艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について―   作:謎のks

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 ここからスパートかける、よ?


まるで意味が分からんぞ!? (囮的な意味で)

「くっ…!」

 

 金剛は、突如現れた謎の怪物「スキュラ」と一対一の対決を挑んでいた。

 スキュラは、深海駆逐艦イ級を基にした鋼鉄の怪獣…巨大な狼の形(なり)をしたそれは、明らかな敵意と剥き出しの殺意を持って、艦娘並び深海棲艦に混沌を与えていた。

 

「ふっ!」

 

 金剛は自身の艤装に取り付けられた35.6cm連装砲による艦砲射撃を行う、空間を揺るがす轟音と爆炎は、狙い通りにスキュラの頭に直撃する…しかし。

 

『…gruuuuu』

 

 無傷。何度撃ち込んでもビクともしない、むしろ呻いて威嚇してみせる…平然と彼女に向け変わらぬ眼光を放つ化け物は、牙を見せつけてするりするりとこちらに間を詰めようとしているのが分かる、金剛も直感から艦砲からの威嚇射撃で寄せつけまいとする。

 

「…はぁ、っつ!」

 

 連戦に次ぐ連戦、流石の金剛も体力に余裕がなくなって来ている。果たして拓人たちの助けの前に彼女が無事であるかどうか…。

 

『Vooooo!!!』

 

 スキュラは遠吠えを上げると、たてがみの位置からしゅるりと長い鉄の鞭を五つ繰り出し、首を振る動作でそれらを巧みに操る。

 

「! …っぁあ!?」

 

 金剛の肌に無慈悲にも命中する、バチっと嫌な音を立てる鉄鞭。どうやら電気が流れているらしい。

 

『gruuuuuuu………』

 

 してやったりと、牙を剥き出し唸り嗤う怪物。幾ら距離を置こうともこれなら逃げ切れまい、と嘲り笑うように。蛇とカエルならぬ、狩人に狙われた子鹿の如く……金剛の眉間に、静かに照準が定められた。

 

「……っふ」

 

 

 ──舐めるんじゃネーよ、子犬(パピー)。

 

 

『…!?』

 

 ドスの効いた重低音が響く、それは獲物と思っていた「アレ」から発せられた。機械にあるまじき、本能的な"恐怖"…子鹿、ではなく獅子か虎の類であると、怪物はたじろぐ。

 金剛自身も、それがなんなのか理解はしていない。ただ自身の潜在意識が、絶体絶命の危機に呼応したのか…だが、今の彼女には正直どうでもよかった。

 

「(テートク…貴方を信じます。だから…!)」

 

 彼が来るまでこの怪物を止める…自分の全てを賭けても…!

 

 

 金剛の孤独の戦いは、彼女に眠る獅子を呼び覚ますか…?

 

 

 

 

 

・・・・・

 

──敵艦補足、合戦準備 …

 

 

拓人

金剛

天龍

望月

綾波

野分

翔鶴

 

vs

 

機獣スキュラ

 

 

勝利条件:スキュラの撃破

 

敗北条件:金剛の戦闘不能

 

 

 

 …戦闘開始 !

 

 

 

 僕らはあの狼…スキュラの対策を話し合う。まずはアレを知っていそうな望月の話に耳を傾ける。

 

「アレは海魔大戦で艦娘の補助として投入予定だった兵器だ。動力は海魔、ってよりマナの穢れだな? 一度起動すれば海魔を駆逐しつつ無類の強さを発揮する…だが」

「何か問題が?」

「あぁ、あれにゃ欠陥があってな? マナの穢れが既定値以上になると"暴走"する…つまり人だろうと艦娘だろうと見境なしに襲うようになる」

「…またありきたりな」

「拓人さんは、そういうの好きでしょう〜?」

「そうだよ! 邪道よりやっぱ王道だよね!?」

「何をムキになっている」

 

 僕と妖精さんと天龍のやり取りを、ひらひらと手を振って静止する望月。

 

「…だからアレの製造は中止されて、計画そのものがなくなってた…はずだったんだが? どこぞの馬鹿が呼び起こしちまったようだなぁ? ひひっ」

「レ級はその、スキュラを利用したヤツの仲間…ということですか?」

「まぁまだ推測、可能性としてだがな? …さて、アレの対処方法としては」

「…ごくり」

 

「アレのコアを抜き取る、それだけ」

 

「……いやいやはしょり過ぎでしょ!?」

「あ"? だって本当だもん」

「だもんて…;」

「コアとはどこにあるのだ?」

 

 天龍の言葉に、頭を掻き指を振りながら頭の中を整理する望月。

 

「あ〜っと? たてがみ…? いや違った、首の下辺りにデケェ球がはみ出してんだ、その中にある、それを抜き取ることが強制停止になってんだ」

「…え、じゃどのみちアレを倒さないといけなくない!? リモコンでピッてないの?!」

「知らねぇよ。大戦時にも権謀術数が渦巻いてたって聞くし、人側で強制停止させたくなかったんじゃね?」

「…今も昔も、人は同じ過ちを繰り返す……」

「(妖精さん)拓人さん…;」

「(翔鶴)全くね? 何年経とうがニンゲンは同じことばかり、腐ってるわ」

「(拓人)ナンドデモ…クリカエス……カワラナイ…カギリ……ッ!」

「(天龍)なんだこれは、噛み合ってるようで全く噛み合っていない…」

「(妖精さん)あぁ〜すみません〜いつもの悪い癖が…;」

 

 仕方ないじゃないか、ボケないと凡人は気が狂いそうなんだよ。

 

 そんなやりとりをしていると、不意に野分が名乗りを上げる。

 

「分かりました! ではこの野分、見事に咲いてみせましょう!」

「…君は話を聞いてたの? (疑惑)」

「ウィ、敵の弱点、対処法、全て聞き及んでおります、この野分に秘策あり、です!」

「具体的には?」

 

「ボクの美貌で彼奴の注意を引きつける、その間にコマンダンたちはアレの弱点を突く!」きらーん☆

 

 わぁ〜地味に建設的〜…美貌以外は。

 

「おい、流石にどうかしてないか?」

「初めて会ったときから、どうかしてるとは思ってましたよ」

「お前さん、空気読もうぜ…?」

 

 天龍、翔鶴、望月からの総ツッコミ。構わず野分は体全体で本気度を表しながら熱弁する。

 

「ノンノン! ボクは美貌なら誰にも負けません! コマンダン! ボクは貴方の役に立ちたい! ならば今こそがその天命を果たす刻(とき)! どうか、どうかご決断を! ボクは貴方の手となり足となりましょう!!」

 

 くるくる、くるくる、くるくる回り、両手を広げ決めポーズ&決め顔。どうやって本気だと思えば?

 

「…いーえー? これはこれでアリですよ〜?」

 

 妖精さんの言葉に、僕らは思わず面食らった顔になる。

 

「妖精さん? 大丈夫? 再接続する??」

「拓人さん、静かに? …あの対海魔兵器は、マナの穢れを探知して海魔を捕食すると思うんです」

「ほぉ? 鋭いねぇ、そのとおりさ?」

「であれば、マナの穢れとなったそもそもの原因…欲望をさらけ出せば、あの狼も黙ってないかと?」

「…それって?」

「はい…野分さんの「キレイでありたい」と思う心を、その語り口で存分に表現して頂ければと!」

 

 …マジ? なんか変な流れになってきてない??

 

「ほぉ…ふぅむ? 成る程そうきたか、そいつは面白そうだ! 一興してみるのもいい、カモ?」

 

 もっちー、アタシはそう思わないカモ! (秋津洲)

 

「…まぁ、要はコアを取り除けばいいのだろう? 囮役として機能するならさしたる問題はないはずだ」

「そうですね? 納得はしきれませんが?」

「…はぁ、分かったよ? 頑張ってよホント…」

「ありがとうございます! 必ずやご期待に応えてみせます!!」きらきらーん☆☆

 

 側で聞いていた綾波も頷く、どうやら了承してくれたようだ。

 

「…よし、皆! これよりスキュラ討伐を敢行する! いざ抜錨! 暁の水平線にしょうr…っぎ! か、噛んだ…;;」

「何を言いだすんだお前は…」

「しまらないですねぇ〜?」

「…本当に大丈夫かしら?」

 

 ぐだぐたになりつつありますが、ともかく僕らは金剛を助けるべく行動を開始する。…金剛、僕らが来るまでなんとか耐えてね!

 

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