艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について―   作:謎のks

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 今年も呉で何かやるようですね、艦これ展? また行こうかなぁ・・・?
 まぁ最近忙しいから、8月中にどうなるかは現状不透明ですな。でも行きたい・・・!


奇跡が煌めく──④

 ──サイハテ海域、海底

 

 長き激戦の末遂にエリの復活を成功させた拓人一行、そして奇跡には更なる幸運が重なる…手術室で意識不明の状態であったエリは、何(・)故(・)か(・)拓(・)人(・)た(・)ち(・)の(・)前(・)に(・)現(・)れ(・)た(・)のだ。加えて改二【丙】という独自の上位改装(パワーアップ)を果たした状態で姿を見せた、本当に何が起こったのか全く理解できない拓人であったが…それは自分たちが死に物狂いで闘いに臨んだ結果であると、そ(・)う(・)思(・)い(・)込(・)む(・)こ(・)と(・)に(・)し(・)た(・)。でないと頭が喜悦で興奮しすぎてパンクしてしまいそうだった。

 

「何であれエリを生き返らせることと、エリの改装が上手くいって良かった。しかも同時にだなんて…本当に奇跡だ! でもまさか「IP」無しで改二になっちゃうとは、僕の立場が無いよね? あはは…ううん、分かり切っていたことだ。最(・)初(・)か(・)ら(・)彼(・)女(・)は(・)特(・)別(・)だ(・)っ(・)た(・)んだから」

 

 拓人の言う「エリが特別」の真意として、通常は拓人と艦娘との「好感度」を上げることで改二改装が可能となる。だがエリ(金剛)のみ物(・)語(・)が(・)一(・)定(・)以(・)上(・)進(・)ま(・)な(・)い(・)と(・)改(・)二(・)改(・)装(・)フ(・)ラ(・)グ(・)が(・)立(・)た(・)な(・)い(・)という仕様であった、ある意味ではここまで辿り着くのは予定調和というかど(・)う(・)し(・)て(・)も(・)時(・)間(・)を(・)掛(・)け(・)な(・)い(・)と(・)い(・)け(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)のだ。

 だが──その分普通の艦娘たちよりも最初から一線を画す強さを誇ったエリ、そんな彼女の改二が弱いはずは絶対に無い。

 

「問題はその強さが深海金剛に通用するかなんだよね、でも──僕がやることは今までと変わらない! エリを信じて…彼女を出来るだけサポートすること! 頼んだよ──エリ!」

 

 拓人はそう言い切って、眼前で鬼神を力強い眼差しで睨むエリにエールを送った。

 

 ──一方そんなエリと対峙する深海金剛は…状況を冷静に見つめ直そうとしていた。

 

『(アノ女ガ「エリ」! 天龍タチガ持チ上ゲルモノダカラ、ドンナ強しゃガ来ルノカト思ッテマシタガ…私ノ猿(・)真(・)似(・)トハ! 大方にんげんドモガ私ノ力ヲ再現スルタメ造リ上ゲタク(・)ロ(・)ー(・)ン(・)ナノデショウ。

 モウひとりノ私…姿形ガ似テイルノハ認メマスガ──フン、何ガ「かいにへぇい」ダ! 翔鶴ノヨウナも(・)で(・)る(・)ち(・)ぇ(・)ん(・)じ(・)ナノハ明白デスガタ(・)ッ(・)タ(・)ソ(・)レ(・)ダ(・)ケ(・)ノ(・)コ(・)ト(・)! 私ノ能力ヲ一朝一夕デものニスルコトハ不可能! 貴女ノ言ウ通リ今ノ私ニハソノ形態ニハナレナイデショウ、ダガナァ──ソンナモノガ無クトモ!!)』

 

 深海金剛は右拳を震えるほどに握り締めると、前方へ跳躍しつつエリに向かって拳を振りかぶった。

 

『ソンナモノガナクテモナァッ! 私ガ最(・)強(・)ダト言ウ真実ハ揺ルガネェンダヨォッ!!』

 

 声を荒げながら高らかに自身が最も強いのだと宣う鬼神、正に鬼気迫る表情で憤怒を拳に乗せ殴り放そうとしている。そんな深海金剛に対しエリ(金剛)は──

 

「──出(・)来(・)る(・)」

 

 ポツリ、とそれだけ呟くと同じく右拳をキュッと握ってカウンターを狙うエリ。あの深海金剛にカウンターが通じるとは思わないが──

 

 

 

 ──シュッ

 

 

 

 

 

 ──ドォンッ!!

 

 

 

 

 

『──ヌガァッ!!?』

 

 エリの姿が瞬時に消えた刹那──耳に轟く重低音、深海金剛が口を開けてダメージに苦悶の声を上げる。腹部に痛みと共に熱が広がる…いつの間にか鳩尾に強烈な一発を喰らってるいた、だが重大なのは──深海金剛は拳(・)が(・)当(・)た(・)る(・)瞬(・)間(・)を(・)眼(・)に(・)映(・)し(・)て(・)居(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)のだ!

 

『見エナイ、バ…馬鹿ナ…ッ』

 

「──ううおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

 エリは深海金剛の腹に拳を突き当てながら、半回転しながら後方へ殴(・)り(・)飛(・)ば(・)し(・)た(・)!

 

「えぇっ!? な、何が起こったの!!?」

「…っ!」

 

 拓人が驚き叫ぶ中、エリは遠くへ殴(・)り(・)投(・)げ(・)た(・)深海金剛を追撃するため、地を駆けてその地点へ急行する。その場所で待つものとは──

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 一方、天龍たちが拓人と加賀を救うため影の軍勢に立ち向かう中──それは起こった。

 

 

 

 

 

──ドォンッ!!

 

 

 

 

 

 突如轟く爆発音のような、何かが強烈に叩きつけられたような音。影の軍勢と拓人艦隊との喧騒が響き渡る中、鼓膜に反響する音の荒波に、ダレもが動きを止めて辺りを見回す。

 

「何だ!? 新手か?!」

「おい見ろ! 影たちが!!」

 

 望月がそう叫び影たちの方へ目を向けるよう促す、そこには──輪郭が震え歪み始め、徐々に消滅する影たちの姿があった…!

 

「影が…消えていく!? 一体何が──」

 

 ──ドゴォウ!!

 

 綾波が事態の急展開に疑問を呟く最中、天龍たちの間に何かが飛来し轟音を上げながら地にぶつかる。土埃が舞う中何事かと天龍たちは行く末を見守る、そうして視界が晴れて飛ばされたモノのシルエットが浮かび上がる。そこには──深海金剛、彼女が痛みに顔を歪ませながら背中から地に張り付いている姿があった。

 

「成る程ねぇ、深海金剛がやられちまったから闇属性の能力を維持出来なくなったみてーだなぁ? って──おいおい! 何かの冗談かよ!? 深(・)海(・)金(・)剛(・)が(・)倒(・)れ(・)て(・)る(・)だとぉ!?」

「あの深海金剛が…!? 一体ダレが…!!?」

 

 望月と綾波が驚愕の声を上げる、拓人艦隊の艦娘が各々の全力をぶつけても倒せなかった深海金剛が、全身を地に投げている…これだけでもこの場のダレもが震天動地の何かが起こったと理解出来る。

 

 ──だが、深海金剛を追って来たであろう人影を見た瞬間…予(・)期(・)せ(・)ぬ(・)来(・)訪(・)シ(・)ャ(・)に(・)驚(・)愕(・)の(・)音(・)色(・)が(・)空(・)間(・)に(・)響(・)く(・)!

 

「なっ…お前は!!」

「あ、姐さん!? 何でここに…どうなってんだい!!?」

「エリさん!?」

『ゥーウラッラァ!!? ボクは白昼夢を見ているのか?!!』

「エリ…!? どういうこと?! 手術が成功したとしても、今この場に居るのは…!!?」

 

 艦娘たちが一斉に「エリ」の名を叫ぶ、天龍たちは影の大群を相手取っていたので拓人が戻ってからの一連の出来事を知り得なかったので、エリが忽然と現れたような不可解な事態が起こっているように映ったいた。だが──目の前に居るエリが何モノであれ深海金剛と対峙していることは理解出来たので、一同ダレに言われるでもなく静観することを決めた。

 

 そのエリは長髪と立てた襟を風に靡かせながら、深海金剛を睨みつける。

 

「──立ちなさい、まだこんなモノじゃないでしょう」

 

『──…ッ! ク、ソ…!!』

 

 エリに静かに促されて、深海金剛は力を入れて立ち上がる。

 

『ハァ…ハァ…ッ』

 

 立ち上がったは良いが身体はふらつき、肩から息をしてどうにも本調子ではない深海金剛。それもそのはずで、彼女は今も全身を緑の呪炎に覆われている所為で体(・)力(・)が(・)奪(・)わ(・)れ(・)続(・)け(・)て(・)い(・)る(・)の(・)だ(・)、エリは観測者と共にそ(・)う(・)な(・)っ(・)た(・)経(・)緯(・)を(・)見(・)て(・)来(・)て(・)い(・)る(・)のだが──敢(・)え(・)て(・)何故そうなったのかを問いかける。

 

「どうしてそんなにフラついているの? 流石に連戦続きで体力が減っているのかしら?」

『五月蠅イ! 小娘ニ心配サレル所以ハナイ!! …ッ! コノ鬱陶シイ緑炎サエナケレバ、貴様ナゾ…!』

 

 そう吐き捨てながら己に纏わりつくように煌々と燃え上がる、妖しい翠の炎が自身の弱体化の原因だと暗に答える深海金剛。

 此処に至るまで様々な艦娘と対峙した深海金剛。音速を越えた龍、信念を携えし守護騎士、千計を張り巡らす智将と美を尊ぶ戦士、そして希望の翼と灼熱操りし女傑との激戦を渡り歩いてきた。それまでに受けたダメージ、状態異常、精神の疲弊は確かに蓄積されている。其処へトドメと言わんばかりに万全の状態のエリが立ち向かって来た、これは深海金剛にとっての絶体絶命であり、エリにとってのまたとない好機であった…!

 

「──つまりその緑色の炎さえ無ければ、私を圧倒して見せると?」

『フン! コレハはんでニ過ギナイ! 最強ハドンナ重荷ガアロウト敵ヲ討チ滅ボス!! 貴様ハ私ガ──…グゥ!?』

 

 言い終わる前に痛みに膝が崩れ落ちる深海金剛、これまで拓人艦隊を大いに苦しめてきた以上因(・)果(・)応(・)報(・)と言われても弁に負えない、勝利に飢える鬼神に訪れる結末(おわり)、その無様な光景に対しエリは──それでも慈(・)悲(・)を見せる。

 

「──分(・)か(・)っ(・)た(・)。その炎を消せば良いのね?」

 

『ッ!!?』

 

「おい、今なんつった姐さん? まさかとは思うが…助(・)け(・)る(・)つ(・)も(・)り(・)じ(・)ゃ(・)ね(・)ぇ(・)よ(・)な(・)? そのクソッタレを?!」

 

「だって全力の真剣勝負がしたいんでしょ? この戦いが世界の命運を揺らすってことは理解してるけど…絶対に負けられない戦いだからって、どんなことをしてでも勝つのは奪(・)う(・)こ(・)と(・)の(・)肯(・)定(・)になっちゃうよ。だから──私(・)は(・)与(・)え(・)る(・)の(・)、与えた上で勝ってみせる! どちらかが沈むまでじゃない、彼女が後悔が無いって笑顔で言い切れるまで…私が付き合ってあげるの! だって──私(・)に(・)は(・)そ(・)れ(・)が(・)出(・)来(・)る(・)か(・)ら(・)!」

 

 エリが有り得ない物言いをするので空気を察した望月が流石に止めに入る、だがエリは己の信念に基づく行為だと説得すると徐に右手を深海金剛に向けて翳す。すると──深海金剛を文字通り火達磨にしていた緑炎は徐々に…じょじょに鎮まっていき、遂には完全に消えて無くなってしまった。

 

「き──消(・)え(・)た(・)!? 姐さんがやったのか?!」

「どういうつもりか知らんし、今更是非は問わん。だが…勝てるのか? エリ」

 

「──勝てる! それが今の私だから。貴女たちが掴み取った「奇跡」を絶対に無駄にはしない、その為には──全力の彼女を打ち負かす必要があるの」

 

 望月と天龍から懐疑的な声が聞こえる中、エリは勝利を約束しそ(・)の(・)た(・)め(・)に(・)必(・)要(・)な(・)こ(・)と(・)であると、深海金剛の弱体解除について論じる。その言葉にどんな意味が隠されているのか現時点では分からないが…エリの迷いの無い言葉と溢れ出る自信に、信頼を置く仲間たちはエリに一任することにした。

 

 

 

 ──ゴォッ!

 

 

 

 瞬間──肌を焼き焦がさんとする猛烈な熱波と耳に響く豪炎滾る音、深海金剛は何かを試すように全身を赤い烈火に包み込ませる。

 

『──"力"ガ抜ケナイ、本当ニ解除シテシマッタノカ? オ前ノ「能力」…矢張リ私トハ似ツカナイヨウダガ、今ハソンナコトドウデモ良イカ。先ズハ』

 

 

 ──"五行廻輪"!

 

 

 深海金剛が目の前で両手指を特定の型(・)にして念じると、体中に出来た傷と血が見るみるうちに無くなっていく…全快、鬼神はニヤリと嗤うも直ぐに思い直し、体勢を整えると真顔でエリを見つめ口を吐く。

 

『敵ニ塩ヲ送ルトハ…マァ私ハ「勝テバソレデ良イ」デスノデ下手ナぷらいどデ物ヲ言ウツモリハアリマセェン、デスガ──何故私ヲ助ケタ? 天龍タチハ貴女ガ私ヲ倒スト口々ニ言イ放チマシタ…確実ニ勝ツノナラ満身創痍デアッタ私ヲ倒セバ良カッタ、ソレヲシナイトハ…一体何ガ目的ナノデェス?

 様々ナ「戦士」ニ私ト戦ウ上デノ覚悟ヲ聞キマシタ、貴女ニモ問イマショウ。エリ…貴女ハ何故私ト戦オウトスル? ソノ先ニ何ヲ見テイル?』

 

 深海金剛の問(・)い(・)か(・)け(・)、それは彼女にとって真の強シャであるかを判別する儀式、研ぎ澄まされた精神と磨かれた魂を見抜くために必要な文言。

 おそらくこれが最後の覚悟の投げかけとなる、拓人艦隊の艦娘たちが固唾を呑んで見守る中──エリはハッキリと、確りとした口調で答える。

 

「──貴(・)女(・)を(・)助(・)け(・)た(・)い(・)か(・)ら(・)、それがもうヒトリの私との約束だから!」

 

『──…何ダト?』

 

 破壊の権化と化した堕英雄、かつての世界の救世主たる深海金剛を助(・)け(・)る(・)。そんな前代未聞の回答に、その場に居たモノたち全てが目を見開いた。エリはそんな彼女たちの視線と疑問を一身に受けながら続けて自身の想いを紡いでいく。

 

「私は戦争で全てを喪った、だから一時期は戦いそのものを憎み無くそうと考え、極論だけど世界を滅ぼそうとした。そういう意味では…昔の私だったら、貴女を止める義理は無かった。

 でも──どうして世界で争いが絶えないのか、艦娘として装(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)間(・)もずっと考えていた。それはきっと…奪うことでしか満たされないモノたちが居るこの残酷な世界で、愛することを覚えた人たちが守りたいモノを守護す(まも)るために、激突することでしか脅威を防ぐことが出来なかったから。きっと奪う側にもそ(・)う(・)し(・)な(・)い(・)と(・)生(・)き(・)て(・)い(・)ら(・)れ(・)な(・)い(・)事情があったから。

 生き残るために…拳を、得物を振るうしか無かったんだって。例えそれがダレかが始めた欲望の果て(エゴイズム)であったとしても、人である以上それを止めることが出来なかったんだ。それが生(・)き(・)る(・)ことにも繋がるだろうから、価値観が違うだけでそれを咎めることは出来なかったんだろうって。艦娘に…金剛になってから出逢ったたくさんの人たちにそう教えられた。

 貴女は凄い、そんな人の負(・)の(・)想(・)い(・)の連鎖を自分が犠牲になることで止めたんだから! でも…だからこそ貴女は昔の人たちの業を背負って、沈んで、それが今になって爆発して…望まない戦いを強いられて、勝つことが全てだと思(・)い(・)込(・)ま(・)さ(・)れ(・)て(・)い(・)る(・)。私はね──そんな貴女を助けたいと思った! 私が皆に…拓人からの愛(・)に救われたように、貴女も自分が愛しあいされる存在であったと思い出せるように、私が貴女を必ず止めるんだ! それがもうヒトリの私が求めたことでもあり、私が今此処に居る理由でもあるんだ!!」

 

 エリはかつて全てを戦いで喪ったからこそ、そこから新たな「愛情」を与えてくれた人々に感謝し、同じく愛のために戦いながらも、今なお終わらぬ戦いに身を置き続ける「呪い」に憑かれている深海金剛を浄化させようと彼女の前に立ち上がる。それこそ自分が戦う覚悟だと宣言する。

 そんなエリの回答に──息を荒く吐きながら肯定する男が居た。

 

「──はぁっ、はぁ! エリっ! 君の想いの丈は聞かせてもらったよ! 大丈夫だ…愛してくれる人たちは君に応えてくれる、僕も君の想いを! 必ず実現させてみせる!!」

 

「っ!? 大将! 戻ってたのかい?!!」

 

 望月の一声にエリ以外の艦娘たちは後ろを振り返る、見ると深(・)海(・)金(・)剛(・)に(・)よ(・)っ(・)て(・)囚(・)わ(・)れ(・)て(・)い(・)た(・)と(・)思(・)っ(・)て(・)い(・)た(・)拓人が平然とした様子で、走って近づきながら何時ものように絆を感じさせる台詞を言ってのけていた。

 正に絶(・)句(・)と言った様子で自身を見つめる艦娘たちに、拓人はあっけらかんとして答える。

 

「あ! そうか急ぎ過ぎて報告するの忘れてたね? 今戻ったよ皆!」

「そ、そりゃあ良かったけど…何だいこりゃあさっきからよぉ、さっきまで深海何某と戦ってボロボロで、治ったと思ったら影どもと戦って、大将が攫われたから助けようって壁の影どもを一点突破してやるって意気込んでたら? 姐さんがいつの間にか復活して?? んで大将もいつの間にか戻ってるなんてよぉ??! アタシら何のために戦ってたのさ!!?」

「そ、そんなに怒らないでよぉ、コッチも色々あったんだからさ?」

「いや混乱してんっだっつーの! この状況なんて言えやぁいいんだい、混沌(カオス)かい??!!」

 

「いいや、奇(・)跡(・)だ! エリが…奇跡を起こして帰って来たんだ!!」

 

「──! 奇跡…っ!」

 

 あまりもの展開の急速具合に興奮する望月に対し、拓人はそ(・)う(・)言(・)い(・)表(・)す(・)し(・)か(・)な(・)い(・)という意味を含んだ言葉を、何処か嬉しそうに発した。それを聞いた艦娘たちも全員驚きを交えながらも喜びを表さざるを得なかった。

 

『愛…フン、口ダケハ一丁前ノヨウデェス。ナラバ──止メテミセロ、出来ハシナイダロウガナァッ!!』

 

 ──ブウウゥ……ン!

 

 言いながら深海金剛は飛び上がりざまに右手を開いて突き出す、右手から放たれた魔力の波動が時(・)間(・)の流れを止め──遂には辺りの動きを完全に止める。セピア色となった世界で唯ヒトリ動ける深海金剛は、飛び上がった勢いそのままに左手で停止したエリに殴りかかる。

 

『コノ時(・)停(・)シタ空間ハ私ノモノ、私以外ニ動クコトハ絶対ニ叶ワナイ! コレガ…オ前ガ止メルトホザイタ私ノ──』

 

 

 

 

 

 ──出来るっ!!

 

 

 

 

 

 ──ガッ!!

 

 

 

 

 

 深海金剛が力の差を思い知らせようと、時属性で時間を停めエリに襲い掛かろうとした刹那──エリの声が響くとセピア色の世界が一(・)瞬(・)で(・)解(・)除(・)さ(・)れ(・)る(・)。

 動けるようになったエリは素早く反応した、今にも殴り抜けようと振りかぶった深海金剛の拳を──頬を掠めるもギリギリ躱すと、カウンターの撃(・)拳(・)を深海金剛へ強烈に打ち込む…!

 

『ナ…ニィ……ッ!?』

 

 頬べたに痛みを受けて驚愕する、正に二(・)重(・)の(・)衝(・)撃(・)に困惑を隠せない深海金剛は、そのまま地面を抉りながら吹き飛ばされていく。まだ謎の多いエリの【改二丙】の能力は、まさか鬼神が最強たる所以の一つ…時属性を打ち破ったのだ!

 

「俺には解る、今アイツは時属性を使った! だのにエリは…出(・)来(・)る(・)と(・)口(・)に(・)し(・)た(・)だ(・)け(・)で(・)強(・)制(・)的(・)に(・)解(・)除(・)し(・)た(・)!! どういうことだ…アイツは一体どんな能力を使ったんだ?!」

 

 天龍の大きな懐疑の声に、拓人は「アカシック・リーディング」を使い答えようとする──が、先にそれを解答するモノが居た。

 

「──エリさん、は…神(・)の(・)領(・)域(・)に、至ったようです」

 

「っ! その声…妖精か! いつの間に此処に来ていたんだ!?」

 

 天龍の更なる仰天の言葉に、拓人は盾の裏に隠していた──拓人の掌の上でぐったりしている──光凛(妖精さん)を天龍の前に持って来る。

 光凛(妖精さん)は横に寝ていた小さな身体を起こすと、エリの【改二丙】の能力の全てを語る。

 

「エリさんは、多分──特異点の能力の一部を扱(・)え(・)る(・)よ(・)う(・)に(・)な(・)っ(・)て(・)し(・)ま(・)っ(・)た(・)んです。丁度…拓人が無くした運(・)命(・)操(・)作(・)、自(・)分(・)の(・)求(・)め(・)た(・)展(・)開(・)を(・)引(・)き(・)寄(・)せ(・)る(・)力を、彼女は手に、したのでしょう…!」

「何だと!? カイニ改装以外の能力…ユリウスから多少聞いていたが、その能力の権限をエリが!?」

「みたいだね? でもかr…妖精さん、何かさらっと僕の喪った能力って言ってるけど、あ(・)ん(・)な(・)感(・)じ(・)だ(・)っ(・)け(・)? 僕には目の前の展開を強(・)引(・)に(・)変(・)え(・)て(・)い(・)る(・)ように思えるんだけど??」

 

 拓人の所感として、拓人が運命操作や「A・B・E(アンチ・バタフライ・エフェクト)」の権能を行使していた時は、強制力の弱い展開を緩やかに変え、それでも変えられなければ「A・B・E」で現実改変していた。だが今しがたエリが使ったのは出(・)来(・)る(・)と(・)言(・)え(・)ば(・)そ(・)の(・)通(・)り(・)に(・)な(・)る(・)といった、拓人とは似て非なる能力であった。光凛(妖精さん)はそれに対し推測を投げる。

 

「エリさんは意識を失う間に、自分や周りのヒトの…気持ちと向き合い、見つめ続けていたんだと、思う。元はエリさんも人間だから…感情が豊かな、彼女だから。皆の気持ちに応えたいって──自分の強い想いに合わせるように、自然と能力も、エリさん用に変化していった、じゃないのかな?」

 

「成る程、つまりアレはエリなりの「A・B・E」なのか。出来るといったらそう成る…要約するとこれは「肯(・)定(・)を(・)貫(・)き(・)通(・)す(・)能(・)力(・)」って感じかな? いやぁ~…最強ですねぇ!?」

「あぁ、それが本当なら──いけるぞ、この勝負!」

「私からも太鼓判を押します、もう彼女を──止(・)め(・)ら(・)れ(・)る(・)モ(・)ノ(・)は(・)居(・)な(・)い(・)、と…!」

 

 ここまで来れば後は成る様になるしかない、拓人、天龍、光凛(妖精さん)は口々に絶(・)対(・)の(・)勝(・)利(・)を確信する。だが──矢張り油断は出来ないと、望月たちは兜の緒を締めるよう注意を促す。

 

「待ちな! あのヤローがそう簡単にくたばるとは思えねぇぜ、散々その期待を裏切られ続けて来たんだぜこちとらよぉ!!」

『ウィ! 望月さんの言うとおりです、この場はエリさんに任せても良さそうですが…警戒はすべきです、あと少しで! それを圧し折って来るのがあの鬼神なのです!!』

「エリさんが劣勢になれば直ぐに助けに入れるよう準備をしましょう、ここまで来たなら──全員無事を果たしましょう!」

「ともあれ希望が見えて来たわね! でも浮足立っても居られないもの確かよ。タクト…指示を頂戴!」

 

 望月、野分、綾波、翔鶴の言葉にハッと我に返った拓人は、顔を引き締めては艦娘たちに号令をかける!

 

「良し! 僕たちは深海金剛とエリの戦いを注視しよう! どの道僕らが入れる隙は今のところなさそうだからね、エリが苦戦し始めたら各自補助をお願い! それまでは…彼女を信じて、それでも出来ることはやっておこう!! 良いかい? これが正真正銘──最後の決戦だよ! 皆…やろう!」

 

「あぁ、やってやろう!」

 

「そうこなくっちゃな! っしゃあ!! そういうことならこ(・)こ(・)が(・)能(・)力(・)の(・)使(・)い(・)ど(・)こ(・)ろ(・)さね、アタシも全開で頭ぁ回すぜ!」

 

「了承! 必ず皆で…生きて帰りましょう!!」

 

『ウィ、この先の暗闇も…今の我らなら難なく越えて行けることでしょう!』

 

「えぇ! 隙が出来たら私の艦載機を撃ち込んであげるわ!!」

 

「拓人──大丈夫、貴女たちなら、きっと…!」

 

 拓人、艦娘たち、光凛(妖精さん)はそれぞれの意気込みを言葉にして互いの士気を高め合う。それを背中を向けながら聴いていたエリは──慈愛に満ちた微笑みを浮かべて喜んだ。

 

 だが──またしても立ち塞がる深海金剛、抉れ隆起した地面の土塊をガラガラ…と音を立てながら退けると、怒り心頭に発しながら立ち上がり勝(・)利(・)は(・)渡(・)す(・)も(・)の(・)か(・)と喚き回る。

 

『…ッ、時属性ヲ破ッタカラ何ダト言ウンダ!? 私ハマダ本気デハナイ、調子ニ乗ルナヨ新兵(ルーキー)ッ!! オ前ノヨウナ甘サノ残ル半端ものニ──勝利ハ絶対ニ渡サネェッ!! 全力デ潰シテクレル…来イッ!!』

 

「──もちろん! 私の…ううん、私(・)た(・)ち(・)の(・)! 燃え上がる心からの愛(バーニングラヴ)で!! 貴女を…止めるっ!!」

 

 吼える鬼神に対し、星のように光り輝く原石は土石を払い、金(・)剛(・)石(・)の(・)よ(・)う(・)な(・)光(・)輝(・)で(・)精神を閃かせる!

 

 

 今──奇跡の体現者は囚われた英雄に自由を与えるため、決戦に臨む…!

 

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