艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について― 作:謎のks
このお話では展開が(当社比で)異様に早く、更に「重大なネタバラシ」があります! 最新話だけちょこっと読もうとしている人は、何が何だか分からないと思うので気を付けて下さい!
自分としては「ようやく書けた~!」って感じですごく楽しかったです! こういう書きたいのをかけた時は、ほんっとうに嬉しいですよね~!
──あ、
──サイハテ海域、海底
絶対無敗の鬼神、深海金剛は拓人艦隊を逃すまいと彼女たちの要である「色崎拓人」を闇属性の能力で闇の彼方へ閉じ込めてしまう。
司令塔を失った艦娘たちであったが──拓人が残した「待っていてくれ」という言葉を頼りに、彼の帰還を信じて深海金剛の呼び出した果ての無い影の軍勢と接戦を繰り広げていた…!
「──うおおおぉっ!!」
──シャ──…ザシュッ!!
『オ”オ”オ”ォ…ッ!!?』
雄叫びを上げながら黒き有象無象に突撃する天龍は、自身の高速移動能力と空間を斬る剣技を用いて身に迫る影の大群を斬って捨てる。霧散する影の魔物たちを傍目に背中合わせとなった望月に問いかける。
「望月! タクトが向こうに行ってからどのくらいだ!?」
「ざっと「10~15分」ってとこさ! アタシの予測だとあと一時間は掛かるんじゃないのかねぇ! 大将を信じねーワケじゃないが、
「だろうな! タクトはああ言っていたが敵の能力で捕らえられたようなもの、更に今現在守り手が居ない以上、深海金剛と対峙している「加賀」も危うい。フタリを一刻も早く救わねばならない。状況は最悪…迅速に打開すべきだ!」
「ですね。ですが…敵はそれを許してくれない!」
天龍の意志提示に相槌を打ちながら、綾波は手に持った連装砲で敵の大群に向かって砲撃を放つ。重い音を立てながら影の闇に消える砲弾は──着弾すると即座に赤い爆炎と劈く轟音を広げて炸裂した!
『──ギィエエエ!!』
だが無尽蔵に湧く影の敵、硝煙が渦巻く裏でたちまち影が復活する場面が映る。綾波の言うとおり影たちは巨大な壁となり拓人艦隊の艦娘たちを阻んでいた…!
「っ、せっかく加賀さんに回復してもらった傷も体力も、このままでは無意味になってしまう! それだけは…それでは司令官をお助け出来ない!」
「無理は禁物よ綾波! 大丈夫よ…タクトは私たちの「希望」! そう簡単にやられはしないわ!!」
焦燥する綾波に翔鶴が前向きな言葉で鼓舞すると、青白い光の弓と蒼光の矢を即座に出して番え構える。放たれた青の矢は淡い蒼色の艦載機群に変貌し、機銃一斉掃射の光弾丸が漆黒の影どもを一遍に撃ち貫く…!
──ズドドドドドドド・・・!
『ギィアアアアアアアアアアッ!!?』
「ふん! どんなものよ!!」
「すごい! 翔鶴さんは敵の殲滅力が段違いです…!」
『ですが翔鶴さんの機動部隊をもってしても、恐るべきは影の軍勢! 此方が幾ら攻撃をしても
「いや野分、ありゃ再生じゃなくって
「キリがないわ。どんなに消し飛ばしても敵に限りが無いなんて…!」
望月と翔鶴の事実提言に、思わず唸り黙り込む面々。
拓人艦隊の艦娘たちは、この無尽蔵に湧き出で大群を成す影を相手取りながら、深海金剛と戦っているであろう加賀と捕まった拓人を救い出す。そんな難題を乗り切ろうとしていた…!
「──そうだ、幾ら俺たちでも無数の敵を一瞬で片付けることは出来ない。このままではジリ貧だ、体力の問題もあるしな。だが──エリのために深海金剛と戦ったことに比べたら…
天龍が口にした言葉に、他の艦娘たちは──確かに、と苦笑いして少し場を和ませた。
「なら俺たちが出来ることは──タクトを信じること! そして…アイツが帰って来た時に、少しでも早く片が付くようにすることだ!
先ず俺たちは加賀の様子を窺いつつ影たちを掃討し道を作る、道を作った隙に瞬足の使える俺が加賀を助けに行く! 深海金剛が加賀に注力している間に加賀だけでも何とか救い出す!
出来ればタクトも一緒に救助したいが、慎重に行動しなければな…深海金剛と一戦交えるのは確実だが、タクトは今人質に取られているようなもの、敵がタクトを盾に此方の動きを封じてくることを否定出来ない! 他の皆も隙が出来次第タクトと加賀救出に来てほしい!
俺は敵のガードが弱くなり次第突入する、後は先ほど言ったとおりに! 持久戦になることが予想される、皆…気合いを入れ直せ! やるぞぉっ!!」
「ケッ! わぁーってるよ! …しゃあ! ここまで来たら頭を使うまでもねぇ! 「力づくで道をこじ開ける」一択だぜぃ!!」
「だとしても「警戒は厳に」! ですよ!!」
『ウィ! 言われなくとも!!』
「タクト、加賀、待っていてね…必ず私たちが貴方たちを助けるから!!」
天龍、望月、綾波、野分、翔鶴の拓人艦隊は司令塔の帰還を待ちつつ瀬戸際をひた走りながら、鬼神と相対する女傑たる加賀を救出する覚悟を固める。拓人の置き言葉が効いたのかいつもの様子で互いを励まし合う光景は、彼女たちの内側に「希望」が確かに宿っている証であろう。
──一方、天龍たちから少し離れた場所で深海金剛は負傷した加賀と対峙するも、その内容は先ほどの「死闘」とはまた違う展開となる。
「──艦載機発艦!」
加賀が仕掛ける艦載機隊は、加賀の技量から成る「高速矢番え」により次々と発艦、大隊を組むと深海金剛に機銃掃射を仕掛ける。
『ハッハァ! ソノ程度──モウ構エルコトモナイ!』
──ゴオァッ!!
深海金剛が余裕の発言を口にしながら、全身に「風属性」で作り出した気流を纏うと、加賀の航空大隊を竜巻に巻き込んで吹き飛ばす。呆気なく加賀の目前は無防備となった。
『アーーッハッハァッ! 随分ト弱ッチィ攻撃デェス、先ホドノ獄炎ノヨウナ火ハ出サナイノデェス? ァア~ソウカ、モウソンナ魔力ガ残ッテイナイノデショウネェ~? 残念無念トイッタしん境デショウ、マァ私ハオ前ヲブッ潰スダケデスガ! ハハハハハッ!!』
「…っ、下品な嗤い方。もう勝った気でいるなんてね? 慢心は最大の敵ですよ」
『ハッ! ドノ”口”ガホザクカ! 私ノ攻撃ヲ防グモノガ居ナイ以上、オ前ハ正ニ「風前ノ灯火」デェス! ジックリ…ユックリト! 始末サセテモライマショウ!!』
深海金剛は口元を三日月形に歪ませながら、一歩ずつ踏みしめながら加賀の下へ近づいていく。
加賀は左足負傷により満足に動くことは叶わず、どころか力の殆どを使い切ってしまったので艦載機発艦
──加賀は、深海金剛が「シの概念」として悠然と近づいて来る姿に、内心ココロが折れかけて諦観し始めていた。
「(何とか保たせようと思ったが…彼女の「継戦能力」を甘く見ていた、長期戦がここに来て響いたか)…ここまでか──」
加賀が一瞬目線を地に伏せて、精神を絶望に染め上げようとしたその時──その場の誰もが目を疑う光景が、密かに起こっていた…!
──…ズッ!
「────ぁ──ああ────あああああっ!!」
深海金剛の背後に現れた「縦に裂けた黒い線」はやがて丸形となり、丸の中から何かが声を上げて徐々に近づいていた。それこそ──闇の自分を克服し、見事帰還を果たした拓人であった…!
『…ッ!? ナ──』
──ガッ!
そして闇に取り込まれる前に宣言した「深海金剛を殴る」という約束は…今実現した。遠くから聞こえるような声に気付き後ろを振り返った鬼神は──自身が鼠と揶揄した弱者に勢いついた拳骨で
『ガハ…ッ!?』
「はぁ…はぁ……や、約束通り…戻ってきてやったぞ馬鹿野郎!!」
「タクト君…!? う、嘘…?!!」
拓人の
『ソ──ソンナ馬鹿ナ!?』
言うなり深海金剛は受け身を取りながら闇の炎を身体に纏うと、意識を集中させて拓人の胸の辺りを注視する。すると──先ほどはそこに確かに在った赤黒い炎は、白く淡い黄金色の光に置き換わっていた…!
『(ッ!? ドウイウコトダ…マサカコイツ、闇ノ中ノ自分ヲ
深海金剛は酷く狼狽した顔つきとなり拓人を見つめる。自分の能力に絶対の自信を持っていたからこそ、それを克服したモノが「恐ろしいナニカ」に見えたのだ。そして噴出する懐疑を思わず拓人に尋ねる。
『何故ダ…オ前ハ今シガタ闇ヘ送リ込ンダ、オ前自身ノ深イ闇ニ! 何故ソレデ平然ト戻ッテコラレル?! 何ナンダ…オ前ハァッ!!??』
「何って…
「…! タクト君…良かった、無事で…っ!!」
拓人の普段通り、かつ何処か達観した様相を見た加賀は、次第に安堵の涙を一筋流して喜びを表す。それを一瞥する拓人は加賀に対し微笑んで「大丈夫だよ」と無言で語り掛ける。
その一連の流れを垣間見た深海金剛は──怒り心頭に発した!
『──貴様如キガ成長シタダト? 自惚レルナ! 不意ヲ突イタ程度デ調子ニ…乗ルナァッ!!』
──ゴッ!
深海金剛は拓人への意趣返しとしてか、距離を一気に詰めるとそのまま拓人の頬を殴り抜けた。拓人は当然反応出来ずそのまま飛ばされ、地に尻もちを搗く。
「タクト君!?」
「っ! つぅ…でもこの程度、どうってことないよ!」
加賀から心配の声が聞こえるも、頬が腫れながら余裕の笑顔を見せる拓人。勿論やせ我慢だろうが
拓人が何事もなかったように立ち上がる様を見て、更に悪寒が走ったのか深海金剛は「有り得ない!」と言わんばかりに捲し立てる。
『貴様…本当ニ何ナンダ!? 何故立チ上ガル? 何故笑ッテイラレル?! 弱イにんげんノ癖ニ、艦娘タチニ指示ヲ飛バスグライシカ出来ナイ筈ナノニ!
深海金剛の言わずもがなの疑問、だが──問われれば答えなくてはならないと、拓人は深海金剛の眼を確りと見据えて自身の胸中を紡ぐ。
「──怖いよ、どうしようもなく嫌だよ。でも…もっと嫌なのは、自分の「想い」から逃げ続けることだ! 君が見せた闇の中でそれを改めて確かめた。
もう目を逸らさない、僕の「
拓人の覚悟の伝わる言葉、それを聞いた深海金剛は──悍ましい異常者を見るように顔を強張らせる。
『真面ジャナイ…貴様ノヨウナ弱者ハ、恐怖ニ怯エテ縮コマッテイレバイイ!! 私ノ…勝利ノ! 邪魔ヲスルナアアアアアアッ!!』
──ボゥッ!! ゴゴゴゴゴ…ッ!!
深海金剛は立ち上がり様に吼えると、右手に全魔力と全属性を集中させ始める。拓人に対して本気の一撃を放とうとしている…!
「っ! いけない! タクト君!! 彼女は貴方を本気で…!?」
「良いんです、僕の気持ちが全部押し通るとは最初から考えてない。でも──最後まで抵抗させてもらう!!」
焦る加賀に反してそう言ってのけると、拓人は
『ッ、貴様ァ…ドコマデモ舐メ腐ッテ…!』
「そういう君も往生際が悪いよ。…
『──ダアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアマアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアレエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!!!』
深海金剛は激昂しながら右手拳を握り締めると、拓人に向かって突進する。先ほどの唯の殴りとは比べものにならない威圧感とスピード、拓人の目線からそれは一瞬で目の前に
「(怖い…でも! 最後まで諦めない! 僕の理想を貫くために──そのためなら、死ぬギリギリまで足掻いてやる!!
拳が盾に当たる瞬間、威力が伝わる前に盾を離して避ける! そんなに上手くいかないとは思うけど…今はそれしかない! それでダメなら──僕はそこまでの男だってだけだ!!)」
先ずは深海金剛から距離を取るため、盾を犠牲にその場をやり過ごす算段を考える拓人。
拓人の中には既に「星の光」が燦然と輝いている、強大な「死の恐怖」が目前に迫っても、そこに自分の求めるモノがあるなら、何度でも立ち上がり進めなくなるまでやり切る。それこそが──拓人が新たに手に入れた「答え」だったのだ。
「ううおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
『ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』
「タクト君っ!!」
──だが、現実は残酷である。世界はそれでも非情を──
──カッ!!
──拓人の盾に深海金剛の全力が叩き込まれた刹那、一瞬の眩い光が視界を支配し…それが晴れると
爆風も、過剰威力によるエネルギー奔流も、更に出来るであろう海底のクレーターも出来上がっていない。そこには──静寂、それだけが在った。
自身も吹き飛ばされてもいないし、身体がバラバラに弾け飛んでもいない、
──それは、拓人と深海金剛の間に、
「──…っ!? よ…
何と、拓人の前に突如現れた妖精さんが両手を突き出して、
「あれは…タクト君の妖精!? この世界の神だと聞いていたけど、まさか
加賀が情報整理のために台詞を紡ぐ。何をしたかは定かではないが、妖精さんは何らかの手段を用いて深海金剛の全力を
深海金剛は自身の拳程度の大きさしかない妖精さんを見て、困惑の表情を見せる。
『何ダ、コレハ…誰ダオ前ハ!? ドイツモコイツモ私ノ邪魔ヲ…!?』
「──…っ」
「ぁ! 妖精さん!!」
声を荒げる深海金剛に対し、妖精さんは苦しい顔を見せるとそのまま力無く地に落ちようとしていた。それを見た拓人は手の平の中に妖精さんを抱えると、妖精さんに呼び掛ける。
「妖精さん、妖精さんっ! しっかり…!!」
「…た、くと? 無事?」
拓人の手の中でぐったりとした様子でいる妖精さんは、それでも拓人の五体満足を確認したいのか、途切れとぎれになる声で語り掛ける。拓人もそれに優しく応じる。
「う、うん。妖精さんが守ってくれたんだよね? ありがとう…でも、どうしてこんな危険なことを」
「だ、って…拓人はむ、かしから無茶ばっかりするから。私が…守って、あげないとって……そうしないと、拓人、死んじゃうか、ら…それだけは……いや、だったから」
「昔から? それは一体──…っ!!?」
拓人は妖精さんの言葉に懐疑的であったが、直ぐにその言葉が真実であると気付く。
「──ま、さか。どうして君が──
拓人がポツリと発したまさかすぎる人物の名前──光凛、
「バレ、ちゃった? あはは…リーディングされない、ように防御して、たのに…こんな状態じゃ、そうなるだろうけど、さ…」
「え…じゃあ本当に、光凛なの?! どうして…!?」
『──ドウヤラ知己ノヨウデスガ、私ノ全力ヲ受ケ切ッタ以上貴女モ生カシテオケマセェン! 最強ハ──ひとりデ十分ナノダカラ!!』
深海金剛がそう言って憎悪の瞳を拓人と光凛(?)に向けると、拓人は盾の裏に光凛を隠し身構える。
「妖精さんを…光凛をやらせはしない! どうあれ彼女は僕にとって「大切な存在」だ! 絶対に…守って見せる!!」
「……た、く…と」
『ハッ! サッキハ
深海金剛が拓人たちにトドメを刺そうと拳を振り上げたその時──直感が働いたのか天に掲げた拳を下げて辺りを見回す。
『空気ガ変ワッタ? コレハ──何カガ…近ヅイテ来ル!?』
──…バシッ、バシィッ、バシュッ!!
──ポツリとそう零した深海金剛の予感は、見事的中した。
最初に異音が空間に轟く、更に拓人の後方から「光の球」が出現する…!?
「あれは…光る球体?」
「一体何が起ころうとしているの…?」
『ク! 何ガ来ヨウト…全テ私ガ潰シテ見セル!!』
拓人、加賀、深海金剛が各々の反応を見せながら光の球の方を見遣る。
怒涛の展開が続く中、光はその輝きを増すと白い波動を広げていく…一体何が起こっているのか、拓人も加賀も、深海金剛さえ警戒しながら入れ替わり立ち替わる光景を眺めていた…!
──やがて、光る球体は…弾けた!
──バシュゥッ!!!
・・・・・
──そうか、私たち…一つになれたんだ。
良かった…それにしても、ふふ! あの人ってば…
──タクト、皆…待たせてごめん! ここから私も戦うよ、貴方たちがくれた──愛に報いるために!!
・・・・・
『──タクト君、聞こえるかいタクト君! ユリウスだがたった今大変なことが起こった!』
「・・・・・」
拓人の腕に着けられた映写型通信機から声が響く、ユリウスが通信機から応答を窺うも…反応が無い、通信機からの声は拓人の耳に届いているが
『…? タクト君? 戦いの最中なのかい? とにかく耳に入れてほしいから概要だけ伝えておく!
我々は君たちが採取してくれた深海金剛の戦闘データを基にエリ君の精神を治す手術を開始した、したんだが…ものの数十分で手術が完了すると、
映写型通信機からユリウスの驚きと混乱の声が上がる、事情を聴いた拓人は漸く腕に着けたそれを口元へ持って行くと…自身も信じられないといった具合の放心状態で、現状を確認するように言葉を発していく。
「・・・ユリウスさん、エリはそっちには居ないんですよね?」
『そう言っているだろう!? 一体何が始まったんだ、深海金剛が何かしたのかい?!』
「いえ、その深海金剛さえ今現在起こってることに酷く驚いています…」
『は!? 深海金剛の仕業じゃない?! じゃあ一体…?!!』
「その──多分、
『な──なんだってぇっ!!?』
拓人の言うとおり、後ろを振り返ったいる拓人が見た光景は──稲光が迸る巫女風の衣装に身を包んだ女性、それは…
「…私の頭と眼が夢見に落ちていなければ、あの恰好は間違いなく
加賀は目の前で起こった盤上返しを冷静に分析していく、だが…そんな加賀をしても
拓人は恐るおそるエリ(金剛?)に話しかけていく。エリもにこやかにそれに応じる。
「エリ…エリなの!? 一体何が起こって…?!」
「──そうだよタクト、エリだよ! 貴方や皆が私のために頑張ってくれたこと、ずっと見てたよ! 今度は私が頑張る番だから、急いで来ちゃった!」
「来ちゃったって・・・すごい軽く言うよね? というか──その恰好も普通の改二じゃないよね!? 何それ!!?」
「ふふ! 落ち着いて! この姿は──幾重にも折り重なった偶然が起こしたモノであり、貴方たちがイノチ懸けで掴み取ったモノでもある! 私たちはそれを──
拓人の感情の整理が追い付かない中、エリはこの嘘のような出来事の数々を「奇跡」と一言で表現した。
奇跡──それはこのサイハテ海域に赴いた、作戦とは言い難い無謀を遂行して来た誰もが望み願った「最高の未来」。つまり拓人たちは
「奇跡…? じ、じゃあ…成功したの? この作戦? エリを助け出すっていう目的の一つが…達成されたの!!!?
──…や、やったぁっ! ホントに…夢じゃないよね、本当にエリにまた逢えた!! ぅわぁーーーーーやったぞぉーーーーーっ!!!!!!」
「…は、はは。冗談よね? エリの手術だけでも成功確率は限りなく低いと言われてたのよ?! こんなの──奇跡としか言いようがない!!」
その言葉を耳にした拓人は、まさかの
驚きに満ちた心に湧き上がる感情…最高の喜び、喜悦が注がれていく。それは拓人に最高潮故のガッツポーズと達成感故の雄叫びを上げさせ、加賀に語彙を成り立たせない
長い緊張が続く戦いの連続を経て、とうとう拓人と仲間たちは理想の一欠片を手にしたのだ…!
『…何ナンダサッキカラ、次カラツギヘト! シカモ──私ト瓜二ツノ恰好!? 一体何ナンダ…オ前ハ!?』
畳みかけるような展開の数々に理解が追い付かない様子の深海金剛、それに対しエリは堂々と宣言する──自身が何モノであるのかを…!
「私は──もうヒトリの貴女に頼まれて、貴女を止めにやって来た! 数々の奇跡が光の束となり…貴女には決して届かない「力」を手に入れたのが、今の私──金剛改二【丙】!」
「か…改二丙! 翔鶴の改二甲みたいなバリエーションか! 一体どんな力が…想像もつかない!」
「…ふふ」
拓人が一人興奮に鼻息を荒くする中、彼の盾の内側で倒れている光凛(妖精さん)は口を緩ませ微笑むのだった…。
『か、かいに…
「知らないならこれから教えてあげる! 私と貴女との──魂のぶつかり合いで!!」
深海金剛の狼狽を余所に、エリこと金剛改二丙は構え始める。右足を後方へ引きながら強く地を踏みつける、同時に左手を前へ広げ見せ、右手を握り腰の位置まで持ってくる。
「皆を甚振ってくれたお返し、たっぷりしてあげる! さぁ──反撃開始、だよ!!」
エリは勇ましく戦いの号令を吼え叫ぶ、対する深海金剛は何がなんだか分からないという風の苦い顔から、最早常套句となった台詞を叫び返す。
『ッ! イイデショウ、ソレデモ
その言葉を聞いて、間に挟まれている拓人は人知れず二人の戦いを見守れる位置へ移動する。
ここに──次代の金剛対深海に堕ちた先代金剛の、本来なら有り得ない世紀の一戦が幕を開けた…!!
金剛(エリ)VS深海金剛時の妄想挿入歌=「Get up! Shout!(水〇奈々)」
シャー〇ンキングで聞いた時から絶対コレやろ! って思ってました…!