艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について― 作:謎のks
本編の前にすみませんが、遂に始まった「艦これアニメ(第二期)」の第一話感想を簡潔に話させて頂きたく。…すごいです。どシリアスまっしぐらじゃないですか、それでいてアニメとしての完成度半端ないです。とにかくどんな形になっても良い終わり方が出来るように祈っております。運営さん頑張れ!!
…はい、私の戯言は読み飛ばして大丈夫ですので、本編を見てやってください…っ!
深海金剛が蘇ったことにより、世界は再び暗雲に包まれようとしていた。深海棲艦特有の憎しみという破壊衝動に苛まれている彼女は、このサイハテ海域から外に出ようものなら無遠慮に世界を蹂躙し尽くすことだろう。
僕たちはそれを阻止するためにここに居る、そして何より誰も犠牲にしない未来を掴み取るため身勝手に、我儘に、エリ(金剛)という最後の望みを復活させようとしている。そのためには彼女…深海金剛の戦闘データ、それらに含まれた彼女の「精神(こころ)」が必要だ。それを手に入れるには…かつて世界最強と謡われた彼女と戦わざるを得ない…っ!
巨大な嵐の中を突っ切るような気分だ、だが後悔なんて微塵もない選択…そうだと信じたい。僕らはただ暴れ回る鬼に堕した大英雄と対峙しながら各々戦う覚悟を改める。
僕たちが戦闘態勢を取りながら深海金剛の出方を窺っていると、彼女はぎょろりと視線を横にして程なく辺りを見回し始めた。
『オォ~~ゥShit! 私トシタコトガ…オ掃除スルコトヲ忘レテマシタ、来客ガアルトハ思ワナイモノデ!』
どうやら周辺の海面に揺蕩う深海棲艦の鬼・姫だった残骸のことを言っているようだ、確かに戦うには少しばかり密度が多いので足を取られるかもしれないが…視界限界まであるこの個体数をどうやって片付けるというのか? まさか冗談で言っているのか…僕がそう訝しんでいると、徐に深海金剛の右手が上がった。
『──っ! イカンっ!! 避けろタクト!!』
映写型通信機からシゲオさんの声が響く、向こうにもこっちで何が起こっているか分かっているようだけど…一体何が…?
『ハアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!』
──ズゥンッ。
勢いよく海面に叩きつけられた右手から衝撃が放たれ、そのまま海に縦の亀裂を入れながら海面を走る。その後の光景は僕らの眼を疑うものだった。
重く何かが動く音が遠くに響く、同時に空間を揺れ動かす振動が全身を伝って行く。次の瞬間──
僕らはと言うと…綾波が咄嗟に作り出した「無重力空間」に引っ張られる形で上空に避難することが出来た。判断が遅れていたら…どうなったか分からない。
──あれだけ海に広がっていた鬼・姫の残骸たちが海底に仕舞い込まれると、海面の亀裂は徐々に戻っていき。完全に亀裂が見えなくなった頃には波の静かな音と海面に立つ鬼神しか見られなくなってしまい、深紅に染まった大海が何事もなかったかのようにそこに在るだけだ。
『す、すごい…あんなに深海の鬼や姫が居たのに、あっという間に…っ!』
通信越しからマユミちゃんの呟く声が聞こえる、あまりの規格外な行動に言葉を失ったようだ。だが僕の頭は冷静に彼女の実力を受け止めようとしていた、というのはかつて加賀さんが先代(現深海)金剛を言い表した言葉が脳裏に浮かんでいたからだ。
──拳を一振り、空が震え。
──拳を二振り、敵を薙ぎ。
──拳を三振り、
前にエリが海面を衝撃波として飛ばしたことはあったけど…あんなものじゃない、
僕らが海面に降り立つ頃、深海金剛は狂気に顔を歪ませて僕たちに視線を固定していた。早く
『──タクト君、大事ないか!?』
僕の名前を呼びかけて無事を確認しようとする声が映写型通信機から響く、この声はユリウスさんかな? 僕はそのまま腕に着けた通信機を口前に持って来ると、映し出されたユリウスさんと会話する。
「大丈夫です、綾波のおかげで難を逃れましたから。それよりユリウスさん、深海金剛を捉えましたけどこのまま戦えば良いんですか?」
『あぁ、先ほど言ったとおり首輪の計測器を着けたまま戦えば自動でこちらにデータが送られる、思う存分に戦ってほしい』
「分かりました! では…」
『気を付けろよタクト、先ほども言ったが金剛の「能力」を警戒するのじゃ。彼女はそれだけでも脅威なのだからの』
ユリウスさんの隣からシゲオさんの声が再度僕に注意を促した、深海金剛の「能力」…それは彼女が最強と謂われる所以と言われる単純で強力なものだった。
「分かっていますシゲオさん、天龍たちには既に伝えてありますので用心しながら何とか戦って見ます。…行くよ、皆!」
「──応っ!!」
僕は気合を入れて号令を入れると、艦娘たちは声を張り上げてそれに応えつつ、深海金剛へ突撃するため陣形を整える。…と言ってもほぼ単縦陣の並びだけど?
先頭を天龍、次に天龍の後方に綾波、少し後ろに野分が、最後尾を翔鶴と望月が守る。僕は野分と翔鶴の間に位置取り戦況を見守りながら艦隊のサポートに徹する。
「これより突撃を開始する、敵は深海金剛…強敵だけど今の僕らなら倒せると”信じている”。皆…やってやろう! 突撃っ!!」
僕がそう発したと同時に、僕たちは敵に向かって突撃していく。いよいよ…地獄を抜けるため進撃が敢行される。深海金剛は待ってましたと言わんばかりの嗤いを浮かべ応戦態勢を取る。
「──おおおぉっ!!」
最初に飛び出したのは天龍、雄叫びを上げながら腰の両側に帯刀する得物に手を掛け跳ぶと、一瞬で深海金剛の前方へ姿を現す。そのまま二刀を鞘から引き抜くとバツの字に身体を引き裂いた…っ!
──信じられないことに、深海金剛の身体は三角の形に「4分割」されると空中でバラバラになった。僕らの地獄は呆気なく終わる──…
『ホゥ! 見事ナ俊足デェス!! 太刀筋モ荒ッポクモ力強ク狙イモ正確デス、ガ…ッ!』
「──…っ!?」
バラバラの変死体は空中で「霧」となってその場で掻き消えた、同時に天龍の背後にいつの間にか深海金剛の姿が現れ天龍の背中に強烈な横蹴りをかまして遠方へ吹き飛ばす。どうやら斬り裂かれたのは「蜃気楼」のような変わり身だったみたいだ…っ。
「ぐぁっ!?」
「天龍さん!」
眼前に現れた敵に蹴り飛ばされた天龍を見て、綾波は得物を構え直進する。クロギリ海域の戦いの際に新調したという望月特製の「反重力式回転可動戦斧」、綾波はそれに自身の重力操作の能力をかけると斧の刃は独りでに動き出し回転ノコギリのように高速回転を始める。
「やぁっ!!」
『──フンッ!!』
綾波が容赦なく戦斧を振り下ろすも、深海金剛は──それを素手で受け止めた。左の手の平で回転する刃を掴んで攻撃を止めたのだ。
「まだっ!」
綾波が深海金剛を睨みつけると、鬼神の周りの空間が歪み重圧が圧し掛かる。綾波が深海金剛を重力で潰そうとしている、しかし深海金剛はニヤついた笑みを絶やさない。
『貴女ハ能力ニ頼リ過ギデェス、ソノ程度ノ力加減デハ──抜ケ出スノハ容易イデスッ!!』
そう言うと深海金剛は拳を握り締めると海面を蹴って宙に飛び出す、綾波の重力操作を受けたまま跳躍した…!? 驚く僕らを余所に深海金剛はそのまま綾波の頬に右ストレートを打ち込んだ、綾波はあまりの不意打ちにそれを受けては態勢を崩され海面に叩きつけられた。
「かは…っ!?」
『おのれぇっ!』
綾波を殴り飛ばした深海金剛に、野分は激昂しながら突撃する。細剣を正面に突き立てながら深海金剛に狙いを定め…一気に突き刺す。刺すとは言うがまだ大分距離がある筈だが…僕はそんな疑問を隠せなかった。
すると──細剣は光を纏うと刀身を伸ばし始めた! どうやら野分は深海化したことでレ級のように「エネルギーで武器を形作る」能力に目覚めたようだ、光の刀身が足りない距離を補いつつスピードを増して行きそのまま深海金剛の身体を…貫い──
『──距離ヲ取レバ良イトハ、甘イ考エデスネェッ!!』
いや、駄目だ! 深海金剛が身体の周りに稲妻を発したと思うと、一瞬で野分との距離を詰めた! これは…彼女の「能力」だ!!
『くっ…!』
『暫ク痺レテオキナサァイ!!』
深海金剛が野分の顔を右手で掴んで覆うと、電光を起こしながら野分に電流を流し込んだ…! バチバチという電音と共に野分を苦痛の声を張り上げる。
『があああぁぁ…っ!?』
『アッハハハハハ!!』
「てんめぇっ、いい加減にしやがれ! やっちまえベベ!!」
「ゴアアァーーーッ!!」
野分のピンチに、望月はべべを差し向ける。べべは海面を滑りながら跳躍すると、勢いそのままに拳を振り上げ深海金剛に叩きつける。
しかし──深海金剛は左手に「鉱石」を生やすと、拳を握りベベとのパンチの打ち合いに応じた。深海金剛の左ストレートを真面に受けたべべは、パンチを受け止めた腕から罅が入り…砕け散った。
「おいおい嘘だろぉ…レ級にやられてから硬度を限界まで上げたっつぅのに、まるで相手にならねぇじゃねぇかよ!?」
『力比ベハ得意ナンデェス、私…ココニ生マレテカラ
「へいへい、そりゃご丁寧にどうも! っくしょー余裕出しやがって」
深海金剛は嗤いながら挑発すると、野分の顔面を掴んだ右手を振り離して解放する。野分は最早全身が炭になるもその身を捻り起こすと体勢を整える、黒焦げになった野分の肌は見るみるうちに回復していく。
『フゥン、異常ナ回復力、ソシテソノ角ハ…矢張リ「同族」デシタカ? シカシ貴女、破壊衝動ニ侵サレテ居ナイヨウデスネ? 正気ソノモノデス。…何ガ貴女ヲソチラニ繋ギ止メテイルノデェス?』
『──無論、コマンダンの「愛」故です』
深海金剛の問いに、ボロボロの野分は即座に迷いなく答える。その様子がどこか可笑しかったのか深海金剛はケタケタ嗤って僕の居る方角を見遣った。
『ホホゥ、ソレハ…興味ガ出テ来マシタ、ネッ!』
深海金剛が口角を歪めると、今度は身体に「風」を纏い始める。海面に弧を映しながら上昇すると宙に浮いた。そのまま僕の居る方に向かって突撃し始める。
「うわっ、こっち来た!?」
「ちっ! 応戦するぞ大将!」
望月に言われ僕は腕の「
『ハハハハハッ!!』
「くっ! でも…タクトたちをやらせはしないわ!!」
急接近する脅威に対するため翔鶴がエーテル光子を纏い宙に浮かぶと、青い炎の弓と矢を形作り静かに番える。そして──矢を解き放つと蒼炎は艦載機に変わっていた。
「第一次攻撃隊、機銃斉射!」
翔鶴の号令に艦載機隊は青白い弾丸を撃ち尽くす、半端な弾速だと暴風の気流に揉まれてしまうけど、翔鶴の艦載機隊の攻撃ならどうだ…っ!?
『オット! 中々危険ナ
深海金剛はそう警戒を露わにしているが──徐に両手を前に突き出して指を広げると構わず突っ込んで来る。すると──深海金剛の前方に白い空気の渦が巻き始めた。これは文字通り「風の盾」か? 一体どういう思惑があるのか…?
──ボゥッ、ジュアァ…ッ。
エーテル光子の当たった風の盾は異音を立てるも、
「うそ…っ!?」
『アノ蒼ノ光ハ伝承ノ"エーテル光子"ト見マシタガ、大当タリノヨウデスネェ? 神ノ領域ヲ形成スルソノ物質ハ膨大ナ「熱」ヲ秘メテイルト聞キマス。ナラバ…此方ニ熱ガ通ラナイヨウ何重ニモカサネ固メタ「空気ノ層」デ防イデシマエバ話ハ早イ、
「…っ!」
深海金剛は宙に立ち止まりつつ、知識をひけらかしながら皮肉混じりに翔鶴を嘲笑した、思わず翔鶴も言葉より先に睨みを研ぎ澄ませ深海金剛に向けた。
驚いた…今までは破壊の限りを尽くす暴れる邪神みたいな印象だったけど、今の技は高い知力と冷静な理性が無いと扱えない。深海棲艦の鬼や姫も元の艦との性格が変わらない娘も居たけど…どんなに堕ちても英雄の所以は
もう皆気づいているかもしれないけど、深海金剛は「五大属性」全てを操ることが可能なんだ。でなければ五大属性を同時に生成しないといけない特殊封印術式をヒトリでなんてとても出来ないからね? さっきの深海金剛の披露した「技」を例にすると分かると思う。蜃気楼は大気中の水分(水)や空間そのものの温度(火)を上げたり下げたりして作れるし、土や雷は見れば分かるし、風も暴風以外に空気の層を造るために活用したみたいだ。
丁度選ばれし艦娘の司る属性全てを扱う形になるね? 属性を操るというのは世界の概念たる自然の力を使役出来るということ、一つだけでも万の軍勢を相手取ることも可能な
それに加え深海金剛自身も深海化の影響で、綾波の重力負荷を物ともしないほどの強靭な肉体を有している…正に「鬼神」の名に相応しい暴力的な実力の持ち主だ。だからだろうか…正直言ってさっきから、彼女が「本気」を出していないことが体感で理解出来ている自分が居た。あの機獣スキュラを倒した時の力はこんなものでは無かったし、遊ばれている感じはある。
つまり彼女に本気を出させることは、今の僕たちでも「夢のまたユメ」ではないのか…そんな絶望的な結論があるということ、もしこの結論が事実だとして…本当に勝てるのか? ボスだとかラスボスとかいう安っぽい強さの次元を超越した、最早神さまみたいなジンブツに本気なんて出させることが可能なのか? 先ほどまでの自信が嘘のように消えて僕は疑心暗鬼を生じていた。
『コノ艦隊ノ司令官…核トナルノハ貴方デスネタクト! 司令塔ヲ潰スコトコソ、戦況ヲ一気ニ終ワラセル為ニ必要ナ犠牲デェス! 貴方ニ恨ミハ有リマセンガ…死ンデモライマァスッ!!』
深海金剛は死刑宣告を言って退けると、纏う風を竜巻としてこちらに放とうとする、彼女の両腕で勢いを増していくごうごうと唸る捻り風の脅威に、僕は思わず死を覚悟する。
「…っ、やっぱり、僕たちには敵わないのか……こんなに力の差があるんじゃ、とても……っ」
「──いいえ、まだ諦めないわ。だって…私には「守るべきヒト」が居るんだから!」
僕が情けなく弱音を吐いていると、翔鶴が冷めぬ闘志を滾らせながら背中の青い翼を広げて僕の前に飛び上がった、まさか…自分を犠牲にするつもりか!?
「駄目だ翔鶴! 自分を盾にするなんて、そんなこと僕は望んでいない!!」
「それは違うわタクト、私は皆の「希望」…絶対に沈んでやるもんですか! でも私は…──本当の希望の貴方を、喪いたくないだけよっ!!」
翔鶴の言葉には確かに希望が込められていた、でも──目前の鬼神の起こす竜巻は僕らを容赦なく引き裂くだろうという予想は簡単に出来た。このままだと…誰も助からないだろう。
『コレデ早クモTHE ENDデェスッ!!』
深海金剛はそう叫ぶと同時に両腕の旋風を解き放つ、豪快に旋回する巨大な豪風…やっぱりだ、例え翔鶴が守ったとしても規模が大き過ぎる。僕たちも巻き込まれるのは必至だ、しかし何処へ避けようとももう遅い、深海金剛の言うとおり僕たちは…ここで早々に散ってしまうのか?
──悲観が脳裏を過ぎるその時、僕の目の前で不可思議なことが起こった。
「っ! 翔鶴…身体が!?」
「何…っ!? どういうこと?!」
何と、翔鶴の身体が淡く白い光を帯び始めたのだ。この現象は前にもあった…そう、改二改装可能のサインだ。しかし翔鶴は既に改二の筈…いや、待てよ。改二の上での光だから…これは…もしかしたらっ!
僕は事の正否を見定めるため意識を集中する…すると頭の中で浮かんだ思ったとおりの「キーワード」。それは曖昧な答えを確信させるには十分なものだった。
「タクト! 一体どういうことなの…!?」
「…翔鶴、何も問わずに"コンバート"って叫んでみて。それが答えになる筈だよ!」
「…っ!」
僕の一件要領の得ない回答に、翔鶴は黙って頷くとキーワードを口にした。
「──
翔鶴がそれを声に出した──瞬間、翔鶴の周りの光が輝き出すと彼女の全身を包み込む。そして…光が収まると彼女の「更なる改装」が完了した。
見た目は一見大きな変化はないが、肩に下げた木造の飛行甲板は漆黒色に変わり、鉢巻きは赤色から白の一本線の入った朱色になった。そうだ…忘れていた、彼女には自身を含めた特定の艦にしか無い、
『多少変ワッタトコロデッ!!』
深海金剛の双竜巻が翔鶴の目前まで迫る、しかし翔鶴は焦ることなく背中に青い翼を展開したまま吹き抜けようとする暴力の風を見据えた。翼があるということは彼女の能力自体は変わらないのか…?
「ぶっつけ本番だけど、やるしかないわ。…”フィールド展開”!」
翔鶴の言葉に応えるように、彼女の周りに蒼い膜が張られた。綾波みたいな攻撃を逸らす防御壁か?
──ギュォォオオ…ッ!
深海金剛の双竜巻は翔鶴の蒼の防御壁を前にすると、不自然なほど規模を縮小させると防御壁に吸い込まれる。もしかして…
「──反射(リフレクト)!」
竜巻が収まり霧散すると、翔鶴はカウンターを仕掛けていく。蒼い膜から無数の蒼光線が放たれると…それらが全て「艦載機」の大隊に変わり深海金剛に一斉に襲い掛かる。機銃掃射に魔導弾投下と縦横無尽に攻撃を加えていく。
『オ”オ”オ”オオオォォ…ッ!?』
凄い…無数の艦載機が一気呵成に畳み掛けたことで防御が間に合わなかったようだ、深海金剛はあっさりとダメージを受けた。彼女の周りに爆炎が広がっているから詳細は分からないけど、隙間から傷だらけの彼女が見える。これが…翔鶴改二「甲」の実力!
「スゲェなありゃ。大将よぉ翔鶴のあの変わりようは一体何なんだい?」
僕の側で翔鶴の変化を見ていた望月から疑問が飛んで来る、僕は何だか得意げに解説をしていく。
「あれは翔鶴改二のもう一つの姿…翔鶴改二甲だよ!」
「何だって!? カイニに強さのバリエーションがあるってぇのかい?!」
「そう、原作では「コンバート改装」と呼ばれる
装甲空母は簡単に言うと防御に重点を置いたクラスだよ、それを踏まえて改二甲の能力は…どうやら「エネルギーの吸収と反射」みたいだ、今の彼女はどんな攻撃も通じないと思う。エネルギーとして吸収して倍返しするんだからダレも手出しは出来ないよ!」
「スゲェな…無敵だせコイツぁ! 今の翔鶴は例え鬼神が相手だろうと易々と沈みはしねぇぜ!!」
「だよね! この世界だとコンバート改装はどうなんだろうって勝手に無理じゃないかと決めつけてたけど、ここに来て改二甲の登場か…ありがとう翔鶴、流石僕らの希望だよ!」
僕の呼びかけに、翔鶴はこちらを見遣ると静かに柔らかく微笑んだ。本当にさっきの挫折感からの土壇場逆転だからな…いいぞ、少しは流れがこっちに傾いたか…?
『──中々、良イ攻撃デシタ。アハハ、久々ノ負傷デェス!』
矢張り余裕が崩れないか、深海金剛は硝煙が晴れた先で痛々しい傷を見せたが、まだ嗤って僕たちに向かって嬉々とした声を上げる。
でもそんな威勢は障子の紙のようなもの、翔鶴の放ったあの青いエネルギーがエーテル光子なら、深海細胞は今ごろ体内で焼き尽くされているはず、つまり超回復は出来ず傷は残り続ける! よし…深手とはいかないかもだけど、これで向こうも本気を──
『痛イデスネェ、デスガ──"五行廻輪"!』
深海金剛が徐に両手指を絡めて構えを取る、人差し指を立て合わせて中指を上へ交差させ絡ませる。なんだあれは…まさか陰陽道の「契印」のつもりか!?
僕が内心驚いていると、予想外の事態が目の前で展開する。何と──エーテル光子をその身に受けた筈の深海金剛の傷口が、あっという間に塞がってしまったのだ…っ!?
「なっ、何が起こったんだ!? どうして…そんなこと有り得ないよ!」
『デスガコレガ「真理」ナノデェス、コノ世界ハ五ツノ属性トソレゾレノ因果関係デ成リ立ッテマス。水ハ火ヲ消シ、火ハ風ニヨリ燃盛リ、風ハ土ヲ削リ、土ハ雷ヲ通サズ、ソシテ雷ハ水ヘ迸ル──コレゾ「五行廻輪」。世界ハコウシテ絶妙ナばらんすデ出来上ガリマァス』
「…おいおい、その言い分だとてめぇ…そんなことも出来んのかよ!?」
望月が何か勘づいたらしく驚愕の声を張り上げる、嫌な予感はするけど…聞かないわけにはいかない。
「望月、どういうこと? 深海金剛のあの現象は一体?」
「大将、落ち着いて聞いてくれ。五行廻輪は魔法学で習う基本的な物の考え方だ、世界は五大属性が互いに干渉し合って形を作っていくって簡単な話だ。特殊封印術式で無空間を作れんのはその「理(ことわり)」っつーヤツのおかげなんだ、だがコイツは…その理を利用してたった今、自分の内側に五大属性を回して
「…っ!?」
信じられない…思わず出鱈目だと叫んで否定してやりたい、でも…どうやら現実のようだ。
五行廻輪…陰陽道の「五行思想」のようなものか、それぞれの要素が循環することで様々な現象を巻き起こすと言われている。だからって…ボロボロの身体を新しく造り変えただって? そんなの…そうは思えないでしょう、普通の考え方じゃあ理解が追いつかない。
「…っ、駄目だ…
僕がそう小さく呟き聳え立つ巨大な壁に呆気に取られていると、深海金剛は追い討ちを掛けるように事実を突きつけようとする。
『ソコマデ絶望感ニ浸ッテクレルトハ、引出シヲ
「…っ」
深海金剛の指摘に、翔鶴は思わず苦虫を噛み潰したように顔を歪めた…まさか。
『矢張リソノ形態デ
何と、翔鶴改二甲はカウンターでしか攻撃が出来ないようだ。翔鶴も反論しないしそうなのだろう、でなければ今頃弓矢を出して艦載機隊を発艦してるはずだから。
何てことだ…深海金剛の勝利への確信はハッタリじゃない、本当に時間さえ掛ければどうとでもなるのだろう。不味い…このままだと敗北は免れない、何とかしなければ…っ。
僕が何か逆転する方法がないか考えあぐねていると、映写型通信機からユリウスさんの声が響き極めつけの現実を知らしめる。
『タクト君、君たちが先ほどから激戦を繰り広げているのは理解している。だが…無理を承知の上で白状すると、この調子では永遠にデータ収集は叶わないと予測できる。今我々が取得したデータは…「ほんの数%」だ、それ以降は全くと言って良いほど動きがない。このままでは…っ』
「ユリウスさん…でも、僕らで一斉に掛かっても傷一つまともに付けられないんです。こんなの…っ」
どうやらユリウスさんたちもあまりの実力の違いにデータの集まりが遅く困っているようだ、とはいえこちらもどうすればいいのか…どんな手を使っても相手は五行廻輪で傷そのものを無かったことに出来る、こっちの防御は完璧だが攻撃に決定打が無い。時間が経つほど不利などうしようもない現状が立ち塞がる、暖簾に腕押しなんて話じゃない…この絶望的な状況では、どうすることも…っ。
『──成る程そうカ! だったら
「…は?」
絶望に沈みそうになる僕らの耳に届いたのは、そんなことなんてお構いなしな朗らかで陽気な声だった…。
〇深海金剛の戦いで思ったことを、ギャグ調で書いてみるよ。
深海金剛『貴方ニハ死ンデモライマァス! 神〇嵐デェス!』
拓人「それ言っちゃいけないヤツ。」
翔鶴「させないわ! 改二甲へコンバート! 神〇嵐を吸収してその威力そのままに反射(リフレクト)よ! 木っ端みじんになりなさい!!」
深海金剛『グオオオオ!? デスガマダマダデェス! 秘技「五行廻輪」! だめーじヲ受ケタ私ノ身体ヲ造リ直シマァス!!』
翔鶴「な、何ですってーーっ!?」
拓人「・・・そうはならんやろ。」
深海金剛『ナットルッ!! ヤロガイッッ!!!』
※ポ〇〇ピ二期も、楽しいですねぇ。