艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について―   作:謎のks

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 ※作者の愚痴あり、嫌な人は前書きを飛ばすべし。

 やぁ、ほぼ3か月ぶり! 謎のksおじさんだよ!!
 今日はクリスマスだからって皆にプレゼント持ってきたよ~、ほぉら新作だぃ持ってけドロボーあっはっは! うるせー馬鹿野郎!! (逆ギレ)
 こちとら年末年始だからって工場にこもりっきりなんじゃいバカタレ! 仕事持ってくるのは良いけど何で人員増やさないんじゃいコノヤローが! 舐めとんのか!? ストレスでマッハよコッチは!!
 …ということですが私は元気です、一応生存報告のつもり。良いんですどうせ一週間ぐらい休めますし一日ごろごろ出来たら良いので。まぁ愚痴はこのくらいにして…何とか書き終えたので楽しんでってください!

 …呉遠征? 「X」(旧〇witter)でも呟きましたが、一言だけ──運命の神さまあああああ!!!


約束の炎は灯り──②

 深海金剛との戦いは、最終局面にして新たな転換点を迎える。

 拓人艦隊の窮地に颯爽と現れた選ばれし艦娘が加賀は、自身の能力を抑えていた「封じの指輪」を外すと「加賀改二」となり手始めに海に大穴を開けるほどの炎柱を作り出す。それは海底の最底まで届き…焦土となった黒炭の大地で相対する両雄、黒い炎を纏う鬼神たる深海金剛、そして…太陽の如き眩く紅い輝きを放つ極高温の火焔と一体となる加賀改二。

 海の真ん中に突如出現した広大な地底の周りを、切り取ったかのような水の壁が押し迫る気配がする、今から長くは経たずに元の海に戻ることだろう。その前に決着を付ける…加賀は鋭く睨みつつそう考え至ると、大弓に手を掛け戦闘態勢に入る。

 

「加賀航空隊…発艦!」

 

 先ずは強く引き絞った弓から矢じりから燃え上がる矢を解き放つ、それは放たれた直後空中で鳥の形を取り…巨大な炎の鳥となり深海金剛に襲い掛かる!

 

『ハッ! ソンナモノオォッ!!』

 

 対する深海金剛は手を突き出すと手の平を広げてそのまま炎の鳥を迎え撃った──

 

 ──ドゴオォォオオンッ!!

 

 炎の鳥が衝突し爆炎と硝煙を辺り一面に広げていく、それは獄炎となり深海金剛を苦しめる…本来ならそうなる筈であった。

 

『──チッチッチ! 無属性ノ前ニハ──何モノモ無ニ帰ル定メナノデェース!』

 

 炎の海の真ん中で佇む鬼は、広げ見せる手の指を閉じて人差し指を立てる、それを左右に振り余裕のジェスチャーを見せる──深海金剛、その身体には炎どころか火傷跡すら無かった…!

 全くの無傷、迫る烈火を手を翳しただけで対処してみせた。それは全ての異常な事象を世界に返還する──無属性の比類の無い強さによるものであった。

 加賀は改二になったことで、超高温の火炎を自在にコントロール出来るようになった。その能力を全力で解き放てば辺り一帯の海を蒸発させてしまうぐらいに、強大な炎を操れるようになった。

 しかし今の深海金剛は敵がどのような強さを持っていようが、それを打ち消してしまう「無属性」がある限り如何なる抵抗も無駄になってしまう。全てを炭に焦がす炎も火力を消されては形無しなのだ。翔鶴もそうやって無属性に太刀打ち出来ずに敗北を喫した、どうあっても勝ち筋の見えない戦いとなった。

 

「(あれが無属性…噂以上に厄介な力ね? それでも何処かに綻びがある筈、先ずは──()()()()()()()()っ!)」

 

 加賀はそう内側で結論付けると、矢筒にある矢束に手を掛け一度に何本もの矢を指と指の間に挟みこんで取り出す。そして──素早く弓を構えると次々に射出射出射出! 矢を番える間を置かずに矢を連続射出すると、放たれた大量の矢は一斉に燃え上がると航空機に変化、上空一面を「加賀航空大隊」で埋め尽くすことに成功する。

 

「焼き尽くしなさい…全航空隊──()()!」

 

 ──ヒュウウゥゥ………ゴオァッ!!

 

 空を埋め尽くした加賀航空大隊が、更に機体下から「爆弾」を一斉に投下、爆弾は次第に炎に包まれ炎上すると、空中で爆発して巨大な火炎球となる。大量の火炎流星が深海金剛並びに海底大地に降り注いだ、それは翔鶴の作り出すものとは桁が違う──世の終わりを想起させるような、宛ら小惑星群の衝突であった…っ!

 

 

 

 ──ズウウゥン! ズウウゥン!! ズウウウウゥン!!!

 

 

 

 ──ズドギャアアアアアアアアアンッ!!!!

 

 

 

 全身を激しく震わせるような地響きと爆音が辺り一帯に轟く、炎の壁が唸るような音と共に真正面に迫る中、その場を跳躍して炎が届かない上空まで退避した加賀は、()()()()()()()上空に留まり続け下の様子を窺う。眼下には轟音と爆炎が支配する光景が広がる──それが静まり始めた頃、徐々に薄れる硝煙漂う中一つの人影を認める。それは──深海障壁によって難を逃れた深海金剛であった。

 

『──フッ! 言ッタ筈デェズ! 無属性ノ前ニハ──何モノモ()()デェース!!』

 

 高らかに「絶対の理」を叩きつける深海金剛、無論深海障壁()()()今の蹂躙を回避出来る筈はない。深海金剛の前方に突き伸ばした右腕とそこから開いた手の平が深海障壁内側に触れていたので、それが原因だろうと確信した加賀は深海金剛と相対するように彼女の正面に降り立ち、自身の推理を披露して彼女の反応を窺った。

 

「深海障壁に無属性の性質を付与出来ると見ました、成る程…無属性、噂に違わぬ強大な力ね」

『ホッホォ? ソノ割ニハ落チ着イテイマァスネ、無属性ヲ周知済ミナラ、私ガ無属性ヲ習得シタコトニ驚カナイノデェスカ?』

「別に──()()()()()()()()()()()()と私の中で納得しているだけです、しかし──そうか」

 

 加賀は深海金剛との対話から、否定意志の無い彼女を見て自身の推理が確実に的中していると察知、そして頭の中で次々と論理を組み立てて正解を導き出す。

 深海障壁が無属性の力を受け入れたのは何故か、無属性は全ての事象を()()()()性質を持つ、魔法魔術で編まれた「神秘」を打ち消す力がある。であれば深海障壁は魔法魔術に起因しない何かで出来ているのだ、それは──()()だ、深海障壁は深海の姫級のみ扱うことが出来る、一説では憎しみなどの強い負のエネルギーがそれの元となっていると聞いている──()()()()()()()ので、絶対にそうとは言い切れないが──ので、深海障壁が深海棲艦の精神力で形作られていることは、先ず間違い無い。

 

「(つまり、無属性は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。これが事実であれば…一か八かになりますが、アレが使える)」

 

 加賀は己の中に在る()()を思い浮かべると、それが深海金剛打破の「鍵」となることを直感で理解した。翔鶴もそうであったように艦娘は()()()使()()()()()()()()()()()()()()ようだ、とはいえ相手は鬼神金剛、それだけが判断材料では不安も残るもの。何故ここまでの即決が出来るのか?

 答えは明瞭、加賀としては能力が発現してから七十年間の月日があるので、いずれ訪れるであろう脅威との対峙に向けて日頃から対策を講じて来たからだ。

 頭の中でのシミュレートは勿論、時折夜の海に一隻(ヒトリ)出撃すると、周囲に人の気配が無い中でこっそりと指輪を外したうえでどのような能力が使えるのか実験を繰り返していた。

 加賀改二には()()()のそれぞれ違う戦い方が存在することも、それぞれがどのような特性を備えているのかも、加賀は理解していた…故に、それを使うことに迷いは無かった。

 

 加賀が敵を睨みつけて威嚇しながら考えを纏めていると、深海金剛はケタケタ嗤いながら挑発を繰り返す。

 

『ヘイヘイヘェーイ! ドウシマシタカ? コノ程度デ悩マレテハ困リマァス! 私ノ本気ハ──マダコンナモノデハナイノデェース!』

「そうでしょうね、ですが──おかげでどうすれば貴女を攻略出来るのか、思い付きましたよ」

『ハァァアン!? 負ケ惜シミヲ──イエ、ソレガ嘘デハナイト()()()()()()()理解出来マァス。ソレデモ勝ツノハ私デスガ! デハ…見セテモライマショウカ? 貴女ノ更ナル戦イブリヲ!!』

「深海棲艦になっても変わりませんね、その無用な煽り癖は。…ふむ。ならこれは如何でしょう? ──()()()()()()()()

 

 

 ──ボオオオオオオオォッ!!

 

 

 深海金剛の焚き付けに敢えて乗った加賀は、お望みどおりと言わんばかりにポツリ──と合言葉を零す。

 すると──全身を燃え盛っていた紅い炎が鎮まると一転、今度はその身体に()()()を纏った。先ほどより威力こそ劣るものの全身を覆う蠢く緑炎は、名状し難い不気味さがあった。

 

『クッ! 翔鶴ニ続イテ貴女モデスカァ?! 呆レマシタヨ…猿真似ハ私ニ通ジマセンヨォ!!』

「確かにこれは私にとって新しい戦い方であり、実戦で試すのもこれが初めてです。だからといって…()()()()は聞き捨てなりません、貴女と別れて数十年、もちろんそのための()()もその後から続けて来ました、猿真似かどうか──ご照覧在れ、破壊の鬼神よ」

 

 そう宣った加賀は自身の得物たる大弓を一旦背に仕舞うと、右手を前に広げ緑炎を放つ。ゆらゆらと揺らぐ炎は次第に形を取って行く。加賀は()()を掴むと一気に引き抜いた!

 緑炎が散り中から取り出されたのは──無機質な鋼の太刀であった。しかし刀身から漏れ出る緑炎と荒波を思わせる刃紋は、得も言われぬ凄味があった…!

 

『刀ァ? 空母くらすノ貴女ガ?!』

「この形態は貴女と同じ前線でその価値を高めることが出来る。空母だからと前線で戦う力が無いとは限りませんよ? さぁ…参ります!」

 

 加賀はそう言いながら刀を思い切り振り払うと、刀に纏わりつく緑炎が大きく広がる様が見える。それはこの世のものとは思えない恐ろしさと共に、ある種の美しささえ感じる芸術的な焔であった。

 

『チッ! 剣戟ハ得意デハナイノデスガネェ!!』

 

 深海金剛は苦い顔をするも負けじと右腕に蒼い剣身を出すと、素早く駆け出して加賀に斬り掛かる。加賀も刀を構えて鬼神の蒼剣を受け止める…鋼同士がぶつかり合い響き合う鈍い音が空間に木霊する。

 

『オオオォッ!』

「──…!」

 

 深海金剛の全力の太刀振るいの応酬を、加賀はただ静かに精密に刀身に押し当てさせては刃先まで流していき躱し続けた。深海金剛の剣術も力任せで振りがやや大きいというのもあったが、それでも同時に速く鋭い太刀筋は常人からしてみれば簡単に見切れるものではない。それを軽々と往なし続ける加賀の剣術の技量は、年月相応に頂点に達し極まっていた。

 

「…ふっ!」

『クッ…(コノママちゃんばらヲ続ケテモ埒ガ明カナイ、一旦距離ヲ取ラネバ…!)』

 

 深海金剛の直感が加賀の剣技に脅威を感じると、態々それに付き合う事はないと遠距離からの砲撃で牽制する算段を思い付く。戦い方なら幾らでもあると()()していた──そのココロの隙を加賀は見逃さなかった。

 

「──っ!」

 

 深海金剛は右腕の剣を振り払うと、距離を取ろうと後ろへ跳躍した。

 そして、深海金剛が海面へ足を着けようとした瞬間──加賀は刀を右肩側へ振り上げつつ一瞬で距離を詰めては、深海金剛の左肩側に向けて容赦の無い「袈裟斬り」を浴びせようとする…!

 

『──…ッ!?』

 

 ──ガキィンッ!

 

 深海金剛は目前に迫る加賀に何とか反応すると──左肩に迫っていた斬撃を蒼剣で即座に受け止める。

 まさか…距離を取ることを想定していたとしか思えない迅速で正確な斬り付け、それを垣間見た深海金剛は軽率な考えの己を恥じた。熟練のモノと認めてそれでも侮っていた、()()()()()()()()()()()…!

 敵(加賀)はどんなに小さな気の緩みも見逃さない、攻撃中は尚の事回避中も、砲撃中でさえ一瞬も油断出来ない。深海金剛は今自身が対峙しているのはそれだけの「手練れ」であることを再認識すると、頬に一つの冷や汗を流す…。

 

『ッ! 危ナイ…ッ』

「どうしました? 先ほどまでの余裕は何処へ行きました? この程度の剣術──()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

『コノ…クソアマガアァァーーーッ!!』

 

 涼し気な顔で皮肉を言ってのける加賀に対し、激昂する深海金剛は受け止めた刃を押し退けては力任せに蒼剣を振り回して少しでも加賀に傷を負わせようとする。しかし──直線的な攻撃は吸い込まれるように刀に受け止められ、流れるように剣筋を逸らされ続ける。乱暴に叩きつけるだけの剣技は加賀の洗練された剣法の前には華麗に受け流されるままであった。

 深海金剛はかつてない強敵の出現に対する消えない焦りとそれでも離さない勝利への渇望によって、剣筋は乱れ冷静さは大いに削られていく…!

 

『ッ、コノ…!』

「──()()()

 

 

 ──ザシュッ!

 

 

 一心不乱に剣を振り続ける深海金剛──その隙を突いて加賀は遂に深海金剛に一太刀浴びせることに成功する。

 

『グッ…ッ!? (不覚…ダガ)』

 

 腹部を切り裂かれた深海金剛は仰け反り後退すると、痛みを覚え始める傷口に手を添える。

 不覚は取ったがこの程度の浅傷であれば深海棲艦の超回復で瞬時に消えることだろう、そう思いニヤリと嗤うと次第に傷が()()()()()()()──

 

『──イヤ、()()()()!? コレハ──ッ!?』

 

 異常な熱さを感じ取った深海金剛は下に視線を送った、すると──腹部の太刀傷から緑色の炎が噴き出している異様な光景が眼に映った…!

 

『コ、コレハ…ッ!?』

 

「──その緑の炎には「呪い」が憑いて居ます」

 

 加賀は困惑する深海金剛に対し冷ややかに言って退ける、呪い…果たしてどういったモノであるのか、加賀は淡々と説明を口にしていく。

 

「ヒトや世界、凡ゆる生命の内側には密かな()()が満ちている…私は魂に刻まれた負のエネルギーを刀と焔として発現させたのです。

 ()()()()()()()()()()()、この海に沈んだ艦娘たちの悔しさ、憎しみ、怒りの根源を「刀」とそれに纏わりつく「炎」にして形を取り、その一太刀を貴女に斬り付けました。一度放たれた呪炎(のろい)は対象の傷口を火種として全身に燃え広がり…徐々に体力を奪うことでしょう。

 深海棲艦の身体の構造は、痛みや傷の発生に対する自然治癒が異常に高いだけでその他の機能は常ジンと変わりはありません。即ち()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…近年の深海棲艦の研究と、第二次クロギリ海戦の実戦にて判明した事実です」

 

『…ッ! ソレガ事実ダトシテモ!! 呪イノ塊ノヨウナ我ラ深海ノものニ対シ、呪イヲブツケルトハ浅知恵ニモ程ガアル!』

 

「確かに…本来なら深海棲艦となった貴女には耐性があるので、体力消費も極僅かと言った所です。それでも──これで良い、()()()()()()()()()()()()()

 

『何ヲ言イ出スノデショウネェ、知ッタカブリヲ示サレテ負ケ惜シミヲォ! …ッ、コンナ気色悪イ炎、私ノ黒炎デ吹キ飛バシテ…!』

 

 深海金剛は加賀の攻勢に変わらず悪態を突くも、その表情や態度にはどこか「焦り」が感じられた。それは奥底に封じたはずの記憶の断片が「詰み」の気配を感じ取ったのか、はたまた自身の優勢を宣う()()()に密かな憤りがあったか…兎に角深海金剛()()()()()冷静さを欠いた行動が、自らを追い込む悪手となった…!

 

 ──ゴオオオォッ!!

 

 それは瞬きする間もなく全身を覆った──深海金剛が自らの黒炎を放つべく身体に力を入れると、腹部に焚きついた緑の炎が代わりに燃え広がったのだ…!

 

『グォオオオオオッ!? ナ、何ガ…!?』

 

「──一手、見誤りましたね? その緑の炎はもう貴女の身体の奥深くまで入り込みました。吹き飛ばすことなど到底不可能…炎の魔力は呪炎(のろい)に置き換わったので、出せばだすほどそれの火力が増すだけ。幾ら深海棲艦でもそれだけの出力で無事で済むとは思えない──ほら、身体の力が抜けて来たでしょう?」

 

『──…ッ、馬鹿ナ…ッ!』

 

 加賀の言下に深海金剛の膝は小刻みに震え出すと、そのまま海面に着いてしまう。身体も伏せる状態となるも「倒れだけはすまい」と力を入れて抵抗を示す。そんな鬼神の哀れな姿に対し、加賀は尚も状況の説明を続けた。

 

「因みに貴女は「負の感情を活力に変える深海棲艦であるから、呪いの炎も自分のエネルギーの足しになる筈」と考えているでしょうが…甘いです。その呪いの本質は「奪う」ことにある、奪う側が奪われる側になることは呪いの法則として先ず有り得ない。つまり呪いを吸収することも打ち消すことも出来ない、体力を奪われ尽くすまで貴女はその炎をその身に覆い続けなければならない」

 

『チッ…!』

 

 言い終えた加賀の隙を突いて、深海金剛は両手指を絡めて人差し指を立て合わせて中指を上へ交差させ絡ませる。五行廻輪…状況を振り出しに戻そうとしていた!

 

『五行…廻輪!』

 

 そう言い放つと深海金剛の身体がみるみるうちに元に──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──()()()()()()。状況は変わらず呪炎(のろい)は未だに鬼神の身体を蝕んでいた。

 そんな馬鹿な…そう二度目の驚愕を表す言葉を零すと、加賀は淡々とした口調をそのままに「まるで勝ち誇った」かのように言明する。

 

「言った筈です、()()()()()()と。五行廻輪は体内の魔力を五つの属性に同時に変換しつつそれらの「バランス」を保ちながら廻すことで身体の構造を一から作り直す最高等魔法、注ぐ魔力量がどれか一つでも大きくても小さくてもいけない。

 ですが現状貴女の体内では緑炎が()()()()()()()()()()()、それは貴女ではコントロールすることは出来ない。つまり──()()()()()使()()()()

 

『ダッタラ…!』

 

 加賀の説明に納得することの無い深海金剛は、即座に右手を腹部の炎の中に突っ込む。無敵の無属性で今度こそ呪炎(のろい)を掻き消そうとしている──が。

 

…キ、消エナイ……ッ!?

 

 何と、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。無属性に消せない異常(ゆがみ)などあるのか…深海金剛の困惑顔に対し、訳知った加賀は完全に「確信」した口調で尚も語る──お前では「()()()()」と。

 

「矢張りですか。無属性は世界において有り得ない事象を元に戻す現象のこと、ですが──それは呪炎(のろい)です。呪いを「人由来」の力とするなら…如何に無属性であれ、世界の理であれ、人の呪い…想いを消し飛ばすことは出来はしません」

 

『ッ!? ソ…ソンナ屁理屈…!』

 

()()()()、とでも言いたいのですか? 今まで貴女が散々やってきたであろうことをやり返しただけなのですがね。自分だけはそんな目に合わないと思っていたのなら…とんだ考え違いですよ。世界の理は…常に平等に生命に試練を与えるのです、貴女だけ特別なんてことは無い」

 

『貴様ァ…調子付イテ偉ソウナ”口(クチ)”ヲッ!』

 

「当たり前でしょう。貴女は封印の中で寝ぼけていたようですが、私はこの日この時…訪れるであろうこの事態のために七十年間只管修練を積んで来たのです。貴女とは──()()()()()、ただそれだけの話です」

 

 加賀の「王手宣言」の言葉に、深海金剛は驚きつつも何も言い返せず、顔を俯いてただ苦虫を嚙み潰したように歯を力強く押し付けることしか出来なかった。

 

 無敵を誇った鬼神の要塞──五行廻輪、無属性、深海棲艦の超回復、全てを丁寧に弾かれたことで壁は瓦解し、鬼神の不敗神話は終焉の一途を辿ろうとしていた…!

 

 しかしながらここに辿り着くまでに「疑念」はある、加賀は確かに自身の力を驕らず「確実な勝利」に近づくための努力を惜しまなかった、しかしそれだけでは無敵の深海金剛に敵う道理は無い。では何故ここまで何事も無かったように物事が上手く行ったのか?

 

 それは──七十年前の大戦、彼女たちは戦場で寝食を共にした「仲間」であった。加賀は「金剛ならこうする、こうなる」という行動理念を熟知しており、金剛もまた記憶の欠片から薄らと垣間見る加賀の「敵に回ると恐ろしい強さ」を身体に刻んでいた故の早計、焦りがあった。詰まるところ──

 

 

 

 ──()()、翔鶴と同じように深海金剛もまた不利な相手に臨んでいたのだ…!

 

 

 

 

『──ク、ソ…クソ…クソ、クソ、クソ! クソォーーーッ!!

 

 深海金剛は己の状況と今までとは格が違う「強敵」に対し、ただ悔しさの叫びを上げるしか出来なかった。

 

 ──だが、深海金剛は諦めない。英雄はどこまで堕ちても英雄なのだ。

 

『ナラ…私ノ体力ガ尽キル前ニ、呪イヲカケタ張本ニンヲ倒ス! 貴様サエ居ナクナレバ…最強ハ依然ト「私」ナノダカラッ!!』

 

「倒す? 深海に堕してもそんな甘っちょろい言葉が出るんですね? やるなら──()()()()()()

 

 激情に駆られる深海金剛は、弱りゆく身体を奮い立たせ眼前の敵に立ち向かう。全ては自身の最強の証明のため──向かい合う加賀は静かな殺意を迸らせながら敵に発破をかける。今…挑戦シャと応戦シャは逆転した。

 

 堕英雄と女傑の戦いは凄烈を極める…果たして勝利を捥ぎ取るのは、どちらなのか…!?




 今年はこれでご勘弁を、では…よいお年を〜!
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