艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について― 作:謎のks
突如現れた巨大な狼の怪物「スキュラ」、深海凄艦を食べて強くなるそれを止めるため、僕らはスキュラの首の下につけられた「コア」の除去に挑む。でも予想以上の俊敏さと多芸ぶりに悪戦苦闘! 下手したら全滅の危機にさらされた僕ら。
そこに現れた金剛、金剛は僕らのボロボロの姿を見て、スキュラに対し怒りが頂点に達した。雰囲気まで変わって正に怒髪衝天ってやつだけど…変わり過ぎじゃない? なんか微妙に口調が変わったみたいだし?
『Gruuuuuuuaaaaaaaaa!!!』
スキュラが跳躍し、金剛に牙を突き立てようとする。
「…ふん?」
鼻で呆れると、金剛は「一瞬」で今しがた立っていた場所から消えた。
『…Vo!!?』
「ハァイ!!」
スキュラの懐に潜り、その巨大な顎に向けて蹴り上げる。ズンッ! と重い衝撃音が響き、狼の巨体が空中に投げ出される、痛そう(小並感)。
『Gaaaa!?』
「まだデース…私は食らいついたら、離さないワ!!」
スキュラの顔を踏み台にして上空に飛び退き、そこから勢いよく降下、音速の連打を叩き込む。
「ダララララララララララララララララララ!!!」
『Voooooooo!!?』
「誰が鳴いていいって…いいましタ?!!」
フィニッシュの一撃に腰の艤装からの砲撃、至近距離の連続砲火にたまらず吹き飛ぶスキュラ。
『Vooooooo!!!?』
海面に叩きつけられるも、受け身を取りつつそのまま飛び退き金剛から距離を取る。海上に降り立った金剛はスキュラににじり寄る。
「ヘエエェェェエエイ? どうしましタ? 先ほどまでの威勢はぁ?? ヘイ、ヘェイ、ヘエエエエエェエイ!!!」
恐いくらいの満面の笑み、鬼か悪魔かが嗤っているようなその笑顔は、スキュラだけでなく僕らも戦慄させた。
「あれって…?」
「…鬼神」
望月がそう呟いた。他の皆は聞き覚えが無いか、それとも目の前の光景が恐ろしすぎて顔が向けられないか、とにかく反応は無かった。僕もなんとか聴き取りながらも金剛の戦いに目が釘付けだった。
『…!! Voooooooo!!!』
スキュラが攻撃を仕掛ける。先ずはたてがみから出た五つの電気ムチ。金剛に向けて振りぬくが?
「…ハッ!」
金剛、電気ムチを素手でキャッチしそのまま一まとめにする。
「…むぅん!!」
両腕に力を込め引く、ムチはたてがみから「ブチブチッ!!」…と引きちぎられた。
『Vooooooo!!?』
スキュラから痛みと驚きが合わさった呻きが、つえぇ…。
『…Voooooooo!!!』
次は先程のゲロビーム。口から発射口を出すとそのまま射出、エネルギーが凝縮された極太ビームが金剛を襲う。
「ダカラ?」
金剛が拳を構え、力を最大限込めて…一気に解き放つ!
『…!?』
拳の衝撃がビームを突き抜け、圧縮された光を掻き消しながらスキュラのビーム発射口にダイレクトアタックした(唖然)。
『……! !!? !?!??!!?』
最早吼えることも許されない、文字通り「矯正」されたスキュラ、ビーム発射口は爆発四散し、稲妻を走らせながら黒煙を上げた。
「うえぇ…」
僕は正直…正直ね? オレツエー状態ってあんな感じなんだろうなあ? とどこか映画の感想並みのことしか思い浮かばなかったんだけど…金剛の変わりようは、どこか希望をもたらせる戦いぶりだと感じた。この人なら勝てる! と思わせてくれる。
「…っ! 金剛ーーーー! 頑張れーーーーーッ!!」
僕は彼女を信じて叫ぶ。彼女はこちらに視線を向けるとニカッと笑う。今までの金剛とは違う、快活で豪胆な笑いだ。言い方が悪くなるけど、僕らに敵意は無いようだ。
『V"o"o"oooooo!!!!!』
追い詰められたスキュラが喉から振り絞るように雄たけびを上げると、身体の至る所からミサイルが露出する…ってそんなのもあるの!?
ミサイルが一斉に金剛に向けて発射される、こ、これはどうだ…?
「…!」
金剛は無数のミサイルに向けて跳躍、加賀さんがやってみせた空間跳躍…いやあっちより断然早い!? 一気に隙間と言うスキマを掻い潜って…スキュラの眼前に!
『…(ニヤリ)』
口角を上げて「かかったな?」と言いたげに嗤う狼。…!? ミサイルが反転して金剛の背後に向かってる!!
「ホーミングミサイル!?」
僕がそう叫んだと同時に、ミサイルが金剛に着弾した…!?
「金剛!!」
極大の爆炎が宙に燃え広がり、硝煙が絶望を掻き立てた。金剛………………っ!?
「…ヘェイ?」
視界が晴れると、金剛が不敵に笑って猟犬を捉えていた。
『!!?』
「食らいついたら離さないッテ…言ったデエエェェェエエエス!!!」
金剛はスキュラの首の下に向けて、音速の拳を突きそのまま手を突っ込んだ。
『!? Gruu!? Gyuuuuuuuuuuu!!?』
「…いっけええええええ!!!」
「はああああぁぁぁああああ!!!」
突っ込んだ手を一気に引き抜く…その手に握られたのは、拳ほどの大きさの球体。
「…ふっ」
手に力を入れ、球体を握りつぶした。
『……『システム、オールダウン。システム…オー…ル……ン』…』
目から光が消え、力無く崩れ落ちるスキュラ。…どうやら勝負はついたようだ。
「…やったのか?」
「ええ、まさかここまでとは…!」
「ブラーヴォ! 流石ですマドモアゼル金剛!」
「…(アレはやっぱ、そうだよな…?)」
「…っは!? 金剛!」
僕は金剛に呼びかけるが、彼女は斃れたスキュラを見下ろして、こちらをチラリとも見ない。
「…ケダモノ風情が」
金剛が主砲角度を屍と化したスキュラに向ける…って!? ちょちょちょ容赦ないな!!?
「金剛駄目だ! それ以上は」
「何故デス? この畜生は貴方を殺そうとしまシタ。ワタシにとってはそれだけで”ギルティ”…その上で他の仲間まで、許せと言う方がオカシイのでは?」
た、確かに言いたいことも分かるけど…ここはヒロイン力を発揮して「いいんだよ?」的な慈愛を見せるところであって…?
「…これ以上やるなら、僕は…”君を嫌いになる”!!」
「…! …っふふ、仕方ないデス、
呆れたような、安心したような、そんな笑いを浮かべながら金剛の威圧感は徐々に和らいでいく…。
「……? あれ、ワタシは??」
「金剛!」
いつもの金剛に戻った?! 僕は金剛の下に駆け出す、他の仲間たちも恐る恐るといった具合で歩いていく。
「金剛! 大丈夫?」
「テートク…ワタシは……?」
「…いきなり切れたと思った矢先に、人が変わったように大暴れし始めたのだ、お前は」
天龍が事実を伝えるも、金剛は首を傾げ悩まし気な顔だった。覚えてないのか? 頭のアホ毛も「?」になってるし。
「で、でも! ちゃんと僕らを認識してたし、敵もちゃんと倒してくれたし!」
「それはそれで不気味ですけどね…?」
翔鶴の言葉に、その場に重い空気が流れる…翔鶴、後で屋上な?
「まぁよろしいではないですか~? 一応任務は完了しましたし、後は連合にこの事を報告すれば無事終了となりますー!」
「あ、そっか! はじめての任務を遂行したんだ! やった!!」
「ウィ! 我々はやり遂げました! マドモアゼル加賀もきっとお喜びでしょう!」
「だが気は抜けない。こんな惨事を治めたのだ、俺たちが次に受ける任務は、一気に難易度が上がるだろう」
「大丈夫だよ! 皆でやればなんとかなる! ね、金剛?」
「…っは!? は、ハーイ! 勿論デース!!」
金剛は何かを思案していたようだが、切り替えたように朗らかな言葉を紡ぐ。
…本当は分かっている、彼女は先程の自分自身を考えていたんだ。でも…本当に何だったんだ? レ級ならまだしもあのスキュラとかいう怪物、特異点、それにまるで別人だった金剛…うーん。
「…考えても仕方ないか!」
今は素直に、この任務の成功を祝おう! そして…ゆくゆくはこの戦いを伝説の幕開けとして後世に語り継いで…ふふふ…!
「…拓人さん、このままじゃちょっと駄目ですねぇ~…これは」
──鍛えなおした方が、良いみたいですねぇ~?