言った具合だが話を聞く姿勢を取るシゲオさん。それを受けてユリウスさんは改めて説明を始める。…誰も犠牲にしないで深海金剛から世界を救う方法を。

 

「先ず…エリ君の現状の確認です、彼女はクロギリでの戦い…南木鎮守府での決戦時にタクト君を庇い、その身に致命傷を負いました。身体の傷は癒えましたが精神は未だ戻っておりません、昏睡状態が続いています。これはエリ君の精神と深く結びついている先代金剛の精神データが、先の戦いで「破損」してしまったからです。

 どんな人間も一度壊れた精神を戻すことは不可能、しかし我々「TW機関の技術」を振るいもう一度精神データを修復すればその限りではありません。ただ…先代金剛のデータが無かったから、それが出来なかっただけです」

「……っ! 貴様…まさか」

 

「そう、今この世界にあの時の金剛が浮上しているならば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…っ!?」

 

 ユリウスさんの言葉に衝撃を隠せないシゲオさん、無理もないよね? 僕も話を聞いた時は「その手があったか!」っていう嬉しい気持ちと「でも…うーん?」っていうそれ出来るの? という疑いの気持ちが入り混じっていたから。

 それが出来れば苦労はないという具合に、シゲオさんは半信半疑で反論する。

 

「何を言い出すと思えば…エリの復活のため封印を待ってほしいと言うのか? その間にあろうことか深海金剛と「戦闘」をすると? 自分が何を言うておるか理解しておるのか? そんな無駄死にしに行くような愚行をワシが承服するとでも?!」

「そうでしょうとも、ですが賭けではありますが分が悪いという話でもありません。タクト君の指揮下に居る艦娘たちはどれも一線級を越えた強さがあります、彼女たちならば或いは…彼女の本気の戦いに耐えられる筈です。

 出来れば選ばれし艦娘たちの手も借りたいところですが…貴方はそれを渋ることは重々承知しています、それを差し引いても今回の提案が成功する確率は高いと断言できます。彼と彼女たちの戦いは単純な計算を大きく凌駕するものとなると、そう私に思わせてくれるのです」

 

 要するに深海金剛と僕らが戦うことで、エリの復活に必要な「先代金剛の戦闘データ」が手に入る寸法だ。とはいえ簡単にはいかないことは解り切っているけど…それでも信じてくれるユリウスさんには、本当に頭が上がらない。

 

「言いたいことは解る、だがそれで何が変わるというのだ? 戦う艦娘が一人増えたところで…」

「それだけではありません、仮に深海金剛との戦いの中で先代金剛のデータが十分計測出来た場合、エリ君が復活すると同時に…彼女が深海金剛を越える強さを持てる可能性があるのです」

「ぬ、何を──……っ!! まさか…「カイニ」か!?」

 

 そう、深海金剛を退く唯一の方法、それは…エリを天龍たちと同じように「改二」にすること。金剛は改の状態でも天龍たちと引けを取らない強さを誇っていた、だったら彼女を改二にすることが出来れば…誰にも敗けない最強の艦娘になるのは容易に見て取れる。

 とはいえ、天龍、綾波、翔鶴の場合は僕との絆がいかに深まったかによる所謂「好感度方式」だったわけだけど、金剛の場合は…おそらくになるけど()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()みたいだから、改二改装も一筋縄じゃいかないだろう。どのタイミングで改二改装が出来るのかこちらからでは分からないからね…それでも。

 

「そうですシゲオさん、エリを金剛として復活させられれば、改二改装して深海金剛を打ち破ることが出来るんです。でもその結果へ辿り着くには多くの難題が立ち塞がっているのでしょう、ここまで行ったらもう運頼みですけど…()()()()()()。僕と天龍たちが深海金剛からデータを引き出し、復活したエリが改二になって彼女を倒してくれると」

 

 これが僕たちの作戦、運が数多く絡んでくる以上”作戦”と呼べるかも怪しいけど、もう誰かを喪う光景なんて僕は見たくない。その一心で僕は…僕たちはこの一か八かの作戦に臨んでいる、行き当たりばったりになるだろうけど、失敗に終わろうとも最後まで足掻いて見せる…っ!

 僕がそう意気込んでいると、シゲオさんは信じられないようなものを見る目でこちらを凝視しながら呟き、叫び、怯えるように尋ねる。

 

「…()鹿()()()()()、正気とは思えん。お前たちが言うておるのは「理想論」じゃ! 事がそう上手く運ぶとは到底思えんっ!! お前は……()()()()()()? タクト…っ!」

「僕は…自分が死ぬ気で何かに取り組んだことは無いと言い切れます、いつも誰かに頼ってばかりだった。だけど…もう震えて隅に縮こまるのは嫌なんです。エリが元に戻るなら僕は何だってします、例え自分がどうなろうとも…僕は彼女の「愛」に報いたい、死ぬ気でやらないと…()()()()()()()()()()()()!!」

 

 驚き狼狽するシゲオさんに、僕は固く結んだ「意志」を示す言葉を吐いた。特異点としての「運命を自分の都合の良い方に持って行く能力」はもう無い、これに失敗すれば…僕の命は「潰れてしまう」だろう。

 だけど…死ぬより恐ろしい苦しみを知っている、喪う感覚に苛まれる苦しみから逃げ続ける毎日に比べれば……エリのために死ぬというのなら、もう悔いは無い。どんなことになろうとも絶対に…彼女を蘇らせてみせる……っ!!

 

「──…奇跡、じゃと? それが…お前たちがそんなことを言い出した源(みなもと)ということか?」

 

 シゲオさんは僕の言葉を聞いた後、怒りを含んだ険しい表情を作ると…急に間合いを取り始め身構えた。戦闘態勢だ…やる気満々ってヤツだ。

 

「お前たちは何も理解して居らん、全てが行き止まりのようなあの「絶望」を知らぬから奇跡だなど甘い言葉が口に出来るのだ。ワシらとて何度そんな「奇跡」を願ったか…じゃが、聳え立つ壁を、先の見えぬ道を手探りで行くことなぞ誰にも出来ん。そんなことが出来るのなら…タクト、貴様自身の力で証明してみぃ」

「シゲオさん…それは僕が貴方と戦えということですか?」

「そうじゃ、老いたとてワシも貴様のような餓鬼に敗けてやるつもりはない。どうしてもそれをしたいと言うなら…ワシを越えてみせぃ、それが貴様らの言う「奇跡」というヤツになるじゃろう」

 

 シゲオさんの身体能力の一片はトモシビ海域で見ている、そもそも僕がこの世界である程度戦えているのは、シゲオさんとの戦闘指導と特訓があったからだ。彼は僕にとっての「師匠」の立場だから彼を越えることは如何に艦娘並みの肉体のある僕であっても、困難であろう。

 

 ──でも逃げることは出来ない、僕はもう…諦めたくない、自分の気持ちと向き合い続けるって決めたんだから…!

 

「…分かりました」

「タクト! 駄目だよそんなこと、シゲさんなら話し合えば…」

『ん〜〜それは難しいんじゃないカナ? 人間というのはどうしても譲れないものは()()()()()()()()()()()()ノサ! ぼくも似たような立場だったから理解出来るヨ、あのお爺さんの意志はそれだけ固いと予測出来るヨヴェイビー!』

「マサムネに一理あるな、マユミ君…残念だが今の彼は君の知己ではない、妄執に取り憑かれた別人なんだ。この場を収めるためには…本人たちが納得出来る方法を取るしかない」

「そんな…シゲさん!」

 

 マユミちゃんは尚もシゲオさんに呼びかけるも、シゲオさんはその問いに答えず黙って僕の出方を窺っていた。僕は…シゲオさんと相対するため同じように身構えた。

 

「…行くぞ!」

「はいっ!」

 

 お互いに合図を出し合うとそのまま間合いを急速に詰めて素手の打撃戦を繰り広げた。

 

「──………」

 

 しかしその様子を砂浜の森林の陰から見る、複数の人影があることを僕たちは知る由もなかった…。




 ちょっと長いかな? と思ったので分割します、続きはまた明日!
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